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某大学の昆虫学研究室におじゃました所、
スジコナマダラメイガがよく成長しているとのことで
味見させてもらえることになりました。
昆虫学研究に使う昆虫は、
フィールドに繰り出して観察・採集する場合と
研究室で養殖する場合の二通りが考えられます
昆虫の養殖には日本の「蚕学」が大きな足跡を残しています。
年中桑の葉が無くても飼育できる人工飼料「シルクメイト」
もその成果の一つです。
生糸の輸出で得られた膨大な外貨の一部を投資し
安価で安定した成分で、しかし決してクワの生葉に
負けるような成長率ではイカン。というシビアな条件を
試行錯誤した探した結果が
シルクメイトなのです。
蚕の食べる葉の量は成長に従い一気に増大し、
その
大部分は終齢幼虫に集中します。
そのため、クワでの飼育はこの終齢だけにし、
小さな幼虫はシルクメイトで簡便にすることで、
ヒトの手間を抑える事ができるのです。
ですが、問題点があります。
「糞不味い」のです。
生糸生産には全く影響はないのですが、
防腐剤や添加されている桑の葉の味やニオイがキツくて、
どうしようもありません。
近くの研究室の方に、
余ったゴマダラカミキリを頂いたのですが
これがシルクメイト飼育だったために
どの成長段階もシルクメイトの土臭いクワの香りがついてしまい
まったくあの美味しいカミキリの味を楽しむことが出来ませんでした。
憎きクソマズシルクメイトを、美味しい配合飼料に…
交換したいところですが。
ご賛同いただける
飼料会社のみなさま、
実用化をおまちしております
さて、今回の味見は
スジコナマダラメイガ  Ephestia kuehniella

左 幼虫 右 蛹

乾燥したトウモロコシをエサとし、
まったく水を飲まずに成長できる
脅威の生態の持ち主です。
貯蔵された乾燥済みの穀物を食べるため
「貯穀害虫」と言われます
コーンを食べるため 香ばしい香りが期待されます。
小さいので、幼虫と蛹をわけて一口で5,6匹一緒に頂きました
味見
幼虫
プチッとした食感が小気味よく、シャクッとした食感も好ましい。残念ながらトウモロコシの香ばし香りは少なめ。普通の味。

外皮がさくさくとして食感がよく、脂質が強めで味はあっさり。
カシューナッツぐらいの味。たくさん食べられそう少し収斂味がある。香ばしさは幼虫より強い。
貯穀害虫は
ヒトの食糧の敵でもありますが、
うまく使うと、ヒトが安定的に生産する農産物から
昆虫食糧へとつなげる架け橋となるかもしれません。
そして今回、某大学の研究室をお借りして味見を行ったのですが
わかったことがあります。
「昆虫学をやっているからといって昆虫をたべられるわけではない」
前途は多難です。
もっと美味しい昆虫をプレゼントして
仲間を増やそうと思います。。。

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直翅目は
甲虫類のように固い外皮はなく
成長も早いものが多く
世界中で多くの種が食べられています。
このブログでも数多くの直翅目を食べてきました。
私の研究相手の
トノサマバッタ
を始め
ヒゲマダライナゴ
ショウリョウバッタ

コバネイナゴ
ツチイナゴ
タイワンツチイナゴ
クルマバッタ、クルマバッタモドキ
オンブバッタ ショウリョウバッタモドキ
コロギス
キリギリス クツワムシ
エンマコオロギ アオマツムシ スズムシ サトクダマキモドキ
ヤブキリ クサキリ
クビキリギス
ヒメクサキリ
マダラカマドウマ
ヨーロッパイエコオロギ フタホシコオロギ
ミツカドコオロギ
そして、
今回登場 ケラ Gryllotalpa orientalis
しばらく会えなかったのですが、
昔から大好きな昆虫です。
Mole crkicket の英名の通り、
モグラのような生態で、土を掘りながら昆虫や
ミミズから植物の根まで
なんでも食べ、この重そうな外見に反して
泳いだり空も飛べる万能選手です。
多芸だけれどどれも一流でない様子を
「おけらの七つ芸」
と言われることもあり、ちょっとかわいそうですが。
タイでは灯火採集で多くのケラが食べられていますが
残念ながら養殖には至っておらず、研究用の飼育継代も
なかなか難しいのが現状のようです。
さて 写真を見てみましょう。


