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今年もマメハンミョウの季節がやってまいりました。
猛毒カンタリジンを体液に含み、幼虫はバッタの卵、成虫はマメ科の葉っぱをたべる変な虫です。
体色も独特でストライプのスーツを着た覆面レスラーのよう。

昆虫食を始めるにあたって
「美味しい昆虫」よりも重要かもしれません
「食べたらいけない昆虫」
多く質問されることなので、ココにまとめておきましょう。

カテゴリA 体液に強い毒をもつ昆虫

ツチハンミョウ
マメハンミョウ
アオカミキリモドキ
アオバアリガタハネカクシ
これらは強力な炎症性の毒をもつので、
食べるのは諦めたほうが良さそうです。
カテゴリB 強い毒をもつ植物を食べている昆虫

アサギマダラ
オオゴマダラ
カバマダラ
キョウチクトウスズメ
エリサン(キャッサバ飼育)
上記四種は食草の毒成分を成虫まで持ち越すことが知られています。
エリサンは毒草キャッサバで育てた後、消化管内容物がなくなる前蛹や蛹なら
食べられるそうです。これについても引き続き調査中です。

カテゴリC 捕獲時の危険度が高い昆虫
オオスズメバチ
イラガ
チャドクガ
セアカゴケグモ
外来種セアカゴケグモは咬むことで神経毒を注入します。
イラガやチャドクガは強い毒刺毛を持つことで知られています
オオスズメバチも攻撃性が高く、毒も強力です。
スズメバチ類は駆除業者や専門家にお願いするとよいでしょう。
イラガは冬の越冬蛹だけ無毒なので、
繭ごと炒ってピスタチオのように食べられます。

カテゴリD 消化管に感染性細菌が多く含まれる昆虫
イエバエ
ゴキブリ類
オサムシ類
シデムシ類
ゴミムシ類
感染性の細菌は生きたまま体内に入ると食中毒を起こすだけでなく、
加熱前に繁殖した時に生成された毒素だけでも中毒を起こす危険があるので
腐肉食性の昆虫には気をつけたいものです。内臓を取り除くなどの
下処理が必要になるかもしれません

実はオサムシ科の中には
穀物食や、肉食のつよいものがあるそうなので、
きちんと同定すれば食べられるものもあると思います。
オサムシ科であるハンミョウは(マズいですが)一応食えましたし。
なので「未開拓」としておきます
カテゴリE 味の悪い昆虫
苦味=弱い毒であることもあります。
慎重に味見をして、無理な場合は諦めましょう。
テントウムシ
カブトムシ
ツマグロヒョウモン
ブドウスカシクロバ
セスジスズメ
ベニスズメ
ハンミョウ
ヨコヅナサシガメ
カテゴリF 長期間単一のものを食べることで初めて毒性を発揮する昆虫
アナフェ (食用昆虫科学研究会のHP)
アフリカのギョウレツケムシ科のガ「アナフェ
がチアミン(ビタミンB1)欠乏症を引き起こす
耐熱性チアミナーゼを含むことが2000年、
日本の研究チームによって明らかにされました。
昆虫食がキケン、というよりは
単一食の危険は昆虫食にもある、といえるでしょう。
昆虫を単一で大量に食べる文化はまだ少ないですが、
養殖昆虫食が始まると同様の事象が起こる可能性があります
昆虫の家畜化については、既存の食品安全基準を元に慎重に進めたいものですね。

参考文献

Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎

皮膚に炎症が起こる、ということは食べた時、粘膜にも炎症が起こる可能性が高くあります。
更に、代謝されることで初めて毒性を発揮するものもあり、
皮膚炎を起こさないからといって毒性がないともかぎりません。
参考文献として使用させていただきました。ありがとうございます。

「写真がよい」とのお褒めのコメントをいただくことがあり
大変嬉しいのですが
「一眼?」と誤解されているようなコメントがありましたので
当ブログの撮影環境を説明しておきます。
ちゃんとした虫屋さんのようなカメラ知識も設備もないのですが
気軽に虫ブログを始められる案内になればと思います。
カメラ
オリンパス製 XZ-1を使っています。

後述しますが、簡易スタジオのような所でほとんどの写真を撮っているので
事前に撮影条件を決めておき、カスタム登録しているので、
今のところこの条件では問題ありません。
AFが甘いので、MFの勉強にもなる(笑)スグレモノです。
簡易スタジオ
電球形蛍光灯と反射板を組み合わせた簡易スタジオです。
研究室のものを使わせていただいています。

