さて12月の帰国はこちらが本丸。交通費を出していただけたので、一時帰国して昆虫食の話をしてきました。第34回さんわかセミナー
「タンパク質危機に挑む ~代替タンパク質の未来~」
とのことです。日本農芸化学会の産学官連携若手セミナー、さんわかセミナー。代替タンパク質としての昆虫の話。
代替タンパクの総論を、三井物産戦略研究所 の方がやってくれましたし、培養肉、藻類の有名な方がいらっしゃるので、昆虫食のほうは立派な「イロモノ」としてのびのびとやって来ようとおもいました。会場の反応も良好で、良いスパイスになれたかと思います。
おおまかなスライドを公開しておきます。(大事なデータは会場限定です。)
日本の昆虫食のデスバレー。多くのベンチャー企業が直面しますが、昆虫食は偏見が厳しいので状況は悪い。けれども頑張っている人がいるので徐々に変わりつつあります。
では「偏見があるかぎり昆虫食ではなにもできない」ではなくて、昆虫食文化のあるラオスで今すぐできることがしたい。せっかちなもので。
フードセキュリティはよく聞くけれども、その反対語であるフードインセキュリティって皆さん知りませんでした。ここをおさえたいのが理論編。
フードセキュリティを高めるポテンシャルは昆虫食も十分にもってます。
じゃあフードインセキュリティはどうか。「緑の革命」の成果物である農薬と高効率な種苗がまだ届いていないラオスにおいて、最新技術と効率化はいつになったら届くのか。それまで栄養不良にさらされなくてはいけないのか。
この事実を知ったときにわたしのあたまをよぎったのは以下の図。「昆虫を食べる地域ほど栄養状態が悪い」という疑似相関だったとしても寝覚めの悪い悪夢でした。
いまの活動は地域保健活動における潜在資源へのアクセス向上、という役割を担っています。潜在資源で先進国が技術を持たない昆虫について、ラオス発の技術を開発していくことが、途上国が他の国と渡り合える技術立国になる道として王道ではないでしょうか。
整ったインフラが前提となる「効率化技術」に比べると、インフラがないゆえに栄養不良にさらされている人たちにその技術が届くのは当分先になってしまいます。
じゃあ「最貧困層でも養殖できる」手軽さを持つ昆虫がソーシャルビジネスとしてスタートしたとき、2050年に昆虫を食べる人たちが、中間層になるのです。つまり大きなビジネスチャンス。
いまのところNGOの活動の枠組みですが、育てた昆虫を売る先は先進国のほうがいいです。高価格で買ってくれるので。品質を管理して、輸出して、ラオスに外貨をもたらす産業になってほしい、という意図でこちらに登壇してきました。お待ちしています!
会場で食べたもらったのは開発中のバッタ生キャラメル。おおむね好評でした。製品化は間近か!
最後、じかんがなくて表示できなかったんですが、セミナーの内容をみて寄付したくなったらこちらにどうぞ! 助成金獲得に割かれる様々な事務手続きを楽にしてくれる寄付は、かなり活動にとってありがたい存在です。よろしくおねがいします。
培養肉も藻類も、真面目に多くの研究者が参加していて、さまざまな裏話も聞けました。また「一般に向けて」どのようにアプローチしていくか、見慣れない食材としてどうやってアクションを起こしていくか、という話も盛り上がりました。昆虫食を日本でどう位置づけるか、ラオスでどう位置づけるか。
どうしてもラオスに滞在するとラオス的価値観になっていくので、いったん日本的価値観を再インストールして、バランスをチューニングしていこうと思います。