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ミツカドコオロギ Loxoblemmus doenitzi
♀は普通のコオロギ型なのですが、オスだけ
すごくわかりにくい頭部をしています。オス同士の喧嘩のためといわれているそうです。

三面撮影してようやく形が見えてきました。
地面に接する部分が顔の正面で、柔道着の上を広げたような形です。
歩くときにその面を下にすると、触角と目が前を向きます。
頭突きなどのケンカに有効なのでしょう。むむむ。
とはいえ、こんなオスがモテてきたことをかんがえると
ミツカドコオロギの♀は面食いではなく実力主義なのでしょう。
生殖と進化の関係はまた難解ですね。
さて
味見
柔らかく、爽やかな草の香り。コオロギよりもキリギリス系に近い味わい。オスのためか脂質系のコクはなく、なめらかなタンパク系の味。やはりコオロギ系は食べやすい。

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東京オリンピックが決定したとのこと。
いろいろ思うことはありますが
「高度経済成長期とは事情が違うよね?事情が違うのにそのままゴリ推したから国債まみれなんじゃないの?」
という疑問と議論の場が、ようやく形成されてきたのに
オリンピックの浮かれ気分で吹き飛ばされそうな気配が。
ヒトは誰しもお祭りが好きですが、憂き世の憂さを晴らす方法が具体的な改革ではなく
気分的な祭りでしかできないとなると2020年までにすべき現実的な問題への対応が
有耶無耶になる気がします。
まぁともかく、
今できることをやりましょう 味見ですね。
コフキコガネ Melolontha japonica

日本のコガネムシの中では大型で、くし形の触角も見栄えがよく、渋い昆虫。
やっぱり幼少期にはわからない渋さですね。当時は見向きもしませんでした。
成虫は樹液ではなくクヌギの葉を食べるとのこと。灯火によく来る虫です。
起きてきました。

上翅の半透明な感じが好きです。
味見
大きいのに意外と柔らかい。味は甘めだが土臭さが残っておりやはり揚げのほうが合いそう。粉吹きだけれど粉っぽさは殆ど感じられなかった。

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エゾゼミ Lyristes japonicus
茨城平野部では見かけないので、青森に先輩が帰省した際に採ってきていただきました。

模様がとりわけ美しいです。前胸背板のフチドリがアイヌの文様デザインを思い起こさせます。
北海道以外にも生息するセミですが、「蝦夷」の雰囲気が出ていますね。
味見 苦味が強い。香ばしさがあるがうまみがあまり感じられない。
クマゼミと近縁とのことだが、味はヒグラシのほうがより近い。「セミの苦味」と調理は
今後の対策事項になりうると思う。
セミといえば、
高村光太郎が「蝉の美と造形」という随筆を残しています。
引用
彫刻家はセミのようなものを作っているのでなくて、セミに因る造型美を彫刻しているのだからである。それ故にこそ彫刻家はセミの形態について厳格な科学的研究を遂げ、その形成の原理を十分にのみこんでいなければならないのである。
うむ
どんなアウトプットをするにも科学的研究・昆虫学は基本中の基本。
しっかり探求したいです。
そして、ただ知識や経験を貯めこむマニアになるだけではなく、
必ずアウトプットする、という最終目的をきちんと忘れないようにしたいものです。
アウトプットの手法は論文・書籍・このようなブログや芸術など
多岐にわたりますが、手法が違えば見方も変わります。
同じ昆虫を違う分野の人達が見比べ、楽しく、有意義な情報交換をしたいですね。

以前鳴く虫を4種食べ比べましたが
今回も引き続き鳴く虫を食べ比べましょう。
キリギリス Gampsocleis buergeri もしくは Gampsocleis mikado

兵庫で捕まえたので、「ニシキリギリスか!」と思ったのですが
分布では岡山以西だそうで。。。また
その分類についても個体変異が大きそうで昨年、識別点検討の報告が出されています。(pdf
直翅目の分類は難解そうです。。。
今まで「キリギリス科は茹でても赤くならず バッタ科は赤くなる」
と思っていました。
残念。

見事に真っ赤です。
生細胞茶色の色素にタンパク質・カロテノイド系色素の複合体が含まれているのでは、
と思っているのですが。直翅目の色素にもまだまだわからないことは多そうです。
味見 肉質の濃い味。少し苦味があるが煮干しのようにうまみにつながる良い苦味。ぎっちりと身が詰まっていて美味しい。
大型のキリギリスはとても食べごたえがありました。
大型の直翅目 キリギリス科としてもう一種
クツワムシ Mecopoda nipponensis


