11月16日、17日に、毎年恒例のサイエンスアゴラ2019に出展してきました。今年からはISAPHとの共同事業体としてラオス事業を進めていきますので、今後の発展を願って、日本での研究会の活動とのコラボを強めていきます。ひとまずこの動画を御覧ください。雰囲気が伝わるかと思います。
ラオスで15年以上活動する保健のNGOである、ISAPHの事業の一つに、「本邦研修」というものがあります。これはラオスの協力者である保健人材を日本に招待し、保健医療の研修をうけてもらうものです。今回はそこに追加の助成金を応募して旅費を捻出し、東京のサイエンスアゴラまでご足労を願いました。なぜ呼んだかというと
「食の未来を日本人だけで相談することのナンセンス」を明らかにしたかったからです。どうしても日本人同士で昆虫食について話すと様々ある問題点や課題をすっとばして「心理的なハードル」に集中しがちです。
日本はこれから人口が減少し、アフリカとアジアの人口が増加します。
そしていますぐ、温室効果ガスをゼロにしたとしても、今後数十年間は温暖化が進むと予想されています。つまり。
「昆虫を食べる地域(熱帯や亜熱帯)の気候帯が広がる」
「昆虫を食べる地域(熱帯や亜熱帯)の人口が増える」
ということなのです。奇しくも伝統食材として、昆虫食が残っている日本が、「なんだか昆虫食へのイメージが良くない」ということで、将来性にフタをしたり、他の食材に比べて開発が遅れていることを理由に、採用を後回しにする、といった「遅れの再生産」を起こすことは、世界全体の損失となってしまうでしょう。
つまり、「昆虫食の伸びしろを確認すること」を目的とした研究は、偏見を手放して「公平に」やるべきなのです。本当は公的研究機関がやるべきところですが。
批判はさておき、今回は、わたしたちができうる限りの「昆虫食の未来を議論するに適したメンバー」を揃えた形になります。この5角形はサイエンスアゴラの理念を示すものですが、「アゴラ」という開かれた議論の場において、
研究会は科学者と事業者としての側面、
試食提供を支援いただいた昆虫食普及ネットワーク、株式会社TAKEOは事業者、市民として。
このとき通りかかって試食をしたり、聞いてくれた方々は市民、メディアとして、
そして今回ゲストであるラオス行政の公務員と、そこで一緒に働くNGOとしてのISAPH事務局長の佐藤さんも参加いただきました。
印象的な発言をピックアップしておきます。
「一番おいしい昆虫はなんですか」(こういうのをよく聞くのですが)
に対してラオス人医師は「昆虫にはそれぞれおいしさと食べ方があるからそんなのわからないよ」との答え。「一番美味しい脊椎動物は?」と聞かれて答えにくいようなものでしょう。豚の角煮と親子丼、ビーフステーキ、どれがおいしいですか? 難しいですね。期待通りです。
また、試食提供で私がTAKEOと開発している「バッタ生キャラメル」を食べてもらったところ「バッタ本来の味が死んでいる」という美味しんぼみたいなコメントをもらいました。とてもおもしろい。
バッタ生キャラメル、ラオス人医師に「甘すぎてバッタの美味しさが死んでいる。」と海原雄山みたいな感想をもらいました。
— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ)プロ蟲ソムリエ/ラオス在住/次回帰国3月6日 (@Mushi_Kurotowa) November 18, 2019
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— 蟲喰ロトワ(むしくろとわ)プロ蟲ソムリエ/ラオス在住/次回帰国3月6日 (@Mushi_Kurotowa) November 18, 2019
> このバッタ生キャラメルを作ったのはだれだぁっ!!<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ https://t.co/JGXgRgD8HX
今回のシンポジウムは「前に進む実感」というよりは、立ち止まって、あるいはむしろ少し後ずさって視野が広がる、そんな感覚をもらうことができました。
シンポジウムに参加してくれた人の多くは関係者でしたが、あらためて今の活動の意義や進捗を語らう場を設ける事ができてよかったかと思います。みなさまありがとうございました。そしてこの動画を撮影・編集してくださった、なおまるさんに感謝申し上げます。