反射板にはディンプル加工(つぶつぶ)がしてあり、
ディフューザー(白い透過性の布)もついているので
昆虫にありがちなテカリと白飛びを抑え、自然で美味しそうな昆虫を撮影することができます。
同時に、昆虫料理の撮影にも使えますので一石二鳥です。

三脚
「ゴリラポッド」を使っています。
コンパクトカメラなので、簡易三脚でも十分保持できます。
また、氷冷した昆虫が半分起きた「寝起き」を撮影するので、
虫が変な向きになった時でも自在に対応できるのが魅力です。
麻酔
エーテルなどの有機溶媒は食用に適さないので使いません。
二酸化炭素の装置などがあればラクなのですが、
基本的に氷冷麻酔をしています。低温になると「突っ伏した」状態なのですが
半分起きてくると脚を踏ん張り、上体が起きた状態になります。
起きたままうかうかしていると完全に起きて飛んでいってしまうので、
アシナガバチやキイロスズメバチではビビりながらの撮影となりました。
編集
コンパクトカメラの特徴を活かして、「寄る」のが好きなので
若干虫の前にカメラの影がうつりこんでしまいます。また、白飛びがキライなので
すこし暗めの仕上がりです。取り込んだ写真はAdobe Bridgeで軽く編集し、
解像度を落としてブログに挙げています。
蛇足
野外撮影においては、XZ-1はかなり酷い出来栄えです。(笑)
フルオートではNDフィルターも光量の調節もできず、AFも合わず
虫を撮影したいのにいつもあさっての方向にピントを合わせます。

マクロとスーパーマクロの切り替えも
何度もボタンを押さなくてはならず
よくシャッターチャンスを逃します。
中古25000円で買ったわりにはよく働いてくれるのですが。
次はとうとう一眼に手を出すべきか。悩ましいです。
PentaxのK-30が値下がりしていますね。
昆虫写真と料理写真しか撮らないので
ボディとWPマクロレンズだけでも買ってしまおうか
などなど
予算がないくせに妄想は膨らむばかりです。

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ブドウトラカミキリ Xylotrechus pyrrhoderus pyrrhoderus Bates

近所のぶどう棚で発見。毒々しい配色ですが無毒。
背中の模様がXなので、近縁種のクビアカトラカミキリではなくブドウトラカミキリと判断しました。以前食べた同じトラカミキリ属のトラフカミキリは美味しかったので、期待です。
味見・茹でポン酢
小型のカミキリのため比較的食べやすい。口に入れた直後は体液の甘みが強く、
くさみのないクリアな味わい。口に残った外皮はまったく味がなく、後半は味気ない残念な感じ。
軽く揚げることで外皮が食べやすくなると思われる。
ブドウトラカミキリはその名の通りブドウの枝に入り込んで食害する害虫です。
これだけ味が良いのだから食べればいい、とは思うのですが、
ブドウを農薬なしで育てると減収率が66%、6割以上が失われてしまうので
農業としては殺虫剤なしにすることは難しいのでしょう。
無農薬をうたう有機農業の方で、
害虫駆除を「食べて」やりたい
という方にまだお会いしていません。
殺虫剤を使わない農業では
人の手が主な駆除方法となりますので、
その中で美味しい昆虫が採れれば食べたいものです。

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今回は味見の話ではありません。
ご興味のない方はスルー推奨です。
当ブログのタイトル「蟲ソムリエへの道」は
今はまだ素人な著者が、
そのうち「蟲ソムリエ」になれたらいいな、
という願望をこめて命名しました。
では
「蟲ソムリエ」とは何になるということでしょう。
モヤモヤしていたので
ソムリエのことはソムリエに聞け、ということで

田崎真也さんの著書を読みました。
ソムリエは
まだ封を切っていないワインについて、
言葉だけの表現でお客さんに飲む決意をさせる仕事をしています。
味わえば一発で分かることを、
その前に言葉だけで伝える。
舌の確かさだけでなく、
言語での表現力が求められる仕事といえるでしょう。
そうなんです。蟲ソムリエもそうありたいものなのです。
では、
当ブログの過去のエントリを見てみましょう。
「ギンヤンマに似た味」
「典型的なコガネムシ味」
「何の味だよ!」とツッコミのコメントも頂いたようですが
全く仰るとおりです。
これではゼロ点です
「虫を食べたことのない人に虫を伝える表現力」が必要になります。

