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野草食・野虫食ミーティングを開催しました。

先週木曜日、すでに玉置標本さんがあっという間に記事にされてましたが、色々イベントがひと段落したので、遅れての記事化です。特に会の名前は決めてなかったのですが、このご時世での野草・野虫食のお悩み相談みたいになったので、「野草食・野虫食ミーティング」と呼んでみましょう。

https://blog.hyouhon.com/entry/2020/09/11/152120

Twitter上ではたびたび交流があったのですが、365日野草生活ののんさんにはお会いしたことはなく、野草会にも参加したかったのですが実現しなかったので、直談判でお誘いしました。今回はじっくりお話ししたかったので、少人数のミーティング、という形にしました。

そして共通で交流のある玉置標本さんをお誘いすることに。玉置さん、オールマイティーのイメージがありますね。なんでもいけちゃう。

そして私の家を使うことになったので、妻も誘って一緒に採集。場所は某川河川敷です。

「河川敷は採集が自由なのでラク」とか、「ここに外来種が入って環境が変わりつつある」とか、河川敷に降りた瞬間からすごい。この雑草がアカメガシワか。この背の高いのがオオブタクサか、キクイモ、カナムグラと、名前ぐらいは聞いたことのある草が、近所のこの植物であった、と言う一致はなかなか個人では億劫でやらないことが多いものです。

自分より詳しい人と「いつものフィールド」を散策する、というのはめっちゃ勉強になります。新しい景色に興奮するというより、解像度が増していく感じ。同じものを見ているのに、そこから得られる情報密度が濃くなるので、「観光」的なもの珍しさとは違う方向性に感じます。

当初は1kmほど移動しながら採集する予定だったのですが、200mほどしか動けずにあっという間に2時間が経過。やはり専門領域がクロスすると情報密度がすごい。「あまり移動できない」という時にこそ、異なる専門家をコラボすると、普通種だけですごく楽しいです。むしろ普通種だからこそ、日常生活に身近で、季節の楽しみとして生活に寄り添うようになれるかもしれない。

植物もそうかもしれないです。

アカメガシワ。葉が大きくていろんなところに生えるのでよく見る。
これもよくいるけどキクイモの仲間とのこと。
荒地に適応したイヌキクイモ(芋がでかくならない)ではないかと。
クズの花。高級感のあるブドウのような、フルーツ香がある。
見慣れた花だけど意外な新情報に、見方が変わる。

エノキの実。タネが大きくうっすらとしたあまみと干ガキのようなコクがあり、楽しい。

ここで見つけたモンクロシャチホコ!

鈴なりのモンクロシャチホコ。河川敷に多いイメージはなかったので意外でした。

いつもは蛹になるため幹を降りてくる幼虫を捕まえていたのですが、今回は枝のものを取りました。ふと桜の香りがしないな、とこの時違和感があったのですが、あまり気にせず採集。

そこそこ取れましたが、桜もちのような特徴的な香りがしない、、?

家に移動し、料理開始。まずは夏の間にためておいたセミとバッタとナッツのアヒージョ。

セミとバッタをアヒージョで食べてもらうのは
食感の違いを確かめてもらうためです。バッタよりセミの方がアヒージョに向いている。
のんさんチョイスで野草天ぷら。秋はいずれの野草も硬くなり、やはり旬は春とのこと。
虫とはちょっと違う。
アヒージョのオイルはカプレーゼに。のんさんはシロザたっぷりキッシュ。
そしてバッタは素揚げして、ドリトスとともにサラダに。

バッタは高温でカリッとさせて、食感の近いドリトスと合わせることで、「口に残ってしまう」という違和感を減らしています。低温のアヒージョよりも高温のフライの方がバッタに向いている、という話をしました。

のんさん持ち込みのシロザのキッシュ。ボールいっぱいのシロザが入っているとのことで密度がすごい。ほうれん草のような、売り物になる野菜の味。すごい美味しい。
昨日つったタチウオをさばく玉置さん。
天ぷら旨い!
あぶり。
野虫盛り合わせ。美味しいとかおいしくないとかいいながら食べるのが楽しい。
モンクロシャチホコ 蛹化する前の若い幼虫だと全然香りがない!
不味くはないが、あまり特徴がなくて普通の味。
蓄養するとおいしくなると思われるので、要検討。

「野草」と「野虫」の似ているところ、違うところなどを語り合いました。

やはり野草も生では食べない方が良いとのこと。また「薬効」が明らかな野草もあり、薬と毒は表裏一体なので食べ過ぎるのはあぶない。

「効く」タイプの野草を非合法な感じで楽しんでしまう人もいるらしく、なかなか野草の業界もカオス。

食べてもらった感じでいうと、今回は「美味しい」昆虫と「そうでもない」昆虫の両方を食べてもらったこともあり、「草に比べると普通に食べられる種類が多い」との感想をいただきました。動けない草に比べて、逃走や攻撃・威嚇にコストをかける昆虫は、味がまずい割合が植物よりも低いのかな、と思います。

もう一つ野草はどうしても「野菜」と比較されがちなことが虫との違いだろうという話にもなりました。栽培化された野草ですので「家菜」という方が実態に即していそうですが、栽培化され、品種や栽培方法などが均一化した物と比べると、「それほどおいしくない」のが野草の実態だそうです。野菜と並べて遜色ない美味しさ、アクセスのしやすさの野草はかなり少ないとのこと。

この先昆虫が食用に養殖され「家虫」になっていくとして、おいしくアクセスのいい養殖昆虫に比べると、野外の虫ってあまりおいしくないよね、と言われるようになるかもしれないですね。今だと野虫も家虫も同じように一般的じゃないので、同じような扱いですが。

あとは自然物相手なので、アイデアの「タダ乗り」が横行しがち、という問題もあるようです

著作権や独占権があるわけでもないのであくまでマナーですが、アマチュアリズムとして、誰のアイデアなのか、自分の新しいアイデアはどこなのか、という部分を大切にできる間柄だと、情報交換が楽しくなりますよね。

すべて自分で考えたかのように振る舞うと、初心者にはびっくりしてもらえますが、同業者には情報を与えたくないと思われてしまうでしょう。

「今まで食べて大丈夫だった」という時代錯誤の食品衛生の考え方をしてしまう方もいるようで、自然物を採集して食べる、という食品流通に人が関与しないことから、「どんなひどい人でもアクセスできてしまう」という、平等さの負の側面が出てきてしまいます。

刺激的な方が再生回数が伸びる動画サイトでもそうですし、ネットで「正しい情報」を検索しようとしても、「都合のいい情報」しか手に入らない、という記者の方からの嘆きも聞きました。

野草の楽しみ方を拡張できたことで、「おいしくない」という部分を楽しめるかどうかが野食の楽しみ方なんだろうなと思えてきます。

そして私の野虫食は「養殖候補を見つける」という意味合いが強く、おそらく多くの野食の方達とは全く違うマインドで食べているんだろう、という話にもなりました。

「ベジタブル」という言葉はウェゲタービリス(vegetabilis)「活力を与えるもの」という語源だそうです。昆虫も食用養殖化されることで、別の名前が与えられるでしょう。

昆虫が増えるという性質を使って、これまで利用されてこなかったバイオマスを利用できるようになったり、自分に適した栄養バランスへと編集できたり、昆虫を食べる別の動物や昆虫を養殖できたりと、昆虫の多様性を道具のように自在に使いこなすことができるとしたら、様々な新しい農業が多様化していくことでしょう。

養殖化することで、人間が昆虫を利用できる多様性を手に入れるもの、という意味で家畜昆虫の総体を「インセクタブル insectable」とかいかがでしょうか?

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