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クロカミキリ Spondylis buprestoides

実は7月中旬に既に味見していました。
味見:見た目はカミキリムシらしくなく、硬そうだが小さいので結構食える。香ばしさは少なめで甘みが強く、香りも良い。茹でただけで炒った穀物のような風味もある。同じぐらいの体型のクワガタよりだいぶ柔らかい。
ところがこの時、アクシデントが。


そうなんです。
昆虫の味見の最大の欠点は「侵襲性が高いこと」
標本であれば同定後、再度同じ個体を見ることが出来るのですが
味見してしまうとその個体には二度と出会えません。
なので写真を撮ることが必須なのですが、
この時は忘れてしまったのです。
ということで、当ブログに載っているほとんどの写真は
その昆虫の在りし日の姿。つまり「遺影」といえるでしょう。

せめて上手に撮影してあげたいものです。
コンデジとはいえ、慣れてくると過去の写真のヒドさに嫌気が差してきます。
撮り直して差し替えたいとも思うのですが
食べた個体の最後の姿を消すのは忍びないので 悩ましいところです。
さっさと写真うまくなれ、ということなんですが。

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採集昆虫は季節モノなので、
採れ過ぎたものは一旦冷凍して保存しておきたいものです。
大抵のものは一年以上保存できるのですが
「冷凍セミ」はいまひとつ味が悪いことが経験的に知られていました。

写真はクマゼミCryptotympana facialis
今回は数人でセミを食べる機会があり、
今年の一ヶ月以内のセミと、去年のセミを
アブラゼミ幼虫・クマゼミ成虫で揚げて食べ比べました。
アブラゼミ幼虫・一年前
酸味が強くなり、酢酸系の不快なにおいと腹部から胸部まで広がった明確な苦味。
おいしくない。スが入ったように食感も悪く、挙げてもふわふわしない。
アブラゼミ幼虫・今年
香ばしく、苦味もなく、木の香りがよくフワ/サクっとした食感。とてもおいしい。
クマゼミ成虫・一年前
二度揚げしてもからっとせず、ジトッとした感じ。
腹部に強い苦味があり、舌に残ってしまう。
クマゼミ成虫・今年
二度揚げによって軽く・ザクザクと食べやすい食感に。香ばしさ軽い食感が
とても好ましい。苦味は全くなく、一気に食べられる。
今回は性別を統一して食べ比べなかったので
断定はできませんが、セミの冷凍劣化はかなり速く進むようです。
ファーブルのように「セミは不味かった」と断定する前に
調理・保存は大丈夫だったか、採集するステージは大丈夫か、
注意してみましょう。
「今年のセミは今年のうちに!」
http://www.youtube.com/watch?v=cyLogCll828

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写真をとったきり冷凍庫に沢山の昆虫が眠ることになってしまいました
在庫整理をしておきます。
ボクトウガ Cossus jezoensis

クヌギの木に食入り、樹液を噴出させ、
その樹液を飲むのではなく、樹液に来た昆虫を捕食する奇妙な蛾の幼虫。
蛾の幼虫なのに頭部と胸部第一節、第二節ががクチクラで補強されていて
ゴミムシダマシの幼虫にも似ています。
1919年の三宅の調査では、日本でも食べられている地域がありました
これの近縁種でもっと大きいオオボクトウガは、Witchetty grubと言われて
アボリジニの食べる有名な昆虫の一つです。
オーストラリアにはしばらく行けないので、日本の近縁種を食べて
思いを馳せましょう。
実績、大きさ、色もよく
茹でると赤みがましておいしそう。期待が高まります。

味見
縦方向の木の香りがする筋肉質が味わえる一方で、脂肪体に独特な匂いがあった。
リコリスやフェンネルに似た、ゴムっぽいケミカルな匂い。
茹でると匂いが強かったので、次回揚げるともっとバランスが良くなるかと。
前評判は良かったのですが、期待し過ぎて独特の匂いに好き嫌いが別れる
結果となってしまいました。
肉食の鱗翅目はあまりいないですが、日本のおもしろい種として覚えておきたいです。