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ショウリョウバッタ Acrida cinerea

大型のバッタでメスの体長は14cm以上にもなり、日本で一番長いバッタ。
ショウリョウバッタは卵で越冬し、夏にかけて成長しますが、
同じ卵越冬のトノサマバッタと比較して羽化の時期が遅いようです。。
今年だと6月下旬にはトノサマバッタが成虫になっていたのに対し、
ショウリョウバッタは7月中旬でした。
旧盆のころよく見られることから「精霊ばった」が
名前の由来という俗説もあるようです。(wikipedhiaより)
加熱すると他のバッタと同じく
赤く色が変わり、エビの近縁であることを伺わせます。
このショウリョウバッタですが、
大型でトノサマバッタよりも採集しやすく、
これで美味しければもんくがないのですが、
茹でて食べると、枯れ草の香りがして、外皮が舌に残り
身は少なく物足りない感じでした。若干ほろ苦さもあります。
今まで食べたバッタ類では一番微妙な味でした。
揚げればそこそこ美味しいのですが、苦味があることも。
食用のバッタで有名なイナゴは、イネワラの香りが強く、
バッタ類で図抜けて美味しいわけではありません。
やはり美味しいのは
トウモロコシの香りがしてコクのある
トノサマバッタのようです。
とはいえ揚げると美味しくいただけるので
昆虫料理研究会の秋のバッタ会では
初心者でも取りやすい手頃なバッタとして
食べられいます。

ニイニイゼミ Platypleura kaempferi
幼虫が土まみれの小型のセミ。
6月下旬ごろに出るので、例年8月に行われるセミ会では成虫だけ捕獲していました。
アブラゼミより小ぶりなので外皮が食べやすく、いろいろな料理に使えそう。
7月28日に羽化中のニイニイゼミに出会ったので、
そういえば成虫以外食べたことないなぁと思い、味見しました。

茹でて食べると、とても柔らかく、するりと消えてしまう。
セミの特徴的な匂いは幼虫に多いため、
羽化直後の白いセミは結構味気ない感じですね。
色味がいいので様々な料理には向きそうです。
次に、
幼虫も食べたことがなかったので
その抜け殻を味見してみました。
古い歯ブラシでよく洗い、泥を落とし、
口に含んだところ、
ジャリジャリと取り残した泥が口に広がり、
とても食べられませんでした。
ちゃんとニイニイゼミの幼虫をいただくには、
羽化前の幼虫の皮を剥く作業が必要となるでしょう。。
食材としては使いにくいと思われます。
成虫は比較的低い位置で鳴いているので、
初心者でも捕獲が簡単です。
成虫をオススメします。
8月後半にはいなくなるそうなので、
セミ会の名脇役としてお使いください。
さて
我ながらよく撮れたと思う先ほどのミンミンゼミの写真
何かに似ていないかと。。。いうことで
見つけました。

キレてるキレてる!
ナイスバルク!
6つに割れた腹筋(脚)、
パンツ(抜け殻)
日に焼けた肌、
ドヤ顔、
大きく張り出した肩(翅)
完全に一致ですね。
ちなみに右のフィギュアは
バキに登場する筋肉の人。ビスケット・オリバ。
バキは格闘漫画から「バキ」という新しいジャンルを
築きつつあります。
先週の父子エア味噌汁には驚愕しました。
最終回まで目が話せません。
9月以降発売のフィギュアを4種あつめると
なんと
カマキリ師匠のフィギュアが完成する!
カマキリキャンペーン」実施中。
カマキリ師匠だけほしい。。。。

エビガラスズメの蛹 Agrius convolvuli

ゆでてポン酢でいただきました。腹部は青大豆の豆腐のような爽やかな香りでクリーム状。濃厚な味。胸部は弾力のある食感でタンパクな味。なぜか柑橘の葉のような香。外皮はやや口に残るが食べられます。
エビガラスズメ成虫

成虫はオスメス共に直火で炙り、翅と鱗粉を焼いてぽん酢で頂きました。美味しい。カイコのようなくさみもなく、納豆のような濃いアミノ酸系の味がします。メスは卵がプチプチしてより楽しい食感。成虫は暴れてハネが傷んでしまったので写真は割愛します。
エビガラスズメはボツワナのサン族が「ギュノー」と呼んで食しています。
納得の美味しさでした。(内山昭一 著 昆虫食入門 より)
鱗翅目の食用昆虫として、日本ではカイコが有名です。
生糸生産の副産物として比較的ラクに手に入るのですが、
食用昆虫の中でもあまり美味しくないと思っていました。
最近他の鱗翅目を食べていくうちに、
鱗翅目の中でもかなり美味しくない部類に属しています。
クワの強烈な土臭さが全面に出てしまい。
醤油などできっちり調理しないと難しい食材となっています。
カイコ、クワコ(カイコの原種)についてはまた別の機会に。

