味見よりも同定が難しい直翅目。
今回もがんばりましたが、同定大丈夫でしょうか。がんばります。
ヒメクサキリ Ruspolia jezoensis

産卵管が長いので♀です。
今の時期の直翅目はオスが鳴くものが多いので、
狙いを定めて捕獲にいけるのですが、
静かな♀はなかなか見つかりづらく、昼間に偶然出会うしか捕獲方法がありません。
一期一会を大事にしたいですね。
味見
味は他のキリギリス科に似た甘めの味。堅めで歯ごたえがあり、ムチッとしたキリギリスとは対照的でスマートな印象。しっかり噛むと全て食べられる。脚は口に残るので取り除くとよいかと。
「直翅目ははずれへんな〜」という印象ですね
カテゴリー: 味見
味見:貫禄のオオスズメバチ
日本の食用昆虫は
1919年の三宅らの調査では50種類以上食べられていましたが
1985年の野中博士らの調査では十数種類まで減ってしまいました。
この減り方には傾向があり、
イナゴ(稲作)・カミキリ(薪炭材)・カイコ(養蚕)など
生業と深い関わりのあるものが強く残されました。
他の昆虫よりも手軽に確保しやすかったためと思われます・
一方で、一部の採集昆虫
ザザムシやハチノコは、効率が悪いものの、嗜好品として
食べ続けられました。それだけ格別な味だったのでしょう。
後述しますが、やはり絶品です。
危険を犯しても、いや危険だからこそ
食べたくなる味といえるでしょう。
ここで注意して頂きたいのは
オオスズメバチは特に危険だということです。
樹液などで見られる彼らも粗暴に見えますが、
巣の近くでは尋常でない攻撃性を示します。
昆虫料理研究会では、ハチ駆除の専門家から
殺虫剤を使わずに捕獲出来た時だけ、
分けてもらうことがあります。
巣が入り組んでいたり、攻撃をモロに受けてしまう
位置だったりすると煙だけでは静まらず、
防護服を着ていても
殺虫剤を使わないと手に負えない場合もあるそうです。
また、
彼らが空中に噴霧した毒を吸うと、動悸が激しくなり
夜寝付けなくなることもあるそうなので
何らかの生理的作用がありそうです。
そのため、専門家でない方に
オオスズメバチの巣の捕獲はオススメしません。
彼らのような真社会性のハチの群れでは、
働き蜂は卵を産むことが出来ません。
そのため、自分が死ぬ危険を犯してでも、
巣や女王、子を残すために行動します。
それだけに他の昆虫よりも強烈な攻撃をしてくるのでしょう。
さて
今回は味見
幼虫から成虫まで一気に比較します。

左から終齢幼虫、前蛹、蛹、成虫です。
茹でる前は半透明ですが
茹でると不透明の白になります。

前蛹になる時に、幼虫は消化管の内容物を全て出してしまうので
前蛹の背中は白いのですが
幼虫はいわゆる「背わた」が入っているので背中に黒い筋が見えます。
これは肉食であるスズメバチ幼虫のために、働き蜂が捕獲してきた「虫肉団子」
ですので、細かくなったクチクラがジャリジャリして大変食感と味が悪いので
除去することをオススメします。
肛門の少し上の背側に切込みを入れ、ニュッと出します。

これをゆっくり引っ張ると取り除くことが出来ます。

鱗翅目の幼虫でも、消化管内容物の味が気になる場合は
同様に肛門の少し上、背側に切込みを入れ、絞りだすことによって
味の強い未消化物を除くことが出来ます
今回は茹でですので、刺さる危険のある成虫の針はとっておきましょう。