ガッチャガッチャとびっくりするぐらい大きな音をたてて求愛しています。
味見
クツワムシ茶
美味い。エビ系の香りと穀物のコクがあり、甘みが広がる。茹でてから塩を振りしばらく放置すると
エビのいい香りがする。自家融解と関係があるかも。
クツワムシ緑
茶色よりエビ系の香りが穏やかな気がする…?再現性がとれないので要検討。
エビの香りが酸化したカロテノイド系色素由来だったりすると尚うれしい
また、今回のキリギリスやクツワムシは夜行性で
草丈の高い草むらに潜んでいます。
大きな音を立てるので近づくことは出来るのですが
ヒトに気づいてしまうと草むらの中にポロっと落ち込んでしまうので、
捕獲は結構大変です。
そんな中、昆虫は一般的に「赤い光が見えにくい」ことが知られています。
行動と光の関係を見ても、視細胞の電気的応答を見ても、視物質の反応性を見ても
他の色に比べ、赤い光への応答が小さいのです。
(コレが本当に赤い光が見えていない、という直接的な証拠ではないですが。)
ということで、今回の捕獲にはこのヘッドライトを使いました。

明るいホワイトのヘッドライトの他に、
青・赤・緑の小さいLEDが付いています。
小LEDは周囲を照らすほど明るさは強くありませんが、
1m以内に近づく際には白LEDから赤LEDに変えると、
全く見えていないようで捕獲が簡単になりました。
他の虫にも試してみたのですが、
アブラゼミは背中を指でギュッと押すまで気づかないようでした。
この先赤色LEDのもっと明るいヘッドライトが出れば、
走光性のない夜行性昆虫の採集に使えると思います。
星空観察にも使えそうですね。どこかで商品化しないでしょうか。

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以前、せっかく捕まえたシロヒトリ幼虫が
ヤドリバエにやられた話を書きましたが。
この度成虫のシロヒトリを捕まえたので味見。
シロヒトリ Chionarctia nivea
真っ白で赤のポイントがかわいらしい女性的な蛾ですね。


元はこんな
典型的なケムシでした。

いつものように茹でて。
今回は塩を振っていただきました。
味見
甘みが強く、香ばしい良い味。外皮も柔らかいが、毛がとれないので残念ながら皮をむかないモモのような食感になってしまった。焦がすなどして毛を取る工夫が必要。さなぎで食べられていればこんなことにならなかったのに…ヤドリバエめ…

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クロカミキリ Spondylis buprestoides

実は7月中旬に既に味見していました。
味見:見た目はカミキリムシらしくなく、硬そうだが小さいので結構食える。香ばしさは少なめで甘みが強く、香りも良い。茹でただけで炒った穀物のような風味もある。同じぐらいの体型のクワガタよりだいぶ柔らかい。
ところがこの時、アクシデントが。


そうなんです。
昆虫の味見の最大の欠点は「侵襲性が高いこと」
標本であれば同定後、再度同じ個体を見ることが出来るのですが
味見してしまうとその個体には二度と出会えません。
なので写真を撮ることが必須なのですが、
この時は忘れてしまったのです。
ということで、当ブログに載っているほとんどの写真は
その昆虫の在りし日の姿。つまり「遺影」といえるでしょう。

せめて上手に撮影してあげたいものです。
コンデジとはいえ、慣れてくると過去の写真のヒドさに嫌気が差してきます。
撮り直して差し替えたいとも思うのですが
食べた個体の最後の姿を消すのは忍びないので 悩ましいところです。
さっさと写真うまくなれ、ということなんですが。

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写真をとったきり冷凍庫に沢山の昆虫が眠ることになってしまいました
在庫整理をしておきます。
ボクトウガ Cossus jezoensis

クヌギの木に食入り、樹液を噴出させ、
その樹液を飲むのではなく、樹液に来た昆虫を捕食する奇妙な蛾の幼虫。
蛾の幼虫なのに頭部と胸部第一節、第二節ががクチクラで補強されていて
ゴミムシダマシの幼虫にも似ています。
1919年の三宅の調査では、日本でも食べられている地域がありました
これの近縁種でもっと大きいオオボクトウガは、Witchetty grubと言われて
アボリジニの食べる有名な昆虫の一つです。
オーストラリアにはしばらく行けないので、日本の近縁種を食べて
思いを馳せましょう。
実績、大きさ、色もよく
茹でると赤みがましておいしそう。期待が高まります。

味見
縦方向の木の香りがする筋肉質が味わえる一方で、脂肪体に独特な匂いがあった。
リコリスやフェンネルに似た、ゴムっぽいケミカルな匂い。
茹でると匂いが強かったので、次回揚げるともっとバランスが良くなるかと。
前評判は良かったのですが、期待し過ぎて独特の匂いに好き嫌いが別れる
結果となってしまいました。
肉食の鱗翅目はあまりいないですが、日本のおもしろい種として覚えておきたいです。

