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今まで分散していました、昆虫食情報発信ブログ

蟲ソムリエへの道

蟲ソムリエの実践ですが

こちらにまとめることにしました。どうぞこれからもご贔屓にお願いいたします。今年は散らかっている情報をまとめて整理して発信していく年にしようと意気込んで、いや、ほどほどに思っているところです。

不動産サイトであることをすっかり忘れるほどの濃いインタビューです。文字数も画像も内容もてんこもり。そして最後に玉置さん製麺の、昆虫手料理パスタをいただきます。

製麺したパスタを送り、私が茹でて仕上げ、スカイプでその感想を語り合うというソーシャルディスタンス手料理、というのを実践してみました。コレがなかなか良い。パスタの詳しい話はこちらの記事も。

濃度と昆虫と製法を変えた玉置さん自家製パスタ。

バーチャルな関係性のスカイプに、共通となるリアルが一品追加されるだけで、リアリティがぐっと増すんですね。オンライン飲み会で同じコンビニの同じ商品をそれぞれ買うとシェア感が高まるのと同じだと思います。これはあたらしいオンラインの形。「お通し」的なものをシェアしてから通話に挑みましょう。

今回、依頼をいただいたとき、念頭にあったのは、ざざむしさんのこちらの濃いインタビュー。

こんなにやってくれる媒体があるのか!と驚き、私もやって欲しいと思っていたところなのでインタビューをお引き受けし、遠慮なくかなり濃い話をお願いしました。ガッツリ向き合ってくださった玉置さん、さすがです。ありがとうございます。

思い切り出し切った濃さなので大満足ですが、最近情報発信の濃度というものを、改めて考えさせられたので並べておきます。

1つ前の記事、あつ森の文春オンラインの記事は遺伝学部分の大幅なカットをすることで、ライトな層にも読まれたようです。

そのあと、好評とのことで、CREAという女性誌ウェブ記事にも転載することになりました。浮いてませんか?大丈夫ですか?

この記事のリサーチにかかった時間と労力はほんの一言、

「青のバラの遺伝型は、ゲーム内の混色と抑制のルールに則ると、黒と予測される遺伝型です」

CREA

に集約されています。リサーチの時間と記事の内容は比例しない。

おそらくですが、こうやって「薄めた」表現も大事なんだろうと思いますし、原液のままの「濃い」記事は全力疾走したような開放感があって私にとって気持ちよく、それもまた必要なのでしょうが、遠くまでリーチするのは薄めたほうがいいだろうというのもわかります。

原液の濃さには自信がありますが、その濃さは薄め方のバリエーションが豊富である、ということへの利点として、編集の方に注目してもらえるのかもしれない、と気づきはじめました。そうすると濃すぎるコンテンツでも適切に薄めたバリエーションを整えることで、社会に向けてアピールできていくのだろうなと。

あえて、何かの要素を封印して、それでも漏れ出してくるクセのある部分にエッセンスが宿るのではないかと。

もちろん体系的に全てのエッセンスをかき集め、学問として成立させたい気持ちではいるのですが、濃度を適切に選んでしてさまざま射程で届ける方法、私は苦手ですが、今回はさまざまな編集者に恵まれました。この濃淡の差をじっくり比較してもらえたらと思います。

単純に原液の濃さを競ったり誇ったりするのではなくて、薄め方のバリエーションとして適切な出力ができるよう、私の苦手な部分も含めた、新しいチャレンジがいくつか進んでいますので、またの機会に宣伝させてください。

何を言っているかわからないと思いますが、私もわからなかったです。初、文春オンラインに寄稿しました。しかも昆虫食ネタではなく。ひとまず先に読んでいただきたいです。ブログではその記事からはみ出た部分を補足して、宣伝としたいと思います。

以前のこのTweetがバズってしまい、編集者の方に声をかけられて寄稿することに。

記事化にあたって改めて情報収集しようにも、攻略本は売り切れ、私はSwitch持ってない。

ゲーマーのみなさんから公式非公式の情報を集め、どうにか分析をすすめました。が。記事の長さの関係で、メンデル遺伝とあつ森遺伝学との関係を指摘する部分がメインになり、細かなあつ森遺伝学の遺伝子と表現型との対応関係なんかを大幅に割愛することとなりました。

一般向け雑誌に遺伝学を掲載するチャンスかと思ったのですが、私が遺伝学のおもしろみをうまいこと咀嚼することができず、小難しい文章が仕上がってしまい、結果割愛となりました。編集の方はめっちゃ親身に読者への狙いやわかりやすさについて助言くださって、私の文章能力不足が改めて身に沁みたわけですが、この割愛部分について、ブログで宣伝がてら書いて良いとのことでしたので、ここに放流しておきます。

あらかじめ言っておきますが、攻略に一切貢献しない情報です。

一体誰向けなんだと言われると、遺伝学に青春をささげた覚えのある人向け。

これが読み解けたからといってあつ森が有利になったり攻略が進むわけでもないです。外に出てくることが決してない、「あつ森の中の人」のことを妄想するためのテキストになります。

