「カイコは美味しくない」
残念ながら
多くのカイコ研究者にも共通する認識です
独特の味はオトナ向けの風味としては良いのですが
サイエンスアゴラでも子供にはあまりウケない味のようでした。
今まで240種食べてきましたがトップ5に入る悪い味でした。
ただ、これが
「カイコガ科独特の味」なのか、
「クワを食べたことによる悪い味」なのか、判断がつきかねます。
そこで、
「カイコガ科でありながらクワを食べないもの」がいないか、
カイコ研究者にお伺いしていました。
そんな中頂いたのが
イチジクカサン Trilocha varians という耳慣れないカイコ。
台湾ではイチジクやガジュマルの大害虫だそうで、南方の種。
今回は石垣島の系統を分けていただきました。
これにより
カイコの味の悪さは、氏(遺伝)か育ち(食草)かがわかります。
こちらは蛹
味見
幼虫
プツプツと消化管内容物の食感があるが、嫌な味は全くなく、イモ系の穏やかな風味。おいしい
蛹
ヤママユガ科と共通する栗に似たまろやかな香り。味もよくエグミは全くない。
朗報です。
クワが原因ということがほぼ確定しましたので、
次は、
美味しいカイコの生産を目指しましょう。
普通は、カイコはクワの成分を含んでいないと
どんなにお腹が空いても食べず、餓死してしまいます。
幸いなことに
カイコは多くの自然突然変異体があり、
その遺伝子も特定されているので
「広食性カイコ」という系統が見つかっています。
これにより、
カイコの栄養に適した、そして美味しい葉を食べさせると
美味しいカイコができるはずです。
なお
養蚕が盛んだった頃のカイコは、
錦鯉などのエサとして使われましたが
「肉がカイコ臭くなる」とのことで、
食用魚には使われてこなかった経緯があります。
そのため、この「美味しいカイコ」の生産は
飼料としても将来性があるのではないでしょうか。
ということで
現在問い合わせ中。続報があり次第またお知らせします。