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ラオスの田園風景

近年の様々な研究により、昆虫は「ふつうの食材」であることが明らかになってきました。
最近、まとめて説明するタイミングがあったので、ここにまとめておきます。久々に長い記事です。

昆虫食をオススメする人が誰しも言及するFAO(国連食糧農業機関)の2013年の報告書 があります。これまで注目されてこなかった昆虫食に対して、養殖にかかる温室効果ガスをウシやブタよりも低減できるかもしれない、というポテンシャルが注目されることで、先進国が昆虫食に対する見方を大きく変えた、という事件がこの報告書に続いて起こっています。
報告書で示された栄養、環境、社会経済のそれぞれの視点がその後の研究の進捗でどうなったのか、それをうけて、EUとFAOが「昆虫食普及の方向性」を示したこと。とくにFAOが注目している小規模農家が「昆虫食がもっと普及すべき論」の中心にあるところまでを説明します。

「昆虫食に栄養面、環境面のメリットはあるの?」という素朴な疑問はよく寄せられるのですが、いくつかの論文をもとに「ある」と答えることはできるものの、そこから単純に「これまで食べなかった人が食べ始めるべきか」「人は誰でも昆虫を食べるべきか」まで踏み込むことはできません。人間は自分の食べたいものを食べる自由があるからです。

「私達は将来、昆虫をたべないといけないのか?」
ちょっと前の総裁選でも、話題になりました。SDGsを学んだという小学一年生の虫好きの少年が、こんな質問をしました。

ここの解説はこちらにまとめたので、そこそこにしますが、コメントがなかなかですね。

大前提として権力者から「特定の何かを食べなくてはいけない」と強要されることは食の主権の侵害になりますので、基本的にナシです。もしやるとしても、保健における栄養指導、介入のように、本人の価値観に沿う形で、極めて慎重に行われないといけません。「〇〇を食べなくてはいけない」「〇〇を食べてはいけない」と強要される状況はできるかぎり避けなくてはいけない。ここが大前提です。

EUでは2021年6月、ついにミールワームを第一号として、新規食品ヌーベルフードとしての認可がおりました。そして2021年、11月、トノサマバッタが第二号として許可されています。その中に、興味深い質問と回答がかいてあります。

Why should we eat insects?

It is up to consumers to decide whether they want to eat insects or not. The use of insects as an alternate source of protein is not new and insects are regularly eaten in many parts of the world.

Q なぜ私達は昆虫を食べないといけないの?

A 昆虫を食べるかどうかは消費者の判断次第だ。代替タンパク源としての昆虫の利用は新しいことではなく、昆虫はふつうに世界のたくさんの地域で食べられてきた。

https://ec.europa.eu/food/safety/novel-food/authorisations/approval-first-insect-novel-food_en#why_should_we_eat_insects

このことから、EUは「昆虫を食べるかどうかは消費者の判断次第だ」としてしまったわけで、ここに昆虫食を普及させるべき意義、栄養面と環境面の利点は、個人の行動を変えるには、ずいぶんと弱いことがわかります。とはいえ、よく聞かれることなので、2013年以降の進展をざっくりとまとめておきましょう。

栄養(成分)の視点から

栄養価の総合評価でいうと何度か紹介している、シャーロット・ペインさんのこの2016年論文「Are edible insects more or less ‘healthy’ than commonly consumed meats? A comparison using two nutrient profiling models developed to combat over- and undernutrition」が網羅的です。
先進国の住民にすすめるならば、とOfcomという指標をつかうと、多くの昆虫は豚肉と同程度のスコア、(ゾウムシは脂質が多いので先進国向きじゃない)で東アフリカで貧困地域の栄養支援の目的で使われている栄養改善の指標、NVSを使うと、コオロギとミツバチは、畜肉の中でもっとも鉄分が高い牛肉よりも高く、比較した昆虫はすべて、畜肉のどの種よりも高いカルシウムとリボフラビンが見いだされた、とのことです。

これからさらに研究が進んで、様々な属性の人たちが、自分の自由な選択で昆虫を食べるようになり、数十万人規模で昆虫を食べる人、食べない人がたくさん増えて、栄養疫学的に解析することで、論文が量産されて、それらを適切にメタ解析をすることで、コーヒーのように、適量であれば概ね有益、という結論 が出せる可能性もあります。