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今年もマメハンミョウの季節がやってまいりました。
猛毒カンタリジンを体液に含み、幼虫はバッタの卵、成虫はマメ科の葉っぱをたべる変な虫です。
体色も独特でストライプのスーツを着た覆面レスラーのよう。

昆虫食を始めるにあたって
「美味しい昆虫」よりも重要かもしれません
「食べたらいけない昆虫」
多く質問されることなので、ココにまとめておきましょう。

カテゴリA 体液に強い毒をもつ昆虫

ツチハンミョウ
マメハンミョウ
アオカミキリモドキ
アオバアリガタハネカクシ
これらは強力な炎症性の毒をもつので、
食べるのは諦めたほうが良さそうです。
カテゴリB 強い毒をもつ植物を食べている昆虫

アサギマダラ
オオゴマダラ
カバマダラ
キョウチクトウスズメ
エリサン(キャッサバ飼育)
上記四種は食草の毒成分を成虫まで持ち越すことが知られています。
エリサンは毒草キャッサバで育てた後、消化管内容物がなくなる前蛹や蛹なら
食べられるそうです。これについても引き続き調査中です。

カテゴリC 捕獲時の危険度が高い昆虫
オオスズメバチ
イラガ
チャドクガ
セアカゴケグモ
外来種セアカゴケグモは咬むことで神経毒を注入します。
イラガやチャドクガは強い毒刺毛を持つことで知られています
オオスズメバチも攻撃性が高く、毒も強力です。
スズメバチ類は駆除業者や専門家にお願いするとよいでしょう。
イラガは冬の越冬蛹だけ無毒なので、
繭ごと炒ってピスタチオのように食べられます。

カテゴリD 消化管に感染性細菌が多く含まれる昆虫
イエバエ
ゴキブリ類
オサムシ類
シデムシ類
ゴミムシ類
感染性の細菌は生きたまま体内に入ると食中毒を起こすだけでなく、
加熱前に繁殖した時に生成された毒素だけでも中毒を起こす危険があるので
腐肉食性の昆虫には気をつけたいものです。内臓を取り除くなどの
下処理が必要になるかもしれません

実はオサムシ科の中には
穀物食や、肉食のつよいものがあるそうなので、
きちんと同定すれば食べられるものもあると思います。
オサムシ科であるハンミョウは(マズいですが)一応食えましたし。
なので「未開拓」としておきます
カテゴリE 味の悪い昆虫
苦味=弱い毒であることもあります。
慎重に味見をして、無理な場合は諦めましょう。
テントウムシ
カブトムシ
ツマグロヒョウモン
ブドウスカシクロバ
セスジスズメ
ベニスズメ
ハンミョウ
ヨコヅナサシガメ
カテゴリF 長期間単一のものを食べることで初めて毒性を発揮する昆虫
アナフェ (食用昆虫科学研究会のHP)
アフリカのギョウレツケムシ科のガ「アナフェ
がチアミン(ビタミンB1)欠乏症を引き起こす
耐熱性チアミナーゼを含むことが2000年、
日本の研究チームによって明らかにされました。
昆虫食がキケン、というよりは
単一食の危険は昆虫食にもある、といえるでしょう。
昆虫を単一で大量に食べる文化はまだ少ないですが、
養殖昆虫食が始まると同様の事象が起こる可能性があります
昆虫の家畜化については、既存の食品安全基準を元に慎重に進めたいものですね。

参考文献

Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎

皮膚に炎症が起こる、ということは食べた時、粘膜にも炎症が起こる可能性が高くあります。
更に、代謝されることで初めて毒性を発揮するものもあり、
皮膚炎を起こさないからといって毒性がないともかぎりません。
参考文献として使用させていただきました。ありがとうございます。

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ブドウトラカミキリ Xylotrechus pyrrhoderus pyrrhoderus Bates

近所のぶどう棚で発見。毒々しい配色ですが無毒。
背中の模様がXなので、近縁種のクビアカトラカミキリではなくブドウトラカミキリと判断しました。以前食べた同じトラカミキリ属のトラフカミキリは美味しかったので、期待です。
味見・茹でポン酢
小型のカミキリのため比較的食べやすい。口に入れた直後は体液の甘みが強く、
くさみのないクリアな味わい。口に残った外皮はまったく味がなく、後半は味気ない残念な感じ。
軽く揚げることで外皮が食べやすくなると思われる。
ブドウトラカミキリはその名の通りブドウの枝に入り込んで食害する害虫です。
これだけ味が良いのだから食べればいい、とは思うのですが、
ブドウを農薬なしで育てると減収率が66%、6割以上が失われてしまうので
農業としては殺虫剤なしにすることは難しいのでしょう。
無農薬をうたう有機農業の方で、
害虫駆除を「食べて」やりたい
という方にまだお会いしていません。
殺虫剤を使わない農業では
人の手が主な駆除方法となりますので、
その中で美味しい昆虫が採れれば食べたいものです。