お吸い物で頂きます。

味見
幼虫
糖度が高いとわかるほど甘みが強い。白身魚に似たタンパクとコーンや木くずのような香ばしい香り、動物系の僅かな香りが食欲をそそる。やはり他の昆虫とくらべても抜群にうまい。
前蛹
消化管を抜かない分プチッとした食感が楽しめる。同様に、体液が逃げないのでより濃厚な味、カニ味噌やウニのような強いうまみがあり美味しい。お吸い物にも向いているが、濃厚なのでわさび醤油で食べたい。
蛹
更にあっさりして豆腐のような味わい。形成しかかったクチクラがサクサクと良い食感を与えてくれる。強い旨みは減り、穀物のような優しい香り。一番好み。お吸い物の具に最も適した段階
成虫
クチクラが硬くなってきてしまい、茹でただけでは口に残ってしまう。体液を主とした甘みがあり、味は良い。タンパク系の味はほとんどしなくなってしまう。揚げ料理で香ばしく頂きたい。
味の違いを詳しく見ることが出来ました。
巣を見てみるとこんな感じ。部屋にフタがされたところは前蛹か蛹が入っており、
段々色がついてきます。目が黒くなったあたりがもっとも好みです。

実は
今回の味付け「お吸い物」には思い出があります。
2011年、昆虫料理のよるべ(昆虫料理研究会主催)に参加していたところ
オオスズメバチ蛹のお吸い物がメニューにあり、
食べた所ガツンと衝撃を受けました。
それまで昆虫の料理法は揚げがほとんどで、
「昆虫は他の食材と同様の普通の味」と思っていたのですが
このオオスズメバチの蛹は
お吸い物の具に最適化された味・風味・香り・食感・色を
兼ね備えていたのです。
そこで気づきました。
「昆虫料理は種・段階・時期・調理を総合的に評価して開発しなければならない」
そして
「現在の昆虫料理開発に最も不足しているのは昆虫学の体系的知識である」と。
ということで、
昆虫料理の味見に向けて昆虫学を勉強する
当ブログのコンセプトが生まれたのでした。
この大変美味しい蛹

感動したので、
当時独学で練習していた鯨歯彫刻を使ってストラップを作りました。

今ではもうちょっと上達しましたが
我ながら美味しそうに作れたと思います。
思い出の品です。
味見:モモスズメと桜の香り
モンクロシャチホコを捕獲していたら
同じ木に歩いているのを見つけました。
モモスズメ Marumba Moore


スズメガ科の一部の昆虫は
美味しいことが知られており、
1919年の三宅らの調査で日本でも食す地域があったようです。
現在でもボツワナのサン族がエビガラスズメを「ギュノー」と呼んで食しています。
スズメガ科まとめ
(エビガラスズメ セスジスズメ クロホウジャク コスズメ ブドウスズメ クロメンガタスズメ シモフリスズメ オオスカシバ )
スズメガのボリュームと味、モンクロシャチホコの桜の香りが
合わされば、無敵の美味しさなのではないでしょうか。
味見
思いの外桜の香りは強くない。葉の苦味も少しある。
典型的な豆腐系スズメガ幼虫の味。内部はゼリー状でとろみも感じられる。
顆粒状の外皮は食感がツブツブして面白く、
味の絡みが良いので、スズメガ科のバリエーションとして楽しい。
ふむ。意外とサクラケムシほど香りが強くありませんでした。
そもそも桜の葉ってどんな味だっけ?と思い食べてみました。
確かに葉を食べても桜の香りはあまりしません。苦味がありました。
噛んでしばらく放置すると
酵素反応が促進され、クマリンの香りがしてきます。
この時、赤茶色の色変化が起こります。紅茶に似た色です。
ウィキペディアによると、
液胞内外の酵素反応によって生成されるとのこと。膜構造を破壊することが必要なようです。
とすると
モモスズメやカレハガ、キバラモクメキリガはそれほどクマリンの香りが強くなかったので
サクラを食草とする昆虫の中でもモンクロシャチホコは酵素反応を促進したり、
積極的にニオイ成分を取り込むことで捕食者への防御
(高濃度のクマリンは肝臓毒性があります)として
利用している可能性があります。
香りがよく味も良く、見た目も良い昆虫は、
そう簡単には見つからないのかもしれません。
さて
昆虫はその代謝エネルギーを太陽に依存しているので、
サクラ+サクラケムシは太陽光を二度使って特定の成分を精製、濃縮する系といえるでしょう。
生産された天然成分を精製する過程で、
より太陽エネルギーをしつこく利用する方が石油資源に依存しない物質生産につながります。
とはいえ、
現代は有機化学が発展しているので、石油依存型の有機物質生産の効率は凄まじく、
クマリンも安価に化学合成ができてしまいます。また、天然物抽出に関しても
精製された有機溶媒を使うことで、より短期間に、安価に達成できます。
サクラケムシを養殖して「天然クマリン」と称したところで
なかなか合成クマリンに経済的に勝つのは難しいでしょう。
昆虫の利用は経済的に考えるとなかなか難しいですね。
味見:ナナフシモドキ もどきの用法
ナナフシモドキ Baculum elongatum いわゆる普通のナナフシ。
近縁種のエダナナフシは触角がずっと長いことで区別できます。
これは短いのでナナフシモドキ

