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昆虫食についての勉強や実践を
当ブログで発信することで多くの反響をいただくようになりました。
昆虫の世界は膨大ですので、様々な立場の方からのコメントが
私のモチベーションを上げ、次のチャレンジへとつなげてくれます。
思えば
本格的に食べ始めたのが2008年。
5年ほど続けてきたわけですが、
日々進歩がなくてはいけませんね。
ということで
2009年、仙台にいたときに同級生に食べてもらった一品
「秋の蟲ピザ」

小型の直翅目をトッピングした食べやすいピザです。
秋になると性成熟し、加熱すると赤く色が変わる直翅目を使うことで
紅葉する広葉樹をイメージしました。
ちなみにこちらは調理前

これを今回はブラッシュアップしようとおもいます。
さて
昆虫料理を紹介するにあたって
「形を無くして欲しい」という声が多くあります。
似たような形を持つ
海老や蟹について「すり身でないと食べられない」という方の話は
殆ど聞きませんので
おそらく
調理された虫の「形」に対する嫌悪感というのは
「死体感」ではないでしょうか。
基本的にヒトは
調理加熱して他の生物を食べるので
当然「死体」食べているわけですが、
「死体」を「食品」とみなすには、文化的な刷り込みが必要です。
このブログをご覧になる方の多くは昆虫食を文化として持たないので、
形を見せてしまうと
どうしても「死体」の印象が拭いきれません。
ですが、
直翅目の美味しさはパリパリ感でもあるので
美味しく食べるためには形は残しておきたいものです。
そこで
「形を残したまま死体感を減らす工夫」
が必要だと考えました。
ヒントは昆虫標本にありました。
きっかけはとある虫屋の方から
「展翅したほうが見た目が良いのでは??」との
アドバイスを頂いたことです。
確かに
「標本は大丈夫だけど(道端の)死体はムリ」
「生き虫は大丈夫だけど死体はムリ」
という虫嫌いの方もいらっしゃるようです。
つまり
「展翅することで整然とした印象を与え、死体という無秩序な不快感を減らすことが出来る」
という仮説が考えられます。
やってみましょう。
まず、茹でた昆虫を
アルミ箔を張った網の上に置き、立たせて足を整えます。

このまま、マーガリンとチーズを塗り
200度のオーブンで10分間加熱します。
そして
市販のチーズピザの上にキレイにトッピングし、
250度のオーブンで10分焼きあげて完成。
秋の蟲ピザ 2013

味見
香ばしく、肉質のうまみ。とても良く合う。
残念な点としてピザに接している部分が
カリカリ感がなくなり、口に残ってしまうので
もうちょっとしっかりローストしてからトッピングすればよかったかと。
そうすると強度が低下してしまうので、
「強度」と「カリカリ感」の調整が難しくなってきそうです。
こうやって頑張ってみたものの、今度は
整然と多くのパーツが並んでいると嫌悪感を感じる「集合恐怖症」
というものをお持ちの方がいらっしゃいます。

その原理や適応的な意義は解明されていないようですが、
昆虫料理への嫌悪感を拭うというアプローチは
まだまだ先がありそうです。
できれば「形を無くする」という方法は最終手段に取っておきたいところですね。