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※メンガタスズメだと勘違いしておりましたが
指摘していただきシモフリスズメだということがわかりました。
訂正いたします。

8月21日より某所にて泊まりがけの実習に行ってきましたので
ネットが不自由になっておりましたところ
2chにこのブログが見つかり、いくつかのまとめサイトに転載され、
多くのアクセスを頂きました。
直接はいいにくいネガティブな意見もあり
大変興味深くみておりました。
スレッド自体ができたのが
8月20日朝6時。
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/08/20(火) 06:52:52.01 ID:C+hi7EKJ0
閲覧注意
http://mushikurotowa.cooklog.net/
マジキチでしょこれ。生では食ってないみたいだけど色んな虫食べてる…
こういうやつはYouTubeで映像でみたいわ。
「マジキチ」と表現はされていますが
「生で食べていない」と内容まで読んでいますし
「映像で見たい」というリクエストもあり
コメント自体は比較的好意的です。
暇人速報さん「虫を食べて淡々とレビューしてるブログ見つけたww」
に二次的なコメントが付いていますね。


同時期に
プロブロガーであるイケダハヤトさんにより
レビューが掲載されました。
…恐縮するぐらいべた褒めです。ありがとうございます。
今回の盛り上がりで大きな収穫が2つありました。

スレッド自体の全内容はdat落ち?とかで回収できなかったのですが。

こちらのレス。
12: ブログみてみろ。マジキチな虫まで食べてるから。色んな虫食べてるから。

いい表現ですね。
ここから分かることは
日本の昆虫は「食える虫」と「食えない虫」に二分されること。
そしてそれが「マジキチでない普通のこと」であること。

イナゴ・ハチノコなどの
「普通の日本の食用昆虫文化」が根強く引き継がれていることを感じさせます。

そしてもう一つはコチラ。
暇人速報のコメント欄より。
綺麗な写真と、文章だけの感想。これは食べてない。
せめて調理して食べる直前の画像や解体画像があれば信じるけど。
妄想だけでこの分量書けたら作家になれる気がします。

以前に
論文209本を捏造した麻酔科医が話題になりましたが、
彼も作家になればよかったと思います。

さて、浮かれ気分はこのくらいにして、

在庫整理と参りましょう。
研究室のパートのおばさんお姉さんのゴマ畑で発生していた大型のスズメガ幼虫。

胸部にしろいツブツブがある点
終齢まで育てると尾角がピンっとしている点から
シモフリスズメ Psilogramma incretaであることがわかりました。
ゴマにつくスズメガの幼虫は他に
終齢の尾角がS字に湾曲するクロメンガタスズメや
湾曲しないメンガタスズメがあるようです。

昨年つくば植物園「虫と植物展」で見たクロメンガタスズメは
もっと黄色がかって大型でしたので、いずれ食べたいと思います。

続いて蛹になる寸前の前蛹
一旦着色します。

土中(ここでは湿らせたティッシュの中)に茶色い糸を吐き、
蛹室をつくる糸を吐き終わると緑色に戻ります。

昆虫は開放血管系なので、
おそらく水溶性の色素を合成すると血液に乗って全身に回ってしまうのでしょう。
脱皮前後の色変化はいろいろな昆虫でみられるのでおもしろい現象です。
そしてサナギ。

口吻が棍棒のようにニュッと飛び出しています。
クルッと巻くエビガラスズメとは違うようです。
さて
味見。
幼虫
! 胡麻に似た香りがする!
茹でただけなのに香ばしい香りと青っぽい小松菜系の香りがして大変美味しいです。
ただ大型のスズメガのため外皮はとことん固いです。鮭とばの皮のような噛みごたえ。
エビガラスズメの方がタンパクで、メンガタスズメのほうが脂質のコクが感じられました。
前蛹
うーむ。。。。美味だ。今年後半の大ヒットかと。
前蛹になり外皮の弾力が減ることで、噛み切りやすくなり焼いた鳥の皮のような噛みごたえに。
ローストしたかのような香ばしい香りが凝縮され、好みの分かれそうな青臭さは消えている。
サナギ
外皮が堅めになってしまったものの、内部のクリーム感はむしろ増しており
練りゴマのような濃厚なクリームに。ここでエビガラスズメに似た豆腐感(タンパク系クリームの味)
も加わり前蛹よりヘルシーなイメージ。
番外編
ヤドリバエ
以前シロヒトリに発生したヤドリバエと思われるハエに寄生された個体があったので報告します。
以下閲覧注意

... "味見:シモフリスズメ" を続けて読む