コーヒーのような大規模な疫学的データがとれるとしてもしばらく先で、いい解析のためには、地域や集団に偏りがなく、個人が自由な選択の楽しみとして、気軽に昆虫を日常的に食べるような、コーヒー並みの普及を昆虫食がしないといけない。じゃあどうやって、という状況です。研究をしたいから皆さん食べてください、では多くの人の行動を変える方法としては弱いですね。ありがたいことに、コオロギ粉末が入っているかどうか、被験者に隠した状態で食べてもらい、その腸内環境を測定したRCT研究も2018年に出ました。機能性がありそうな、単一の成分が検出される、という研究はすでにいくつかあるんですが、それが毎日の食事に昆虫を加えるとその効果が期待できるのか、強い効果があったらそれはもう医薬品じゃないの、その成分を昆虫から取る必要はあるのか、その成分を微生物で培養したほうが効率いいんじゃないの、なんかを考え出すと昆虫食という食の形から離れていってしまうので、ここではスキップします。あくまで「食事の形態としての昆虫食」に論点を絞っていきましょう。

環境の視点から

昆虫養殖産業の環境影響評価についてはアフトン・ハロランさんの、2017年コオロギライフサイクルアセスメント論文Life cycle assessment of cricket farming in north-eastern Thailand
研究室環境で効率化されたコオロギ養殖から類推される「未来のコオロギ農業」は、既存のニワトリやコオロギよりも、環境負荷が低くなる可能性は示されたけれども、既存の北タイのコオロギ養殖は、ニワトリの環境負荷と比べて差は少なく、ニワトリと共通する配合飼料であるダイズやトウモロコシの生産にかかる環境負荷が、コオロギ、ニワトリいずれも高い、という結論でした。 ポテンシャルは示せたものの、その後のライフサイクルアセスメントをするには生産規模が研究室レベルでは弱く、産業レベルではまだ十分に生産力がある昆虫が少ない、という状況があります。

とはいえ、栄養面、環境面から昆虫食がふつうの食材と同程度であって、特別な利点がなかったとしても、これまでの歴史的背景、社会的背景を見ると「昆虫食は今よりはもうちょっと普及するぐらいがフェアじゃないの」と言えると思います。その主役は、これまで食べてこなかった先進国ではなくて、やっぱり昆虫が豊富で、長らく食べてきた熱帯の途上国、その小規模な農家の皆さんです。逆に言うと、文化を離れると昆虫食論はふわっとしてしまいますので注意です。

じゃあFAOはどうしたいの?

私が最も重要と考えてるのが、栄養と食料に関するFAO-タイの方針です。より貧困地域の、社会経済的な利点が強調されていくことになります。2013年の報告書ばかりが注目されていますが、その報告書をまとめたオランダのグループよりも、その後はタイの存在感が増していきます。

FAOが昆虫食に注目したプロジェクトは2003年からスタートしていて、有名な2013年の報告書の前に、2010年にも報告書が出ています。ここでは、Edible forest insect 林産資源としての昆虫がテーマになっています。かいつまんでいうと、貧困国は林業による木材生産が手軽な現金獲得手段です。収入向上は住民の求めることですし、管理が届いていないところほど樹齢の高い木が多くあります。ところが、森林から得られていたものは木材だけでなく、林産昆虫に代表される、インフォーマル(現金収入でない)な食材もある、指摘しています。開発によって現金収入だけを優先してしまうと、そもそも彼らが得られていた食料安全保障がマイナスになる危険性を指摘したものです。

これと強く関連するのが、生物多様性条約の名古屋会議、COP10です。「2020年までに生態系が強靱で基礎的なサービスを提供できるよう、生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」その中で重要なのが利益配分です。

遺伝資源のアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書
 COP10までにABSに関する国際レジーム策定交渉を完了すべしとのCOP8決定に基づき、COP10開催中に非公式協議会合(ICG)において、ABS議定書案の検討が行われたが、派生物、遡及適用、病原体等いくつかの論点での資源提供国と利用国の意見対立が続いたことを踏まえて、最終日に我が国が議長国としての議長案を各締約国に提示し、同案が「名古屋議定書」として採択された。また、議定書の発効に向けた政府間委員会の設置やその作業計画が決定された。

http://abs.env.go.jp/nagoya-protocol.html

学名がわかっている生物種のうち、半分以上が昆虫という今の地球の状況において、食料資源として将来性があるとわかってしまった以上、そこから得られる利益をきちんと推定しないと、利益配分の問題が生じると考えられます。それが昆虫食の将来性をいま、研究すべき強い意義です。

