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御覧下さりありがとうございます。
当ブログは
昆虫を食材としておいしく楽しむために開設されました。
私たちの身の回りには沢山の虫がいますが、ほとんどの人は
彼らを日常的に食べません。
なぜでしょう。
私は3つの要因を考えています。
1,どの昆虫が美味しいのかわからない
2,どうすれば安全により美味しく食べられるのかわからない
3,どうすれば食事になるほど十分な量を捕まえられる、もしくは養殖できるのかわからない
幸いなことに、少量であれば昆虫を捕まえるのは簡単です。
このブログでは私が見つけた美味しい(もしくは美味しくない)昆虫を
紹介したいと思います。
一緒に美味しい昆虫を見つけ、養殖に挑戦しませんか?
Thank you for visiting my blog!
I try to make you enjoy eating insects through my posts.
Many insects are living in our environment but few people have been used to eat them.
Why?
I think there are three reasons.
1. Little is known what insects are delicious.
2. Little is known how we can cook them more safely and more delicious.
3. Little is known how we can catch or raise them enough to cook for our meal.
Fortunately, we can get them easily if it is a small amount.
If I find a delicious one (or a bad taste one), I will tell you through my posts.
Let's find delicious insects and try to farm it for our future!
当ブログでは
出来るだけ正確に味をとらえ、
同時に衛生的に食べるため、
調理法は基本的に「茹でポン酢」に統一し、
写真、和名、学名、ステージ(成長段階)
採集場所、味評価、香り評価、食感、見た目、
適した調理法を発信していきます。
日本は世界でも稀な昆虫の豊かな地域で、
アマチュア昆虫研究者も多く、昆虫は我々に身近な存在です。
タイトルはデカイ方がいい。
あと野菜ソムリエに対抗して
「蟲ソムリエへの道」と致しました。
蟲に関してはまだまだ若輩者ですが
一つの楽しみ方として話半分に御覧ください。

今まで分散していました、昆虫食情報発信ブログ

蟲ソムリエへの道

蟲ソムリエの実践ですが

こちらにまとめることにしました。どうぞこれからもご贔屓にお願いいたします。今年は散らかっている情報をまとめて整理して発信していく年にしようと意気込んで、いや、ほどほどに思っているところです。

1

とうとうこのブログも300記事に到達しました。
シン・ゴジラの二次創作記事がバズってしまいましたが、これは昆虫食ブログなのです。


そろそろこの活動を書籍にまとめねばならんのですが。思うように進んでいません。
書籍化推進の一環として、これまでの活動をストーリーに組んで記事化しています。
今回は30分の講演を関西虫食いフェスティバルでやってきました。
東京虫食いフェスティバルは何度も参加しているのですが
今回関西は6回目にして初参加。主催は大阪の昆虫食研究グループ
NPO法人昆虫エネルギー研究所です。


最初の二時間、講演をし、その後みんなで食べて楽しむという会です。
場所は伊丹昆虫館に程近い伊丹市スワンホール。

とても良い場所でした。
物販も出て、会場はほぼ満員。昆虫に対する熱い食欲が感じられます。

内山さんの講演のあと、私の出番。
「養殖昆虫食のおいしい未来」
にという題で話しました。
以下
参加できなかった方のための要約です。
主語の大きな話から始まります。
私達は、なぜ食べるのでしょうか。
昆虫食の話を始めると「貧困地域での貴重なタンパク質」
と言われる事が多いように、仕方なく、食べないと栄養不足に陥るから食べる
と誤解されていることもあるようです。

昆虫を食べている文化圏で、その昆虫が栄養供給を担っていることと
その文化圏の人々が主観的に「栄養を得るために食べている」かどうかは混同してはいけません。
栄養豊富な食材が身近にあるにも関わらず、食べる文化がないために
栄養不足になっている地域もあります。
つまり、主観的に言うと
我々が食べる理由は「おいしいから」です。

ただし「おいしい」という概念はとてもひろく文化的なものです。
単に料理の味が良い、という点だけでなく、
本人にとって
都合が良い、好ましい、お得な、などなど
芸人さんではウケる、というのも「おいしい」と形容されますね。
もちろん農学などの応用科学の研究者にとっては「社会の役に立つ」でしょう。
みなさんそれぞれの
「おいしい」は何でしょうか。この時間をかけて考えてみましょう。

まずはじめは
1,おいしい昆虫を探そう です。

内山さんが「食べられる虫ハンドブック」を出しましたが
昆虫学の分野から出されている昆虫図鑑のほとんどは
味の情報が記載されていません。
きのこ図鑑がうらやましいですね。
「見分け方・採集場所と季節・グルメの料理法」
ね。これ昆虫図鑑に載せたいですね。
ということで今まで味見してきたのですが、その
おいしさを数値でお伝えしたいと、スコアリング方法を考案しました。
みため かおり のどごし あじわい のびしろ

の5段階評価で記述しました。
各項目20点 100点満点で採点し
310種 471パターンを茹でて味見しました。
細かいことを言いますと、
各項目20点について、4段階(3,8,13,18)の素点と、プラスマイナス2ポイントをつけることができます。
最低5点から最高100点までの点数がつけられます。

例えばオオゲジで説明してみます。
一般的に見て、見た目がいいとはとても言えないのですが、しっかり見ると
琥珀色の透け感とか、揃った脚とか、美しい部分がいくつも見えます。
なので基本点8、部分点2の10点とします。
香り、のどごし、あじわいについてはいずれも段階4、素点18をつけました。
エビに近い旨味があり、食べやすく、全く優等生な味ですので、
部分点がプラスもマイナスもないためです。
そして将来性
集団飼育できること、絶食に強いこと、湿気に強いこと、日光がいらないこと
から将来性は抜群です。
しかし完全肉食であることから、利用方法は別の昆虫の養殖とセットになるでしょう。
そこで部分点減点1の17点となりました。
総合スコアの頻度分布がこちらです。うまくバラけたのではないでしょうか。
そしてランキング。
私が漠然とオススメする
昆虫たちがほどよくラインナップされています。


このスコアリングの妥当性は他の方の味見評価の参入を待つとして、
私の主観的スコアリングをそこそこ定量化できたと思っています。
良くおいしいと言われるカミキリムシが上位ランキングに入っていないのは
将来性という点からみると養殖技術が確立されておらず、生木を枯死させるので
既存の産業との相性が悪いことから、低めに見積もられているからです。
もちろん、この将来性という項目は、昆虫食の普及を含め、
多くの技術が社会を変えることによってどんどん変化していくことでしょう。
さて、スコアリングをしてみたことで、ランキング上位の昆虫が
なぜオススメできる昆虫なのか、スムーズに説明できるようになりました。
次はその「オススメ」が、昆虫食文化の廃れた現代において、
聞く耳をもたれるか、という問題にとりくみましょう。
「おいしい昆虫をオススメしよう!」
私も自身に感じていることですが、昆虫の味に慣れてくると
その美味しさや見た目の基準も変わってくる、という問題の裏表の関係が表面化します。
初心者が食べやすく、美味しさを感じやすいものではなく、
熟練者がうなる、独特の味や特徴を愛するようになってしまうのです。
つまり、
「初心者がオススメのカメラをオジサンに聞くとガチなものをオススメされて結局買わないor持て余す」という問題に近いです。
「なぜ私は昆虫に食欲がわかないか」を追求しようと食べ始めたのが2008年
それから私が昆虫の味に詳しくなり、初心者から離れれば離れるほど、
初心者の気持ちには共感できなくなります。
それゆえの定量化なのです。
共感できないことを前提とした対処です。
さて、昆虫を食べない社会というのは、一見するととても昆虫食の普及に適さない社会に見えますが、逆から考えると
「多くの人が昆虫食初心者である」という均一性をもつ社会なので
ある意味攻めやすい、ともいえます。
同時に、現在ある多くのデータベースは、昆虫を食べないヒトのデータを集めている点で
昆虫食をオススメする相手として申し分ないビッグデータに、何のフィルターも
かませずにアクセスできるのです。
具体的にいきましょう。