体は軽いですが手のひら一杯に広がるサイズ感はなかなか見応えがあります。

このナナフシモドキという名前。本家「ナナフシ」という昆虫がいるわけではないそうです。
ナナフシ=枝に擬態している=モドキというのが本当のところだとか。
とても納得です。
今まで「モドキ」の用法には気に入らないところがありました
今まで食べた中でもいくつかありました。
ショウリョウバッタモドキ ショウリョウバッタ
クルマバッタモドキ クルマバッタ
サトクダマキモドキ クツワムシ(別名クダマキ)
いずれも互いに近縁種で、区別できる特徴=識別点がはっきりと定義されているにもかかわらず
和名にはそれが反映されていません。
ハチやアリなど、攻撃性や毒のある昆虫を擬態するなら
「モドキ」という擬態目標を示すことでその生物の特徴を表現できるのですが、
同種の似た生活史の昆虫の間で「モドキ」とはなにごとかと。
見ためが似ていて別種ならば何らかの区別できる特徴があるはずで、
それを名前につけるべきだ、と思います。
ともあれ 味見です。
木に擬態しているだけあって本当に枝や葉のよう。かるい消化管内容物の苦味と固く弾力のあるクチクラ、内部の味はほとんど感じられない。「細くて大きい昆虫」は外骨格への投資量が多いので、身と外皮のバランスが悪いようだ。世界最大のマダガスカルオオトビナナフシとかも固いと思う。
ナナフシモドキは味までナナフシ=枝に似せている、
正真正銘のモドキの用法といえそうです。
話は変わりますが、
今年度も私が所属する
食用昆虫科学研究会 は
サイエンスアゴラ2013に出展します。
サイエンスアゴラとは日本科学未来館で毎年開催されるブース形式の一般向け科学イベントです。
毎年昆虫食のブースを売店の隣で開いています。
ぜひお越しください。
ここで「のぼり」のような客引き用の広告があればと
いろいろ探したのですが
1,一つしか作る予算がない
2,印刷物の場合、複数作るほうが安くなる
ことから、のぼりをつくると版型の価格が高くなってしまいます。
そこで
「もう手作り一品物のほうが安いのではないか」
と思い始めました。
そして、「のぼり」で伝えたいことは何か。
1,昆虫を出すブースである
2,光る
3,食欲をそそる
ここから得られる答えは
そうですね。 提灯です
※画面は開発中のものです

これは近くの百均でみつけた提灯に
印刷したものを貼り付けた試作品ですが
現在注文中のものは
浅草の職人が一品ずつ手描きしたものになります。
サイエンスアゴラで
食欲をそそる赤ちょうちんを見かけましたら
我々のブースですのでぜひお立ち寄り下さい。
お酒の一杯は出せませんが、なにかをご用意しております。
味見:エサキモンキツノカメムシ
背中のハートマークが可愛らしいツノカメムシ。
エサキモンキツノカメムシ Sastragala esakii