さて、最初の発端は小森雨太さんのこのつぶやきから。

おや、高校生のときに勉強した遺伝学みたいな図がならんでるぞ。あつ森なのに。

どうやら遺伝のルールにかなり忠実に花の色が設定されていて、遺伝交配によってレアな花が手に入る模様。

教えてもらった攻略サイトにある遺伝表をもとに、その遺伝子の対応関係を整理してみました。記事化の前提となるリサーチです。

最も素直な遺伝学を実装しているのはパンジー。

まずはパンジー。

白いタネにヘテロ接合で含まれる遺伝子の本体は青の遺伝子で、潜性ホモでBB青を発色する。これは赤い花の遺伝子RRと混色できるので、RRBBで紫、RrYyではBBの発色は隠れてしまいオレンジ、rrYYではイエローに。ここらへんはわかりやすいですね。

アネモネ

アネモネも比較的素直。オレンジの発色がえらく強いですが、W遺伝子の本体は青の色素。RとWの混色によって紫を発色します。

続いてチューリップ

RRだと発色が強すぎて黒になっちゃうので、それを抑制する遺伝子S(サプレッサー遺伝子)としますか。白いタネに含まれる遺伝子は赤色Rの脱色遺伝子。例外的に赤と黄が交じるRRYYで紫、というなんとも説明しがたい混色パターンを見せます。pHでも変わったアントシアン系色素なのでしょうか。「議論の思いやりの原則」にのっとって、最大限好意的に解釈していきます。

こちらはコスモス。

RRが赤、Rrがピンクとなり、遺伝子量効果のようなものが見えています。RrYYでオレンジ、RRYYでブラックというこれまた妙な混色パターンがあり、こちらも白いタネに含まれる遺伝子は抑制遺伝子なのですが、YYを抑制したりRRを抑制したり、赤の発色を強めたりとなかなかトリッキーなふるまいをする遺伝子です。

キクの発色もまた奇妙です。RRYYを混ぜたらグリーンというのはなかなか混色の発想としては逸脱しているように見えます。

「一番簡単なのはユリ」と教わったのですが、あくまで交配手順が最短で、多くの花色が手に入るという意味での「簡単」で、遺伝学的にいちばんシッチャカメッチャカなのもまたユリでした。

白にサプレッサー遺伝子があるのはチューリップと同様なのですが、RRSSTYYがすべてホモで揃ったらなぜか白。いやいやほかの色の時そんなに強く抑制効いてなかったやん。と、いいかげん抑制遺伝子の八面六臂の活躍ぶりに嫌気がさす感じですが、これは分析の当初、劣性ホモ系統を使った検定交雑を邪魔する目的かと思ったのですが、

交配二世代で、すべてのレア花を手に入れられるユリの難易度は低い、というユーザー視点の判断ですので、それは意図的な操作であろうと結論づけることになります。難易度調整としての逸脱で、こちらは難易度を下げる目的。

そしてヒヤシンス。妥当なrryyww青と、逸脱のRRYyWW青があります。27パターンのうちの2パターンが青。これは最後のバラが81パターンのうち1だけが青いバラの遺伝型になっている最高難易度と、差をつけるためでしょう。ここらへんは遺伝学を逸脱してランダムなゲーム性に任されている。

そして最後にバラ。

遺伝子量効果が色素遺伝子と抑制遺伝子それぞれで効いてくるので、花の色から推測される遺伝パターンがなかなか複雑に。それでもWの本体である紫の遺伝子と赤、黄色、抑制遺伝子の4つで青が発色されるのは妙です。

RRYYWWssはどうかんがえても黒の発色にならないと変。つまり類推によっては青にたどり着けなくて、81パターンすべてを解明しないとたどり着かない。まさに最高難易度。

そして記事を「プレイしていない人」という形でプレーヤーへの嫉妬でシメようとしていた先週のこと。ヨドバシカメラから抽選販売当選のメールが。

ええ、このタイミングで?!!

嬉しいやら困るやらで、編集の方に相談しながら結局記事のシメは変えないことにしたのですが、注釈にもありますように、もう我が家にあつ森は届いているのです。

さっそく移住です。

むしくろとわが、移住するならむしの島ですよね。

ん?コレは、、、、食材だぁーーーー!

*記事内の見解はすべて著者によるものです。「あつまれどうぶつの森」発売元の任天堂の見解ではありません。

あつ森はおいしい昆虫の宝庫だったのです。大きくて食べごたえがすごそう。バッタがキョジンツユムシのような、ザリガニや魚と同じくらいのボリューム感があります。

アップデートで昆虫を食べるコマンドつけてもらえないだろうか。たのみます。任天堂さん。

さて、このあつ森の入ったSwitch。次なる問題として、ラオスに持っていくかどうか迷います。あぁエクササイズ系のソフトも入れたい。無事私はあつ森の沼に沈んでいくのでした。

要・急の情報があふれている昨今のネット社会において、不要不急の情報に飢えているみなさま、おまたせしました。

以前2017年に1から100までを作成しておいた、#いいねされた数だけ推し虫を発表する の続編をまとめました。101から200まで、完全ラオス編です。学名を間違えていたあの子も、訂正してくださった方がいたのに修正しきれずにいたあの子も、調べずに放置していたあの子も再度文献をあさり、まとめておきました。しっかり読めば140字×100ですのでそこそこの文字数楽しめます。また1から読むと日本での味見とラオスでの味見の意味合いの違いもわかってきますので、1から200まで、改めて再読をオススメしておきます。