生物多様性条約は、先進国に強い制限がかかるようにできています。それは、貧困国の医薬品原料や薬草の伝統的知識に、先進国の製薬会社がただのりして、莫大な利益を得たにもかかわらず、現地の国や地域になんの還元もなかった、という反省からです。
こういった社会的背景を無視して、大規模効率化ばかりを推進してしまうと、、過去の製薬会社のように、途上国の遺伝資源(昆虫そのものと、それを利用する伝統知識)を勝手に持ち帰り、技術ノウハウを高めて、大企業が大きな利益を得て、それが現地に還元されないとなりかねない状況です。FAOは実はスタンスが一貫していて、2013年の報告書からはむしろ読み取りにくいですが、ポイントは「小農」です。小農宣言というのが2018年に国連で採択されていますが、日本は未参加なので全く報道されていません。

FAOは世界の食料の8割は小規模もしくは家族経営の農家が生産しているとして、貧困にさらされているのも彼らなので、食料安全保障を達成するためには、小農の権利を守ることが重要と指摘しています。FAOより控えめに見積もったこの論文でも、55カ国を調査して(日本とラオスが入ってないのが残念ですが)世界の食料の半分は5ha以下の小規模農家で生産されています。

そのため、2020年に公開されたコオロギ養殖の世界向け手引書、Guidance on sustainable cricket farming – A practical manual for farmers and inspectors においては、大規模効率化はあくまで選択肢の一つで、小規模農家への養殖指導の内容が多く割かれています。先程紹介した、同じ著者、タイのコンケン大学のユパ先生による2010年から2013年のタイ・ラオスのプロジェクトの論文ですが。こちらも20000件のコオロギ農家が、最大75000人の雇用と収入を生んでいる、と推定してあります。そのため、大規模効率化、自動化ばかりがフードテックと語られがちで、昆虫食もフードテックの一部として語られがちなのですが、そのように単純に語ってしまうとタイのコオロギ農家から収入の手段を奪い取ってしまう危険すらあるわけです。

「これまで食糧生産を担ってきた小規模農家」を昆虫食の未来から除外してしまう、という片手落ちが起こってしまいます。

どんな形でもいいから、ブームをつくってしまえばなにかいいことがあるだろう、という動きも危険です。「スーパーフード」とまつりあげられて、一過性のブームになることで、生産地の経済と環境にダメージを与えます。生産者、特に小規模生産者と消費者の橋渡しを適切に行うことで、より良い形ができるだろう、と締めくくられています。

まとめましょう。

「栄養面」「環境面」からいうと昆虫は、「他の食材とおなじくらい」ということがわかってきました。また、他の食材よりも優れた利点が見つかったとしても、他人の食を無理に変えさせるほどの強い倫理はうまれてこないのです。食べたい人が食べられるようにする、食べたくない人に強要するものではない。しかし、これまで昆虫食が当たり前の食材として評価されたり、開発されてきた様子がほとんどないのです。それは先進国が食べない国だったから。

むしろ「なぜ今までふつうの食材として昆虫が研究開発されてこなかったのか」という社会的背景のほうに、昆虫食をもっと(他の食材と同程度には)開発普及させるべき論の主軸があります。つまりこれまで、昆虫を食べる、あるいは養殖する小規模農家を応援できてこなかった、ということです。採集にせよ、それらを養殖に転換するにせよ、小規模農家の貢献なしに地球の食糧生産は成り立ちません。先進国がもつ技術や知識を伝えるという「支援」はこれまでされてきましたが、昆虫を支援するにはゼロから技術を開発する必要があり、「前例が少ないために、計画の実現性が低い」とマイナスに評価されてしまいがちです。また一気に、大企業による大規模な生産がやってくれば、これまでの食料と同じような労働問題が発生しかねません。手放しで昆虫食の未来をアピールするのではなくて、「どのような形ならいいか」というハンドルを握った状態での議論を進めたいものです。

なので、「昆虫食をもっと普及させるべき」論を丁寧にするには、条件を付ける必要があることがわかってきました。その中心は「世界の貧困地域、小規模農家の支援をどういう形でするか」それを抜きに、昆虫食の養殖ポテンシャルだけをとりだして、気候変動と結びつけて「SDGs」と言ってしまうのは、あまりにストーリーを簡略しすぎているというか、フワッとした昆虫食論になってしまいがちです。

学生さんがふわっとした昆虫食論を立ち上げてしまって、リサーチするうちに袋小路に迷い込んでしまい、昆虫食の話じゃなくて、他のマイナー食材ぜんぶに言えてしまう話になってしまう、という相談が舞い込みがちです。

