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冬になり、あまり野外の昆虫が手に入りにくくなって参りました。
今こそ養殖モノを、と考えてはいたのですが
養殖モノはその名の通りいつでも手に入るので
なかなか手が出ません。
今のところ
デュビア
オレンジヘッドローチ
マダガスカルゴキブリ
G三人衆が元気に野菜くずを食べてくれているのですが。。。
さて、
今回は野外のチガヤで幼虫越冬していた
チャバネセセリ。  Pelopidas mathias

アタマが大きく特徴的な体型をしています。
いつものように茹でポン酢で頂きます。
プチッとした触感と頭部のカリッと感。香りは強くなくほのかにワラの香り。
他のイモムシに比べアタマが大きいので若干ぷちっと感にカリッと感が加わりお得。おもしろい。
内部は粒感のあるタンパク系の味。
イモムシ類はプチッとした触感が魅力ですが
あまりに弾力ばかりだとクチクラのカリッと感が懐かしくなるものです。
その点でいうとチャバネセセリは両方楽しめる感じがいいですね。

あけましておめでとうございます。
昨年11月17日に参加した昆虫大学についての
詳細な卒業論文がメレ山メレ子(元)学長から更新されました。
その2あたりに(講師でもないのに)紹介して頂きました。 ありがとうございます。
そういえば、と
ブログを見返してみるとものすごく印象に残ったイベントなのに
参加報告をしていないことに気づいた!ので今から書きます。
言い訳ですが
11月はサイエンスアゴラ、昆虫大学、虫フェスと三週連続の虫イベントの他、
本業で神戸、山口行き等が重なり、風邪も引いて
このあたり結構グロッキーです。
あぁ写真写りが胡散臭い。。。。
さて。
この昆虫大学
詳細は主催者であるメレ子学長のブログをご参照頂くとして。
昆虫業界において
大変エポックメイキング
イベントであったことをココに記しておきたいと思います。
※あくまで蟲クロトワ個人の主観的な見解でありますので
若造が語るには不正確・認識不足な部分はあろうかと思います。
昆虫大学のイベントとしての特性を理解するため
他のイベントと比較することをご容赦ください。
さて
昆虫はどう愛でるべきか?

考えたことはあるでしょうか。
私の幼少期は
片道一時間かかる通学路を3時間かかって帰り
道すがらバッタやカマキリ、コオロギを捕まえ
一緒の袋に入れて持って帰ると数が減っている 笑。
このことから「被食捕食関係」を学んだものです。
生きた虫以外は興味がなく、触れると折れてしまう標本は
触ったらバチが当たる墓標のようで好きになれませんでした。
オトナになってあれよあれよという間に
「生物学の研究として愛する」
「食材として愛する」という道に進んではいますが。
2011年、初のインセクトフェアに参加した時
どこか 定型的な愛で方
「昆虫の希少性、憧れの昆虫のヒエラルキー(順位)」
「目ごとの細分化」「昆虫はこう愛するべき」
というフォーマットを感じました。
参加者イメージとしてはこんな感じ。

「共通のフォーマットで収集することによるライブラリー化」は
学術上とても重要なことですし、日本におけるアマチュア研究の層の厚さは
誇らしいことだと思います。
ただ、多様性が魅力であるはずの昆虫を愛でるニンゲン側が
画一的にフォーマット化されていないか?という疑問が残りました。
真逆の例として
昆虫食イベントを挙げます
「東京虫食いフェスティバル」
日本で唯一の昆虫料理研究家、内山昭一率いる
昆虫料理研究会主催のイベント。
参加者イメージとしてはこんな感じ。

中野での開催、という土地柄もあり、「奇妙な非社会的空間を共有したい」
というサブカルエンターテイメントとしての昆虫イベントといえるでしょう。
そのため、昆虫に学問的興味を持つ人は比較的少数で
友人には話せても職場では話せないような刺激的な体験を求めて
参加される方が多いようです。
余談になりますが、昆虫研究者同士の繋がりはとても個人的で
学会イメージとしてはこんな感じ。

