毛づくろい、身繕いをする生物って愛らしいと思います。
バッタでもそれは同様ですね。
研究室に届いたバッタを拝借して、
写真と動画を撮影しました。
目と触角を丁寧に丁寧に、メンテナンスする様子はとても可愛いです。
たまに静止画かとおもうぐらいじっとしている時はカノジョ(メスです)は
なにを考えているのでしょうか。
マニュアルフォーカスで撮影したのですが、後半はピントがズレてしまいました。
一眼レフの動画って楽しいのでしょうかね。マクロレンズでやってみたいです。
月: 2013年2月
味見;オオカマキリ孵化幼虫
冬はバッタのエサであるイヌムギを求めて河川敷に採集に行く日々です。
そこでオオカマキリの卵を見つけ、味見をしようと
引き出しに入れておきました。
卵塊のフワフワの部分をむしり、卵を食べた、との話を以前に聞いていたからです。
当然孵化させるつもりは毛頭ありませんでした。
まだ春まで時間があるのでそう簡単には出てこないだろうと高をくくっておりました。
デスクトップ占拠。
華奢な肌色の孵化幼虫が周りを伺いながら我が物顔で散開する感じは
こいつらによく似ていました。本当にモチーフじゃないかと思うぐらいそっくり。
研究室の平均気温はインキュベーターの影響で25度前後で年中一定しております。
春はまだ先なのに起こしてしまいました。
蟷螂には申し訳ないことをしました。
食べて供養いたしましょう。
一緒にトノサマバッタの孵化幼虫も頂きます。
カマ茹で湯豆腐として食べましょう。
カマキリ
しなやかで、しゃきっとした歯ざわりがとても心地良い。
ほそもずくのような食感。ポン酢もよく絡んで豆腐に食感のアクセントを与えている。
トノサマバッタ
カマキリより一匹ずつに重量感があり、ぷちっとした食感とシャリッとした歯ざわり。なにもたべていないせいか草の香りはほとんどしない。味の絡みはカマキリのほうが良い。
同じ孵化幼虫でもまったく食感や味が違いますね。
次回は孵化する前の卵を食べ比べてみたいです。
味見;オレンジヘッドローチ羽化直後成虫
K大学の教授から分けていただいたオレンジヘッドローチ。 Eublaberus prosticus?
羽化直後で柔らかかったので、これを味見することに。
彼らはGの中でかなり大型。デュビアとマダガスカルの中間ぐらい。
厚みもあって垂直な壁も登れない。しかも食欲も旺盛で
とても飼いやすい。
ただ
飼っていると臭いのが難点
蒸れた靴下に腐ったミカンを入れて野ざらしにしたような酸味のあるニオイとムレた不快臭。
正直味見するのを延期してきましたが。
これだけ美味しそうな成虫がとれたのだから食べてみましょう。
大型の昆虫は部位別で食べられるのが強みですね。
翅;クニュっとした食感とシコシコした歯ざわりが美味しい。旨味もあり昆虫の羽ではかなり美味しいレベル。
頭部;芋系の香りと粒感のあるタンパクな味。全くエグみがない。
胸部;かなり美味しい。やはりサツマイモ系の香り。
見た目で気になる脚部のトゲも食感は柔らかく、問題なく飲み込むことが出来た。
腹部;やはり強いゴキブリ臭。集合フェロモンの強い匂い。味は問題ないはずなのだが濃いニオイがダメ。調理前に腸を切除するか、揚げて揮発させる必要があり。
非常に残念。
腹部さえおいしければ100点なのに。
カミキリムシはコーン系の最上位種。ゴキブリは芋系の最有力候補 だったのに。
腹部の付属腺あたりから通常の食品では考えられない
濃い有機系香料のニオイ。
なるほど。 以下考察。
ヒトの嗅覚は数個の分子でも感じるほど敏感にできていて
しかも他のニオイ情報と混線しにくい仕組みになっている。
(2004年ノーベル医学生理学賞)
ので、
ある食べ物を口に入れると
複数種のニオイがそれぞれ異なるニオイとして知覚される。
そして
それぞれが一定以下の濃度だと「風味」として処理され味覚が優先される。
ところがある単一のニオイ刺激を強く感じると
味覚と分離することは困難になり「非食用」となる。
以前食べたシュールストレミング(ニシンの発酵缶詰)も味は良いのだが
下水の中で食べている感じで、ニオイはどうしても無視できなかった。
味とニオイを分離するには
ニオイが一定以下の濃度であることが必要なのかもしれない。
ということで、
うちのオレンジヘッドは「揚げ調理」もしくは生ごみ処理として飼育することになりました。