どうすれば身につくのでしょうか。
田崎真也さんの著書の中で
「五感を鍛えるトレーニング」が紹介されておりました。
「五感でキャッチした感覚を言葉に置き換えて記憶するテクニックを鍛える」
「物事を多面的・多角的に感じる能力が優れてくるとそれを表現する言葉も増える」
「表現力が豊かになるということは感受性も豊かになる」
いいことづくめではないですか。
味だけですと味覚に偏ってしまうので
五感全てを動員して
「虫の魅力を虫に興味が無い人に伝える言葉のトレーニング」
をやってみることにします。
実はこの本を読む前から
漠然とやっていたことなのですが、
ようやくその意味が分かってきたのでここにご紹介したいと思います。
1,カマキリの女性らしさ
フランスで出会ったカマキリがとても女性らしかったので、
言葉でどう表現すればいいか考えた結果「緑の浴衣の見返り美人」

という結論になりました。
こちら。

とてもセクシーです。
2,シロスジカミキリの顔
シロスジカミキリの成虫を捕まえた所、大変ワルそうな顔をしていました。
ワルそうなサングラスをかけて、でも髪はおさげ、というどこかユーモラスな風貌に見えてきました。
ということでコチラ。

3.エビガラスズメの蛹の合わせ
エビガラスズメの蛹はどこか女性的なラインがあり
髪の長い女性が着物を着たような感じを思わせます。
「ブータンの王女」という表現に落ち着きました。
こちら。

4,ニイニイゼミのマッチョイズム
ニイニイゼミの幼虫を捕まえた際、羽化が始まってしまいました。
狭い殻の中から大きく上体をそらし、膨らむ様は
胸部の6つに割れた腹筋六本脚も相まって
ボディービルディングの選手のようなマッチョイズムが溢れていました。
こちら。

5,オナガミズアオの風格
頭部に豊かな黄色の触角をつけ、どっしりとした風格の白いボディ。
体の各部に鮮やかなピンク色の差し色が入り大変見応えがあります。
これは直感的に理解しやすかったです。
コチラ。

6,タガメの脱皮
食用にするかどうかわからないのですが、タガメを飼育しています。
脱皮直後はいつものくすんだ茶色とは似ても似つかない鮮やかな色をしているのですが
なぜか幼虫脱皮は緑色、成虫脱皮はピンク色だったのです。
その蛍光っぽい色と透け感が何かに似ていないかと
探した結果、見つけました。なんだか成虫と幼虫の色の違いが説明できたかのようで
大変愉快な気分になりました。

このように
「昆虫の魅力を何か別の言葉で表現するトレーニング」は
昆虫を研究し、
一般にその魅力を発信する際にも使える力が身につくと思います。
逆に考えると、
「なんかムズカシイことしてるんだね」と思われてしまう研究者は
「専門用語を別の一般的な言葉で表現する」
トレーニングが不足してるのではないでしょうか。
虫に対する風当たりが強い昨今、
「言葉にして伝える技術」
虫と人とをつなぐ事になるのかもしれません。
このブログで磨くスキルとして、
大事にしたいと思います。

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※メンガタスズメだと勘違いしておりましたが
指摘していただきシモフリスズメだということがわかりました。
訂正いたします。

8月21日より某所にて泊まりがけの実習に行ってきましたので
ネットが不自由になっておりましたところ
2chにこのブログが見つかり、いくつかのまとめサイトに転載され、
多くのアクセスを頂きました。
直接はいいにくいネガティブな意見もあり
大変興味深くみておりました。
スレッド自体ができたのが
8月20日朝6時。
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/20(火) 06:52:52.01 ID:C+hi7EKJ0
閲覧注意
http://mushikurotowa.cooklog.net/
マジキチでしょこれ。生では食ってないみたいだけど色んな虫食べてる…
こういうやつはYouTubeで映像でみたいわ。
「マジキチ」と表現はされていますが
「生で食べていない」と内容まで読んでいますし
「映像で見たい」というリクエストもあり
コメント自体は比較的好意的です。
暇人速報さん「虫を食べて淡々とレビューしてるブログ見つけたww」
に二次的なコメントが付いていますね。


同時期に
プロブロガーであるイケダハヤトさんにより
レビューが掲載されました。
…恐縮するぐらいべた褒めです。ありがとうございます。
今回の盛り上がりで大きな収穫が2つありました。