隣の昆虫研究者がどの学会に属しているか、自分が参加していない学会が
どのようなカラーで活動しているか、あまり見えて来ません。
更に、「昆虫」と括られたくない某モデル動物の巨大業界とか。。。
ここでは割愛します。 笑
更に蛇足になりますが
サイエンスアゴラ

ここまでアウェイの場所で宣伝したことを誇りに思います。
さて
本題の昆虫大学はというと
こんな感じ

いいですね。贔屓目に見ていますがよかったです。
会場ブースが昆虫学、昆虫アート、昆虫文学と入り乱れ
出展者同士が和気あいあいと交流しながら多様性を共有する感じ。
まさに昆虫の多様な生き様を体現したかのような一見カオスで安定した空間。
一日目終了後に突然始まったオオゴマダラの羽化を、
出展者が片付けを放り出して多種多様な視点から観察したあの時間に
偶然にも参加できたことを嬉しく思います。
この昆虫大学のカオスっぷりはいかにして成し得たのか
考えてみましたが
やはり
メレ子学長という「マネージャーの存在」ではないでしょうか。
とある方からの受け売りですが
Manage=動詞;どうにかする。なんとか都合をつける
という仕事は
日本語の「管理職」に当たる仕事なのですがちょっとニュアンスが違いますね。
異分野が融合し、新たなモノが生まれることを助長し、調整する
中立で強力なマネージャー、学長がいたことで
昆虫大学の他に類を見ない雰囲気が出来上がったのではないかと思います。

最後に
昆虫に関わる人がそれぞれの多様性を保ち、認め合うことで、
昆虫の新たな価値を見出すことができると信じています。
昆虫学の殆どは基礎的で地味で低予算ですが
「基礎的な学問は大事だ それが分からん一般人はバカだ」
ではなく
基礎的な学問から現代にも通用する具体的な魅力を見出すことは
昆虫の多様性をもってすれば不可能でないと思います。
ただ、昆虫の世界は種数だけでも膨大で、一人では網羅することができません。
それぞれのスペシャリストをつなぐマネージャーの存在が
昆虫コンテンツをより魅力的な形で社会に提示するキーパーソンと
なっていくのかもしれません。





「ことしの年越しそばはバッタにしよう」

決心していたものの、
年末年始はパートのおばさんおねえさんたちが来ないので
今日のバッタの世話はなかなか忙しく、
夕飯を食べてちょっと仮眠したら23時。
除夜の鐘が響く中、裏の雑木林に笹の葉を取りに行き
揚げ物の準備を開始しました。
今回は「天ぷら・かき揚げ蕎麦」
成虫はハネをとって天ぷらに。
3令幼虫は大葉と玉ねぎとかき揚げに
温かい蕎麦と一緒に頂きます。
天ぷらは、熱した油に具材と衣を同時に投入すると、
加熱で油面に散ったトゲトゲの天カスが
数秒遅れて具材の水分に集まってくることで
あのサクサクの衣が形成されます。
バッタの場合、外皮が水をはじくこと、
水分が少ないことから、天カスが集まりにくいので
すこしトリッキーな方法で揚げます。
まず、ハネをとり、衣にくぐらせると、
一度油に入れ、バッタの水分がなくならないうち
油から上げ、二、三度衣を付け直します。
すると、海老天のような全体的に衣がついた天ぷらになります。
次に、かき揚げ。
バッタの三齢幼虫は実験で余ったものを使いました。

