後編は、
私の新説 針・ゴジラについて考えてみましょう。
針・ゴジラはエネルギー問題を解決した、ヒトの上位捕食者です。
ヒトに似た体型で、ヒトに似た歯をもち、
体表から冷却することで熱問題もクリアしています。
体が軽くなるので、熱放出のための外鰓のような構造がそのまま飛翔にも使えそうです。
第5形態 針・ゴジラ予想図
また、核攻撃をするにしても、
群体である以上無線システムで通信したままの分散が可能なので
一網打尽にすることができません。おそらく人類は負けるでしょう。
核融合による発熱は避けたいでしょうから、核分裂によりエネルギーを調達し
他の生物の元素や化合物を奪うのが最適です。
巨大な内部空間をもたないので、空気中から元素を集めて圧縮することはやめ、
普通の食料源から必要元素を摂取するようになります。
飛行物体はすべて針ゴジラによってビームにより撃墜するか、熱殺されるので
空輸は禁止。船便かトラック輸送が必要になります。
怒らせると針で低エネルギー放射性廃棄物を血中に注入するので
致死率の高い、解毒も難しいヤな毒です。
ハエたたきも効かない。殺虫剤も無毒化されて効かない。
彼らの邪魔をしないよう、そろそろと地べたに這いながら生き残る人類。
あれ、いつのまに昆虫パニック映画になったのでしょうか。
そして
果たして針・ゴジラは食えるのか。
生態系の頂点にゴジラがいる以上、その利用も考えたいところです。
低レベル放射性廃棄物の塊ですし、変異原性の物質も溜まってそうです。
キャッサバのように、水に晒すなどして毒抜きが必要になりそうです。
食えたとしても、採集にあたって
無線で警報を発するので、報復が怖いです。金網でとらえましょう。
ハッキングができればなお良いです。ゴジラとのIT戦争にもなるかもしれません。
この先、
ヒトの上位捕食者として針ゴジラが君臨した場合
ヒトの食料生産が針ゴジラの下請けとなって
針ゴジラと無線交信し、必要な元素を調達するなど共生関係を保ちつつ
針ゴジラのフンを回収して、利用する産業が生まれることでしょう。
飛翔するゴジラが海外に移動しまうと、せっかくの遺伝資源が日本から逃げてしまいますが
人類そのものの危機なので、生物多様性条約を気にするヒトはもはやいないでしょう。
ヒトはゴジラにより進化を余儀なくされます。
分散したゴジラによる被曝は避けられないので
被曝耐性の遺伝子を導入した
「シン・人類」へと移行したほうがよさそうです。
ヒトを食う針ゴジラに支配され、土や大気は汚染され
針ゴジラの廃棄物を利用しながらスキマに生きる未来のシン・人類。
ゴジラに含まれる有機物を使って、被爆耐性の植物を育てないと
食糧もままなりません。汚れているのは土なんです。
飛行するゴジラに襲われる人々
硬いゴジラの脱皮殻を使って
ゴジラに撃ち落とされない強い飛行機を作る人々
ゴジラと無線通信し、卵を分けてもらう人々
ゴジラの腸を身にまとい、汚染された地域で生きる人々
ゴジラの一部を培養し、兵器として他人を殺す人々
巨「針」兵東京に現る?
あれれ
なんだか見たような
他の映画になってしまいそうですね。
ここで、庵野監督がこれから作るべき映画が明らかになりました。
シン・ナウシカです。
エヴァは後でいいんじゃないですか。
シン・ナウシカはゴジラの正当な続編でもあるのです。
原作ナウシカを実写でもアニメでもいいので、作ってください。
宮﨑駿さんが
「私は好きにした。君も好きにしろ」と庵野監督に言い放ったらゴーサインですね。
続・シン・ゴジラもとい
シン・ナウシカに昆虫食は出てくる
と予言しておきます。
実はすでに宮崎駿さんは庵野さんにナウシカを作っていいと言ってるんですよね。でも、庵野さんがなかなか動かないとか動かないとか。
世界が燃えちまうわけだぜ…
アッハイ。
こんな風に変わりたくはなかっただろうに、人類のエゴゆえに化け物化してしまった生き物の悲哀の物語としてシン・ゴジラを見ている立場から、大変興味深く拝読いたしました。
ラストの尾の変態はヒト型・ヒトサイズでの群生化の暗示だろうと思っておりましたので、大変納得いきました。
いつあの凍結が溶けるのか…気になるところです。
(被爆じゃなくて被曝)
大変興味深く読みました。私もブログで同じような結論になったのですが、こちらの方がはるかに綿密に考察されていて感銘を受けました。ただ、ゴジラは新元素(新同位体でなくて)を生成できるので、その崩壊で生じる核種は多岐にわたるので、その元素を利用すると言う手もも使っているかもしれません。無論、水素も。それにしても、改めて、シン・ゴジラ、その人が普段何を考えているのかあからさまにわかってしまう凄い作品ですねえ。
とても素晴らしいものを読まさせて頂きました
とても面白い考察でした。
それにしても…シン・ナウシカは是非とも観たいwww
もう脱帽と最敬礼します。シンナウシカに繋がるあたりでもう別の映画一本見たように熱くなりました!ありがとうございます!
怖かった…そこらのホラー映画より怖かった…
私は虫には全く疎い人間ですが、ほぼ同じ結論に達したご意見を見つけてびっくりしました。私の場合は「シン・人類」ではなく、群体化したゴジラが新たに地上に君臨する「新しい人類」で終結するという解釈ですが(ゴジラに対してヒトの進化が間に合わないので現人類は先に絶滅する)。
おそらく庵野監督もそういう結論に至った上で描いていると思います。庵野監督は執拗なまでに「何故そうなったか、どうして今そう在るのか」を追求する人ですので、初代ゴジラを見た時点で、ゴジラの生態システムについても科学的にかなり考察していたでしょう。その結果、このような形態変化が不可欠であるとの結論に早くから至っていたはずです。
ちなみに人間が母胎内で辿るプロセスをゴジラも形態ごとになぞっているのだと思います。この辺りはエヴァの使徒と同じであり、むしろエヴァを作成した時点で、彼なりのゴジラの解釈の結果が使徒だったのでしょう。だから使徒とゴジラの役割が似ているのです(=本作がエヴァの二番煎じという批判の元になってしまう根拠でもありますが)。
ご高察を拝見してより自信が持てました。ありがとうございました。
若手だったアニメーターが、ナウシカで巨神兵がオームを薙ぎ払うシーンを描き、何十年後かにゴジラが進化した薙ぎ払いで東京を焼くと。そしてその後の世界、ナウシカを描くと。あれ、無限ループって怖いですね。。
面白く拝見しました。
私も映画「シン・ゴジラ」の生物学的な考察を行いました。良かったらご覧ください。
http://mushitaro.blogspot.jp/2016/09/blog-post_11.html
これ読んでからシンゴジラ観がこれに固まってしまいました。何とかしてくれ。
結論が素晴らしいです。とても面白く読ませいただききました。
もう何度も何度も読ませて頂き、読むたびに興奮と感動を禁じえません
良い作品に良い語り部、そして良いオタクであり続けたいと思います