11月6日から3日間、某日本企業の方々に同行してずっと気になっていたタイのコオロギスナックの状況をみてきました。その企業の方のご厚意で、「業界の発展のため、すべて情報を公開していい」と許諾をいただきましたので、深い内容については研究会で議論していきますが、ここらで軽く紹介をしたいと思います。
なぜ気になっていたかというと、このスナックがよく売られていているからです。
Hiso社のタイ産昆虫スナックはビエンチャンのコンビニでも買える。日本円で83円ぐらい。またパッケージ変わった模様。景気いいな。 pic.twitter.com/A82ujUt37y
— 蟲喰ロトワ 職業プロ蟲ソムリエ ラオス在住 次回帰国12月14日 (@Mushi_Kurotowa) April 1, 2018
セブンイレブンにも、ファミマにもあって、ラオスの首都ビエンチャンでも買えた、というのは結構儲かってるんじゃないでしょうか。なかなかアポが取りにくいとの情報はあったので、今回同行できたのは幸運でした。
養殖場と加工場、それぞれ車で行きました。
まずは加工場から。スナックを作るための乾燥・オーブン・調味の工程がすべて閉鎖系の食品工場として整備されていました。中に入るときはキャップとエプロンが必要で、中の写真は禁止。
今回話を聞きたかったのが、タイ政府(National Bureau of Agricultural Commodity and Food Standards (ACFS) )が公開した「GAP(good agricultural practice)」がどれほどの意義があったものか。という点です。結論からいうととてもうまく動いている。と感じました。
タイで最も品質管理の厳しいシステムで動かしているのが彼らで、このGAP策定のメンバーでもあるそうです。産官学が連携してルール作りを動かしていき、「高い品質のコオロギにちゃんとした値段がついて売れること」が大事であるとの共通認識ができているようです。「産学官連携」が「すぐにみんなが儲かる話」ではなくて、こういった未来のビジョンにつなげる話になるといいですね。
翌日はコオロギ養殖場へ
翌々日は家庭レベルのコオロギ養殖場へ。これはラオスでもみたことがある。
ここと同じ方法で養殖しているのをラオスでも見たことがあったので、どこかで習ったのか、それとも情報公開をしていないか、と聞いてみると「この方法ではじめたのがうちが最初で、youtubeとかfacebookで公開しているからそれをみたんじゃないか」とのこと。メッセージにも対応して養殖相談に乗っているらしい。コオロギ養殖が商売として頭打ちになったら、とかライバルが、といった意識はまったくなく、どんどん真似してどんどん儲けてほしい、とのこと。
また、個人農家にも行政の役人が、GAPに基づいたアドバイスに来ているとのことで、品質を上げるための設備の指導などをしている様子であった。単に強制的なルールを決めて足切りをするのではなくて、業界全体が盛り上がるよう、そして硬直的で個人では実現不可能なハードな運用にならないよう、うまいこと調節できているようにみえた。
今回も含めて、タイのどこでも印象的だったのは、現実をみつつ、将来に対して楽観的だということだった。日本の企業はどうしても「囲い込み」をしたがって、市場が縮んだ時でも生き残れるよう、保険をもとめる傾向が強い。確かな保険に加入できることには投資するが、その保険に加入する費用を、オープンなイノベーションのために使おうとする気概が薄い。
そう考えると以前のレストランで見たように、「ビジョンを語れる人」というのがとても魅力的だと思う。短期的な営業利益は必要ではあるが、そのために仕事があるわけではない。私もビジョンを語るヒトになりたいが、ことあるごとに
「何をしているヒトですか?」「何を目指してるんですか?」
と聞かれることのほうが多い。もっとビジョンの発信を大事にしよう。
ビジョンとは、
日本社会が昆虫の社会的価値を再議論し、判断すること。
そのための象徴的なアイコンとして昆虫食の再導入を位置づけている。普及の推進は、日本社会が昆虫の社会的価値を判断するために必要。
もちろん昆虫食の再導入とは「すべての人が昆虫を食べるようになること」ではなくて「普通の食材として自由に昆虫を選べるようになること」である。
といったあたりでしょうか。
タイヤラオスでコオロギ養殖が盛んなのは何故ですか。
用途はなんですか。
人の食料としてですか。
家畜などの餌用かと思っていました。
もともと採って食べる昆虫食がある地域に、
20年以上かけて徐々に養殖コオロギの消費者と生産者がひろがっていきました。
タイでの養殖開始は1998年でタイ東北部のコンケン大学の昆虫学者らが主導して、農家の副業として支援しました。
さっと揚げておつまみやスナックとして消費されています。
コオロギのエサは鶏の配合飼料なので、生き餌としての利用はあっても家畜の餌ではありません。