以前ヘリカメムシ科(ホシハラビロカメムシ キバラヘリカメムシ)は青りんごの香りがすることを紹介しましたが、
ツノカメムシ科はまだ攻めていませんでした。
また、私はパクチーがキライなので、
青りんご系以外のカメムシ臭はキライです。
ツノカメムシもいい香りであってほしいものですが
軽く嗅いでみると残念ながら食べる前から負け確率濃厚。であります。
でも食べないことには味見ブログになりませんので。
あと可愛らしい好きな昆虫なので、ぜひ美味しくあってほしいものです。
味見
わずかにヘリカメムシ系のりんごの香りがあるが、ほとんどパクチー系の普通カメムシの臭いと味。おいしくない。食感は悪くなく、色味もいいので臭いを飛ばしてしまえば食べられそう。
可愛いアイドルがウ◯コをしていたような
ちょっと冷める感じの落胆を感じました。
味見:セミヤドリガの頂物
以前に偶然セミヤドリガに寄生されているヒグラシを発見し、その味を紹介しましたが、
虫界の風雲児、メレ山メレ子さんが セミヤドリガ蛹を手に入れたのこと。
こんにちは!セミヤドリガ研究家のメレヤンです!! pic.twitter.com/06w0qi8dkX
— メレ子 (@merec0) September 7, 2013
すかさず「食べたい!」とリプライ致しました。(ダメ元で)
すると
なんとメレ子さん、送ってくださるとのこと。
即日発送はアマゾンレベル。楽天を遥かに上回る対応で手元に届いたのでした。
なんと一匹羽化! これは比べがいがありそうです。
セミヤドリガ Epipomponia nawai