味覚センサーシステム、というものがあります。
これはヒトの味覚神経系に似せたデバイスと、
ヒトの主観的な味のデータとの関係性を分析することで
数ミリグラムの少量のサンプルだけで、数百人規模の官能試験の結果をシミュレーションできるのです。
当然ですが、このシミュレートに使われたデータには
「昆虫を日常的に食べるヒト」は含まれていないでしょう。
つまり
「昆虫食初心者シミュレーター」なのです。
手始めに、解像度を知りたいと思い、幾つかのデータをとらせてもらいました。
トノサマバッタについて、生よりも茹でたほうが味が良くなる(甘みが増えて、苦味が減る)
こと、オスよりメスのほうが味が良いことが示されました。
アクセス応援のため、こちらの記事もクリックしてください。
そして次に、昨年のサイエンスアゴラにおいて、
試食昆虫にデータを付記することで、その効果を聞いてみました。

まだまだ完璧とはいきませんし、香りセンサーは含まれておらず
すりつぶして測定したものですので食感も考慮されていませんが



多くの人が参考になった、近い味であるとの解答でした。

つまり
「AIが昆虫食初心者にオススメする時代」がもうすぐそこに来ているのです。
つまりAI蟲ソムリエです。


では、次に昆虫料理の「見た目」もAIに任せられるか、試してみましょう。
今回利用させていただいたのは
「飯テロ判定bot」というものです。

詳しくはこちら


これはtwitter上で公開された自動プログラムで、
IBMが開発したWatsonという
「自然言語処理と機械学習を使用して、大量の非構造化データから
洞察を明らかにするテクノロジー・プラットフォーム」に接続されています。
私も詳しい者ではないのでうっすらと説明しますが
ネット上に膨大にある写真と、それに付随するテキストとの関連を解析することで、
提示された新しい写真が、何である可能性が高いか、
キーワードで答えることができるのです。
そもそもは飯テロ、主に深夜帯においしそうな料理の写真をアップして
食欲をムダにそそる行為を防ぐために作られたものです。
飯つまりfoodであるとwatsonに判断されると、
このbotの機能によりモザイクがかけられます。
foodの可能性がさほど高くないと、そのまま飯テロではありません、とテキストで返されます。
ともあれやってみましょう。





ここから、「昆虫食は見た目が悪い」と言っているヒトのほとんどが
昆虫食を食品とみなさない、という偏見と、
見た目でしか昆虫食とはわからないこと、がゴッチャになって
いるだけだとわかります。
つまり見た目に昆虫が含まれているだけで、料理でない、と
判断するにはあまりに情報が弱いのです。
偏見のないwatsonに見てもらうことで
ちゃんと料理して盛り付ければ、
昆虫もまた、他のエビ・カニ節足動物と同じように
料理になっていることがわかります。

さて、おいしい昆虫が見つかり、熟練者がいかに価値観が変わろうとも、
AIが初心者の全体像をシミュレートしてくれるので問題ない、ということがわかりました。


ちょっと話は逸れますが、
AIが駆逐するのは「素人と専門家の間」にいる人ではないかと思います。
専門家が素人と異なる情報世界にいることで、
共感性を失い、素人とのズレを生じるために
そのようなキュレーターが必要になるのですが
AIが全体としての「素人」のシミュレーションが可能になれば
専門家が最大公約数的に、すべきことがAIによって示されるはずです。
逆に言うと、専門家が予測して、一般化を目指す「仮説」とその検証は
その実証に必要なデータをこれからとるので、AIによって予測できる精度が
当分向上しないのではないでしょうか。
なので、専門家になる途中の人が、食えなくなる、という問題が
現れてくることだと考えています。


次は養殖です。
採集昆虫食もそれはそれは楽しく、自然界から食物を得ていることを実感する
すばらしいレジャーなのですが、
食糧を支える量を安定的に確保するとなると養殖は必須です。
現在、エキゾチックアニマルの生き餌などに養殖されている昆虫はせいぜい数十種類でしょうか。
その中から食用に適したモノを探す、というのは
昆虫の遺伝資源の多様性を考えたときに、少し狭すぎますし、学術的ではありません。

そのため、昆虫のフルのポテンシャルである、100万種から、
「将来に渡っておいしい」つまり持続可能性の高い養殖昆虫食を実現するために
何を育てればいいか、考えてみましょう。
私が最初にたどり着いたのは、トノサマバッタでした。
ランキングにも第三位に登場していますが、まず味がとてもよいのです。
香ばしさと肉質、ジューシーさ、食感、いずれも抜群で、
しかも研究用には養殖が確立されており、成長も早いと。

そしてバッタには宗教的タブーがほとんどないので、世界中の誰もが食べられる食材です。
イネ科という現状多くの土地を占有している作物の葉を
そのまま高タンパクのバイオマスへと転換濃縮する系は、土地利用を変えないという点
とてもフットワークが軽くできるはずです。

ともあれ、昆虫食利用論というのは1880年代、産業革命のころから言われだした
ものですので、研究レベルでのポテンシャルは十分に示せていますから、
実装とそのアセスメントを繰り返すことで、昆虫食利用の未来のカタチに寄せていくことが
これから求められると思います。


そのためにも、生理生態学的研究のために養殖されている手作業を多く含む養殖から
自動化、メンテ頻度の低下を目的とした、大規模養殖への技術革新が必要です。


同時に、その技術開発のためにも
「高い昆虫を買ってくれる人」を大事にしなくてはなりません。
つまり、虫フェスに来てくださったあなた達です。

昆虫が世界を救わなくても、昆虫を食べて豊かな食生活を楽しみたい。
あるいは、自分は食べなくても、将来のために昆虫食の研究に投げ銭したい。
自分は殺虫剤を使わないで育てた野菜を食べたいので、誰かに虫を食べてほしい。
「食べない昆虫料理支援者」というのも大事です。
あなたにとって、「おいしい食」とはなんですか。
その中で、昆虫をどのように扱っていますか。
考えてみましょう。
そして、昆虫を食べてみたい、食生活に取り入れてみたい、という方は
必ず安全な方法で、リスクを理解した上で、自分も食べ、他人にすすめましょう。



講演の後、キッチンスペースに移動して昆虫食を作りまくり、食べまくりの会でした。
ほとんど写真はとれていませんので、twitterで検索してみてください。


さて、
昆虫食の研究をしていく間に、小中学生の若い実践者と
触れ合う機会がありました。関西虫フェスの参加者にもいました。
「小中学生に昆虫食を勧められる節度」は最低限もちたいですね。
というのも、昆虫食の実践はかならずリスクを伴います。
そして、
事故が起こった際に
全責任を問われるのはその小中学生の保護者です。
食べろとブログでそそのかしている私ではないんです。
子どもの興味、というのは幸か不幸か、
保護者のキャパに収まってくれることは
殆どありません。
その興味に蓋をしないよう、虫が好きでもないのに
最大限頑張っている保護者の方々のためにも、書籍執筆も含めていろいろがんばりたいものです。
私が気にしている「若者」とはこの世代(とその保護者)ですので、
大学生デビューかよくわかりませんが、親元を離れて
浮かれてなんやかんややらかした成人に対して
「若いんだから大目に見る」つもりは一切ありません。
私を含め、ハタチを過ぎれば年寄りです。しっかり批判していきます。
昆虫食の次世代を担うのは私ではない、という事実と
しっかり向き合って、滅私奉公に努めたいと思います。

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後編は、
私の新説 針・ゴジラについて考えてみましょう。
針・ゴジラはエネルギー問題を解決した、ヒトの上位捕食者です。
ヒトに似た体型で、ヒトに似た歯をもち、
体表から冷却することで熱問題もクリアしています。
体が軽くなるので、熱放出のための外鰓のような構造がそのまま飛翔にも使えそうです。
第5形態 針・ゴジラ予想図