101はやはりインパクトの大きかったキョジンツユムシからスタート。

ふんばりがすごい。

それではどうぞ! いいねが700ついてしまったので、律儀にやるならもっと味見をせねばいかんところですが。。。ひとまず今回のアップデートはここまでとします。

2020年4月9日、高知新聞にて掲載されました。このあと他の地方新聞にも転載されていくとのことです。地方紙を御覧の皆様、チェックしてくださるとありがたいです。

許可をいただいて転載しています。

取材は2月17日、例の感染症が世界的なオオゴトとして話題になるその少し前です。今思えばギリギリのタイミングでしたが、記者とカメラマンご本人が現場に来て、ゾウムシを実食して取材に臨むことで、もともと想定されていた記事の枠組みが、現場の声をもとにみるみる再編されて生み出されていく現場に居合わせることができました。

よくある残念な取材は、せっかくインタビューしているのに、現場に来ているのに、来る前の価値観をアップデートできずにそのままのストーリーを現場に押し付けてしまう案件をいくつか見てきました。

この書籍、「質的社会調査の方法」によると、「ゴシップ的な面白さと社会学的面白さを分けるのは調査者自身の『ものの捉え方』がバージョンアップされるかどうか。」とのことです。
どうしてもラオスの私達の活動は、貧困国ラオス、栄養のある昆虫と、わかりやすいキャッチーなアイコンが有ることで人目を引きやすいのですが、その副作用としてわかりやすいステレオタイプにさらされがちです。その中でどのように考え、これから何が必要で、そしてどうやったら「成功」なのか、将来のビジョンをラオス人スタッフと一緒に常に議論しています。

4月から20日まで、ラオスは外出禁止となっていて、すべての国境が大口の物流以外閉ざされ、すべての外国人は入国ができず、すべての国際・国内公共交通機関が止まり、街ごとの移動が制限されています。感染者数16人で、です。

村はというと、不自由ではあるものの、もともと米を自給自足し、昨年は普通に収穫できていたので、おかずの野生食材を確保すれば、生きていけます。すべての人と物の移動がつながってしまったグローバルな地域と、このような自給自足で野生動物をふんだんに食べられる地域、どちらが感染症のリスクなのか、多数派、少数派がそのまま正当とはなりません。改めて考える必要があるでしょう。

とはいえ病院に物資は届きませんし、保健医療のサービスは低下してしまうでしょう。ISAPHの医療スタッフ、そして栄養事業の私と、いち早くラオスの現状の情報収集を再開し、サポートを続けられたら、と思います。日本でできることもすでにスタートを始めています。そちらに関してはまた今度。

買いましょう、そして読まないことを今回はオススメしようと思います。

昨年の7月に買っていた「リウーを待ちながら」

正直に言いますと、マイナーマンガないかなーと思って何気なく買ったものです。

当時の読んだ印象は、「地味」です。ドラマティックな展開はないし、奇跡も起こらない、SF展開もないし、ご都合主義な偶然も奇跡もない。主人公もほとんど感情を荒らげない。そしてほとんど防護服とマスクで目だけの演技。

しかし硬派な作風の中からにじみ出てくる人間性がじわじわとゆっくり染みる、いいマイナーマンガでした。

そして今、作者が「今心が疲れている方は無理して読まないで」、とツイートしていたので、そんなにしんどい話だったかなぁ、読み返すと、きびしい。

「こんなドラマティックな展開ないじゃん」というのが今の感想でした。感染から発症まで短く、抗生物質が(初期なら)効いて。そして規模が小さく、行政の判断が迅速で的確、収束までが短い。3巻で収まってしまう。

今直面しているのは「よりセンセーショナルでない方、ドラマティックでない方の感染症」で、全世界、各世帯に確率的に平等に届けられ、14日程度と潜伏期間が長く、多くの人は無症状で、ごく一部のヒトや高齢者が重篤化する、というもの。

そしてB級パニック映画のような、ご都合主義みたいな不適切な行動言動をするヒトがどんどん現れます

あれだけ地味と感じた作品の「感受性が変わる」ということに驚きました。なので今はオススメしない。

過去に読んだことがあるひとは、再読をオススメします。

読んだことがないヒトは、積ん読をしておいて後で読むのをオススメします。

そういう意味で、「過去の表現物」というのは過去に触れた経験とともに蓄積され、「今の自分の状態の変化」を知る指標、測量で言うところの水準点のようなものになると思います。水準点がたくさんあるほうが、今の自分の姿勢を制御する助けになります。なので「アーティストは生存に不可欠なもの」なのです。

自主隔離が10日目になり、とある原稿を書き続けていますが、やはりストレスは高まっているように思えてきます。そして感染症に対する価値観も変化していくようです。自分は物理的にその場にとどまっていても、価値観がスピードをもって変化するとき、身体性に違和感が生じる感じがします。乗り物酔いみたいなもんですね。

だからといってSNSで違和感の最先端を追いかけるのは、なかなか高いストレスなのでオススメしません。このスピードに追いつけるのはやはり専門性のある感染症の専門家だけではないでしょうか。

ここでは「過去に触れた著作物にふれ直す」ことをオススメしておきます。自分が大きく変化したのか、それとも世界が変わりつつあるのか、そのどちらも、過去に触れた著作物との再会によって、見つかるかもしれません。過去の表現物との経験はそういう意味で消耗しない「備蓄」であるようにも思います。「役に立つ」学習とは別に、備蓄としての学習経験を見直すときなのかもしれませんね。