トノサマバッタの幼虫はアタマが大きく、アンバランスな体型をしています。
まず食べて体を大きくすることに重点が置かれる形です。
体の大きくなったトノサマバッタは、
カマキリでもなかなか手が出ません。
小さく弱い時期をできるだけ短期間に駆け抜けることで
生存率を上げているのでしょう。
さて
かき揚げは衣の中に幼虫と玉ねぎをいれ、
バッタが飛び出さないようかき混ぜながら
大葉の上に具材をのせます。
幼虫、成虫ともに、加熱するとエビのように赤く色づきます。
この色は「アスタキサンチン」という色素で
通常はタンパク質とくっついていて茶色ですが
加熱するとアスタキサンチンだけが遊離して鮮やかな赤に変色します。
まさに「エビのよう」です。
同様に
茹でると赤くなるバッタ、イナゴは地方によって「オカエビ」
と呼ばれますが、系統分類と調理後の色の変化に着目した
秀逸な命名といえるでしょう。
さて、
出来上がりはこんなかんじです。

今年は激動の一年でした。
沢山迷惑をかけ
沢山の出会いがあり
沢山の恩を受けて
どうにか一年生きることができました。
来年も更に激動でいてくれないと逆に困ったことになりますので 笑
年々加速していければと思います。
バッタとの出会いは今年を象徴する出来事です。
思えば今年の1月、
「バッタ食べさせてくれませんか?」

現ボスにメールを送ったのが始まりでした。
偶然モーリタニアから一時帰国中のバッタ博士に会い
一夜飲み明かし そこから全てのことが動き出したような気がします。
今日逃げ出したバッタたちにごちそうさま
明日のバッタ達によろしく。
あと一年。がんばっていきましょう。
ブログをご覧のみなさま
始まってまだ6ヶ月ですが
当ブログ共々よろしくお願いいたします。
あけましておめでとうございます。
2013年 1月1日 蟲喰ロトワ

今年も振り返るともう僅かですね。
速い。あまりにも速い一年でした。
さて
日経トレンディ「2012年ヒット商品ランキング発表
を読んで思いました。
第7位 「おさわり探偵なめこ栽培キット」
ただただ なめこを育て、収穫するだけの「暇ゲー」と
呼ばれるジャンルなのですが、数あるヒマゲーの中でも格別の大ヒットです。
この「おさわり探偵」という独特の名称もDSソフトの「おさわり探偵小沢里奈」
という探偵物のソフトからのスピンオフであり、
なめことの関連は全くない。
しかし。。だがしかし。
「セクシーだろう?!」
そう。そこはかとなくセクシーなのです。
ここで考えました。
「虫コンテンツに不足しているのはセクシーさではないか?!」
なぜ子供には人気の昆虫が成長に従いウケなくなるのか。
キモい、グロい、と言われるほど嫌われるのはナゼか。
小学生ダンシまでにしかウケないのは
昆虫のセクシーさがアピールできていないためではないか。
毎日バッタと触れ合っていると、
あぁセクシーだなぁと思うことは多々あります。
機能美と曲線美の融合したセクシーさというのはもっと多くの人に知ってもらいたいところです。
その昆虫のセクシーさを伝えたい。伝えるにはどうすればいいか。
一つの答えを出しました。
「アニメーション」
それでは御覧ください。「バッタのセクシーさを伝えるGIFアニメ」

以前、バッタのフンはお茶になる、ということで
ティーパーティー をやりました。
サトウキビを食べさせたバッタのフンを集め、煎り、お湯で抽出したものが
とても穏やかなよいお茶になりました。

バッタのフンは
その後虫フェス2012ではバッタ面、バッタ染め等の工芸品にも利用し
植食性昆虫のフン利用可能性を模索しました。

メレ山メレ子学長の昆虫大学においてもバッタ茶を出し、
砂漠のバッタ博士こと前野浩太郎博士にも飲んでいただきました。
(blogに紹介していただきました; 砂漠のリアルムシキング

さて

先日、構内の自販機で、「ほうじ茶プリン」なるものを見つけ、
購入しました。
ほうじ茶が見事にプリンと調和しており、
上にクリームがかかってとろりと甘く香ばしかったのですが