また、核攻撃をするにしても、
群体である以上無線システムで通信したままの分散が可能なので
一網打尽にすることができません。おそらく人類は負けるでしょう。
核融合による発熱は避けたいでしょうから、核分裂によりエネルギーを調達し
他の生物の元素や化合物を奪うのが最適です。
巨大な内部空間をもたないので、空気中から元素を集めて圧縮することはやめ、
普通の食料源から必要元素を摂取するようになります。
飛行物体はすべて針ゴジラによってビームにより撃墜するか、熱殺されるので
空輸は禁止。船便かトラック輸送が必要になります。
怒らせると針で低エネルギー放射性廃棄物を血中に注入するので
致死率の高い、解毒も難しいヤな毒です。

ハエたたきも効かない。殺虫剤も無毒化されて効かない。
彼らの邪魔をしないよう、そろそろと地べたに這いながら生き残る人類。

あれ、いつのまに昆虫パニック映画になったのでしょうか。


そして
果たして針・ゴジラは食えるのか。

生態系の頂点にゴジラがいる以上、その利用も考えたいところです。
低レベル放射性廃棄物の塊ですし、変異原性の物質も溜まってそうです。
キャッサバのように、水に晒すなどして毒抜きが必要になりそうです。
食えたとしても、採集にあたって
無線で警報を発するので、報復が怖いです。金網でとらえましょう。
ハッキングができればなお良いです。ゴジラとのIT戦争にもなるかもしれません。
この先、
ヒトの上位捕食者として針ゴジラが君臨した場合
ヒトの食料生産が針ゴジラの下請けとなって
針ゴジラと無線交信し、必要な元素を調達するなど共生関係を保ちつつ
針ゴジラのフンを回収して、利用する産業が生まれることでしょう。
飛翔するゴジラが海外に移動しまうと、せっかくの遺伝資源が日本から逃げてしまいますが
人類そのものの危機なので、生物多様性条約を気にするヒトはもはやいないでしょう。
ヒトはゴジラにより進化を余儀なくされます。
分散したゴジラによる被曝は避けられないので
被曝耐性の遺伝子を導入した
「シン・人類」へと移行したほうがよさそうです。
ヒトを食う針ゴジラに支配され、土や大気は汚染され
針ゴジラの廃棄物を利用しながらスキマに生きる未来のシン・人類。
ゴジラに含まれる有機物を使って、被爆耐性の植物を育てないと
食糧もままなりません。汚れているのは土なんです
飛行するゴジラに襲われる人々
硬いゴジラの脱皮殻を使って
ゴジラに撃ち落とされない強い飛行機を作る人々
ゴジラと無線通信し、卵を分けてもらう人々
ゴジラの腸を身にまとい、汚染された地域で生きる人々
ゴジラの一部を培養し、兵器として他人を殺す人々
巨「針」兵東京に現る?

あれれ
なんだか見たような


他の映画になってしまいそうですね。
ここで、庵野監督がこれから作るべき映画が明らかになりました。
シン・ナウシカです。
エヴァは後でいいんじゃないですか。
シン・ナウシカはゴジラの正当な続編でもあるのです。
原作ナウシカを実写でもアニメでもいいので、作ってください。
宮﨑駿さんが
「私は好きにした。君も好きにしろ」と庵野監督に言い放ったらゴーサインですね。
続・シン・ゴジラもとい
シン・ナウシカに昆虫食は出てくる
と予言しておきます。

5

さて、
ゴジラが元素変換装置を使って作っているものは何でしょうか
「なんでも作れる」というものの、ゴジラは最後まで熱の放散の問題を抱えていました。
核融合でも核分裂でも、既存の元素を作った場合、質量欠損を伴うので、
多くのエネルギー放出が必要になります。
熱問題を悪化させないためには、使えるものは使ったほうが良いのです。
また、
核融合のためには、原子核同士の反発を抑えこむため、超高密度にしなければなりません。空気中から元素を取り入れ、圧縮するコンプレッサーのようなものもあったことでしょう。
まずは窒素
空気中から取り入れられる窒素を使って、高温高圧ハーバー・ボッシュ法さながらに
有機態窒素を作るのは朝飯前でしょう。わざわざ窒素は元素変換で作らなくてよさそうです。
水中の窒素分圧は低いので、海中にいた時は窒素も作っていたものと思われます。
空気の取り込み裝置は、そのまま空気中への排気装置としても使えるので便利です。
続いて水素
水中生活では不自由しなかったものが、陸上ではあっと言う間に不足します。
空気中の水蒸気は少ないので、空気から大量に集めるか、空気中の酸素と
重い原子の核分裂の時に出てきた陽子から水素を調達してきて作るとよいでしょう。
炭素
これは窒素に放射線をあてて炭素14を作ればいいかと思います。
逆にCN比が偏り、増えすぎる炭素を管理する必要があるかもしれません。
酸素
これも微妙ですね。海水中ならば水から作れます。
上陸後でも空気中から取り込む能力が高ければ作る必要はないと思います。
リン
DNAにはリンも含まれているので、DNAが読めたということは、ゴジラがリンを使っていることはあきらかです。これが作れるとなると、食料資源として非常に有望です。現在肥料用のリンは鉱石に頼っておりその一部は海鳥のフンの堆積物です。つまりゴジラのフンにはリン資源としての可能性が大いにあるのです。(ゴジラのフンとは何か、という問題は後で述べます。)

核分裂エネルギー源
これも放射性廃棄物を取り込んだとしても
あまりエネルギー調達には向かない状態でしょうから
濃縮と精製が必要になると思います。
アメリカはゴジラが食べた、と当初予想していますが
その後元素転換ができるという話になり、ゴジラが食べていたのかどうかは
はっきりしません。軽い元素を核融合して熱を取り出すよりも
重い元素を分裂させて熱を取り出したほうが投入エネルギーは小さくてすむはずなので
(それすら超越している可能性もありますが)放熱管理上は核分裂の方がいいかもしれません。
さて、
何らかの超技術による元素変換で
通常元素を作る場合は、核分裂にしても、核融合にしても
質量の欠損を伴います。つまり大量の熱が発散されるのです。
多くの物質は10000度にもなればプラズマ化し、元素として機能しませんから
元素変換をして、その元素を回収して生体内で使うには大量の熱放散が必要になります。
つまり「強力な冷却装置」がゴジラには常に必要とされたのです。
その冷媒として選ばれたのが、
第二形態までは海水であったと考えられます。
その後海水が100度前後で気化してしまうことから、
空気中への100度以上の排熱を行う第三形態へ
そしてビームの放出を行う第4形態へと戦略を変えていったのでしょう。
そして、
牧元教授は、ゴジラに何をしたのか。
おそらくは冒頭、極限環境微生物そのものか、そのゲノムの一部を
東京湾に眠るゴジラに打ち込んだのではないでしょうか。
海水ゴジラの体内生態系が、それにより大きく変わったのです。
今までゴジラは他の生物の感染を放射線で殺菌していましたが、
その一方で、
通常の生物が運用している免疫機能は捨て去ってしまったことでしょう。
そこで極限環境微生物のタンパク質は放射線をかいくぐり
ゴジラの細胞膜機能を奪います。
すると、代謝不全、特に熱発生の節約ができなくなり
海水が沸騰するほどの排熱のでてしまう「熱暴走状態」
になったと思われます。
慢性的な熱暴走状態を回避するため
その後短い期間で第4形態までのすさまじい形態変化と質量増加を伴いました。
それではゴジラの活動の生理的な制限要因について
時系列の順を追って見てみましょう。
基本的には「排熱の限界・もしくは妨害」による排熱戦略の変更で説明していきます。