かわいい。
頭をすっぽり覆うように張り出した前胸背板。
力強く土をかき分ける前肢
コオロギに似たふくよかさの腹部。
直翅目にしては貧弱な後肢。
丸く輝く瞳(複眼)
前胸と中胸の間がフレキシブルに動くのも
愛嬌が増す感じがします
直翅目ではコロギスとならぶ可愛らしさではないでしょうか。
子犬ぐらいの大きさでフェレットの飼育ケージ
飼えたらさぞ大人気になるでしょう。
ならないですか。そうですか。
さて
大事に味見いたしましょう。
味見
やっぱりうまいなぁ。英語名 Mole cricket(モグラコオロギ)の名に恥じないコオロギ味。甘みが特に強く、濃厚なコクがあり高カロリーな感じ。茹でても赤くならないのでバッタとは違う茶色色素がありそう。
このケラ
日本には小型のものしか分布していないのですが
熱帯のものはもっと大きく
フロリダ南部には害虫として侵入し
農作物に被害をもたらしています。
天敵の不在で増えすぎたケラが
植物の根を食べてしまうのです。
家畜用牧草地へ600万ドルの被害とのこと。
ここで活躍しているのが「サウンドトラップ」
オスの求愛歌を流すことで
交尾シーズンのメスを効率的に誘引し
産卵を妨害するものです。
こんな子供用プールに
バケツを付けたような簡素なもの

結果は絶大です。17,000匹のケラが一晩で採れたとのこと。

もう採れたてのエビ
にしか見えませんね。
伝染病の媒介ではなく、食害が問題になる場合
対策の要は「卵を産ませないこと」です。
そのためメスの対策が重要になります。
同様の目的で
不妊オスの放虫や、合成フェロモンによる
交尾撹乱などが行われる場合もあります。
もちろんサウンドトラップにも長所と短所があり
交尾器の春と秋の二回しかとれないので
落とし穴式トラップとも併用するそうです。
生態をうまく利用した収穫方法として
参考にしたいところです。
ケラをビニールハウスで養殖し、食べごろのメスだけ
求愛歌で集めて収穫、というのもいいかもしれません。

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以前に
成虫ばかりの巣を駆除して味見したのですが
今回は幼虫とサナギです。
先日 昆虫料理研究会主催のバッタ会に行ってきました。
多摩川の河川敷でバッタを採り、その場で揚げて食べる野外イベント。
この時に常連の昆虫食エキスパートのご夫婦が
キイロスズメバチを差し入れてくださいました。
キイロスズメバチ (ケブカスズメバチ) Vespa simillima 幼虫

味見
オオスズメバチに比べやや臭みがつよい。脂質が多くコクが強い味。体内の未消化物の割合も大きいので蛹になってからがオススメ。といっても巣の駆除で出た幼虫はサナギまで育たないし、というジレンマ。ともかく美味しく食べましょう。
続いてサナギ 太陽光の下で見ると
生命力や美味しそうな感じが際立ちますね。

味見
やはりコチラのほうが美味しい。
すこしカニ味噌系の動物質が嫌気分解したような
香りがするので薬味や味噌と一緒に食べたいところ。
今回はその場で調理するのと
巣から出された幼虫やサナギはすぐに傷んでしまうので
この場で味見をしました。
調理に集中してこっちには目もくれない参加者のみなさま

私は
趣味の団体、昆虫料理研究会と
学術の団体、食用昆虫科学研究会の両方に参加しています。
見比べて気づくのは
「学問はある物事の楽しみ方についての一つの切り口にすぎない」
という点です。
もちろん学術的に価値のあることを見出すことは、
自身の主観を廃し
再現性のあるものを発見することですので
他人や将来にとって利用しやすい、意義深いことです。
そのために社会的リソースを使って保存すべきなのです。
ただ、
研究者本人は
そもそも楽しくてやっていることが
ほとんどだと思います。
その
「楽しみ方としての学問」は
多様な昆虫食の楽しみ方の一つの形でしかなく
他の楽しみ方を受け入れ、膨らませることで
より魅力を増すことでしょう。
この趣味の会で 今までに出会った方は
「食虫植物が好きで彼らと同じものを食べてみたくなった」
「週末イベントを検索していたらなんか辿り着いた」
「肉は気持ち悪くて食べられないが虫なら食えるから来た」
「バッタが採りたくてきた」
などなど
楽しみ方は多様です。
そう考えると
学問の世界を紹介する際に 論文を平易な文章に書き換えるだけではなく
研究者本人の人柄や情熱 研究対象の愛らしさなど
非学術的な魅力についてももっと採り入れたいところです。
もちろん研究者の本分は論文を書くことですので、
それを妨げるようなことがあってはなりません。
そういう意味で、昆虫料理研究会・食用昆虫科学研究会の
2つのグループは相互に関わりあいながら
総合的な昆虫食啓蒙グループとして
活動できれば、と思います。
その将来の形として羨望の眼差しを向けている団体があります。
「なにわホネホネ団」
です。