食欲旺盛でなんでも食べるので、おすすめのゴキブリではありますが
味まで都合よく「美味しい」とはいかないようです。
つばめ流 ハンブルグステーキ Hopper’s Hamburger steak
昆虫料理の開発をしているとよく言われます。
「すりつぶせば食える」
見た目が気に入らないために昆虫食ができない。すりつぶせばいいのに。
はたしてそうでしょうか。
「エビはグロいがえびしんじょなら食える」
という方を見たことがありません。
そもそも、昆虫の食感の魅力として外皮のパリパリ感があります。
腹部のプチッ感も魅力の一つです。そんな食感を犠牲にしてまで
見た目に拘る必要があるのでしょうか。それは豊かな昆虫食生活といえるでしょうか。
ともあれ、
グダグダ言っていないでやってみる ことが何よりも大事です。
幸い実験に使用したバッタを茹でて冷凍保存したものが豊富にありますので、
この機会に食べてみるのもいいとおもいまして。
正直に申しますと実験の度にバッタを冷凍保存しておりまして
冷凍したバッタが実験のジャマ
という本末転倒な事態に陥っておりまして、その解消といったことが
今回の主な理由だったりします。
さて
今回はバッタのハンバーグを作ります。
それはこのニュースのためです。
「蚊100%のハンバーグ」
湖で大発生したフサカを捕まえ、練って焼き、
じゃこ天のようなハンバーグを作るのです。
羨ましい。ぜひアフリカに行ったら食べるんだ、と心に決めておりました。
ところがどこからか声がしたのです
「蚊がなければバッタを食べればいいじゃない」
まずバッタを160度のオーブンで60分加熱します。
本来の香りを逃さないため、ビビって低温に設定しましたが、
180度ぐらいで香ばしく仕上げても良かったかもしれません。
次にフードプロセッサーで細かくします。
もうハンバーグのタネにしかみえませんね。
1/4量の豚挽肉、卵、牛乳、「挽肉だけでできるハンバーグの素」
を入れます。
そして焼きます。
全くハンバーグにしかみえません。
このハンバーグを美味しくいただくためには。。。。
アフリカ式というよりも日本の洋食がよさそうです。
以前食べた「つばめ風ハンブルグステーキ」
が美味しかったのでできるだけ忠実に作ってみます。
そういえばツバメも昆虫食です。
むしろこちらのほうが本家ツバメ流ハンブルグステーキ
といえるかもしれません。
すみません言い過ぎました。すみません。
深夜のテンションはヒトを愚かにします。
さて
こんな感じに焼きあがりました。
包み焼にしました。ワクワク感が大事です。
ワクワク
うん。美味しそう。
見た目にも全く問題ありません。
挽肉に比べ、弾力がないので若干物足りないですが、
臭いも全く臭くなく かなりの量すんなり食べることができます。
ただ、
昆虫料理の紹介に使えないレベルであります。
写真を使って私は何を伝えたいのか。
こんなものでは「つくレポ」と変わりません。
写真で昆虫料理を伝えたいという強い思いが
一部の方には不評な「形の分かる昆虫料理」になるということを
ご理解いただければと思います。
もう一つ分かったことがあります。
「ハンバーグは肉の味を反映した料理ではない」
バッタで作ってもまったくハンバーグの味がします。
我々がハンバーグ=肉だと思っている味。それは
玉ねぎとパン粉とスパイスの味だと思ってよいでしょう。
味見:チャバネセセリ
冬になり、あまり野外の昆虫が手に入りにくくなって参りました。
今こそ養殖モノを、と考えてはいたのですが
養殖モノはその名の通りいつでも手に入るので
なかなか手が出ません。
今のところ
デュビア
オレンジヘッドローチ
マダガスカルゴキブリ
G三人衆が元気に野菜くずを食べてくれているのですが。。。
さて、
今回は野外のチガヤで幼虫越冬していた
チャバネセセリ。 Pelopidas mathias
アタマが大きく特徴的な体型をしています。
いつものように茹でポン酢で頂きます。
プチッとした触感と頭部のカリッと感。香りは強くなくほのかにワラの香り。
他のイモムシに比べアタマが大きいので若干ぷちっと感にカリッと感が加わりお得。おもしろい。
内部は粒感のあるタンパク系の味。
イモムシ類はプチッとした触感が魅力ですが
あまりに弾力ばかりだとクチクラのカリッと感が懐かしくなるものです。
その点でいうとチャバネセセリは両方楽しめる感じがいいですね。