1

カメムシは基本的に嫌いです。
あれは小学4年生頃。
田舎の学校に片道3.5kmの道のりを徒歩で通っていました。
その日は「自転車交通安全教室」で、
基本徒歩通学の小学生が
年に数回、自転車を「持ってくる」日でした。
今思うと保険の関係でしょうか、
「決して乗ってきてはならない。かならず引いてきて、引いて帰ること」
とのキツイお達しがありました。
ですがそこは小学生。帰りは下り坂。
当然風を切って乗って帰りました。
風景が心地良いスピードで過ぎ去る中、
気持よく歌を歌いながらいつもの橋を渡りきろうとしたその時
口に何かが入ったのです。
口から鼻に抜ける強烈な匂い。
それはマルカメムシでした。
それ以来。私はカメムシの味がキライです。
カメムシ味のするパクチーも好んで食べられません。
そんな「カメムシ味への偏見」を打破してくれたのが
この
キバラヘリカメムシ Plinachtus bicoloripes

つくばのカメムシ研究者から頂きました。
生きているのを嗅ぐとほのかにさわやかな香り。
「青リンゴの香り」と形容されますが、
頂いたものはかすかな香りで、あまり匂いの実用化は期待せず、
とりあえず茹でていただきました。
口に含んだ時もほとんど味がしません。
!!!
噛んだ瞬間強烈に爽快な青リンゴの香りとミント系の刺激が
脳天を突き抜けました。 深夜1時にもかかわらず声を上がる。
これはすごい!!
これによく似たカメムシがタイのマーケットでも売られています。
生きた状態で、竹筒羊羹のような感じで細い青竹に10匹入れられて
10バーツ。
一食屋台で食べるのと同程度の値段なので、
嗜好品としてはかなり高級。
食べた人によると「強烈なミントの味。おいしかった。」とのこと。
このニオイはおそらく有機化合物なので
死んでしばらく経つと消えてしまうのだろう。
どうにか保存する方法はないか
この匂いをいつでも楽しめる方法はないか。
ということで
「カメムシジンジャーウォッカ」

キバラヘリカメムシをウォッカ375ml に対して20匹入れ、
ショウガを一欠片入れ、一週間ほどで完成。
ショウガを入れるようになったのは
昨年考案したタガメジンジャーウォッカからのフィードバック。
(タイワンタガメのフェロモン匂いについては別の項で。)
6月に作ってからいろいろなところに持って行っているが
かなり好評で、お酒に弱い人はグレープフルーツジュース
で割ると美味しいく飲めます。
ブルドックならぬ Stink Dog ?
ぜひお試しください。

クロホウジャク; Macroglossum saga
ユズリハの木を食べていた終齢幼虫。

スズメガ科はエビガラスズメが美味しいことが知られており、
ギューノーという名でボツワナのサン族が好んで食している。
(エビガラスズメ実食は別の項にて。)
そのためクロホウジャクにも期待していたのだが、
内部の食感はプルプルしているものの、外皮が堅く、身はタンパクで味気ない。特徴なし。期待値が大きかっただけにだけに残念。ユズリハにはアルカロイドも含まれるためオススメしない。
クロホウジャク前蛹

幼虫の見つかった所から少し離れた花壇の整理中に
土中から発見。土中から採集したものは土臭さが気になるものが多いが
これはあまり土臭くない。終齢幼虫とは異なり、
ぎゅっと身が締まり外皮がサクサクと歯切れがよい。味はほろ苦く、うまみもある。
クロホウジャク? 蛹

同じく花壇の整理中に発見。形からクロホウジャクと思われるが
未同定。
内部は臭みのない茶碗蒸しのような味、プルプル感、滑らかさ。うまみも適度で美味しい。ただ外皮が口に残り固いのが難点。中身を取り出しねぎとろのようにたべたい。若干土臭さはあるがゴボウ程度なので許容範囲内。
鱗翅目はステージで食感も味もガラリと変わる。
これからぜひ掘り下げたい。

学部生時代の臨海実習で系統学とスケッチをやった時
助手の先生に言われた。
「系統分類は食べてみりゃわかる」
フジツボやカメノテは甲殻類なのでエビ・カニの味。
ホヤは原索動物なので他の生物で形容しがたい味。
なるほど確かに。
ヒトの舌には
重要な物質(塩分、水素イオン、苦味・甘味物質)が
適切な濃度範囲で存在しているか。という定量的な機能と
現在口に入っているものが
今までに食べたものと同じ、似ている、違うか、という定性的な機能がある。
そしてヒトは
舌による味覚受容と嗅受容、
記憶、その他情報とを照らしあわせ「食べるor食べない」を決定する。
「同じか違うか」という機能はかなり優秀で、
半日前においしく食べられていたご飯が
「すこし傷んだ」ということまで検出する。
前フリが長くなりました。
今回のテーマは
よく似ているけど系統的に遠い昆虫同士
擬態昆虫」を食べ比べる。
第一回は
「ハチに擬態した昆虫を食べ比べる」
選手入場
「キボシアシナガバチ」