さてようやく、なぜ私がラオスに注目し、伝統食である昆虫を開発し、生計につなげようとしているか、説明できるようになりました。

それはまさに小規模農家の支援にあり、またさらにいうと、生計の向上すらも、栄養状態の悪化につながりかねない、というなかなかの貧困状況、栄養教育の不足にもあります。かれらの栄養をモニタリングしつつ、生計の向上を確実に栄養につなげるまでの技術開発を進めていこうとしています。

さて、ラオスは引き続きロックダウンの毎日です。6月末に入国して隔離期間14日、ビエンチャンでワクチンをうち、中部タケークに移動して自宅隔離14日、もう8月ですが、一ヶ月活動したと思ったら市内感染が少しずつ増え、8月31日から9月13日まで街ごとロックダウン。

ここまでは食料品の買い出しや、テイクアウトの買い物はできていたんですが、市中感染が止まらず、ラオス国内でも感染者が多い地域になってしまったので、更に厳しい外出禁止が9月27日まで。家にずっといるのでやることが捗るか、と思ったら、備蓄の食料から自炊するのでけっこう手間がかかるのと、メンタル維持のほうがけっこう大変で、まぁなかなか、オンラインで引続き日本ともつながりながらどうにかやっていきます。庭に畑もありますし、昆虫が自給自足できるようイネ科の草も用意してあったので、外出禁止でもいろいろと実験はできるのですが、買い物ができない、息抜きに外に出れない、というのはなかなかなものがあります。

さてロックダウンで悶々としていたときに、こんなつぶやきが。

いやいや。そうはならんやろと。

幸いドラゴンフルーツは日持ちがするので、備蓄用として買っておいたものがあり、できなくはない。

お酢も買ってあり、めんつゆがあり、お米も買ってあるので、できなくはない。だけれども。

冷蔵庫にあった
ドラゴンフルーツ。

中身はカットして冷蔵。
今日の主役は皮だ。

生でかじる。水気があってあおくさいけど甘みがない。ちょっとぬめりのある「果物の皮」の印象。そうはならんやろ、と思いつつ
ちょっとだけ期待する自分がいる。

わさびもしょうゆも買いに行けないからめんつゆとライムで許しておくれ、、茹でよう。

茹でる。

すぐクタっとするので、
冷水に入れて外皮をむく。
いやー。。どうか。

ヅケ。

予想通り、マグロ、、ではない。ヌルっとした甘くない「なにか」だ。
しかしマズいかと言われるとマズくはなく、うまいかと言われるとうまいとも言えない。。。
判断に困るな、、、
どうすればいいんだ。。。。

結論は明日にします。
#外出禁止限界ラオス飯

Originally tweeted by ラオスで外出禁止の蟲喰ロトワ (むしくろとわ) 著書「おいしい昆虫記」by おいしい昆虫生活™️ (@Mushi_Kurotowa) on 2021年9月20日.

#外出禁止限界ラオス飯

🍣🍣🍣 すしだな。

ぐにんぐにんする。めんつゆに漬けたドラゴンフルーツの皮。
マグロではない。
だけど、、、?

「23世紀の合成寿司」っぽい。
たしかに寿司の楽しみは通りすぎる。通りすぎるけど満足感として貯まらない感じ。食後は虚無。
#外出禁止限界ラオス飯

https://twitter.com/Mushi_Kurotowa/status/1439955202275102723?s=19
昨日から続く話です。

コーンツナサラダに。。。?

いやー。食感が虚無。クセはないし味付けはなんでもいけるんだけど、ツナとコーンに比べて食感の喜びがずいぶんと低い。
うーん。これは、、もういいかな。

Originally tweeted by ラオスで外出禁止の蟲喰ロトワ (むしくろとわ) 著書「おいしい昆虫記」by おいしい昆虫生活™️ (@Mushi_Kurotowa) on 2021年9月20日.