 
第0形態 
完全水棲
大戸島にいた神話の生物か、はたまた突然変異か分かりませんが
ある一個体の大きな生物がいたようです。エラも持っています。
神話ってのは実績のある大きなフィクションなので
SFとの相性はよいですね。迷信ともとれるし、何かを示唆したり、隠すために
作られた、という解釈もできるので、信じることも無視することもできる。使い勝手が良いです。
アメリカが以前から監視していた巨大生物で
エラがあり、強固な骨格がある模様。
眼球は大きく、焦点は海水に特化していたので
深海生物のように見えます。
その後のボディプランは「巨大化」の一途です。
水の粘性を考えると、
エラの構造も、筋肉も巨大化したほうが効率は上がりますので
第0形態は大型化が最適戦略です。
おそらく、核分裂エネルギーを使いはじめると
かなりの熱を放出しますから、水温が低く安定しており、
深海の沸点の高い地域の方が、高温の水を放出できるので良い環境かと思います。
ではなぜ浅瀬にやってきたのか。
最初の形態変化は、おそらく脚でしょう。
非常に硬い外皮の構造と、重い元素を作ることから
次第に泥地の深海では浮くことはできないでしょうし、埋まってしまいます。
流体の水が廃熱に必要ですから、やむを得ず足場の良い浅瀬にやってきたのでしょう。
第一形態 アクアライン上の浅瀬までの予想図

わかりにくいとの声がありましたので、2016年8月29日、図を追加しました。
元素転換裝置は、ヒトの技術でいうところの、粒子加速器と衝突装置に近いものだと考えています。本当の構造は不明ですが、便宜的にその機能をもつということで予想図に入れています。

ココで、牧元教授による、極限環境微生物の投与が行われ、細胞膜の活動阻害が起こり
特に影響を受けやすい必須元素の転換か取り込みの不具合を起こすことで
要求される排熱量が増大したと考えられます。
システムが解明されていないので、感染症に対する反応がどうなるかはなかなか予想できません。
「私は好きにした 君たちも好きにしろ」と牧元教授が残したのは
ゴジラが死ぬかもしれない、活動停止するかもしれない、もしかしたら急激な形態変化をするかもしれない。
という大バクチだったと言えるでしょう。
その後の大災害を見ると、結果を見る前に命を断ったのも当然かも知れません。
まさに芹沢博士タイプといえます。
ゴジラはしゃーなしに
元素転換裝置のエラ系の排熱不良によって、
海水の水蒸気爆発という、アクアライン事故を引き起こしました。
エラ構造は気泡が入ると効率を下げてしまうことから、
気体による熱放出には適していないので、ゴジラは空気中に排熱先を求めました。
上陸です。

第二形態 通称蒲田くん 予想図


第二形態は河川から水を吸い込み、気化して水蒸気を勢い良く吹き出します。
水は蒸発すると体積は1700倍に膨張するので
その圧力も利用すれば、気化熱とあわせて速やかに排熱が可能になったのでしょう。
エラは水を水蒸気に変換させる裝置としては気体に最適化されておらず、おそらくアクアライン事故のダメージから出血してしまったと思われます。
多摩トンネルが崩壊したことから、既に浮力の恩恵は受けていなかったのでしょう。
生体機能に必要のない重い元素を減速材などに使うために体にまとっているでしょうから、
体重増加が深刻です。
気管系から水蒸気を噴き出しているので、変な甲高い声がでてしまっています。
これも排熱不良からくるものでしょう。音が出る、というのは気流の管理がいまひとつできていないといえそうです。
しかし蒲田くん、排熱に適した水を手放し、完全に陸上に上がってしまったのです。
空気の取り込みが上手でなかったためか、動きが止まってしまいます。

第三形態 通称品川くん 予想図 


そこで品川くんへの形態変化を実施します。
浮力を使えなくなったことから
脚部が強化され、体重移動に対応するよう、転倒に備えて尾部と腕部が強化されました。
何も吸収する様子はなかったので、品川くんは体重ではなく、体積を増加させ
全身に吸排気用のスリットを設けたのではないでしょうか。「体重が不明」と設定にあるのも、おそらく体重変化が第二形態と第三形態の間になかったので、情報の信頼度がないために公表していないのでは、と想像します。
これにより体の内部まで空気が入り込み、煙突効果を使って口から
熱噴流として放出します。先に吸収しておいた水も放熱用に使ったことでしょう。

品川くんは体の各部に見える赤色の部分がすべてスッカスカで
蟻塚のように空気を各部から取り入れ、温まった空気が
頭部と尾部から噴出する、煙突のような仕組みになったのではないでしょうか。

品川くんの内部には、いわゆる原子力の熱源を利用した原子力ジェットのような構造が
新たに作られたと思われます。
それによって空気を圧縮し、高速で打ち出すことで排熱を効率化したのではないでしょうか。

劇中、品川くんの上陸経路での放射線空間線量が上がったのも、排熱のための
原子力ジェットが機能したためと思われます。
水に比べて空気は放射線を吸収しにくいのと、粘性が低いので、
ジェット噴流によって、多くの熱を遠くまで放出できるようになったと思われます。
ですが、
これでもまだ体温を放出するには
足りなかった模様で、品川くんは突然海に帰ってしまいます。
品川くんのスリットに海水を入れることで、
水冷・空冷のハイブリッドとなったのでしょう。
第4形態 鎌倉再上陸 鎌倉さん予想図


この形態が劇中最後まで使われたことから
陸上への完全適応がなされたと思われます。
水は使っても使わなくても大丈夫になったのでしょう。
体重は92000トン。
大きく重くなったことで、より強力で、効率的な冷却系を搭載したと思われます。
理由は後で述べますが、高圧の液体・固体窒素を冷媒とした冷却システムを搭載したと
想像しました。
もちろん空気を取り入れ、そして暖められた空気を放出する
空冷も同時に行われています。
ゴジラの上空には暖められた空気が上昇気流になって
さぞ積乱雲が発生しやすかったことでしょう。
そういえば雨のシーンなかったですね。
さて
ここにきて、ゴジラの体温をさらに上昇させるイベントがおこります。
タバ作戦です。
自衛隊の総戦力を使って
ゴジラの足止めを画策しました。
攻撃によりゴジラの運動量が低下していることから、この作戦は
排熱を妨害するのに十分な効果があったものと思われます。
爆発による排煙で、空冷式の排熱や
必要な元素を空気中から取り入れることが阻害されたのかもしれません。
そして次に貫通型爆弾による米軍の空爆。
これにより熱源である胸部から体の各部に熱を拡散させる冷媒、
血液が大量に漏れる、というアクシデントが起こります。

これでは足りなくなった血液を、元素転換裝置で
作ろうにも、排熱ができずに反応が詰まってしまいます。
ここで、血液を作るにあたって新たな放熱方法を採用しました。
第4’形態としましょう。
いわゆる粒子ビームと呼ばれるものと思われます。
ゴジラから新元素が見つかったということは
核融合のためにおそらく粒子加速器のようなものを使っているでしょうから
そのうち、必要のない放射性元素をそのまま遠方に打ち出してしまうことで
閉鎖系の冷却機構や、体表面からの放熱の負担を下げたと思われます。
第4'形態 予想図 内閣総辞職ビーム

放出された粒子ビームはその高エネルギー故に空気中の原子をプラズマ化し、発光させます。
水中では莫大な水蒸気が発生してしまい、熱が近傍にとどまってしまうでしょうから
雷の通り道のように、プラズマ化した空気路は水中より放熱効率を上げたことでしょう。
同時に、品川くん時代に搭載したジェット機構により大量の空気を取り込み、そして不要な成分を口から噴出することで、その周囲に可燃ガスが燃焼して周囲のプラズマを保温した
「放射熱線」のようなものができ上がります。
すなわち「放射熱線は貧血時のゴジラのウンコ」だといえるでしょう。
ゴジラが上陸し、血液を失った結果「ビーム式放熱を行う」ことで最適化されたといえます。
粒子ビームは空気中よりも真空中でより進むので
ゴジラは将来的には真空中に放熱する宇宙怪獣になるやもしれません。
さて
タバ作戦と米軍機撃ち落としビーム放熱が終了すると、ゴジラは2週間の休眠状態に入ります。
 