(HPより引用)
2003年に博物館の学芸員・アルバイトの3名から始まった「なにわホネホネ団」。2004年の「大阪自然史フェスティバル」に出展したのを契機に、募集もしていないのに「参加したい!」という人が集まりだしました。今では小学校前のコドモ団員から様々な職種のオトナ団員まで、ホネ好きが集まって骨格標本作りをしています。


本まで!

彼らは
学術・芸術を問わず骨格に興味のある人材を集め、
博物館に収蔵する標本の作成や
依頼に応じてメンバーを派遣し、様々なイベントを行っています。
学術をベースとしつつも、生物への畏敬の念を持って行うことで
多様な楽しみ方を模索することで
独自の魅力を発信しています。
まだ
ホネホネ団の方と直接お知り合いになれてはいないのですが
そのうち
コンタクト(あわよくば入団)を
してみたいと思います。
昆虫食への注目の高まりとともに、
我々の団体にもいくつか依頼をいただけるのですが
メンバー的にも、内容的にもなかなか期待に答えることが出来ていません。
ホネホネ団に学んで
しっかりした団体を作っていきたいですね。
まずは拠点となる博物館探しでしょうか。

2

キク科の雑草にいて
ひと目で気づいてしまいました。
気づいたからには採集しなければなりません。
黄色とネイビーのツートンカラー。
たいへんビビッドです。
ホソバセダカモクメ Cucullia fraterna Butler

久々の美味しそうじゃない幼虫。食欲がわかない。
毒がありそう。
マダラチョウに似てますね。
毒があってくれ、食べられない種でいてくれ、
との願いも虚しく
「毒があるとの報告はない」
「毒があるとの報告はない」
…え
一番ヤなパターンですね
もし
私の味見が
毒があるとの報告の第一報」
になれば、嬉しくもあり、悲しくもあり…
ともかく食べてみましょう。
味見
!!アヤモクメキリガに似たオガクズ系のいい香り、コクのある味、
歯切れのよい外皮がとてもよい。美味しい!見ためではわからないものですね。
これがマダラチョウなどの
毒イモムシを真似た柄だとすると
有毒昆虫の見ためだけを擬態することで
毒のコストやリスクを負うこと無く、捕食者から逃れることが出来る
「ベイツ型擬態」に分類されるでしょう。
逆に、
ホソバセダカモクメも実は毒を持っていて
他の毒昆虫に似ている柄を持つことを、
ミューラー型擬態と言います。
毒昆虫同士を似せることで、
捕食者により強く
有毒であることを印象づける効果があります。
今夜
なにもなければ
ベイツ型擬態
何かあれば
ミューラー型擬態。
とてもわかりやすいですね(棒)

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鱗翅目の幼虫は形もイモムシ型で嫌悪感がすくなく、見ためにも食べやすい。
そう思っていたこともありました。
何事も例外はありますね。
そうです。 シャチホコガ Stauropus fagi です。
シャチホコガ科は以前に
モンクロシャチホコ タカサゴツマキシャチホコなど、ケムシ型の幼虫・サナギを食べてきました。
いずれも見ためがいいとはいえない虫たちでしたが、
比較的味がよく、スズメガ科、ヤママユガ科に次ぐ美味しい鱗翅目の科が
開拓できる可能性を考えると、食べないわけにはいけません。
このブログそのものが既に閲覧注意のレベルだそうですが、
今回は特に閲覧注意とさせていただきます。
何しろ異形です。昆虫学の権威、極度の虫好きの私のボスが、
「初めて見た日の夜はうなされた」とのことですから、
異質な形態をした幼虫といえるでしょう。
こちら。