完全にメンチ切られてます。氷温麻酔をしていたのですが
途中完全に起きて飛んでパニックになりました
「ヒメアトスカシバ」

ガの一種ですがかなりハチ顔に作りこまれています。
毛の感じだとアシナガバチというよりはハナバチ系でしょうか。
「トラフカミキリ」

一番凶悪な模様と顔ですが無毒です。
カミキリ類は美味しいことが知られているのでいい勝負かもしれません。
いずれも成虫なので、本来ですと揚げ調理が向いているのですが
今回は個体数がそれぞれ一匹と希少であること、を考慮して
あえて茹で調理での味見となります。
「キボシアシナガバチ」
茹でてから針を抜き取って試食しました
内部はかすかに甘く柑橘系の香り。
外皮がとても固い。幼虫、サナギは美味ですが
成虫は茹でだけでは硬さに難があるので、揚げ調理をオススメします
「ヒメアトスカシバ」
メスだったようで卵がプチプチした。毛が多く食感は良くなかったです。
体サイズも小さいためあまりうまみは感じられず、こちらも揚げ、もしくは
直火で毛を焼ききってしまうほうが向いているようでした。
「トラフカミキリ」
アシナガバチより外皮が更に固いが食べた瞬間に脂肪のコクと甘みが広がる。
やはりカミキリムシはすごい。
総評
成虫同士の比較だとやはりカミキリに軍配が上がりました。
味が分類に従うというのは昆虫も同じ傾向があるようで、
今までに食べたそれぞれの近縁の種と通じる味がありました。
そして
ブドウスカシバの幼虫は「ブドウムシ」と言われ生き餌として有名で、
蜂蜜で育てられるので是非やってみたい所ですね。。
リベンジマッチ
「親の敵は俺(幼虫)がとる!
アシナガバチ・トラフカミキリ・ブドウスカシバ幼虫食べ比べ」
とか開催してみたい。

本日は恒例 昆虫料理研究会主催
「東京セミ会2012(第37回例会)」に行ってきました。
その内容はそれぞれのブログにおいおいUPされるとして
今年は個体数も調査しました
成虫 99匹
幼虫 約280匹(845g)
セミ会と昆虫料理研究会は明朝8月5日朝日新聞朝刊
(東京版)でご覧になれる予定です。
さて本日の主役
アブラゼミ(油蟬、鳴蜩、学名 Graptopsaltria nigrofuscata)は、カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種。褐色の不透明な翅をもつ大型のセミである。(wikipedhiaより。)
アブラゼミ幼虫

セミ会では美味しいと評判だが、腹部の樹液の香りが強く
初心者は好みが分かれるため調理に注意。初めての場合は腹部に穴を開け高温でカリッと揚げると食べやすい。香りを楽しむ場合は低温でじっくり。
茹でで食べると若干外皮が気になる。腹部のクリーミーなナッツの香りと
胸部のみっちりした筋肉がそれぞれ楽しめる。
羽化直後

未硬化の外皮が濡れティッシュのようで味気ない。腹部;ほうれん草系の土草の香。頭部;脂肪のコク;胸部;圧倒的ササミ感。胸部筋肉は食べる価値ありだが幼虫が断然美味い。揚げはカスカスになり不向き
成虫
茹でて食べるにはカタすぎる。
しっかり揚げてクチクラの強度を下げ、
空洞である鼓室にソースやチョコ等を注入すると良い。
注入には百円ショップに売っている
先の丸い注射器(乳液などの化粧品を詰め替えるためらしい。)
を使用するとよい。

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シンジュサン(樗蚕)Samia cynthia pryeri はチョウ目、ヤママユガ科のガの一種である。朝鮮半島、中国、国内では日本全土に分布する。
開張すると110-140mmほどの大きなガである。翅の色は褐色で、全ての翅に1つずつ三日月形の紋がある。出現期は5-9月頃。 幼虫は毛状突起を持つイモムシで、柑橘類、ニガキ、ヌルデ、クヌギ、モクセイ、クスノキ、エノキ、リンゴなど数多くの樹木の葉を食べる。(wikipedhiaより)
ヤママユガ科の食用昆虫で有名なのはモパニワーム
イギリスの通販サイトで見つけて乾燥のものを食べてみたが、
けっこうおいしかった。(e-ism記事参照)
シンジュサンもヤママユガ科なので
美味しい可能性が高いので挑戦。
…見た目はビビッドでとても食欲をそそらない。
茹でてポン酢ジュレでいただく。
外皮がやわらかく、トゲ状の突起も固くない。
内部は小松菜のような香り。豆腐のような淡白な味もあり
「小松菜の白和え」のような味。かなり食べやすく、美味しい。
7月の阿佐ヶ谷昆虫食のよるべではクスサンの前蛹とサナギを食べたが
こちらも美味しかった。
やはりヤママユガ科は期待大。
養殖できればアフリカに高く売れるかも。