繭はこんな感じ。セミヤドリガ幼虫に似た淡雪のようなホワホワで包まれていますが
繭自体はしっかりした繊維で固められています。

蛹
小さいながら緻密に成虫の構造が計画されているのがわかります。
コンパクトで機能美あふれる姿ですね。
味見
成虫:シャクっとした食感とほのかに甘い味。ほとんど味がない。小さすぎてわからず残念
蛹:やはりシャクっとした食感とプチプチとした歯ざわり。味はよりわかりやすい。木質系の甘い味。特徴はない。
幼虫のときに既に穏やかな味だったので、成虫や蛹は余計に地味な味なのでしょう。
セミヤドリガの蛹は杉の木などで見つかるそうです。
やはりオススメは幼虫期ですね。
幼虫時にヒグラシを取り、ついでにセミヤドリガが付いていたら大当たりだと思います。
さて、
話は変わりますが 今回セミヤドリガをお送り頂いた
メレ山メレ子さんは
秋田のブサカワ犬、わさおを世間に紹介した強力なキュレーターとしても有名です。
食用昆虫科学研究会主催の2012年8月、つくばセミ会でお会いしたのが最初なのですが
とても面白い試みを仕掛けています。
まずは昆虫大学
我々昆虫料理研究会も学食として参加した昆虫イベント。
当ブログでも紹介しましたが、
「アカデミック・アート界の昆虫のプロ同士と全くの素人と引きあわせたイベント」
としてとても将来性のある試みだと思っています。
昆虫食の活動を通じて、
「昆虫学に全く精通していないけれど『昆虫って面白い』と思ってくれる方」
が多いことに気づいてはいたのですが、
昆虫大学のように具体的に他分野の人同士を繋げることで
更に世界が広がっていくと思います。
引き続いて
虫フェスにゲストとして来ていただき、様々な投稿昆虫創作料理
を味見・評価していただきました。
更に
幕張メッセで開かれた ニコニコ学会では座長を務めた
「むしむし生放送」では、アカデミックの研究者が日頃行っているプレゼンを
一般向けに放出してしまうとどのような事件になるか、
という未来の学会の形を提示しておりすごいことになっています。
この時「クラウドファウンディング」で学会登壇者の旅費を集めた点でも先鋭的ですね。
最近は
web媒体での連載 「ときめき昆虫学」
でヒトと昆虫と昆虫学の素敵な関係を、直感的でかつ文学的な文章で綴っていらっしゃいます。
ここで私が注目しているのがFACEBOOK上での「ダメ出しコメント」です。
「昆虫学」の分野で情報を発信する以上、
学術的に間違った用語の使い方や、情報を発信するのは避けるべきです。
そのため、印刷媒体の図鑑や専門書は、ものすごい回数・人数の校正を加えます
ですが、
著者の直感的な印象や共感する感情の動きが見えにくく
読み物として平坦な印象になりがちです。
情報のみで興奮できる(笑)専門家のみの書籍になってしまうのです。
メレ子さんは専門家でないため、
隔週の連載ではやはり用語の間違いが発生してしまいます。
それを目ざとく見つけ、指摘する虫屋の各専門家の方たち。
このやりとりが大変エキサイティングです。
このようにリアルタイムで原稿を公開し、
リアルタイムで校正され、
構成済みの文章をまとめ、書籍化するという一連の流れは
昆虫全般に関する書籍を単著で執筆するにあたって
ハードルを下げるものだと思います。
ぜひ盛り上がってほしいものです。
昆虫界の専門家を引き付ける社交性も
メレ子さんのキュレーターとしての力かもしれません。
近年盛り上がってきた「科学コミュニケーション」という分野も
ただ専門家の用語を噛み砕くだけではなくて、
専門家・専門分野の魅力を新しい形で、全く別の人に向かって発信する
「攻めの姿勢」を持ちたいところです。
「キモい オタク わけわからん」と言われながら
果敢に社会に発信する打たれ強さを、現在の社会から研究費を得ている
研究者も自覚すべきだと思います。
「研究がしたい。一般人の相手なんかしたくない」という研究者は
一般の相手をすることで分野全体を盛り上げようとするキュレーターを
応援してほしいと思います。
ということで、
メレ子さんの動き、引き続き(ストーカーのように)追っていきます。
味見:ウスバカゲロウ幼虫(アリジゴク)
サクラケムシを採っていたら、足元にアリジゴクがあるのを見つけました。
サクラケムシのような大型の鱗翅目ですら、アリジゴクの餌食になるようです。
掘り出してみるとあの幼虫が。
ウスバカゲロウ Baliga micans

以前に成虫を食べていました。
アリジゴクの唾液にはテトロドトキシンの130倍の毒が含まれているとのこと。
これは共生細菌エンテロバクター・アエロジーンズが唾液中に生産するタンパク性の毒。
ま 捕食用ですし微量なのでそんなに気にする程ではないと思いますが。
タンパク質の毒なので、必ず加熱して失活させておきましょう。
茹でて味見
けっこう苦味がある。テントウムシのような青臭さは全くなく、外皮も柔らかい。
うまみが全く感じられず内部は液状。おすすめの味ではない。
運動性も低く、ぷっくりとしていて美味しそうだったのですが
あまりおすすめできる味ではありませんでした。昔から好きな虫なので、
美味しくないことがわかったのでそっとしておきましょう。
サクラケムシが降りてくる
二回連続で美味しくない昆虫だったので
今回は美味しい虫の話。
サクラケムシ(モンクロシャチホコ幼虫)は以前にも紹介しましたが
見た目は悲しいぐらいに悪いのですが、味が抜群に良いので初心者の方にもオススメの昆虫です。
茹でて冷凍しておくといつでも手軽に昆虫料理を楽しむことができます。
桜の香りがして歯ごたえもよく、プリっとした食感が最高です。
揚げても香りが残るので、味が均一になりがちな昆虫のかき揚げにも
参加させたい名具材といえるでしょう。
見た目はケムシですが毒はなく、今の時期にソメイヨシノなどの桜の木を丸裸にして
土中で蛹化するためにぞろぞろと降りてくるのです。
とてもカワイイですね(棒)
今回はどうやら時間帯があるらしいとの報告です。
12時から13時にかけて、10本のソメイヨシノをローテーションして
捕まえた所、40分採集で295g捕獲出来ました。