ビームの射出にはかなりのエネルギーが必要なのと
低出力では単なる火炎になることから、多くのエネルギーを必要とし
かつ、一度火がつくとあまり細かな調節はできない模様です。
ビームの射出や核融合のための空気の圧縮の用途で、

強大なコンプレッサーが体内にあったと考えられます。
それを利用し、カーエアコンのように、圧縮機を利用した高圧の冷却系が使われていたと考えられます。おそらく冷媒は液化窒素か、液体固体の混合です。それは凍結時、中心温度が-196度であることから考察できます。

クリックして20100129_machida.pdfにアクセス


ビーム射出後は利用可能な残存エネルギーが枯渇してしまい
コンプレッサーも停止してしまうので、
圧縮して熱を発していた様々な高圧ガスの圧力が下がり、放冷することで
ゴジラの体温が下がってしまうのでしょう。
血液循環を使って徐々に圧力を下げつつ、温度低下を抑えつつ空気中に放冷する穏やかな低代謝の二週間が続きます。

ヤシオリ作戦によって、血液凝固剤による血液の凝固や気管系の閉塞と
牧元教授の遺品である細胞膜の機能阻害とを同時に実施したことで、
今度は暴発・熱暴走ではなく高圧冷却系の密封が不具合を起こし、一気に圧力低下&吸熱凍結が起こったと思われます。その冷媒に窒素冷却系であった、と考えると、凍結ゴジラが-196度に低下したことが説明できます。
 
そう考えると、
体内の液体窒素がすべて常温常圧になって蒸発しまうと、ゴジラはもはや冷凍状態を維持できないので、
速やかに凍結維持システム、冷凍機のセットが必要です。ゴジラをエネルギー源とする冷凍機ができればよいのですが。
外部から電力を持ってくる場合は、
東京のヒートアイランド現象が加速しそうです。
東京の電力需要は、夏のゴジラ冷却が最優先されるでしょうから、計画停電も頻繁に起こりそうです
さて、話は少し戻りまして、
通常休眠中のゴジラは、新たな特徴を有していました。
近づく飛行物体はすべて撃ち落とす、という自動迎撃システムです。
B2爆撃の経験をもとにその迎撃範囲が設定されたものと思われます。
レーダーのような、長波長の監視システムを採用することで
短波長ガンマ線まみれの環境においてノイズを避けているのでしょう。
ゴジラが無線を使えるようになった、というのは実はすごい進歩です。
神経細胞は再分化が難しい細胞なので、放射線のダメージに応じていちいち更新することはめんどうです。神経という有線でタイムラグのある情報伝達手段は廃棄され
すべての細胞が無線で情報交換をしながら、形態変化の戦略を統合していたと思われます。
細胞膜の電位変化を引き起こすためのタイムラグが事実上なくなるので、巨大化にももってこいですし、中枢を頭部や中心部に集中させる必要もありません。
ここまで想像すると、
最後に尻尾の先から「ヒトのような上半身」が大量に浮き出ていたことも
理解できます。
「群体化」するのです。
ゴジラはレーダーのように無線通信するシステムと
粒子ビームによって余計な放射性廃棄物を射出するシステムを持っていました。
ところが、巨大な体躯は体積あたりの表面積が小さくなってしまい、
放熱にとってあまりいいものではありませんので
海水による冷却から空気の大量取り込みによる冷却、液体窒素による冷却まで
戦略を変更してきましたが、いずれも脆弱性をかかえていました。
そのため、ゴジラは空気を吸入し排出する気管系が発達していたでしょうし
口から入った血液凝固剤が血中に到達するような、物理的にはザルのようなシステムをもっていました。
その欠点を克服すべく、気管系を体内に設けるのではなく、個体を群体として分離・小型化し、
体積あたりの表面積を最大化し、いわゆる「小型ファンレスPC」のように
直接体表面から放熱できるように形態変化していくものと思われます。
エネルギーは無限ですから、
当然飛翔もできるでしょうし、そのほうが電波の通信も良好になります。
一個体ではさほど強くなくても、集団になれば敵を取り囲んで熱殺もできるでしょう。
元素が不足した場合は群体同士が共食いして小さいコロニーになればいいのです。
巨体を維持するために無理して元素を作る必要はありません。
そして歯の存在。もう気づいてしまいました。
苦労して排熱して元素を作る必要なんかない。
元素はそこにあるじゃないか
と。
近い組成の陸上生物、ヒトを食うために、適切なサイズになろうとしているのです。
そして歯の構造がヒトにそっくりです。元素変換のできるけど攻撃以外には使わない
従属栄養動物として再デビューするのではないでしょうか。
つまり
「無線を備えた情報伝達タイムラグのない社会性のそこそこ巨大なアリ・ハチ」
のようなものが誕生するのです。
これはヒトにとって大変に脅威です。
ゴジラが放熱効率を上げるならば、より小さいほうが効率的です。
小さいほど、大きな動物を殺して食べることが困難になりますので
捕食対象に合わせた大きさがよいでしょう。
代謝に余った重い元素を含む放射性廃棄物は熱を出すので
ウンコとして排出するのがよいでしょう。
粒子ビームにすると放熱が大変なので、針を備えてヒトの体内に注入すれば致死率も抜群です。
ようやく見えてきました
シン・ゴジラとは
「針・ゴジラ」つまり有剣ハチ目への
さらなる形態変化を暗示していたのではないでしょうか。

後編は、私の新説 針・ゴジラについて考えてみましょう。

シン・ゴジラ
制作が発表されたと聞いたとき、全く期待してませんでした。

監督エヴァの人だし。巨神兵東京に現わる、
はミニチュア特撮に拘泥しすぎでしょ。
進撃の巨人実写ダメだったらしいし。という前例主義の先入観です。
義務感で見に行きました。
思い返せば15年前。
ガメラ三部作で、リアルな怪獣映画を作ってくれた
金子修介監督がゴジラ映画を。との触れ込みで見に行ったゴジラ2001

「とっとこハム太郎同時上映」という地獄。騒ぐ子供と連れてきた保護者
ハム太郎を見たら出て行く子どもたち。
映画自体は好きだったんですが、
この辺で義務感で映画館に見に行くのをやめました。
ファイナルウォーズもレンタルでみました。
ですが、今回
なにか引っかかるものがあって初日に見に行くと


最高。
幼少期にキングギドラから入り、ビオランテが気に入った
平成vsシリーズ好き、初代好き、かつ昭和プロレスゴジラ気に入らずの
私にとって、最高のゴジラ映画でした。
SF考証もかなり練りこまれています。
「リアリティ」が絶妙ですね。
東日本大震災を経験し、津波と原発事故を見聞きし、誰もが知ってしまった大災害のリアリティを
ほどよくリフレインしてくれるので没入感があります。
ゴジラ映画らしく、人類が手詰まりになった後の、後半の荒唐無稽さも楽しいものでした。
この映画に昆虫食は出てきません。
ですが、ゴジラという特殊な生物の生理機能が物語の軸を握りました。
ハードSF生物映画なのです。
以下盛大にネタバレしますので、ご注意ください。


<総理、ネタバレ許可願います>
<ご決断を>
<今するのか? 聞いてないぞ!>
<時間がありません。ご決断を>
<総理!>
<以降 すべてのネタバレの使用を許可します>


このゴジラ、
最後に群体化することが示唆されました。
これはどういうことか。
なぜそれまで巨大化してきたゴジラが
ヒトのような歯をもつ小型群体サイズを最適としたのか
そもそも
冒頭の水蒸気爆発は何だったのか
牧元教授は何を「好きに」したのか
どうして巨大化したのか。上陸したのか。
なぜ最後に血液凝固剤で凍結したのか。
ポンプ車で口から600klもの血液凝固剤が体内に取り込まれたのか
そしてゴジラははたして食えるのか。
アメリカが狙っていたのはエネルギー革命でしたが
むしろ食料生産に革命をもたらすかもしれない
ということです。
紐解いていきましょう。
最後に、シン・ゴジラのシンとは何だったのか、
私が類推した新説を提案してシメとします。
情報は本編と、パンフレットのみです。
想像で補って類推したので、
公式設定と間違っている部分もあるとは思いますがご愛嬌。

