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#土用のむしの日キャンペーンを、
個人的かつ大々的にやってきたわけですが
現状、どのような代替物でも、
絶滅寸前のうなぎに比べたら「いいもの」です。
また、ウナギは年々価格が上がっていますが、対コストというより、
絶対量の不足による希少価値で値段が上がっている現状を見ると、
政治的介入をすべき段階だと思います。
この状態が、
地球の未来の紛争を見るようでなんだかやるせない気持ちになります。
現在、
多くのヒトは第一次産業に従事しておらず、従事していたとしても自給用ではないので

「食品は市場で買うもの」となっています。
そのため食品は市場価格をもちます。
ところが、他の物品と比べて、食品の市場価格は大きな特徴があります。
不足した時に市場が崩壊するのです。
食糧が不足する状態では、市場そのものが維持できません。
そのため、政治的に介入したり、国際的に援助をする必要があるのです。
ある供給力を下回った時に、食品は、市場経済では扱えないものに変わってしまいます。
それを回避するため、つまり
健全な資本主義経済の上で食品を回すことを目標とする
政治的な食料安全保障、という取り組みがあります。
同時に、個人の備えとして自給力を高める、という食料安全保障もあります。
投機的な市場経済の高速化によって、食品価格の乱高下は起こりやすくなっていきます。
大規模災害時には、流通が止まるので、市場経済にアクセス出来ない状態にもなります。
私の願望としては、個人の自給力を高める手段として、昆虫を利用した分散家畜を
実用化したいな、と思っています。
前置きが長くなりました。
端的に言いますと
「自給うな丼を作ろう」ということです。
ウナギは完全養殖の技術が確立していない未開発の家畜ですので
種を他のものにしましょう。
今年は以前から推している、エリサンです。
今年もとある方から分けていただき、養殖できました。
養殖に必要なシンジュの葉も、あるルートからもらうことができました。
わが家でもプランターに株を用意しています。

今回は、エリサンが繭を作って、蛹に脱皮する前の段階
「前蛹」を使って、エリ丼を作りましょう。
その前に、以前に作った代替うな丼を振り返ってみましょう。
2013年にはオナガミズアオ丼

オナガミズアオとエリサンを使った2014年はこちら

2015年はトノサマバッタ粉末を練り込んだパンケーキ状にしてみました。

さて、今年は
「エリ丼はうな丼の容量でいいのか」
という問題に向き合います。
我々の口の大きさは、ほとんど決まっています。握りこぶしが入るヒトはまれでしょう。
口腔の容積は150mlほどだそうです。
もちろん個人差があるでしょう。
喉奥にまで含めるヒトと、そうでないヒト、
ともあれ多くの昆虫は150ml以内に収まります。
「一口大」であることは昆虫の利点です。
一個体の味のすべてを、

ちょうど一口ぐらいで味わえるのはたいへん手軽なものです。


一方で、
肉牛などは一口でウシのなんたるかを全く味見できません。
また、屠殺は多くの事故が起こる危険な作業ですし
屠殺後、数週間熟成させるなど、おいしく食べるにはかなりの手間とリスクと時間を要します
脊髄や脳、骨など、食べられない部位もあります。
一方で、一口サイズよりも遥かに小さい、

酵母などの微生物は、その周囲の培地と分離することは難しいので
「酵母って美味しい」という人もほとんどいないでしょう。
酵母発酵したものは美味しいとはいえますが、そのものの独特の風味を
味わえる、というのは一定の大きさが必要であることもわかります。
そういえば以前に、クマムシ博士の研究室で、
クマムシの味見をしていました、
コケ臭いとのことでしたが、食餌であるクロレラとの比較をしないと
クマムシ本来の風味を抽出することはできないと思います。

http://horikawad.hatenadiary.com/entry/2016/04/01/000000
「酵母は美味しい」「ウシは美味しい」といえる人がほとんどいない一方で
「むしは美味しい」「むしはおいしくない」と言うヒトが結構多いのは
単離した一個体を一口で食べることで、「味を網羅した」気分になれるのではないでしょうか。
実際はというと、
卵、幼虫、フン抜き、前蛹、蛹、成虫と、
多くの成長段階で味は刻一刻と変わっていきます。
成長段階を網羅したとしても、
「この昆虫は美味しい/不味い」というのはなかなか判断できないものです。
また、昆虫はその調理法が未開発ですので、茹でて不味いからといって
その昆虫が美味しくない、と判断するのは拙速です。
コーヒー豆やウメの実など苦味や毒の強いものもありますし
ゴーヤなんかは最近美味しいとされてきましたが、昔はその苦味が敬遠されていたように思います。調理法や文化によっても「美味しさ」は変遷するのです。
昆虫を概観すると、茹でただけで「食べ慣れたような味」に達するものが多いことから
嗜好品ではなくベース食糧としての可能性が大いにあると考えています。


話がそれました。
ウナギの場合、「尾頭付き」という文化とも関連していそうです。
ハレの日の食品ですから、丸まる一尾食べたいものでしょう。
結果として、ご飯たっぷりの「うな丼・うな重サイズ」が
出来上がったと思われます。
あくまで縁起物ですから、
節分の福豆のように、ちょっと口にするだけでもいいはずです。
昆虫の場合、一口で尾頭付きを食べられる調度良いサイズなので
一口前後が、最適なサイズなのではないでしょうか。
ということで、今回のエリ丼は「一口、ないし二口サイズ」
になります。
動画で作ってみました。

ということで、
「未来のうな丼は一口サイズ」だといえそうです。
これはどうしてもウナギを食べたい方にもいい話ではないでしょうか。
今まで一尾食べていたのを一人一切れにするだけで、
消費量は1/10以下になります。

30年前の稚魚の漁獲が200トン、現在が20トンという統計とも一致します。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120710/315512/?P=2

未来の子孫にウナギの味を残せるように
多角的に考えていければと思います。