また、ホットな木というのがある程度決まっており、
今回は池に近い二本の木から
頻繁にサクラケムシが降りてきていました。
そこから少し離れたところでは、若齢の赤い幼虫がみられ、

樹ごとに成長には若干のタイムラグがあることが伺えます。
周りにはフンが落ちていました。 サクラケムシがいるかどうかはこのフンを見ることで判断できます。慣れてくると葉が食べられている木からは桜餅の香り
(クマリン)が匂ってくるので、手軽に判断できるようになります。
昼13時ごろまでは良く降りてきたのですが、
午後3時以降から夜にかけて、 朝7時前後はほとんど降りてこないことがわかりました。
実態を知るためには定量しなくてはいけませんが、傾向としては暖かい午前中に
降りるようです。
ここから、「9月第一週はサクラケムシ会(ランチ形式)」
という 新たな野外昆虫会が開催できるでしょう。来年ぜひやってみたいですね。
あ、申し遅れました。
今回の上の動画はこの音楽に合わせてお聞き下さい。 懐かしいですね。
サクラケムシが降りてくる 詞 むしくろとわ
サクラケムシが降りてくる
お腹を空かせて降りてくる(蛹化前の消化管内容物の排出)
あいつらはグルメじゃない(単食性)
サクラをペロリ(桜の葉を食害)
サクラケムシが降りてくる
日中主に降りてくる(捕獲は日中がオススメ)
クマリンの匂いする(桜の香りの化合物)
辺りにフン!フン!フン!(フンが目印)
「ポケモン言えるかな?」ぐらい流行すれば
昆虫食の普及ももうすぐだと思います。
本当に苦いテントウムシの話
テントウムシはカブトムシと並んで日本人に親しまれている虫です。
英語圏ではLadybugとも呼ばれ、子供用のデザインとしても人気ですね。
ただ、「苦い」らしいのです。
テントウムシをいじったときに脚の節から出る黄色い汁が。

ナナホシテントウ Coccinella septempunctata
言わずと知れた 超有名昆虫です。
いろんな昆虫図鑑で見ます「テントウムシは苦い」
そして具体的な毒物ではなさそうです。
ただ、今まで実際に食べたことはありませんでした。
確かめてみようか、どうしようか逡巡していたところ、
こんな話を思い出しました。
ソムリエの専門学校では、未成年の生徒が
テイスティングする際は口にふくむだけで飲まないそうです。
つまり、飲み込まなくてもテイスティングできるのです。これはおそらく昆虫も同じでしょう。
カンタリジンやペデリンのような粘膜に水疱をつくるような炎症性の高い成分ではダメですが
テントウムシだったらイケるかもしれません。挑戦してみましょう。
味見;苦いという噂だったが本当に苦い。青菜系の強い青臭い香りがあり、苦味はゴーヤ系。野菜の苦味に近いと思う。
…やはり苦かったです。小柄なのにしっかり苦味がありました。
ですが、ヨコヅナサシガメやハンミョウと同じぐらいですね。危険は感じませんでした(鈍感)
やはりテイスティングしてよかったです。
食べた後 新たな疑問が湧きました。
「ナナホシテントウは肉食」なのです。
つまり
あの青菜のような強烈な香りや苦味はもしかしたら
テントウムシのエサ、アブラムシの
味を濃縮したものなのかもしれないのです。
そう考えると、アブラムシはもっと食べやすい
青菜の味があるのかもしれません。
小さくて食べていなかったのですが、もしかしたら…
集合している所があれば集めて食べてみようと思います。
味見:エリサン(長編)
今回は長めです。書き貯めていて放置していたのですが
これを機にまとめようと思います。
エリサン Samia cynthia ricini