ごちそうさまでした。楽しかったけど、、、次のロックダウンまではやらんかな。

先日こんなつぶやきをしたら、思いの外多くの反応をいただいて、おもしろかったのでまとめておきます。

自分としては当然というか、当たり前のことを当たり前のテンションでつぶやいた、つもりだったのですが

リプライと引用RTが多く、届くべき方たちに届いたんだなぁと感慨深いです。しばらく素の反応をいただきたいので、コメントは控えて放置していたのですが、気になったコメントをピックアップしていきましょう。

とその前に、図解をしてみました。

さわれることと、好きなことは相乗効果があります。昆虫を好きでいるために、ハンドリングできると便利ですし、よりたくさんの情報を得ることができます。

また逆に、きらいなこととさわれないことにも相乗効果があります。さわれないことで不意の昆虫との遭遇で対処できる手が限られますし、そのとき虫から攻撃されたり、逆に殺してしまったりしたら、苦手な気持ちは高まるでしょう。

しかし、さわれるし、すきな人、と、さわれないし、きらいな人が大部分であるからといって、すきでさわれない人、きらいでさわれる人が見えなくなってしまうと、昆虫との付き合い方が狭くなってしまいます。すくないけれども、そこに人がいることを確認して、多様性の広がりを見ていきましょう。

ということで先のつぶやきに至ったわけですが、先に「図解」するよりも、その図でいうところの見逃されがちな右下だけに言及することで、これを見た人のつぶやきを誘ってみることにしました。語りすぎないほうがいい。

「私だ」とか「私の家族だ」という反応が10人ぐらい。大人になると種類によって異なったり、何らかのエピソードがきっかけだったりして経験の多さを感じます。子供も興味はあるけどさわれない、さわれる方法がまだわからない、と大人を頼ってくる様子もあります。

その中で「ありがたい」という反応もあって新鮮でした。やっぱり少ないからといって、無いものとされることとは違うわけです。

「イルカやクジラ、トラ、イヌ」といった、他の動物と比較するコメントもありました。イルカやクジラは、触ったことがない、そして野生の場合ですと触ることが適切でない動物ですが、それでも堂々と好きと言える許容があります。おそらく虫だと「すきなのにさわれないの?」「さわれないんだったらすきとはいえないんじゃないか」といった圧を感じる経験があったのではないでしょうか。

文章から図解の構造を読み解いてくれた方もちらほら、シンプルなテキストにすることで、そこから受け止めやすい方法でそれぞれ響いてくれるという意味で、意外な大きい反応になったのでは、と分析しています。

難しいですがこういうの、もっとやってみたいですね。

足立区生物園に展示されてます!

以前に応募して入選していた、害虫展season2 は、9月7日より9月20日まで、東京会場の足立区生物園にて展示開始しています。

家族に見に行ってもらったのですが、常温の液浸標本たちは心配していた変色もほぼなく、無事展示されているようです。

以前からフォローしていた、ドラァグクイーンのRachel D'Amourさんが観に行ってくださったそうで、
実物展示というのは普段接点のない方を招待できるので改めて素敵だなと。

足立区生物園、いいですよね。新鮮な気持ちでまた観に行ってみようと思います。
東京には上野に巨大なミュージアムたちがあるので、「日本一」を観たければそっちにいけばいいわけです。

以前に行ってみた渋谷区ふれあい植物センターにも感じたのですが、生活や地元になにをもたらす施設なのか、という意識がはっきりしていて、とてもいいです。地方の博物館だと、上野に行けない人のためのトップ施設という立場も必要になりますが、東京の小規模博物館はそこらへんをはっきり使い分けていて、すごく勉強になります。

この感染状況ですし、ぜひ見に来てほしい、とはいいにくいのですが、

何かの際にお寄りくだされば、足立区生物園に害蟲展が置かれることの面白さを

味わっていただけると思います。

全滅しました、もあり得たわけですよ。

そもそもが産卵室を作ってその中で産卵するのが普通らしく、それが壊れた、あるいは壊してしまったから観察できている、というこの状態。

まずはこちらをみて欲しい。

時系列でまとめたのはこちら。

https://twitter.com/i/events/1423197330585505795?s=20 モーメントになってます。

いやもうね。この親が寄り添うこの様子。

色々言いたいことはあるけれど、そもそもの情報量がすごいのでまずじっくりみて欲しい。タイムラプスで見つかる生態。ありがとう。自然界にグッドもバッドもないけれど、それでも去来するものがあるさ。

自由時間のほとんどをつぎ込んでしまったので、そろそろ通常業務に戻りつつ、依頼仕事を片付けつつ、観察を続けたいと思います。

さて、タケクでの自主隔離もあと2日となった7月23日。玄関の横に謎の物体が。卵、のように見えるけどなんの卵?