公式設定集、ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

に書かれている可能性もありますが、まずは想像してみた限りです。
映画の批評的考察の場合、最大限「ありうるもの」として
知識や展開を補填していきます。
なさそうなものとして考察を始めると、そもそもゴジラが存在しない、と
なってしまい深く切り込めないからです。こじつけでも、苦しくてもできるだけ建設的な姿勢で。
それでは参ります。


今回のゴジラの生理的特徴は「元素変換装置」でした。
以前から、核物質をエネルギー源とする設定はゴジラに一貫して見られましたが
初代がクジラを食ったりする他は、栄養源(構成要素)の摂食はほぼ見られませんでした。
エメゴジがマグロ食ったりしていましたが、あれは除外しておきます。
シン・ゴジラはその一歩先を攻めました。
「元素変換裝置」を持つのです。
そのため、陽子・電子・中性子を自在に組み替えて、任意の元素を作ることができるので
空気や水を原料になんでもできる「霞を食う仙人」のような新生物なのです。
体内、おそらく最も温度の高い胸部に元素変換を行う特殊な構造をもつようです。
ヒトの構造物で言うところの粒子加速器みたいなもの、なのでしょう。
本来の元素が生み出された超新星爆発のような高温高圧・超重力状態ではなさそうですが、なんとも立ち入れない部分です。
元素変換装置は唯一の大フィクションで、人智の及ばないところです。
稼働中のゴジラの内部を見ることはもう不可能ですから
その仕組みは闇の中となってしまいました。
このフィクションを起点として
ゴジラ個体に現れる生物学的特徴については、
大フィクションをできるだけ排して
しっかり作りこまれており、物語の舵取りをきちんと行う姿勢があります。
優秀なハードSFです。
予防線的に監督が学者に述べさせていますが
生物学的な「正しい考察」
冒頭の有識者会議で済んでおります。
「クジラの亜種なのか恐竜の生き残りなのかは全くわからない」
「映像だけで判断するのは生物学とはいえんでしょう」
「そもそも映像がホンモノか確証がないと」
さて、
ここから更に踏み込んで、実効性のある対策を巨災対は求められました。
物語上、効いたのですから、物語上、我々は傍観者で、彼らが正義です。
プロセスが人智を超えていても
人智を超えた隠れた物語があったとして、議論における思いやりの原則で補完しながら考察するのがよいでしょう。


ゴジラはどのような生理機能を持つ生物なのでしょうか。
ゴジラは生物です。
なので環境に応じて、その性質が変化します。
そして当然、変化に応じて、異なる栄養素を要求すると考えられます。
普通の生物、
もしくは従来設定の放射線をエネルギー源とする生物である場合
必要とする元素は多種多様で、外部から取り入れる必要があります。


ところが、今回のゴジラは特別製で
元素からまるごと転換してしまいます。

とはいえ何でもかんでも元素転換で作ってしまうと、莫大な熱エネルギーがでてしまいます。

ゴジラは放熱に問題を抱えていたので放熱の節約のために
重い元素はエネルギー調達用にして、生体機能には比較的軽い元素を多く利用しているようです。
また、
核分裂をエネルギー源として使いつつ、放射線を体外に放出していることから、
軽い元素において窒素→炭素14のような予期せぬ元素変換も起こってしまうでしょう。
元素転換裝置において
生体機能を維持するための元素転換と、
エネルギーを調達するための元素変換のトレードオフがありそうです。
また、
生物である以上、
元素だけでなく、使える分子にまで合成しないと、元素作り損です。
せっかく元素を作っても、高次構造を作れないのでは
残念ながら必須栄養素を外部から取り入れることになり、基礎代謝の高さから
あっという間に餓死してしまうでしょう。
つまり、シン・ゴジラは元素変換裝置の意義を最大限に利用するために
必須栄養素の存在しない、
体内に生態系そのものを内包するような生物になった、といえるでしょう。
これは有望な遺伝資源です。
放射線滅菌でも壊れにくい、耐熱性の、元素から高次構造までの遺伝子セットが
おそらくゲノム、および共生微生物群に含まれているのです。
なので、もはや元素転換裝置を手に入れられなかったとしても、その遺伝子は非常に有望で
日本の領土で手に入った以上、「日本の遺伝資源」なのです。
すると、本来ですと生物多様性条約のABS(Access and Benefit Sharing)条項に基づき
アメリカに持ち出すためには、国同士の契約と、管轄機関同士の契約が必要になります。

フロントページ


劇中では「人道的措置」によって、
ゴジラの対策を重視した結果、遺伝子配列が多くの国に共有されてしまいましたが
そこから得られる利益については、ゴジラ保管のリスクを負った日本がきちんと交渉していくべきでしょう。
つまり、
巨災対の次の仕事は「ゴジラ遺伝資源管理」となることが予想されます。
また、その血液を凝固させる薬品の開発、
ゴジラの細胞膜の活動を阻害する極限環境微生物がもつ巨大タンパク
(これの産地と発見者の所属によっては他の問題も生じますが)
も効くことがわかっていますので、
製薬会社を初めとしたゴジラ関連巨大遺伝資源産業が生まれ、そして
ゴジラ特需を産むと考えられます。
退治したヤマタノオロチから天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が得られたように
ゴジラリスクをもつ日本がゴジラ遺伝資源の恩恵を、ゴジラ対策・復興と称して貯めこむ
未来が想像されます。もちろん大きな経済的恩恵をもたらしたのですから
矢口さんの政治家としての出世も安泰でしょう。
すると、
ここで気になるのが前半で語られた「インパクトのある理研の発表」
です。最初の上陸時にエラから吹き出した血液サンプルから
ヒトの8倍ものDNAが検出されたとのこと。
タンパク質あたり?1細胞あたり?
有核赤血球あたり?幹細胞あたり?
変敗した血液サンプルを元に、ヒトの遺伝子量と比較して8倍、という
整数倍を提示するのって結構大変だと思うんです。
速報を重視した結果の拙速な報道のような気がします。
「シークエンスだけで何年かかるか」というのも
(原子力規制委員会の人が言ったので専門外の可能性もありますが)
のちに判明しますが。
放射線を常に放出するタイプの生物なので、分裂しつつ、修復しつつ、壊れつつ、の
ランダム変異が細胞ごとに入りまくった「変異早送り代謝」が起こっているのでは
ないでしょうか。
バラバラにして読んだゲノム断片をつなげるアルゴリズムも、既存のではなくゴジラに合わせた独自のものが必要でしょう。
何しろ1シーベルトの環境下で、修復エラーがあってもそのまま増殖するものですから、1細胞だけからDNAを切り出したとしても、切り口は荒れまくっていることでしょう。個体内では多くの細胞が、それぞれ異なるゲノム編成になっている可能性もあります。
むしろ共通の遺伝子をもつ、という多細胞生物の概念すら通用しない可能性があります。
第一次上陸の後ですし、
アメリカがサンプルを持っていってしまったし
個体全体が手に入らない状態で、理研だけが持っている血液?かどうかもわからない赤い液体サンプルをもとに
情報を引き出した、シーケンス可能な状態まで持っていった、というだけで
速報性、という意味では意義のある発表だったと思います。
「これでゴジラが最も進化した生物だ」とのことを
尾頭さんがおっしゃってますが
進化の途上にある、遺伝子構造が冗長で最適化されていない、という
イメージでも良いかと思います。
表現形の変化速度を見ると、ヒトの8倍もの遺伝子をやりくりしている、というよりはその可塑性が高く、ウイルスのように単純なゲノムを超高速で変異させ、使いまわしながら形態変化をしているような気もします。
細胞あたりのDNA量が多いのも、ヤシオリ作戦で口に垂らした血液凝固剤がザルのように体内に吸収されていったのも
ゴジラが体内外の境界が極めて曖昧で、常に環境中の遺伝情報を
取り込みながら利用し、代謝している生物だったのではないでしょうか。
常に核分裂・融合反応ゆえの放射線がでているので、滅菌効果は抜群です。
通常の生物では感染も難しいでしょうから
免疫機能はもう要らないのでしょう。
また、
もともとの通常生物だったころのゴジラのDNAもブッチブチに切れているでしょうから
ゴジラの生態系を理解した上で、
メタゲノム解析のようなことをしないと、その全貌は見えてこないでしょう。
バイオインフォマティクスのゴジラ分野の進歩が期待されます。
もちろん日本の領土において遺伝子変異が起こったので、
いずれのDNA配列情報も日本の遺伝資源です。お金のニオイがしますね。
次は時系列にそって、ゴジラの環境や状態と
そこに起こったであろう生理的な変化を想像してみましょう。
中編に続きます。