エリサンは日本にも分布する「シンジュサンSamia cynthia pryeri」を
原種として、インドで家畜化されました。野生には分布しません。
絹用のカイコ=家蚕と対比して「野蚕」の一種とされます。
大型で病気にも強く、飼いやすいだけでなく
カイコよりはるかに美味いので、是非飼育してほしい家畜動物です。
シンジュサンはコチラ。

エリサンの方が色が白く、シンジュサンのようなパステルカラーの配色や
トゲの先のこんぺいとう状の白い粉もありません。
シンジュサンは年2化し、秋に越冬蛹を作るのですが、
熱帯から亜熱帯で飼育されてきたエリサンは休眠しない、
という地理的変異を示します。
そのためエリサン飼育は冬も暖めながら継代しなくてはいけません。
また、成虫は飛べないので、
日本では野外に出してもすぐに死んでしまうでしょう。
ただ、シンジュサンとの雑種を作ることができるので、
脱走しない、シンジュサンが侵入しない屋内での飼育が望ましいです。
エリサンはシンジュ・ヒマ・キャッサバ・クスノキなどの数多くの食草を食べます。
カイコより大型になり、終齢は大量に食べるので、近所に採集可能な木があることが必須です。
今回はシンジュを使いました。
シンジュは別名ニワウルシと言われますがウルシとは無関係です
朴葉や肉ちまきの笹のように肉と相性が良い
食欲をそそる蒸れた香りがあり、エリサンにもその香りが生きています。
タンパクながら肉のようなコクとうまみが感じられる見事な食用昆虫です。
ちなみに、シンジュは成長が早いので、もしエリサンを飼いたい場合は
今のうちから庭に植えておくと数年で養殖可能になると思われます。
今回は 5月16日に卵をいただき
比較のためシンジュとクスノキでしばらく育ててみました。
クスノキは樟脳の原料として知られ、「防虫剤臭い」ことでよく知られています。
こんな化合物です(wikiより)

防虫効果のため、クスノキを食害する昆虫は多くありません
有名なものだとアオスジアゲハぐらいでしょうか。
写真の3〜4齢幼虫はこの後爆発的な食欲をみせるので、

間引きをし、食べ比べてみました。(6月12日)
エリサン幼虫(シンジュ)
シンジュの味があり、小松菜の雰囲気。シンジュサンとほぼ同じ味。
茹でるとシンジュの粒感が残るので、消化管内容物を取り出すのがおすすめ。揚げるとそっけない味で風味が飛んでしまう。
エリサン幼虫(クスノキ)
まったく楠の樟脳の匂い。美味しく食べられない。味も苦味があり、食用にしたくない。
消化管内容物を除いてもクスノキ臭さは残ってしまう。樟脳が脂溶性で体内に拡散してしまっているからかと。
4/5ほど間引いた後、シンジュで前蛹まで育てました。クスノキで育てるのはもうめげました。
美味しくない昆虫を育てるのはストレスです。
味見 5齢(終齢)
エビガラスズメと同様に外皮が大変硬い。内部の未消化物も茹でただけでは味が強く、
不味くはないが美味しい段階ではない。
前蛹
さすがの美味しさ。甘みと旨味の丁度良い塩梅。外皮も弾力が減り歯切れよい。
しかしワンダリング時はタイミングが早すぎるようだ。
ヤママユガ科特有のジグザグに発達した絹糸腺がゴムのように口に残ってしまう