小ぶりなビー玉ぐらい。中でぐるぐるしている。

魚のような体型で外鰓がある。ということは両生類?おたまじゃくしのような体型ではなくスラっとしているし、サンショウウオだとすると脚がない。すると詳しい方からリプライをいただきました。

なんか、すごい生き物らしい。名前にミスリードを誘われたが、イモリが足を失ったグループ、ではなくて両生類の無足目、という無尾目(カエル)有尾目(サンショウウオ)でもない、3つ目の大きなグループとのことです。南米、東南アジア、インド、マダガスカル以外のアフリカに生息、パンゲア大陸由来とのこと。すごいな。

毒のある種もいるらしいとか、卵生とか胎生とか、地中性とか水性とか、いろいろと多様性があるようですが、如何せん情報が少ない。日本でも継代飼育に飼育した人はまだいないのだとか。

確かにラオスの雨季は粘土質の土が水を含んでヌルヌルになり、人の行く手を阻む。トヨタのオフロードでないと未舗装の道は踏破できない。農村部では田植えを終えると農閑期になり、あまり農作業をしない。農地で重たく粘着する土を無理にいじると体を痛めてしまう(私は腰を痛めました。)雨季は意外と生き物に出会いにくい気候なのだろう。 それでもなお、たまたま偶然、玄関の横に産卵したというのは喜ばしいことだ。フェンスで囲まれた敷地内なので、犬も怖くないし、泥棒も入ってこない。カメラを設置しよう。インターバル撮影だっ!

ここでお母さん登場。模様からコータオヌメアシナシイモリと推測されます。

タイムラプスが、、うまくいかない!マニュアルフォーカスが解除されてしまう(仕様とのこと)

二度目!

昼間は雨!水没したけれど大丈夫そうだ。

そしてその夜。オートフォーカスのための小さな明かりをともし、待ちます。昨日は日没後すぐに来ていたのに、なかなか来ない。うろうろしていたら土から顔を出すお母さんと目が合う!これはすまない。邪魔をしてしまっていたようだ。

そしてついに!タイムラプス成功!

今のところ、卵が完全に水没すると世話をしにこなさそうです。そして水に浸かっても卵は死なない模様。

周囲の水位が下がると、乾燥の危険が高まるので粘液をまとわせてそれを防ぐ、のでしょうか。抱卵といっても温めるというよりはぐるぐると回転させているようです。どんな意味があるのでしょう。翌朝子守をしたまま発見。抱卵の時間帯は結構アバウトなのか、それとも天気次第なのか、しばらく観察を続けます。

さて今夜は金土と続いた長い雨がいったん途切れ、6時からタイムラプスを動かし始めています。さて母親は来ているでしょうか?水位が低いので、これまでの考察がただしければ、日没後すぐに来るでしょう。

しかしこれ食えるのか、ラオスにも食う文化があるのか、知りたいところです。写真を見せて聞き込みをして、

調べてみます。

出国も迫る6月16日、サエボーグ個展「Livestock」を観てきました。イベントでのパフォーマンスが本領発揮なアーティストですが、展示として造形をじっくり観られるのもまたよいものです。パフォーマンスはまだ観れず。

ご本人も会場にいらして、「食べること」「ウンコすること」を中心に色々話しました。

センシティブなテーマであることもあって、一部撮影禁止だったり入り口からは見えない位置に置いてある作品もありましたが、全体的に「お祭り感」があるのがいいですね。ご本人も「祝祭」を意識されてるとのことでした。

どうしても作品展示というのは触れる時間が短くなりがちで、「なぜここにウンコがあるのかわからない」といった素朴な感想もあったようで、そりゃ大動物家畜がいて食肉生産をしていたら、そこにウンコがあるだろう、という発想が、どうやらない人もいるらしい、のです。

どうしても人間はピンとくる部分に目が行きがちで、作品を観に来るときはその感度が高くなっているときでしょう。そのときに「システム全体」を見ることがいかに難しいか。

ピッタリとしたラバーはきもちいい、とか、くびれやくるぶしがピタッとしていて、いいですね。

また一方で、「作る側」になると見え方が違ってきます。取材し調査し、試作と思索を繰り返し「何を強調するか」を考えるとき、「何を強調しないか」そしてその全体を把握していないと見失うものがあるのでしょう。

昆虫食と文明」という名著のあるデイビッド・ウォルトナー・テーブズ

の「排泄物と文明」にも話が及びました。

国境なき獣医師団をつくった疫学者で、学者肌の雰囲気を漂わせるナイスな翻訳文なのですが、サエボーグさん的には「めっちゃ大事なのはわかっているけれど読み込みにくい」とのこと。確かにちょっと硬いし、前提知識がいるし、サイエンスを背景にしない人にはとっつきにくいかも。