スレッド自体の全内容はdat落ち?とかで回収できなかったのですが。

こちらのレス。
12: ブログみてみろ。マジキチな虫まで食べてるから。色んな虫食べてるから。

いい表現ですね。
ここから分かることは
日本の昆虫は「食える虫」と「食えない虫」に二分されること。
そしてそれが「マジキチでない普通のこと」であること。

イナゴ・ハチノコなどの
「普通の日本の食用昆虫文化」が根強く引き継がれていることを感じさせます。

そしてもう一つはコチラ。
暇人速報のコメント欄より。
綺麗な写真と、文章だけの感想。これは食べてない。
せめて調理して食べる直前の画像や解体画像があれば信じるけど。
妄想だけでこの分量書けたら作家になれる気がします。

以前に
論文209本を捏造した麻酔科医が話題になりましたが、
彼も作家になればよかったと思います。

さて、浮かれ気分はこのくらいにして、

在庫整理と参りましょう。
研究室のパートのおばさんお姉さんのゴマ畑で発生していた大型のスズメガ幼虫。

胸部にしろいツブツブがある点
終齢まで育てると尾角がピンっとしている点から
シモフリスズメ Psilogramma incretaであることがわかりました。
ゴマにつくスズメガの幼虫は他に
終齢の尾角がS字に湾曲するクロメンガタスズメや
湾曲しないメンガタスズメがあるようです。

昨年つくば植物園「虫と植物展」で見たクロメンガタスズメは
もっと黄色がかって大型でしたので、いずれ食べたいと思います。

続いて蛹になる寸前の前蛹
一旦着色します。

土中(ここでは湿らせたティッシュの中)に茶色い糸を吐き、
蛹室をつくる糸を吐き終わると緑色に戻ります。

昆虫は開放血管系なので、
おそらく水溶性の色素を合成すると血液に乗って全身に回ってしまうのでしょう。
脱皮前後の色変化はいろいろな昆虫でみられるのでおもしろい現象です。
そしてサナギ。

口吻が棍棒のようにニュッと飛び出しています。
クルッと巻くエビガラスズメとは違うようです。
さて
味見。
幼虫
! 胡麻に似た香りがする!
茹でただけなのに香ばしい香りと青っぽい小松菜系の香りがして大変美味しいです。
ただ大型のスズメガのため外皮はとことん固いです。鮭とばの皮のような噛みごたえ。
エビガラスズメの方がタンパクで、メンガタスズメのほうが脂質のコクが感じられました。
前蛹
うーむ。。。。美味だ。今年後半の大ヒットかと。
前蛹になり外皮の弾力が減ることで、噛み切りやすくなり焼いた鳥の皮のような噛みごたえに。
ローストしたかのような香ばしい香りが凝縮され、好みの分かれそうな青臭さは消えている。
サナギ
外皮が堅めになってしまったものの、内部のクリーム感はむしろ増しており
練りゴマのような濃厚なクリームに。ここでエビガラスズメに似た豆腐感(タンパク系クリームの味)
も加わり前蛹よりヘルシーなイメージ。
番外編
ヤドリバエ
以前シロヒトリに発生したヤドリバエと思われるハエに寄生された個体があったので報告します。
以下閲覧注意

... "味見:シモフリスズメ" を続けて読む

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「味見」というのは全く主観的なもので
その時の気分・体調・前後に食べたもので変わることもあり
また食べる昆虫の状態によっても大きく異なります。
ですが
何度食べても同じ味、同じ表現が出てくると
その昆虫の普遍的な味、というものが浮かび上がってきます。
本来であれば10人ぐらいで比較しながらこの作業をやりたいのですが
今のところ一人でやります。
さて
ハラビロカマキリ幼虫  Hierodula patellifera

昔から好きな昆虫なのですが、
以前に成虫を上げて食べた時、苦味があり、消化管にジャリジャリとした悪い食感が残り
「マズイ昆虫」のカテゴリーに入ってしまっています。
マズイと判断するのは大変心苦しいので
できれば美味しい食べ方を模索してあげたいところです。
そこで、今回は
幼虫を絶食させ、消化管の内容物を減らした状態で味見することにしました。
味見
絶食をかけたのでじゃりじゃり感は少なめ。意外と酸味がつよく、酢酸系の鼻に抜ける香り。味はバッタに近い穏やかな香り。筋張っており、口当たりはやわらかいのに口に残ってしまった。数が集まらないわりにあまりおいしくないのでやはりオススメしない。
残念です。「カマキリは割と美味しくない昆虫」の再現性がとれてしまいました。
カマキリが食べるバッタの方がオススメですね。
これから秋になりると、バッタのシーズンが到来します。
カマキリの気持ちになって採って食べてみましょう。
(生食はカマキリのマネをせず加熱をしっかりと!)