あなた、フェイスハガーですよね。

キシャー

幼虫とは思えないすごい造形です。
動画はコチラ。

引き続き パシフィック・リム風になってますが。。。
すごい造形と、動きです。
これで肉食であれば、攻撃性の高いデザインにも納得なのですが、
残念ながらクヌギの葉を食べるおとなしい虫です。
見た感じ、尻尾はへびの頭に
長い腕と頭はクモに擬態しているのではないか、と思えてきます。
昆虫のデザインは
ヒトの想像をやすやすと超えてくるのがすごいですね。
魅力でもあり、恐怖を感じるヒトもいるでしょう。
さて
このブログの本分、味見と参ります。
味見
なぜか頭部に酸味がある。
外皮は見た目に反してわりと柔らかく、
内部に脂肪はほとんどついていないため、
消化管のクヌギを出すとぺちゃんこになってしまう。味はけっこう普通。
ナナフシモドキにも似た、エビと枯葉っぽさが同居したよくある虫の味。

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近頃冷凍庫が手狭になってきたことから
写真撮影後に食べるタイミングを逃した昆虫も、きちんと味見していきたいと思います。
こちら
オオゾウムシ Sipalinus gigas
以前に煎餅にして食べたのですが、
振り返ってみると
このブログの共通調理法である茹でポン酢で
食べていなかったので再度挑戦。

見るからに固そうです。
味見
食べる前から敗戦色濃厚(口に残ってかみ切れない、飲み込めない)
のかと思ったのですが。
硬すぎてカリカリして美味しく食べられる。内部の甘みはやさしく、香ばしさも相まって
ゾウムシ・カミキリムシ系の好ましい味。
食べきるのにかなり時間が掛かるが、珍味のようでずっと噛んでいると
口に残らず最後まで食べられる。外皮は硬すぎると逆に食べられることがわかった。
何事もやってみないとわからないですね。

1

ヒロヘリアオイラガ Parasa lepida

イラガ科の幼虫です。
1920年代の外来種で、近年勢力を拡大しているとのこと。
「明らかに危険」と蛍光色で教えてくれるケムシです。
それでも葉の裏に隠れていることがあるので、ご注意下さい。
ヒロヘリアオイラガの臨床図(ドクターご本人が体を張った経過観察!)
もある「虫と皮膚炎」によると

毒棘に触れると先端部が皮膚に刺さり、毒液が注入される。とのこと。
棘が刺さるには、イラガ自身が生きていることが重要なので、
死んだり、脱皮直後ではこのタイプの皮膚炎は起こらないとのこと。
普通のイラガ科の棘はこのタイプだけですので、
「スズメのショウベンダコ」と呼ばれるイラガの蛹を
繭のまま炒って、ピスタチオのように殻を割って美味しく食べられます。
イラガは冬に繭で越冬しますので、
食害に悩まされている方は、冬のうちに採集し、炒って食べると良いでしょう。
ところが、
このヒロヘリアオイラガ、なんと
二段構えなのです。
尻の黒い部分に毒刺毛があり、これは生死にかかわらず
触れると皮膚炎を起こすタイプです。
この毛を繭を作るときに、周りに付着させることで、
ほかのイラガでは無防備なサナギ時代を「毒あり」で過ごすのです。
こわいですね。
ということでイラガの中でも、ヒロヘリアオイラガは
たとえサナギの時期でも食べるのに適さない、味見が困難な虫、といえるでしょう。
お気をつけ下さい。

クモ類は昆虫ではありませんが、
陸上性の節足動物で伝統食への利用も多く
「食べられる虫」の一群として注目しています。
利用しやすい点は
翅を持たないこと、
そしてその分体重が重く、
食べごたえがあることでしょうか。
利用しにくい点として、
ほとんどが肉食性なのでエサの用意に
コストが掛かってしまうことでしょう
群れを作るものが少ないので共食いの危険もあります。
カンボジアでは
採集タランチュラが日常的に食べられていますが
近年は減ってきたとのインタビュー報告があります。(FAO報告書2013)
南米チリではペット用昆虫牧場があり、養殖は可能ですので、
養殖へのシフトを促したいところです。
天然資源の減少はその価格高騰をもたらし、
リョコウバトやオオウミガラスの
ように「さらなる乱獲を助長する」危険もあります・
逆に、高騰した採集モノの価格を安くする方法として
養殖技術をすんなり導入しやすい好機でもあります。
採集タランチュラを養殖に変更すると
どの程度価格が変化し、
雇用が生まれるか算定したいものです。
特に彼らは成長が遅く、生体まで二年もかかるのでかなり高価になるかもしれません。
それを受容できる、そして密猟を許さない社会全体の法律の制定と成熟も同時に望まれます。
ちなみに
この写真は私が飼育しているタランチュラです。ブリーダーの方からベビーを頂き、
実験で余ったバッタを与えて1年半、元気に過ごしています。食べても美味しいですが
その味見については次の機会に。
このような多様な肉食食用動物の飼料としても、
バッタの養殖はもっと高度化する必要がありそうです。