そういう意味で表現の目的ごとに「解説役」というのがいろんな形で必要なのでは、とも思うのです。対話型専門知だ。

最近リアルタイムで読書をしてメモを残していく「読書メモ」というのをやっているのですが、もともとは読書中にTwitterを占拠して、気が散るのを抑えるための苦肉の策だったのですが、意外と好評で、こういった専門知ユーザーとしての目線を増やしていく、というタイプの対話型専門知も実践できればな、と思っています。

専門知を再考する 読書メモ

https://togetter.com/li/1708730

食農倫理学の長い旅 読書メモ

https://togetter.com/li/1733281

さてさて、6月24日に渡航してから、なんやかんやあってホテル強制隔離が終わったのが7月8日。
日本にいる間に、呼吸器疾患をコントロールしてる関係でかかりつけ医に相談していたところ、早期接種を推されて一回目のファイザーワクチンを6月20日に打ったところで渡航となりました。

キャッサバが育ちつつあるタケクの我が家

隔離期間中にラオス側の調整をしていただいて、二回目をラオスで受けることになりました。これはけっこうレアなのでは。保健NGOとして田舎で活動する以上、感染リスクの持ち込みは最低限にしないといけません。mRNAワクチンは超低温冷凍庫が必要な関係で、首都ビエンチャンでしか受けられず、各社のワクチンがCOVAXというWHO主体の枠組みで分配されている様子。空港のPCR検査は韓国が提供しているとのこと。いまのところラオスでの接種の完全普及は2023年を予定しており、接種スピードの遅さから地域を分けた強いロックダウンが唯一かつ効果的な方法、とのことです。首都ビエンチャンはレッドゾーンで、活動地のカムアンは2週間以上、一人の市中感染者も出していないグリーンゾーンになります。やはりレッドゾーンはみなマスクをしていましたが、グリーンゾーンは普通の生活に戻っている様子。観光客がほとんどおらず、観光客向けのホテルや飲食店が閑散としています。

アジア経済研究所がここらへんまとめてくださっていました。ありがたい。

んで7月11日に接種して、そのまま中部タケクに移動。接種日までの週末に少し時間があったのでビエンチャンでパソコン関係の物品購入をチェック。気軽にタイに渡航できなくなったのと、近年のバーツ高もあって、なかなか日本と同じ価格、同じクオリティとは言い難いですが、それでもちょっと気の利いたものを扱う店もふえてきたようです。

今回持ち込める荷物制限が厳しく、重くてかさばる調理器具を運んだこともあり、かなりの物品を諦めていたので、ビエンチャンで補充できてよかったです。調べたらEMSも止まっていて、割高のDHLか船便。
送ろうと思って断念した、ちょっといいキーボードもこちらで買えました。
ゲーミングキーボードってレインボーにきらめくんですが、なんかアガりますね。タイ語がいい感じ。

接種後6時間でタケクへ。無事(?)肩が腫れてきて、翌日だるさと関節痛がマックス。


なんだかんだ一日だるく過ごしつつ、自宅待機となりました。入国隔離後、すぐに移動すれば二回目の隔離は免除されたのですが、レッドゾーンのビエンチャンにワクチン待ちで滞在していたため二度目の自主隔離に。
一週間は外に出れず、二週目は食材の買い出しはOKとのこと。

ようやく先週末に開放!ひさしぶりの町並み。変化はフードパンダ(ウーバーイーツみたいなの)が増えたこと。

湿気は強いですが雨上がりはひんやりと過ごしやすく、日本の夏よりもつらくない。
寝具にダニがやってきていたので晴れ間を狙ってダニ熱殺

隔離二度目といっても庭はあるき放題なので、かなりストレスは少ないですね。虫はよい。
今週末でようやく自由の身です。田舎に行きたい。

出国前にようやっと、完成しまして、害虫展season2 への応募が完了しました。これから一次審査、二次審査へと進み、落選しなければ、落選しなければ、ですが、足立区生物園、箕面昆虫館でそれぞれ展示されます。TwitterでRTいいねをしていただくと残れる確率が高まりますので、応援よろしくおねがいします。

Insect "Cooked" Specimens 昆虫”調理”標本

害蟲展は第一回、昨年2020年の応募が初めてで、入選をいただくことができました。だれが害虫、という線引をするのか、そしてそれを更改するのはだれか。(それがラオス人であってほしい、という願望も含めて)ヤシオオオサゾウムシを題材に、写真作品を応募しました。