ので繭形成後、サナギ脱皮の前がオススメ。
重さ比較
4齢、5齢(終齢)前蛹 蛹をそれぞれ一個体ずつ体重測定しました。

一番大きく取れるのは終齢(7.6g)ですが、先ほど味見したようにあまり美味しくありません。
また、蛹よりも前蛹の方が外皮の食感や味を含め私の好みなので、
「繭形成後、蛹脱皮前」というわずか数日が収穫期として最適と思われます。
一巡目(6月21日前蛹+蛹178g 繭29g収穫)は
時期を逃して蛹を多く収穫してしまったのですが
二巡目はうまく収穫できたと思います。
今回のように
美味しい段階を選ぶと、必然的に繭もついてきます。そのため繭の利用も考えましょう。
飼育されている地域では、エリサンの利用は食用がメインではなく繊維として利用されます。蛹は副産物です。
カイコの生糸と異なり、一本の糸にばらすこと=糸繰りはできないので
綿花のように短い糸をより合わせて=紡績して糸を取り出します。
この繭、せっかく採れたのでなんか工芸品にしたいと思っています、また後日ご報告します。
フン茶
カイコのフン茶によく似ているが香りがやや良いかと。
少しクセのあるプーアル茶の香り。中国茶系で好き嫌いがありそう。
やっぱりバッタ茶が親しみやすい最高の味だなぁ。
料理開発
エリサングラタン
エリサンカレー
エリサンと秋の虫パエリア
9月8日現在、二周目の飼育が終わり、
成虫が卵を生んでいます。三周目は冬にかかってくるので
残念ながら常緑樹クスノキを与えての継代になってしまうかも。
匂いを消す方法があれば探しておきます。
エリサンの有望な点として、毒植物の解毒(分離)が挙げられます。
現地では「キャッサバ」をエサとして飼育しているようです。
キャッサバはタピオカ澱粉の原料として日本では有名なイモで、
毒を含み成長が早いことから農薬要らずで熱帯地域で多く栽培されています。
2002年の生産量は全世界の生産量は1億8000万トンと、イモ類ではじゃがいもに次いで二位と
実はすごいイモなんです。
キャッサバから澱粉を取る場合は、何度も水に晒すなどの「毒抜き処理」が必要になります。
当然エリサンも葉に含まれる毒に耐えながら育つのですが、体内へ取り込むことはなさそうです。その時、消化管には毒の葉が詰まっているので、幼虫は食べられないのですが
鱗翅目の前蛹と蛹は消化管内容物を排出して、腸内を空っぽにするので、
その際に毒性分の分離が完了しているようです。
こうして、エリサンの前蛹と蛹が
タイの養殖エリサンがトムヤムクン味の缶詰として売られていました。
パッケージデザインがモダンです。
こう考えると
「有毒植物と解毒」は将来の農業を考える上で
実は重要なキーワードではないかと思われます。
ナス科の作物は植物体に毒を持つことが知られています。
特にじゃがいもは近年の育種によって毒のない種がつくられましたが
原産地南米ではイモにも毒のある種を未だに利用しています。
寒暖の差を利用して凍結解凍を繰り返し、水溶性の毒性分を追い出すことで
乾燥芋「チューニョ」を得るのです。
「どこに毒があり、どうすれば消せるのか」
という情報は、虫の食害や病気を防ぐ上で重要でしょう。
虫と作物が共存する上でも毒成分による「住み分け 食べ分け」をすることで
コントロールできるのでは、と考えられます。
生物由来の毒の良い点は、
必ず分解者がセットで存在する点です。
肝臓で分解するヒトも優秀な分解者といえるでしょう。
ヒトが使う毒として殺虫剤や抗生物質が挙げられますが、
これらの自然界に殆ど分布しない物質の大量使用はその分解者もマレなため、残留が問題になっています。太陽の紫外線は強力な分解者ですが土中に残留したものは微生物などの生物的分解者に頼る必要があるでしょう。
そう考えるとbt毒素は生分解性、という意味では有用な毒といえます。
遺伝子組み換えの是非とは別に「生物毒の有効利用」という観点でも、未来の農業を考える必要が有ると思われます。
その中で、昆虫の有効な使い方も更に見えてくることでしょう。