「生死のフチ子さん」という題名です 笑
話が一旦逸れます。
ここで使った「コップのフチ子さん」は、奇譚クラブが漫画家、タナカカツキさんと
企画したガチャポンで、コップの縁にちょこんと、
個性的なポーズでつかまる ゆるめのOLの姿をしたフィギュアです。
日常に「フチ子さん」がいる光景をSNSで公開し、楽しむことで爆発的人気となりました。
まだマイナーかもしれませんが、
「ネイチャーテクニカラー」のシリーズで見られる
造形や彩色であったり「フチ子さん」のような企画力、「バカ度」は
海洋堂を超えてきています。
要注目です。
モノづくりを競う場ではエネルギーのある「若手バカ」が
評価される健全な競争が望まれますね。
さて、味見でした。
ジョロウグモ Nephila clavata

以前から何度か食べていたのですが、
ブログで紹介するのは初めてです。
味見
香りが良い。腹部を噛むとプチッとした食感の後に
枝豆に似た香ばしくはなやかな香りと
しっかり旨みの効いた味が口の中に広がっていく。
クモ類で抜群に美味しく、かつ採集しやすいのが
ジョロウグモといえるでしょう。
これから秋が深まるにつれ、産卵を控えた♀たちの身がしっかり詰まってきます。
ジョロウグモを使った「自家製納豆(納虫?)」もおすすめです。
作り方は
昆虫料理研究会 内山さん著
「楽しい昆虫料理」をご参照下さい。

秋のジョロウグモ。
採集も簡単で、初心者にもオススメの味です。

1

近頃味見以外の記事を書いていたので
けっこう味見したい昆虫が溜まってきました。
今回は蛹三種。いずれも土中で蛹化するタイプなので
繭を作りません。
モモスズメ Marumba gaschkewitschii echephron
緑色の幼虫状態で捕獲 ナイフヘッドのようなとんがった頭が可愛いです。

その後蛹化

ちょっと脱皮不全のようになっていますが
元気に尻を振っていました。
タカサゴツマキシャチホコ Phalera takasagoensis Matsumura

「おさげをした水玉ワンピの女の子」と表現したらちょっとは
この感じが薄れるでしょうか… 食べるのを躊躇しているうちに蛹になってしまいました。
女の子(?)はタイミングが大事ですね☆
幼虫も成虫も樹の枝に擬態しているようですね。一貫していて素敵です。
幼虫は生木の枝に寄り添うように擬態し、
成虫は短い枯れ木の枝をイメージしているようですね。
すごいです。
蛹はこんな感じ。固いです。

アヤモクメキリガ Xylena fumosa
5月に幼虫を食べて美味しかったので、
蛹も食べたいと保存していました。
なかなか前蛹?のような状態から変わらず、
なんと4ヶ月もたってから9月26日に蛹化。まったくわけがわかりません。

脱皮不全だとするとなぜいまになって成功したのか
休眠だとするとなぜ前蛹で休眠を開始したのか。
虫は想像を軽々と超えてくるので興奮を抑えきれませんね。
虫を見ていると謙虚になれます。
さて
味見
モモスズメ
おいしい。ほとんど特徴のない穏やかな味。あまく、そしてうまい。珍味でなく日常の食品になりそうな感じ。香りも殆ど無い。外皮は堅めなので中だけ出して食べたい所。ぷりぷりしておいしい。
タカサゴツマキシャチホコ
外皮がカリカリしており珍しい食感。内部は水っぽい。クヌギの香りがするがナナフシモドキのような苦味はなく、食べやすい。内部に弾力がないのが残念な所。
アヤモクメキリガ
爽やかな穀物の香りが豊かで幼虫同様とても美味しい。やはり今期ヒットだっただけがあり、幼虫も蛹も美味しいことが判明。待てば海路の日和あり。
同じような色・形の蛹になっても味は正直です。
三者三様の味わい。ごちそうさまでした。