審査員の館野鴻さんから、「そのままじゃん!」と講評をいただきましたので、今度は「表現」を噛ませたものを作ろうと、立体作品にしました。手法は「液浸標本」です。

「昆虫標本ってうまそうじゃないな、、、」がきっかけです。昆虫は外形の特徴をかんたんに、そして長期に保存できることから、乾燥標本が主流です。バッタなどの一部の昆虫は退色してしまい、生きているときの彩りを残すことができません。凍結乾燥などの高価な機材が必要な方法も普及に困難があります。

またトノサマバッタは茹でると、含まれるアスタキサンチンがエビのように赤く色づき、その後茶色く退色してしまいます。佃煮などの保存食にする頃には茶色いのです。茹でたあと、冷凍してもしばらくすると退色してしまいます。エビぐらい赤くおいしそうなまま、保存できる方法はないか。

ということで海産無脊椎動物の液浸標本の方法を教えていただき、茹でたバッタの赤を保存する方法を模索しました。ようやく、まだまだ完成ではないですが、各調理法に応じて、退色脱色を最小限にした保存方法ができたので、既存の乾燥標本と並べ、「茹で」「揚げ」「混和」「成形」の4種の調理歴をもつ「昆虫”調理”標本」ができたのです。

これが昆虫の乾燥標本と生体が並ぶ昆虫館に展示されることで、乾燥標本が美味しそうに見えない、ということと「昆虫が美味しそうに見えない」ということは、必ずしも同一とは言えない、という新たな軸がみえることを期待します。

今回は「混和」「成形」という本来の標本、つまり外形の情報が残らないものも、あえて「標本」と称して並べました。果たしてあなたが食材として口にするのはどういう調理法なのか、乾燥標本の軸から少し外れて、昆虫調理標本を目の前に(審査が通過すれば、ですが)考えてみてはいかがでしょうか。

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ラオスを離れたのが2020年の3月22日ですので、実に1年3ヶ月!

日本で待ちぼうけで、おいしい昆虫記を書くことができましたが、

手続きはなかなか進まず、5月29日に渡航できそう、となったら歯のトラブルと、なかなかバタバタしておりましたが、渡航できました。今はホテルで14日間の隔離期間中です。バスタブはあるし、エアコンも新しく、ベッドも部屋も広い。なかなか快適な生活をしています。いまのところは。後半がなかなか厳しいらしい、との経験者のお話です。

さて、思い出してみましょう。6月24日。早めにアシアナ航空の窓口につきました。韓国の仁川国際空港を経由して、ラオスの首都ビエンチャンへのチャーター便を乗り継ぎます。このチャーター便を運行するのはティーウェイ。

成田からインチョンまではアシアナ航空。すると窓口のスタッフがなにやら険しい顔。「通常、トランジットで荷物の引き渡しをティーウェイと結んでおらず、今から照会しますが、返事がかえってこない可能性が、、、」

なんと。通常ではこういった荷物の引き渡しのない乗り継ぎは、韓国に一度入国して、自前で次の航空便に載せる操作が必要になるのですが、今の韓国はノービザでの入国を認めていないので、「特例的に」乗客が入国しなくても、乗り継ぎできるよう荷物の受け渡しをしている、とのことです。

しかしアシアナ航空とティーウェイはそれをしていない。一時間待っても返事が来ず、韓国の入国管理局は「入国者としてカウントされている」との返事。

これはあれではないか。ターミナル。

1,出国すらできない。

2,出国できるものの、荷物が韓国に取り残されて、自分だけラオスに。

3,出国でき、荷物が無事引き渡され、無事ラオスに荷物とともに入国できる。

結局一時間待ったものの、ティーウェイから返事がこなくて、2か3が決定。

なやましい出国

「8割ぐらいの確率でうまくいきますよ」と謎のはげましとともに、アシアナ航空で出国。インチョンでいち早くティーウェイに問い合わせ、荷物を確認せねば。

いなーい! ウイングのはしっこの搭乗口から引き返し、総合案内へ。事情を説明するとそこそこあることらしく、ささっと確認。アシアナ航空へ。

「アシアナ航空のスタッフが、ティーウェイに引き渡したってさ」との返事。さすがアシアナ。信用できる。

そしてティーウェイへ。出発時刻が迫ってくるとようやくスタッフが。チケットを見せると写真をみせてくれて、「この荷物?」と。そうそうそれ!

無事ラオスに入国できました。

入国後、書類のチェックとPCR検査の検体をとったあと、腕にGPSをつけてホテルへ。

ようやく落ち着きました。

ごはんは選べないけれどおいしい。

今回の感染症とは無縁な訪問者がいるので、今日も元気です。