ラオスでは公共交通機関のストップが行われました。見つかった感染者数は合計10人よりも少ないぐらいです。しかし完全な国ごとのロックダウンと言える状態までの決断をしています。私達のゾウムシも4月20日まで、届けることができません。しかし農村部の彼らはコレまでと同じように、自給自足で米を栽培し、山や川に出て野生の食材をとり、現金収入にたよらず楽しく生きるのでしょう。しかし医療のサポートの低下はおこります。

これから日本で何が起こるのか、そして遅れてラオスで何がおこるのか。目を開いて見続けようと思います。

これまでにないハラハラの帰国となりました。

帰国した夜のサクラ。今年花見ができてしまうとは思わなかった。

緊急帰国の少し前、バンコクで人と会う用事があり、17日にバスでラオス第二の都市、サワンナケートへ。

民泊のようなホテルにはアルコールジェルがおいてあり、少しの緊張があるもののラオスはいつものように牧歌的な雰囲気が流れていました。

翌18日、9時半の飛行機でパクセー経由のバンコクへ。欧米系の乗客が多く、60%以上はマスクをしていて、日本では普通の光景がとうとう世界標準になったんだなぁと。タイ入国にあたり、日本などの蔓延国にこれまで14日以上滞在したことがないことを記入する用紙を渡されました。

バンコク、スワンナプーム国際航空につくと、その用紙では足りずアプリのインストールを要請されました。こちら。

アプリで個人情報の送信が確認されたら、入国手続き。

空港スタッフはみなマスクをしており、アルコールジェルも完備。電車に乗り換えたあと、バンコクのセントラルプラザで少しばかりの買い物をして

マックでてりやきマックバーガー(サムライポークバーガー)を食べ

すると先方からなんと、「発熱した」との連絡があり、ミーティングは流れることに。無念。と思ったんですがこのご時世ですし仕方ないですね。経費で負担してくださるとのことで、私はバンコクで少しの買い物をしてラオスに戻りました。

バンコクで宿泊して19日、バンコクのもう一つの空港、ドンムアン空港に行くとこちらも出入り口が一つに制限されていて、国際線と国内線の動線が分断されており、国内線であってもスタッフはマスクをつけ、アルコールジェルがいたるところに設置してありました。

国内線で移動後、ナコンパノム発の国際バスに乗り、第三友好橋を経由してツーリストビザを取得。

マスク装備のスタッフばかりだったタイ側に比べラオス側はゆるく、アルコールジェルはビザ窓口にあるものの係員はマスクなし。何度も「ラオスで仕事があるんだよね?」 と念を押され、入国を許可されました。そしてラオスの家に帰宅。

海外滞在者は外務省の「たびレジ」に登録すると在ラオス日本大使館からのメーリングリストが配信されますので、まじでオススメです。確認するとタイ側にいたときに国境封鎖の第一弾が発令されていました。

20日、ラオスへ戻った翌日金曜日、続けて不穏なメールが届きます。

よく情報を集めてみるとPCR検査に陰性との証明書がないとタイの航空便をつかうことができない。トランジットも含めて。

この週にベトナムも同様の条件になっていますし、ラオスには数件しか検査のできる病院がありません。これは事実上の国境封鎖です。

つい数日前まで使っていた経路が次々と封鎖していく様子は、なかなか逼迫感がありました。2月25日から3月前半にかけては「要請」はするものの強制力はなく、ラオス国内で感染者が確認された3月12日から急激に、一日一日、移動制限のレベルが上がっています。私もバンコクに行って帰ると「自己観察」となると考えていたのですが、どうにも事態は緊迫していきます。

20日午後の発表で事実上の民間航空の国境閉鎖が起こり、ビザが発給停止となり、在住25年以上のラオス猛者たちも帰国を始めたとの情報が入ってきました。

それから20時間ほどで今後の事務所の方針を話し合い、出国の準備を終え、私達が首都ビエンチャンに移動した21日の午後には、私が19日に入国したばかりの陸路での入国、すべての国境において商業的流通以外の観光・訪問・買い物及び小規模の商売での出入国がストップされました。そしてバンコク行きに使ったラオス航空が、国内国際便をすべて停止。国際バスおよび国内長距離バスも停止。

タイでも物資の輸送に限り通行許可、となりました。運転手及び補助者はウイルス検査を受けないといけないという条件付き、

そして昨日、私が帰国した日に、ラオス政府は滞在外国人について、「感染症が収まるまで」ビザの延長が延長申請可能になったとのことです。つまり缶詰。

私もラオスに缶詰になるのはやぶさかではなかったのですが、ラオスでの長期滞在はどうしても近隣国の医療レベル、物流に大きく依存しています。国境が封鎖され、ASEANの中でも最もレベルが低いと言われるラオスの国内医療しか頼れるものがなく、緊急時以外の国境が封鎖された中で、長期間待機する選択はできませんでした。

とはいってもゾウムシは育ちますし、2月にはこうなる可能性も含めて、直接手渡しではなく、公共交通機関に荷物を預けて村まで届ける実験をしたところですので、ゾウムシの供給だけは今後3ヶ月間、続けることにしました。

ラオス人スタッフが引き継ぎ、どこまで続けられるのか。そしてほぼ完全自給の田舎にウイルスを届けてしまうことなく、街で収束させられるのか、今後を見続けないといけません。

「発熱できない」という縛りがあることで行動はいつにも増して緊張感がありました。20日はほとんど寝れてませんし、疲労感がもしかしたら発熱の兆候では、と体温を測りながらの不眠不休の出国作業でした。