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<味見ルール>
料理をする前に食材の味を確かめます。
昆虫は概して「普通の味」です。
そのため、味の強い料理では風味が消えてしまいます。
味見ではその風味をきちんと把握するため、
「しゃぶしゃぶぽん酢」で統一しています。
非加熱で生の味も確かめたい所ですが、
昆虫はヒトと共通で感染する細菌や微生物、寄生虫について
ほとんど調べられていないので必ず加熱するようお願いします。
記念すべき第一回。トノサマバッタ

日本でもありふれた普通のバッタです。
イナゴに似ているので食べることへの抵抗感は低いと思います
今回は「フン抜きの有無」をメインの話題とします。
用意するもの
1,バッタ
2,鍋
3,ぽん酢
A,フン抜きせずに茹でていただく
フンの香りが強く、あまり美味しくない。
B,冷蔵庫で2日置きフン抜き後、茹でていただく
フンがぬけ、バッタ本来の枯れ草のような香りがする。
考察
茹でて食べる場合、香りがつよいものは食べにくいが、
A、Bのバッタを200℃オーブンで30分加熱すると
どちらもカリカリになったが、
Aの方がえびせんのような香りがのこり美味しかった。
Bはすこし味気ない感じがした。
エビやカニの味噌はいわゆる消化途中のもの。
独特の風味や旨味は未消化物由来なので、
バッタも同様といえます。
風味や旨味が消えがちな揚げなどの高温調理は
フン抜きをしないほうがオススメ。
佃煮や茹で、串焼きのような素材の風味を活かす料理には
フン抜きがオススメです。
イナゴの本場、福島でも
フン抜きをする地域が多いのですが、
フン抜きをしないほうが「コクが出る」とのことで
しない地域もあるとのことです。
さて、そのフンですが
カイコのフンを乾燥させた漢方薬として「蚕沙」があります
これをお茶のように煎じて飲みます。
桑の葉の香りが濃縮され、とても美味しいです。
このようなことがトノサマバッタのフンでもできないかと。
サトウキビを食べさせたバッタのフンをフライパンで煎り
お茶にしました。
サトウキビの甘い香りが濃縮し、しかしバッタが
甘味などの栄養成分を吸収してしまったので
味は甘くありません。普通の麦茶に似た味です。
「植食性昆虫のフン茶」
新しいジャンルになりそうです。

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昆虫を調理してみたい!
でもやりかたがわからない!
そんな方に、ビギナーズから始めましょう。
1,食材選び
まず食材選びです。
マメハンミョウ、ツチハンミョウは
猛毒カンタリジンを持っているので食べないでください。
腐肉食性のシデムシも避けたほうが良いでしょう。
腐植土を食べているカブトムシ幼虫は大変美味しくないので
美味しそうなものを食べている昆虫を選びましょう。
始めての方はバッタ、セミがオススメです。
2,鮮度
昆虫は生きたものを使いましょう。
鮮度が一番です。昆虫は一気に劣化します。
経験上ですが、エビと同じぐらい傷みやすいです。
そのため、基本は生きたものを使用します。
どうしても死んだものを使う場合は冷凍、冷蔵をきちんとし、
味が変だと思ったら食べない勇気を持ちましょう。
3,調理の前に
いよいよ調理ですが、もしご家族、ルームシェア、恋人等
同居人がいらっしゃる場合は調理器具の共用が可能か
くれぐれも、くれぐれもしっかり確認しましょう。
勝手に使い、あとから同居人が
昆虫の脚のカケラを発見してしまうと
有効な言い訳は存在しません。
4,調理の最初は揚げ物で。
手始めに、かるく塩コショウして
揚げてみましょう。これで美味しいと感じたら
あなたは昆虫料理ビギナーの一員です。
素揚げ、天ぷら、唐揚げ、南蛮漬け
揚げをベースにいろいろたのしめます
美味しいけど油っぽいな、と感じたあなたは
一緒にディープな昆虫料理の世界へ入っていきましょう。
5,他の食材との比較
昆虫は陸生の節足動物なので、
基本的に同門のエビカニを参考にできます。
しかし、エビカニと比較して、
表面のクチクラが水を弾きますので、
味の染み込みが悪いです。
また、気管系が発達しているので
内部に空洞が多いのも特徴です。
このような特徴を生かした調理法がありますので、
また紹介します