6

昆虫を味見する際に留意したい点として
「昆虫を差別しない」ことが挙げられます
当然分類するので区別はします。そして その生態や味から
利用法や調理法を考えていくことが必要です。
ここでいう「差別」とは、
「対象の特徴を無視して観察者のバイアスを優先すること」
と言えるかと思います。
直感的にわかりやすいのは「キモい」「生理的にムリー」
でしょうか。
このキモさ(嫌悪感=Disgust)には生来の遺伝的バイアスだけでなく
文化的なバイアスが多くかかっています
特に
昆虫に関してはごく最近までヒトの食品でしたから、
ヒトがこんなにも短期間に遺伝的な忌避行動を獲得するわけもないので
多くは文化的バイアスといえるでしょう。
逆に言うと百年以内に昆虫食に戻る可能性もあるわけですから
安易に遺伝子に刻んでは危険なのです。
むしろヒトは文化として、世代を超える情報を外部保存することで
遺伝情報よりも臨機応変なバイアスを持つことに成功したといえるでしょう。
ということで
我々は多くの文化的バイアスがかかっています。
そして、
その文化的バイアスから独立した視点をもつために使われるのが、
「科学」という客観性を重視した手法といえるでしょう。
昆虫の分類も
「好き嫌いは置いといて、皆が客観的に判断できる手法を用いて、、個体をグループに分け、
近い順に並べる科学的手法」と解釈できます。
さて
一つ前の記事で「直翅目にハズレ無し」と書いたばかりですが
実は未だ直翅目の分類群を網羅していません。
これから食べようと思っているケラ科(今年は見つからなかった)の他に
カマドウマ科という高いハードルがあるのです。
おそらく美味しいとは思うのです。
今回捕まえたのはクヌギの樹液を食べに来るマダラカマドウマ。
樹液食は美味しい要素の一つです。
しかも翅がなく、飛ばないので体重もあり
日光を必要とせず、高密度でもケンカしない。
翅のないキリギリスといえる体型。
どれも美味しそうな要素しかありません
サラブレッド。もとい直翅目界のブロイラー
と言っても過言ではないのですが。。。。。。。
ごめんなさい。主観的にキモいのです。
思い出すのは一人暮らしを始めて二年目の仙台。
秋も深まり、寒い夜にシャワーを浴びようと浴室へ。
私は極度の近眼なので、シャワーを浴びる際は
極端に防御力が低下します。全裸で目も悪い、地中性の生物のようです。
勝手知ったる我が家の浴室なので、何の警戒もしていませんでした。
シャワーを出したその瞬間
足元に何かが駆け上がったのです。
お察しのことと思いますが、カマドウマです。
ハエや蚊、ゴキブリならともかく、体重があり、
壊れた玩具のように跳ねまわるカマドウマの感触は
なかなか自分の記憶と一致しませんでした。
おぼろげながらカマドウマとわかり、
一旦撤退し、メガネをかけ直し、
全裸のままカマドウマを捕獲。ベランダから投げました。
そのためか、カマドウマにはまだまだ苦手意識があります。
でも差別してはいけません。
自分に文化的なバイアスがあると認識した以上、
意識的に
差別につながらないよう
行動せねばならんのです。
行動とは。当ブログでいうところの味見ですね。
前置きが長くなりました
なんせ茹でられたカマドウマが右手のそばにあるものですから
味見のタイミングを伸ばしたいという深層心理の現れかと思います。
マダラカマドウマ  Diestrammena japanica

味見
少し土っぽい枯れ葉系の香り。しかし抜群に美味い!なんだこれは。体液はほとんど感じられず粒感と弾力のあるタンパク質の塊がやってくる。焼きタラコのような食感。
翅がなく、胴がたっぷりしているので肉質なのかと。
キリギリス科の中でも抜群に美味しく、とても意外でちょっとだけ残念。
クラスの地味な子がアグレッシブな特技で突然人気になってしまい話しかけづらくなる感じ。
でしょうか。
文化的バイアスは
かかっていると自分が認識してから、
その逆バイアスをかけ直すには、多くの努力が必要です。
ですが、その先にはどの文化的素養のあるヒトの間でも形成できる
多様性を許す社会が出来るのでは、と思います。
また、そのバイアスが他文化に悪影響を与えない場合、
誇るべき文化として自らの強固なアイデンティティを形成することになるでしょう。
もう一度いいます
「直翅目にハズレなし」(ケラは未食)