ここで
これをバッタ茶でできないか?」と料理開発欲がムクムクと立ち上がり、試作に突入。

試作1
お湯で煮出したお茶200mlに牛乳を200ml加え、砂糖大さじ3,トレハロース大さじ1を加え、沸かし寒天を加える。

→バッタ茶の香りが少ない。寒天の固さが牛乳プリンっぽくない

試作2
牛乳250mlでお茶を煮出し、砂糖で甘みを調節しゼラチンで固める。

→笹の葉で巻いたチマキのような香りと味わい。美味しいが茶の香りがすくない。牛乳の存在感が圧倒的で香りが楽しめない

試作3
圧力鍋で水250mlと共に煮出し、牛乳100ml、砂糖を加えゼラチンで固める。
牛乳の存在感を低くし、ミルクティーのような色合いに落ち着いた。
ベリー系のソースがよくあい、美味しい。後にバッタ茶のシナモン系の香りが残り、とても良い感じ。

圧力をかけることにより、濃い色の茶を抽出できたが、試作2の
ササのような生葉の香りが無くなってしまった。

更に試作をし、だれにでも簡単にできる蝗茶布丁レシピを完成させ、
年末のとあるイベントに間に合わせようと思います。

試作4号以降もここに追記していきます。

 

3

みなさま
先日は
「東京虫喰いフェスティバルVol.4」に
ご来場いただきありがとうございました。
食用昆虫科学研究会活動報告のコーナーを担当させて頂きました
蟲喰ロトワ (むし-くろとわ)と申します。
某ジブリアニメ登場人物に似ている?とのことからの命名です。
私が所属する食用昆虫科学研究会では
昆虫食に対して文系、理系を融合した
科学的なアプローチを行う団体で
「本当に昆虫食が食糧事情を改善するのか」
という点も
ひとつの大きなテーマとなっています。
オランダ、イギリス、タイなどの海外の研究も参考にしつつ、
いろいろ考えるところはあるのですが、
それはこちら→HP
にまかせておくとして、
虫フェスでは
「昆虫が食糧として普及した未来に何が起こるのか
ということを文化的に妄想していきたいと思います。
まず
普及すると思われる昆虫はこちら。

トノサマバッタです。
なぜこのバッタかというと

「相変異」という密度に応じた生理的変化が起こることが知られており、
これを利用することで、高密度で高効率な飼育ができるのではないか、
と考えているからです。
実際に実験室で集団飼育すると、
大発生時に報告されていたような
相変異したトノサマバッタとよく似た形質になります。
(相変異トノサマバッタは多摩動物園で見ることができます。)
相変異についても、本業なのでこのへんにして。
それではお題

昆虫食が普及した
未来のバッタ農家を舞台にその一年を追っていきます。
※この話は昆虫食SFであり、実際の団体、名称、研究所、大学、イベント等とは一切関係がありません。なお、写真はイメージです
もくじ

それでは

まずイネ科の草を育てます。その年の生育状況に合わせて、
養殖する個体数を決めます。
次に冷蔵庫から卵を取り出します。

バッタの休眠卵は保存が効くので、好きな時に養殖を開始できます。
養殖期間は短く、一ヶ月から二ヶ月です。
メスだと体重がおよそ360倍にもなります
恐るべきスピードです。

収穫したバッタは美味しく頂きます。

、盛んに養殖されたバッタを使って、二次的な養殖も可能です。
つまり、昆虫食性の動物の養殖が可能になるのです。

タランチュラ、フトアゴヒゲトカゲが食べることを確認しました。
腸内にある草も全て食べるので、栄養バランスは良いと思われます。
、収穫したバッタを冬に備えて保存します。
生のバッタはエビと同じくらい傷みやすいので、
保存のため冷凍か、加工する必要があります。
イナゴの佃煮も保存を考えた加工法です。
フリーズドライも試してみました。バッタは脂質が少なく、
タンパク質が多いので、フリーズドライ加工に適した食材といえます。