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お盆が過ぎ、もう立秋も過ぎ、
夏は過ぎ去ろうとしています。
今年は自分の計画性のなさ故にセミ会にもいけず、
思った以上に夏を満喫できていない缶詰状態ですが
秋の始まりをみつけましたので報告しましょう。
秋といえば「鳴く虫」ですね。

鳴く虫文化史によると
鳴く直翅目を楽しむ文化は日本、中国、ドイツなどの特異な文化とのこと。
江戸時代の江戸は鳴く虫文化の花盛りで、野生・養殖を含め虫カゴと合わせた鳴く虫市場があったとのこと。
日本の昆虫利用文化のレベルの高さが伺えます。
さて
今回「聴き比べない」のは四種類
エンマコオロギ Teleogryllus emma

コオロギ科 枯れ草や石の下によくいる普通種。
鳴き声 コロコロリー
味 以前も味見したが相変わらず美味しい。
甘みの強く脂質系のコクもある。シコシコとした筋肉も美味しい
大型なのに外皮が柔らかいため汎用性が高い。
アオマツムシ Truljalia hibinonis

マツムシ科 樹上でみられる動きの速い虫。明治時代の外来種らしいです。
鳴き声 リューリューリュー
味 キリギリス系よりコクが強めの味。穀物のようなうまみが強く
コオロギとも違う味。外皮は柔らかく小さいが味が濃いので楽しめる。
スズムシ Homoeogryllus japonicus

マツムシ科 エンマコオロギと似た所に住む。
声 リーンリーン
味 特徴的な青っぽい香りがする。コオロギと大差ない味だと思っていただけに意外。
味はヨーロッパイエコオロギに近い地味な味。手足が長い分すこし口に残ってしまう。
サトクダマキモドキ Holochlora japonica

ツユムシ科。全長45 mm以上で飛翔力が高い。(4Fのベランダで発見)
声 チ・チ・チ・
味 典型的なキリギリス系味。甘みが強くクセが全くない。
内部は粒感のある食感で旨みが強い。
直翅目同士で近縁、しかも音でコミュニケーションをとるだけに
よく似た味かと思っていましたが意外とそれぞれ異なる風味。
いずれも外皮が柔らかいのが直翅目の特長ですので、
食材としてのポテンシャルはバッチリです。
好みとしては
アオマツムシ>サトクダマキモドキ>エンマコオロギ=スズムシ といったかんじでしょうか
音声でコミュニケーションをとる直翅目を半養殖して
メスだけをスピーカーから出る音声で集めて収穫
とかできれば
養殖がより容易になるかもしれません。

3

今年は本業に精を出すため関東セミ会には参加しませんでした。
我慢ガマン
自宅で、仲間とセミ会をしたい方はコチラを御覧ください。
さて。
セミ会のメインはなんといっても幼虫。
日没の前後にノソノソと木を登ってくるので簡単に捕獲できます。
アブラゼミ、ミンミンゼミの幼虫は肉質でむっちりとしており
外皮も柔らかく初心者でも大変美味しく頂けます。
一方セミの成虫は採るのに苦労するわりに中身がスカスカで、
揚げると味も正直単調ですので、セミ会ではバイプレイヤー。
幼虫の影に隠れてさっと揚げてポリポリ食べられます。
ですが
他の方から写真が欲しいとのことでしたので
いくつか成虫を捕獲し、モッタイナイので
今回は茹でて食べ比べをしました。
ヒグラシ  Tanna japonensis

朝夕に遠くから聞こえてくる物悲しい声が魅力的なセミ。
実際はというと初夏から初秋にかけて鳴き続けるスタミナタイプ。
高所に留まって鳴くことが多いので、静かなイメージですが
実際に捕獲するとバカうるさい。
腹部が透けるほど空洞が大きく、ミンミンゼミより二回りも小さいのに
カ!ナ!カ!ナ!カ!ナ!カ!ナ! 
大きな声で鳴いています。
「会いたくて会いたくて震える」という近年のヒット曲がありましたが、
モチーフはヒグラシなのかもしれません。
味見
木質の強い香りがあり、成虫にしては幼虫に近い味わい。少し苦味がある。
外皮の柔らかさと肉のうまみのバランスは良い。
ヒグラシについては以前にセミヤドリガ味見の時に食べたので、味見は一年ぶりなのですが、
だいたい同じ表現で、舌が衰えていないことを確認しました。
ミンミンゼミ Hyalessa maculaticollis