お知らせです。
8月4日、NPO法人食用昆虫科学研究会の副理事長、水野壮監修・執筆の
昆虫食の新書が出版されます。表紙のトノサマバッタは私が撮影したものを使ってもらいました。

我々が本格的に研究を開始した2011年から

FAO報告書で盛り上がった2013年以降、現在に至るまで、
世界の昆虫食事情がどのように変化し
日本において我々の研究がどのように進んでいるのか、ざっと概観できる素晴らしい本に仕上がっています。
私の昆虫味見コラムも載っています。
私が主著者になる本はまた別で進めていますが
かなりの趣味的部分が濃くなり、けっこうな分量と価格が予想されるため、
ライトに入り口を覗いてみたい、という方は
たった1000円ですので、予約購入をおすすめします。私も内容を確認しておりますが
まだどこのネットにも書いていない情報がいくつも惜しげも無く掲載されていますので
昆虫食のビジネス化に興味があり、他社に先んじたい方にも良いかと思います。
最近、研究会にも個人や企業からの問い合わせが多くあるのですが
基礎的なことを知ってもらわないと相談にならず
1から説明するのに苦労することが増えてきました。
そこで、
先にこの本を読んでいただき、そこから興味のあること、
疑問に思ったことを問い合わせいただければと思います。
昆虫食を研究したい学生さんにもおすすめします。
買うお金の無い、という方は
複数の図書館にリクエストカードを書いて出してください
ともあれ、
我々の研究は持ち出しの研究費不足が続いております。
ぜひともこの書籍を通じて情報を買っていただき、支援いただければと思います。
昆虫食の情報なんて要らないよ、という方は
あるいは寄付でも構いません。

(PDFパンフレットに研究会の口座が書いてあります。寄付の検討をされている方はご一報いただければと思います。)
まだ認定NPOにはなれていませんが、今後昆虫食を総合的に研究できる
研究会として、一層の充実を図るために使用させていただきます。
こちらで立ち読みもできます。
http://www.yosensha.co.jp/book/b243315.html

ぜひご覧になってお買い求めください。

#土用のむしの日キャンペーンを、
個人的かつ大々的にやってきたわけですが
現状、どのような代替物でも、
絶滅寸前のうなぎに比べたら「いいもの」です。
また、ウナギは年々価格が上がっていますが、対コストというより、
絶対量の不足による希少価値で値段が上がっている現状を見ると、
政治的介入をすべき段階だと思います。
この状態が、
地球の未来の紛争を見るようでなんだかやるせない気持ちになります。
現在、
多くのヒトは第一次産業に従事しておらず、従事していたとしても自給用ではないので

「食品は市場で買うもの」となっています。
そのため食品は市場価格をもちます。
ところが、他の物品と比べて、食品の市場価格は大きな特徴があります。
不足した時に市場が崩壊するのです。
食糧が不足する状態では、市場そのものが維持できません。
そのため、政治的に介入したり、国際的に援助をする必要があるのです。
ある供給力を下回った時に、食品は、市場経済では扱えないものに変わってしまいます。
それを回避するため、つまり
健全な資本主義経済の上で食品を回すことを目標とする
政治的な食料安全保障、という取り組みがあります。
同時に、個人の備えとして自給力を高める、という食料安全保障もあります。
投機的な市場経済の高速化によって、食品価格の乱高下は起こりやすくなっていきます。
大規模災害時には、流通が止まるので、市場経済にアクセス出来ない状態にもなります。
私の願望としては、個人の自給力を高める手段として、昆虫を利用した分散家畜を
実用化したいな、と思っています。
前置きが長くなりました。
端的に言いますと
「自給うな丼を作ろう」ということです。
ウナギは完全養殖の技術が確立していない未開発の家畜ですので
種を他のものにしましょう。
今年は以前から推している、エリサンです。
今年もとある方から分けていただき、養殖できました。
養殖に必要なシンジュの葉も、あるルートからもらうことができました。
わが家でもプランターに株を用意しています。

今回は、エリサンが繭を作って、蛹に脱皮する前の段階
「前蛹」を使って、エリ丼を作りましょう。
その前に、以前に作った代替うな丼を振り返ってみましょう。
2013年にはオナガミズアオ丼

オナガミズアオとエリサンを使った2014年はこちら

2015年はトノサマバッタ粉末を練り込んだパンケーキ状にしてみました。

さて、今年は
「エリ丼はうな丼の容量でいいのか」
という問題に向き合います。
我々の口の大きさは、ほとんど決まっています。握りこぶしが入るヒトはまれでしょう。
口腔の容積は150mlほどだそうです。
もちろん個人差があるでしょう。
喉奥にまで含めるヒトと、そうでないヒト、
ともあれ多くの昆虫は150ml以内に収まります。
「一口大」であることは昆虫の利点です。
一個体の味のすべてを、

ちょうど一口ぐらいで味わえるのはたいへん手軽なものです。


一方で、
肉牛などは一口でウシのなんたるかを全く味見できません。
また、屠殺は多くの事故が起こる危険な作業ですし
屠殺後、数週間熟成させるなど、おいしく食べるにはかなりの手間とリスクと時間を要します
脊髄や脳、骨など、食べられない部位もあります。
一方で、一口サイズよりも遥かに小さい、

酵母などの微生物は、その周囲の培地と分離することは難しいので
「酵母って美味しい」という人もほとんどいないでしょう。
酵母発酵したものは美味しいとはいえますが、そのものの独特の風味を
味わえる、というのは一定の大きさが必要であることもわかります。
そういえば以前に、クマムシ博士の研究室で、
クマムシの味見をしていました、
コケ臭いとのことでしたが、食餌であるクロレラとの比較をしないと
クマムシ本来の風味を抽出することはできないと思います。

http://horikawad.hatenadiary.com/entry/2016/04/01/000000
「酵母は美味しい」「ウシは美味しい」といえる人がほとんどいない一方で
「むしは美味しい」「むしはおいしくない」と言うヒトが結構多いのは
単離した一個体を一口で食べることで、「味を網羅した」気分になれるのではないでしょうか。
実際はというと、
卵、幼虫、フン抜き、前蛹、蛹、成虫と、
多くの成長段階で味は刻一刻と変わっていきます。
成長段階を網羅したとしても、
「この昆虫は美味しい/不味い」というのはなかなか判断できないものです。
また、昆虫はその調理法が未開発ですので、茹でて不味いからといって
その昆虫が美味しくない、と判断するのは拙速です。
コーヒー豆やウメの実など苦味や毒の強いものもありますし
ゴーヤなんかは最近美味しいとされてきましたが、昔はその苦味が敬遠されていたように思います。調理法や文化によっても「美味しさ」は変遷するのです。
昆虫を概観すると、茹でただけで「食べ慣れたような味」に達するものが多いことから
嗜好品ではなくベース食糧としての可能性が大いにあると考えています。