一方で、カミキリムシなどの脂質の多い幼虫はフリーズドライをしても
ふにゃふにゃで乾燥しきらず、脂質が変性してしまい、美味しく保存できません。
また、発酵も保存に適した加工法です。
ということで「バッタ醤油」を作ってみました。
バッタ醤油、
というとバッタを捕まえた時に出てくるアノ茶色い汁を思い出すかと思いますが、
それではなく、塩麹でバッタを発酵させたホンモノの醤油です。

草の香りがほんのりする、醤油に仕上がりました。
今回はもろみ醤油と同じ製法でしたが
魚醤は自家融解の酵素(体内にある分解酵素)を利用して
塩だけでゆっくり反応させたものです。非加熱のバッタを使って
魚醤タイプも次回やってみたいと思います。
 。バッタの適温は16℃以上なので
バッタ養殖はお休み。農閑期に入ります。
養蚕の農閑期であればくず繭を用いたまゆ工芸
民芸品等が作られました。
当然バッタ農業でも農閑期には手工芸が行われると考えられます。
このような工芸は、農業の副産物をよく使います。
バッタ農業での副産物とは。。。。。
フン
ですね
バッタは一日に体重の7割ほどのフンをします。
100匹のオスのバッタを5日間飼育した所、
乾燥重量で100gのバッタがとれました。
つまり、養殖によって生産できるものは
バッタよりフンの方が多いのです。
これは副産物としてきちんと処理を考えなくてはいけません。
フンはすぐに乾燥し、草の香りがします。
香り。。。。。香り。。。。。
うん お茶ですね。
(過去記事ティーパーティー参照)
バッタのフンは香りがよく、フライパンで炒って煮出すだけで
美味しいお茶になります。
この発想はカイコのフン、蚕沙が漢方で使われ、
お茶として飲まれていることにヒントを得ました。
次に。
草に含まれるタンパク質、糖質、脂質は吸収され、
乾燥重量あたりフンは草の二倍の繊維を含みます。
繊維。。。。。。繊維。。。。。。
そう、ですね。

今回は手すきハガキにしたバッタのフンに、バッタのハネをあしらい
飛んでいるバッタをモチーフにしました。
続いて フンには色素が含まれているので
染物 が出来ると考えられます。
ミョウバンを媒染剤に使い、フンの煮出し汁に何度も漬けることで
鮮やかな黄色いTシャツができました。

意外な黄色いいい色ができました。媒染剤を変えてまた挑戦したい所。
更に更に。
工芸ができ、地域の結束が高まると
その年のバッタの収穫に感謝する収穫祭
が発生することでしょう。
バッタのフンを20%紙粘土に練り込むことで
バッタ面の完成です。

さてさて
今年の収穫を感謝するバッタ祭
始まります。
最初は私。正装の蟲喰ロトワが法螺貝にて祭りの開催を宣言します。

首元にはバッタ面。ネクタイとしてコーディネートしました。
バッタガールも。

バッタ屋台も

バッタ茶も

バッタおじさんも。

そして、日本の祭といえば、和服美女ですよね。

以上。
昆虫食が普及した未来に何が起こるか。
バッタ農家の一年とバッタ祭り妄想でした。
※あくまで昆虫食SFとしてお楽しみください。

「カミキリムシが美味い」
というのは昆虫食を検索した方なら必ず目にすると思います。
しかし、生木に住むことから、採集に大変手間がかかり、
薪割りの風習も少なくなってしまったことから、たっぷり食べられるほど
取れなくなってしまいました。
「テッポウムシ」と言われ大変美味なのです。
さて、
今回はとある方から頂いた
シロスジカミキリの蛹  Batocera lineolata

美しいですね。
塩ゆでにして何も味付けせずに頂きました。
例えるなら焼きバターコーン。
香ばしさとクリーム感が最高です。
食べ慣れないニオイや臭みがないので
初めてでもすんなり食べられてしまいます。
この蛹、あえて「完品」をおねがいしたのですが
造形として大変美しいので写真を撮っておきたかったのです。
チャームポイントはクルッと巻かれた触角。
カミキリムシによって巻き方に個性があります。
比較してみましょう
参考 ゴマダラカミキリ  Anoplophora malasiaca