本当にギリギリでの出国でしたのでストレスもマックスです。ひとまず日本に戻り、自己観察として毎日検温をすることにしています。

そんな中ですが、今年度まで3年間、助成してくださった味の素ファンデーションの動画が完成したとのことです。ぜひご覧ください。見どころは「昆虫食で栄養改善」をガチでやるとこうなるぞ、というところです。当初考えていたタンパク質は不足しておらず油のほうが重要で、キャッサバを植えようといっても土地が痩せるからと断られ、ゾウムシが気持ち悪いと養殖に参加しないヒトもいて、そういった「現場」のロジックではない折衝の結果として、この動画の後に追加で参加したヒトもいて16人のパイロット農家の育成に成功しています。その中には妊娠出産のあとから参加したり、ゾウムシは気持ち悪い「けれども」参加したりと、なかなか新しい風が吹いているところです。ここを手放すことは、とても重要な「プロモーションの手法の技術開発」をみすみす見逃してしまうことになるのです。なのでラオスに戻らないといけなくて、このラオスで得たノウハウは、全世界に拡張する最初のモデルになっていきます。

私達の挑戦はこれからだ!というところでコロナにストップをかけられてしまいましたが、村で生産される産品を使って、高値で売れる、かつ売れなくても栄養になるというゾウムシとのマッチングに成功しつつあることは、この3年の重要な成果です。そして大事なのは「売ったときに栄養のあるものを買う購買行動」です。栄養教育と栄養モニタリングなしに「栄養のあるものを養殖すれば解決」なんてことは決して起こりません。

この件を受けて、彼らにも村での自給の重要性をさらに強調し、キャッサバの自給率を上げて、感染症が収まった頃にゾウムシがふんだんに輸出できるまでをやりたいと思っています。

それにはどうしても追加のお金が必要なので、クラウドファンディングなどの方法もとっていきたいと思います。またよろしくお願いいたします。

日本の加工食品がおいしいです。ひとまずゆっくり寝ます!

趣味で飼っていたタガメや、タンパク質が比較的足りていたことから、優先度の低いバッタはすべて処分しました。ラオス事務所の業務を絞り、ゾウムシに集中させることでスタッフの負担を下げつつ業務を続けてもらおうとしています。

自分で育てた昆虫は、自分の意志で収穫し食べることに喜びがあるものです。このような外からの理由で、食べごろかどうかにもかかわらず収穫しなくてはいけない、こんな悲しい収穫はもうゴメンだと思いました。

悲しいけれど仕方ない。絶対に再挑戦してやろうと闘志を燃やしつつ、日本の我が家のリモートワーク環境を整えました。14日間は打ち合わせを入れませんので、リモートでできる有償の仕事をお待ちしております。寄付をいただける方はこちらからお願いします。

私個人を応援してくださる方はほしいものリストを公開しています。安いものがラオスでの必需品です。高いものは私の夢です。見ていってください。

以前に購入した、GXR 50mm macroがラオスの景色を撮影するのに大変によかったのですが、防塵防滴ではない、この古くて弱々しいカメラに、そろそろラオスにも雨季の気配がやってきました。ちょっと心もとない。そこでレンズ検討をしました。

マイクロフォーサーズのマクロレンズには4種類があります。

ひとつは愛用している60mm 防塵防滴でカメラ内深度合成にも対応。

 そして軽くて安くてお手軽にしっかり寄れる、30mm 深度合成にも対応。これが防塵防滴なら完璧なんですが。惜しい。

そしてパナソニックから。こちらも防塵防滴ならラオスに持っていきたいんですが、日本でよく使っています。いいレンズです。

そしてやや発売年が古いですが45mm、これもいいらしいですね。

さて、GXRの50mmマクロを使ってみると、なかなか料理が美味しそうに撮れる。そしてこのカメラの案件はかなり遅いオートフォーカスと、防塵防滴がないので村に持っていくには心配なことです。

ということで更に古いレンズを探って、これにたどり着きました。

新品こんなにするの! 中古品で12000円のを買いました。

今回の帰国時に日本で動作確認をする予定だったのですが、予定がキャンセルになり動作確認をしないといけないので、厳重に梱包してEMSでエイヤッと送ってもらいました。必需品の粉アクエリアスと一緒に。

無骨でかっこよい。

位相差AFのみの対応なので、使えるボディはE-M1のみ。しかし、いい感じに写ります。すごい。

ううむ。すごい。

うまそうですね、GXRの50mm相当ハーフマクロと比較して、画角は半分、お皿を撮るにはちょっと離れないといけないですが、なかなか美味しそうに写りますね。カメラボディは新しいので手ブレ補正や高画素で、たよりがいがあります。そしてすべて防塵防滴。

AFが遅い、というレビューもあったんですがGXRよりはマシだし、レンズも300gとそこまで重くもないし。ということでかなり満足度が高いです。中古が安いので何本かストックしておこうかと思います。

ラオスの撮影条件はなかなかきびしくて、粘土質の赤土が粉になって舞い上がる乾季と、何もかもをカビさせる長い雨季、そして日本で言うところの真夏の日差しが年中斜めから降り注ぐ逆光の怖さ。そして薄暗いところはとことん暗く、明るいところは底抜けに鮮やか。こういったラオスの良さを描写できるのはこれではないかと思います。エクステンションチューブも同時購入したのですが、ピントの合う範囲がかなり狭くなるので今持っている60mmマクロを置き換えるほどではないかな、と。