話がそれました。
ウナギの場合、「尾頭付き」という文化とも関連していそうです。
ハレの日の食品ですから、丸まる一尾食べたいものでしょう。
結果として、ご飯たっぷりの「うな丼・うな重サイズ」が
出来上がったと思われます。
あくまで縁起物ですから、
節分の福豆のように、ちょっと口にするだけでもいいはずです。
昆虫の場合、一口で尾頭付きを食べられる調度良いサイズなので
一口前後が、最適なサイズなのではないでしょうか。
ということで、今回のエリ丼は「一口、ないし二口サイズ」
になります。
動画で作ってみました。

ということで、
「未来のうな丼は一口サイズ」だといえそうです。
これはどうしてもウナギを食べたい方にもいい話ではないでしょうか。
今まで一尾食べていたのを一人一切れにするだけで、
消費量は1/10以下になります。

30年前の稚魚の漁獲が200トン、現在が20トンという統計とも一致します。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120710/315512/?P=2

未来の子孫にウナギの味を残せるように
多角的に考えていければと思います。

土用の丑の日があと1ヶ月ですが
私はしばらく禁鰻をしています。
江戸時代のウナギが余る時期に作られた商業目的のゲン担ぎだそうなので、
ゲン担ぎで対抗できればと、
#土用のむしの日 キャンペーンもしつつ、持続可能性のない鰻食の根絶にむけて頑張る所存です。
これから夏バテが気になるシーズン。活発になる昆虫の栄養を
積極的に摂取することで、乗り切ってまいりましょう。
さて
ウナギの資源が危機的になる中、
近畿大学が「ウナギ味のナマズ」を開発したことで
話題になりました。

「ウナギ味」ということであくまでウナギの下位互換として売る、という商法は
ナマズのそもそもの美味しさを知る人にとってはなんともアレですが。うまく大手航空会社を互換したいLCCとの相性がよかったのでしょう。値段がかえって高い、というのも上手にクリアしているようにみえます。
我々は本来、「天然の」ウナギを食べていたのですが
今、多くの人は「養殖の」ウナギを食べています。
しかし、それは蓄養された「天然の」ウナギの稚魚であって
ウナギ資源に巨大な漁獲圧をかけています。
いまでも日本のウナギ流通は改善する様子がないので、
私は政治的な意思表明として、ウナギ食を禁止しています。
もちろんですが、最適な漁獲方法で、資源管理が徹底できているものを食べない理由は
ありません。私が食べないことで、廃棄になるコンビニウナギが減ることも、増えることもないでしょう。
あくまで政治的なものです。
私が何度も繰り返し言いたいのは
「食品の生物種で食べる・食べないを決める時代から脱却しよう」
ということです。
なので
「昆虫という種だから食べない」という判断も
「昆虫という種だから食べる」という判断も、この先は時代遅れになることを期待します。
私もゆくゆくは蟲ソムリエを廃業し
「食システム・ソムリエ」というような
https://goo.gl/3AAWT4 個々人にとっての環境利用の最適解を実装する
システムエンジニアリングを提供する形になっていければと思います。
そして、
食をシステムとしてとらえた時、
そのシステムから昆虫を除くことは、多くの場合ナンセンスです。
ということで、
ウナギ食を、ナマズで代用するだけでなく、更に昆虫を含める提案によって
システム改善していきましょう。
ともあれ、
ナマズがバッタを食べるかどうかが大事です。
ちなみに、
ピラニアは数年飼育して、一度しか食べませんでした。

好みもあるようなのですが、(脊椎動物の血の味が好きっぽいです)
カジリタイプのアタックアゴをもつピラニアにとって、水面に浮きっぱなしのものは食べにくく、
外から人が見ていることも気にするほどの臆病さなので、浮くタイプのものは向いていないようなのです。
沈降性ペレットにしてやると食うと思います。
さて、続いてナマズ
こちらもいつも底に潜っていて、なかなか上の方に上がっては来ないのですが
ナマズ釣用にカエルやバッタのルアーもあるようですし、
若干受け口なので、水面への注意もありそうです。
とある方面からマナマズをいただいて飼育し、慣れてきたごろにバッタを与えました。

慣れると、水槽をコツコツと叩く合図を条件付けることに成功しまして、
音にひかれて上のほうにやってきて勢い良く水と一緒に飲み込んでくれます。

キチンはそのままフンに出てくるので、水換えは結構大変です、ゴミの少なさも、配合飼料化への大事なプロセスだと思います。
一度の食事に10頭ぐらいは食べるのです素晴らしい食欲です。
さて、さばきましょう。
体重は329g


さて、
この「ナマズ養殖」は、昆虫利用のシステムとしてどう評価されるべきでしょうか。
また、どのような条件の地域に導入されるべきでしょうか。
バッタの導入は、既に開墾され、イネ科の草本が生えている平地が適していると思われます、
その中で、あえてバッタを食べずにナマズ養殖をするということは
渓流という豊富な水があり、内水面養殖が可能で日当たりの悪い土地が少々
交通の便が悪く、自給飼料によってコスト削減ができる地域であること。
そしてナマズを食べる文化圏があること、バッタを食べさせたナマズの味がよいこと
などが実装の条件となるでしょう。
バッタも手間を掛けずに半養殖で鳥よけネットぐらいが張ってある耕作放棄地で、粗放的に飼うのがいいでしょう。
アミか芝刈り機かなんかでにナマズ養殖池に向かってバッタを追い立てて、そのまま水面にポチャリと落ちるバッタを食わせればいいと思います。
もちろん、
飼料栄養効率でいうと植物食性のティラピアのほうがいいのですが、
販路も含めたシステムとして考えた場合、味の良い肉食魚というのは一つの選択肢としてあっても良いと思います、
そして、その評価は、単なる効率やポテンシャルの話を越えて
稼働中、もしくは具体的な稼働計画をもとに、アセスメントをすべきだ、
と思うようになっています。
つまり仮説から実装へ です。
当然ですが、単に昆虫を養殖したからといって食糧問題は解決しません。
コオロギはニワトリとタンパク質転換効率がおなじぐらい、という論文が出ているので
コオロギを養殖して食糧問題解決、という話はニワトリを無視して進められません。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0118785
コオロギは温室効果ガスの少なさが指摘されているのと
骨や羽などの廃棄物が出ないことで、温暖化や廃棄物問題に対して
どこかの地域における一つの最適解になる場合もあるとは思います。
もちろん、
今のプランテーションのように、土地を乱開発して、
巨大な昆虫養殖工場を作るとなると、昆虫養殖はむしろ地球環境にインパクトを与える産業として
監視と制限の対象になるでしょう。
魔法の杖は存在しないですし、昆虫食に過度な期待を集めてしまうのも
落胆のバブルを引き起こしそうでなんだか乗り気になれません。
何度も言うように
「システムで評価する」のです。そして、
それを社会に評価してもらうためには、実装する必要があると思います。
システムを実装するには、様々な制約条件があります。
土地、気候、文化、社会、法律、エネルギー源などなど。
それらの条件を最も満足する食糧生産のシステムを評価し、パッチ状に分散配置し
計算機によって予測し最適化することが、将来の「世界を救う」食料生産になるでしょう。
ともあれ、
昆虫が実装されたシステムが今のところほとんど無いので、
実装に備えて言語化して、理論化しておかなければなりません。
昆虫が
明らかに今までの家畜と違う点は
変温動物であること。これは「吸熱加湿デバイス」であることです。
もう一つは「一口大であること」
更にキノコや発酵微生物との大きな違いは
「移動して目で見えるサイズのフンを排出すること」
あたりでしょうか。
ここから、
昆虫利用のシステムと、そこに侵入してくるであろう脅威
そしてその最適な対処法まで、考えていけるでしょう。
今のところ、昆虫養殖の最大の脅威は、おそらく昆虫だと考えています。
実装の形の第一歩としては、
「バイオマスと廃熱の脱集約利用」という感じになるでしょうか。
いろいろと資金の限界を感じていますので、
近いうち何らかの動きをとる予定です。
またまとまりましたらご報告します。