日本の代表的なセミ。ミンミン鳴くからミンミンゼミ。
ここらへんではちょっと少なめでアブラゼミの方が多い感じです
グリーンの体色と透明の翅が夏らしいですね。
今回は銀杏の木に留まっている所を素手で捕獲。
茹でると固いが、メスは腹部にうまみがあり、食べごたえがある。鳴かない分腹部の味は良い。結局くちにクチクラが残ってしまうので、揚げて食べるのがおすすめ。加熱すると特徴的な緑が消えてクリーム色にっなった。耐熱性のある緑色素は少なく、構造色に緑が多いのものこのへんかもしれないと思った。
ニイニイゼミ Platypleura kaempferi

去年に羽化直後のものとその脱皮殻を食べたのですが
今回は桜の木で元気に飛んでいるものをゲット。
味見
香ばしさが強く、やや苦味がある。タンパクな味でうっすらうまみ。つよいうまみではない。翅とかクチクラが口に残るので揚げがおすすめ。
アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata

こちらも昨年食べたのですがいい成虫の写真がなかったので再度捕獲
深夜に脱皮後数時間経ったものも捕獲してみました
味見(脱皮後数時間のもの)
木の香りがかなり強い。外皮が固まり始めており、しかも適度な弾力があり調度良い。以前食べた脱皮直後よりもかなり良い。結局口に残らず完食できた。
脱皮直後は濡れティッシュのようで味気ないので、このぐらい弾力がある方が美味しい。
成虫では一番美味しい時期だと思う。
クマゼミ Cryptotympana facialis

大型のセミで主に西日本に分布。
高校時代に図書館の周りにボタボタおちていて
夏休みの補習(クーラー無し)ではシャーシャーと安眠(?)を邪魔する存在でしたが
関東に移動してからはトンとお目にかかれず、こちらは譲っていただいたもの。
味見
固い。とにかく固い。甲虫と考えたほうがよいほど茹でるだけでは埒があかない。
とにかくじっくり揚げるべし。
あとは
ツクツクボウシについてはまだみられず、去年も食べたので、
ここらでまとめとしましょう。
ミンミンゼミメスは旨味が強い。
アブラゼミは脱皮後数時間が結構美味い。
きちんと食べ直してみると何らかの発見があるものですね。

3

そういえば食べてなかった半翅目
アオバハゴロモ Geisha distinctissima

以前ツマグロオオヨコバイを食べた時にも言及したのですが
とあるサル研究者によると、
サルの食べている昆虫の中で一番美味しいのはアオバハゴロモ
とのこと。
その方からは
「サルが食べている昆虫の味が知りたくて生で食べていたらアレなことになった」
という話も聞いています。
再度お知らせです
昆虫はヒトに影響をあたえる共通感染症や寄生虫症について十分に調べられていないので
くれぐれも加熱して食べるようにしましょう。

さて、味見

美味い。とても美味しい。身が詰まっており外皮の歯ごたえもよく、しっとり系スナック菓子の食感。味は穏やかな枝豆「さやえんどう」に似ている。半翅目では一番美味しいかもしれない。
サルも納得の美味しいお味。虫っぽくない名前も優雅でいいですね。
小さめの半翅目は美味しいものが多そうです。

1

以前にジグモのメスとその卵鞘を味見しましたが、
美味しかったので久々に捕獲してみました。
今回は産卵前のメスとオスがいましたので
食べ比べてみましょう。

向って左がオス、右がメスのジグモ Atypus karschi
形は小ぶりですが、カンボジアで食用にされているタランチュラとよく似た体型。
攻撃性は高いですが 味がよく、
土中に巣を作ってけっこう高密度で生息しているので、
日本で養殖するにはこっちのほうがいいかもしれません。
と思ったら
性成熟まで3〜4年とのこと。ちょっと長いですね。。。。
味見
ジグモはやはりメスが美味しい。旨味の強いシーチキンのようなタンパクの美味しさとプチッとした噛みごたえ、適度な重量感が茹でた時にプリッとして大変おすすめ。オスは外皮の噛みごたえがあるものの肉質は少なく、体液の甘みがある程度。少し口に残った外皮がジャリッとする。やはり産卵期のメスがおすすめ。