テレコンEC-14を使えばパンフォーカスも可能と。こんなのもあるんですか、、、試してみたい。

ひとまずさらっと撮ってみました。接写キョウチクトウスズメはエクステンションチューブを使ってます。

いろいろキャンセルになって日本に帰れない日々が続いていますが、またしばらくラオスで楽しくやれそうです。

今回、研究費から渡航費を捻出し、リバネス研究費日本ハム賞の助成をうけたことから超異分野学会で発表する予定でしたが、この学会が延期となり、4月から始まるJICA助成の安全講習も延期となり、研究費を使って帰る主な理由がなくなってしまったことが帰国キャンセルの原因です。キャンセル料120ドルは研究費から出しますが、これで買えたものを考えると(乾燥キャッサバが一年分買えます。)なかなかつらいです。ご支援くださる方はこちらを見てくださるとありがたいです。安いものはラオスでの必需品、高いものは私の夢です。

オフィシャルな寄付先はISAPH食用昆虫科学研究会にいただけると、領収書も発行できますし、助成金以外で自由に動かせるお金が増えることで、ちょっとした挑戦もでき、事務手続きの手間が減るので少額でも、とてもうれしいです。団体の実績にもなり、認定NPO法人(寄付により減税されます)にも近づきます。よろしくお願いいたします

このタイミングにあわせて打ち合わせとか、訪問とか、フェモラータオオモモブトハムシを食べる会への参加を予定していたのですが、私が参加できなくなっちゃいました。こちらは三重県の郊外の野外ですので、屋内で閉じこもって飽き飽きしている方や、お時間のある方はぜひご参加ください。

感染症対策として、ラオス政府も日本などの感染国との入国審査が厳しくなるとのことで、14日間の自主的、自宅健康観察の要請や、スタディツアー延期要請など、観光にはなかなか来にくい感じになってしまいました。週の前半にNGOの会合で首都のビエンチャンに言ってきましたが、タクシーやトゥクトゥクのドライバーがマスクをしていて、ほんのり影響を感じました。あからさまな差別にはさらされていなくて、世間話程度にドライバーと話すこともありました。流しのトゥクトゥクが持ちかけてくる料金が普段の倍ぐらいふっかけられて、交渉するとすぐに半額になり、なかなかお客がいなくて大変なんだろうなと思います。

いちおうクレジットカードの更新とか、JICAの安全講習とか、学会が4月に延期されたのでそこに対応とか、4月に帰国できたらいいなとは思いますが、こればっかりは感染症なので未定です。キャンセル料も痛いのでまた状況に応じて航空券をとろうとおもいます。

今週ビエンチャンでみた花。サガリバナ科ホウガンノキと教えていただきました。仏教にまつわる花かとおもったら熱帯アメリカ原産とのことでおどろき。

さて、バッタ博士、研究に邁進するため取材を断っていたとのことですが、久々のメディア登場です。解説は専門家におまかせするとして、「バッタの大発生を昆虫食で解決できないか?」といういくつかの問い合わせと、いくつかの質の低い似た主旨のクソウェブ記事(できないか?きっとできないでしょう。いかがでしたか?みたいなやつ)を見かけたので、私からは昆虫食のほうをフォローアップさせていただきます。

バッタ博士の先生にあたる田中誠二博士の解説に、私も一言だけ参戦させていただきました。有料記事ですがこちら。

基本的には「フードセキュリティの4要素+サステナビリティ」で説明できます。大発生したバッタはその地域の食料安全保障を低めてしまい、そのバッタの群れ自体も、食用としての魅力が乏しいことを説明していきます。

フードセキュリティの逆、フードインセキュリティはこのような状態と説明できます。

さて、バッタの大発生、

「被害地域では誰でも手軽にかんたんにバッタを手に入れられる」

「バッタは食用にもなり栄養もある」

という2つの事実から、「食べて解決できないか?」と推測するのは当然といえるでしょう。

しかし無からバッタは生まれません。バッタの大発生状態、というのは通常の食糧生産システムのバランスが崩れた状態を意味します。

大きな変化が起こっているのは、草本バイオマスと捕食者です。ここからリプで書きなぐったものを、あらためて整理しましょう。

私達の周りにも、そして大発生が起こっている現地でも、平時は陸上には野生種、栽培種ともにイネ科の草本がたくさんあり、バッタはそれをいつでも食べられるように見える状態です。バッタは草だけを食べて成長し、1頭のメスは飼育下で調子がいいと400個ほど卵を生みます。

ではなぜバッタの大発生がすぐにおこらないか、というと、バッタは自然界では人気の食材で捕食者が常に食べているからです。

カエル、鳥、トカゲ、クモ、その他様々な生物が食べまくるので、期待値でいうと1頭のメスから生まれた卵が次世代の卵を生むメスになるのは1頭、つまりほとんどの子供が食べられることを前提にメスは産卵しています。バッタの現存量は草の生産スピードよりも、捕食者による被食スピードで強く制限されています。

私達から見える草地は草が生い茂り、バッタはぼちぼちいるぐらい。虫取り網をもってお腹いっぱい食べるにはそのカロリー以上の運動をしないと、なかなか集まりません。

しかし、大発生のときはこのバランスが崩れます。(ここのデータが不足しているので、発生予察がうまくいっていないのです。バッタ博士などの基礎研究者が必要なのも大発生前のデータをとるためです)

何らかの理由によって捕食者が少なくなったり、草が急に増えたりすることが影響すると言われていますが、内戦などの影響もあり情報の精度にもムラがあり、日本の天気予報のように高精度の予測はまだできていないようです。

その結果、どこかの地域で小規模な集団が発生します。その時、その地域の捕食者は「腹いっぱい状態」になって、バッタは被食スピードよりも増殖スピードが上回っています。そのため捕食者が遅れて増殖するまでは、バッタはそこにある草を食い尽くすことができます。

この状態のバッタは仲間と会う頻度の高まりから密度を察知し、「相変異」という生理機能によって色と行動と形が変化していきます。これにより一度できた小さな群れを維持するため、通常の孤独な状態では不利益になるような集合性や、目立つ姿を獲得します。(相変異は密度上昇の結果として起こるため、バッタの大発生そのものは相変異を起こさないバッタでも起こります)

この相変異の不思議なところは、密度に応じて徐々に変化することです。逆に密度を下げると、徐々に緑のバッタに戻っていきます。この「変化することが(進化的に)保存されている」という部分が基礎研究的にめちゃめちゃおもしろいところですが、これもまたバッタ博士におまかせしましょう。

左が飼育下で高密度飼育したサバクトビバッタ。右が孤独状態で飼育したもの。

さて、昆虫食の話に戻りましょう。

発生予察をくぐり抜け、残念ながらバッタの大発生が起こってしまいました。いま、この地域の食糧生産はどのような状態でしょうか。

頼みの綱であった捕食者はおなかいっぱいです。そして大抵の捕食者はバッタよりも大型で、増殖の速度も遅いことが一般的です。そしてこのバッタは一日100km以上も移動していきます。つまり移動先の捕食者をも「おなかいっぱい」にして、その地域の草を食いつくせるようになってしまうのです。

飼育下で見た限りですが、サバクトビバッタは群生相でもあいかわらずおいしい草が好きです。まずい草にはほとんど口をつけません。

大発生した野生のサバクトビバッタの消化管内からは、毒植物が検出されています。これは「大発生で相変異として毒化する」という積極的な性質なのか、それとも「エサが足りないのでしゃーなしで食べている」消極的な性質なのか、2つの可能性が考えられますが、おそらく後者でしょう。

もし毒を溜め込んで捕食を回避する性質に変化するならば、大発生して捕食者がおなかいっぱいになっているその時よりも、お腹をすかせた捕食者から隠れてこっそり暮らす孤独な期間のほうが意義がある性質と考えられるからです。

そこから、大発生したバッタも、自由にエサを選択できる条件では相変わらずおいしい無毒な草が好き、と考えられますので、蓄養すればその毒をへらすこともできるでしょう。やってみたい。アフリカに行って蓄養の効果を食べ比べてみたい。おいしくなるのだろうか。

これらの蓄養バッタを食利用するには、毒抜きの効果を調べる品質検査、フン抜きによる食味の向上や脚にあるトゲの除去といったプロセシング、加工流通、保存の技術がまだまだ不十分です。昆虫食の技術開発は遅れていますので、これらの技術的な不十分を理由に、大発生バッタの食利用も難しい、という結論を導いた記事がほとんどですが、

これらはあくまで「技術」なので、バッタの基礎研究が必要なように、公的資金でバッタの利用技術が技術開発ができれば解決可能かとおもいます。なので、ここではもう一歩、未来に踏み込んでみましょう。

ICIPEではそのようなプロジェクトが2018年に始まったようですが、目立った続報があまり聞こえてきません。情報が入ったらまた報告します。

この先、公的研究機関への投資によって、大発生したバッタを蓄養し、毒抜きや品質検査をし、保存、流通する技術が整ったとします。それでも大発生の「解決」にはなりません。残念。

現場では何が起こっているか。

バッタによって引き起こされている、食糧生産システムのバランスの崩れが最大の問題です。食べられた草と、それによって育ったバッタはその地域では等価ではないのです。

一番深刻なのが「草の不足」です。現地の一般農家にとって、ウシやヤギは家畜でありながら「増える資産」です。売れば確実に現金に変えられ、そしてうまく育てば自動的に増えるので、貯金するよりも資産としての価値が高いようです。私達にはイメージしにくいのですが、「資産が餓死」します。すると経済的に破産してしまう個人も出てきます。(ちなみにですが、反芻動物に高タンパク質を食べさせると消化不良をおこしてしまいます)

そして農作物の「市場」にも大きなダメージが起こります。野菜や農作物も食べ、完食されないまでも傷つき、商品価値を下げていきます。そしてイネ科の主食も含めてその地域の植物を「すべてをバッタに変える」のです。住民はバッタを売ってバッタを買う経済しか許されず、「平等に」自然界からバッタを与えられた地域の市場は、はたしてその経済は回るでしょうか。

この「市場が回らなくなる」ことが、ウシやヤギのような家畜資産のない、より貧しい農家にとっても、大きな経済的ダメージになります。

当然経済状況の悪化は栄養状態にも直結します。そしてバッタ以外を食べられない状態というのは栄養のバランスが崩れがちです。バッタというタンパク源だけが過剰にある状態により、バッタに含まれない他の必須栄養素、脂質や炭水化物、ミネラルといった栄養素へのアビリティ(量)、アクセス(手に入りやすさ)、ユーティライゼーション(その場にあるバイオマスの有効利用)が圧迫されていきます。

そして大発生した群れそのものもまた、不安定です。すぐに移動し、いつかはどこかで収束します。つまりバッタの群れも食料として利用価値が低いのです。

大発生したバッタの群れは、食料安全保障でいうところのアビリティ(量)もアクセス(手に入りやすさ)も高いのですが、一方でスタビリティ(安定性)もありませんしサステナビリティ(持続可能性)も期待できません。周期性がなく、規模も予測できず、今回は70年に一度という大発生です。そして国境を無視し、一日100km以上も移動します。

「バッタによって無職になった人をバッタ採集に再就職させよう」というアイデアも、ここで頓挫してしまいます。いつ終わるかわからず、次は来年かも70年後かもしれず、そして国境を超えて移動する職場。就職したい人はいないでしょう。(研究者以外は。)

これにより、大発生バッタを安全に食べる技術がない現在でも、その技術が開発されたかもしれない未来においても、

一度大発生してしまうと手遅れで、「昆虫食はバッタの大発生を解決しない」という残念な結論になるのです。

ですが、ここは昆虫食ブログですので、どんどん蛇足をしていきましょう。

大発生バッタの弱点であった、スタビリティとサステナビリティを確保した状態の「管理された局所的な大発生」つまり養殖利用がバッタ問題を予防しうるかもしれないという、私の楽天的なもう一つの未来の話をしておきましょう。

ICIPEで動き始めている先のプロジェクトの概念図にもあったように、野生のバッタは不安定で周期性のないバイオマスです。台風や竜巻のように、強すぎて安定性のないエネルギーというのは、その総量が膨大でも使いみちがありません。そして食料というのはエネルギーよりも保存に向きません。

台風や竜巻は小規模で再現しても安定しませんが、バッタならば、その大発生を真似た「管理された小さい大発生」を利用することで、野生個体群の大発生にも貢献できる経済的な仕組みをつくれるのではないか、と想像しています。

実際に実験室で飼育してみると群生相のバッタは互いに寄り添い、しずかで、そして安定してよく増えます。家畜に適しているなぁと感心するほどです。実運用から考えると、インフラの整っていない、田舎の小規模農家に適していると考えています。つまりバッタの大発生で最も影響を受けてしまう層です。

大家畜のように一度解体すると食べきるか冷蔵庫にいれないと保存できなくなるデメリットもなく、一口サイズで草さえあれば常温で維持でき、毎日少しずつ食べることもできます。養殖により、安定性が確保できる余地があるのです。

今回大発生したバッタは1000億から2000億頭と言われています。ざっと20万トンぐらいでしょうか。一年あたりの世界のニワトリ生産量は7800万トンです。もしバッタを食べる習慣がニワトリ程度までグローバルになれば、このぐらいを国際市場が吸収するのも無理ではなさそうです。

ただ、大発生は価格の混乱をもたらすので、バッタ養殖企業にとっての商売敵とも言えます。

そこでバッタ養殖企業が基礎研究者を雇い、もっと初期の段階で、企業のCSRとして、養殖のために確立された技術を使って野外のジビエであるバッタを買取り、殺虫剤と毒の検査をし、養殖のために開発した技術を転用することで、野生バッタを蓄養して販売するシステムを運用するのはどうでしょうか。住民は研究のために雇われた存在ではなく、「現金を得るために」野生のバッタを持ち込みます。そこに群生相の兆候があればやっと、基礎研究者を大発生の「前」に送り込むことができるのでは、と。

この企業により、これまで大発生のほとぼりが冷めるたびに公的研究機関から予算をカットされてきたバッタの基礎研究が安定し、持続可能になるのではないか、と妄想しています。

まとめましょう。

大発生してしまったバッタの群れは、バッタを食利用する技術が高まったとしても手遅れで、国際協力としての対応は、一般的な災害対応と同じで、被災者の生活再建を支援することが必要になります。

野生のバッタの群れを食利用するにしても、スタビリティとサステナビリティが低いことからバイオマスとしての利用価値が低く、野生の群れの食用化を、大発生収束の手段とするには至らないでしょう。

今後、バッタの養殖利用と産業化の運用次第で、バッタの大発生を予防するための持続可能なソーシャルビジネスに育つかもしれない、という将来の楽観論を個人的には期待したいところですが、

現状、大発生を予防するための能力と技術を昆虫食をまだもっていません。バッタを予測し、コントロールするには大発生の「前」の基礎研究が足りていないのです。

養殖利用するにしても、大発生予防のためにも、バッタ博士などの昆虫基礎研究者が長期に渡り、安定して研究できる環境をつくりましょう、とまとめておきましょう。

ラオスの村で食べさせてもらった野生バッタの串焼き、生態系の恵みですね。

バレンタインデーなのでチョコの話をしましょうか。

昆虫のもつ構造色、食えるメタリックカラーとして以前から注目していましたが、スイスがやってくれました。昆虫を含まない構造色のチョコらしく。カメレオンチョコではなくてきらめく甲虫チョコ、と言ってほしい。特許もとるらしいです。

石川伸一先生がリファレンスとして出してくださいました。非学術の領域では引用がなかなかなされないので「オリジナリティ」は言い張ったもんがちになります。こうやって別分野ですが初出をだしていただいて感無量です。構造色の昆虫、利用していきたいですね。

ニジイロクワガタのパイグラタン
森の甲虫パエリア
フェモラータオオモモブトハムシのきらめくナッツタルト