体に対して長いので巻き数が多くあります。中世ヨーロッパのような
上品な緻密さのある印象
ベニカミキリ Purpuricenus temminckii

こちらも長いのですが、渦巻状でなく、
肩を二周する 楕円の軌道をもった巻き方です。
ロープを巻きとってしまう様子が想像されます。
クワガタ採集をされる方はけっこう朽木を割って
カミキリムシを見つけるそうです。
ぜひおやつとして食べてみてほしいものです。
追記
この美味しさを何かで再現できないかと
twitterに書いた所、アイデアを頂きました。
「ライスペーパー」
弾力がなく、フィルムのような感じが蛹の表皮にそっくりだと思います。
ということで検索すると
米粉150g ,片栗粉50g、水300gをまぜ、
大さじ二杯をのばし
レンジで一分半加熱すると出来るとのこと。
米粉ある!
次に内部の餡。
インスタントのコーンスープがあったので
水で溶いて片栗粉で粘度を調整。
良さげなところでこちらもレンジで二分。
カピカピにならないうちに巻いて
香ばしさを出すために表面を焼く。
できた。

餡はもっと脂肪分の多いクリーム状態だったので
改良の余地あり。
表皮のフィルム感はかなり再現できていました。
アイデアありがとうございました。
「昆虫料理を既存の食材で再現する」
というのも新しい切り口である可能性があります。
普通の食材から想像される「共通の味のイメージ」が
新しい食材への嫌悪感を中和しうるかもしれません。
というか思い立った時に
材料が全て手元にあったことにびっくり。 笑

以前食べたツチイナゴ
の近縁種、タイワンツチイナゴを頂いた。
ボスの許可をいただき試食する。
タイワンツチイナゴ Patanga succincta

巨大。普通のトノサマバッタから更に二回りほどデカイ。
右は比較のためのツチイナゴ。
足のトゲも強力で、蹴られたら血がにじむほど。
♀は80mmを越える日本最大クラスのバッタ。

ハネに鮮やかな赤色が入り、飛ぶと美しい。
ううむ。大きい。
実食
脚;この大きさなので、内部の脚肉だけを食べることができた。甘さとタンパク質の穏やかな味と繊維質ではない芋のような粒感のある食感。このサイズでようやく脚肉を感じられる大きさに。味はコオロギに近い。
体;大きさの割に軽い。性成熟をしないまま越冬するので、今の時期は成虫で
ありながら内部は空っぽ。カラッと揚げてサクサク食べると美味しい。味はもちろん良い。
タイ食材店では揚げたものが冷凍で販売されているのですが、
今回国産のものが手に入り食べることが出来ました。
調理済みだとわからない微妙な味の違いがわかり大変美味しかったです。

1

前回養殖2種を味見しましたが、日本の秋の旬としては
はずせない、鳴く虫。
エンマコオロギの♀を頂きます。
エンマコオロギ Teleogryllus emma

丸々と太っていておいしそうです。
この中には卵が入っていると思われます。
試食
お腹いっぱいに卵が詰まっており、プチプチとした食感が楽しい。香ばしさは余り感じられず、卵のコクが特徴的。やや前2種よりも外皮が固い。産卵期でなければまた違った味わいを楽しめるだろう。
鳴く虫の飼育は歴史が古く、江戸時代にはもう
「虫屋」と呼ばれる養殖業者が存在していたそうです。
(加納康嗣 著 鳴く虫文化誌
音で聞き分けることで たくさんの種を楽しむ文化が日本にはあります。
今度は味で楽しんでみるのもいいかもしれません。

そろそろ寒くなって参りました。
鳴く虫の季節も終わり、昆虫食もシーズンオフに。
とおもいきや、
養殖昆虫を注目していきたいと思います。
昆虫食の生物はけっこう多く、その中でも生き餌でないと
嗜好性が低い、というペットとしては困った連中がいます。
例えば
以前飼っていたフトアゴヒゲトカゲ「June二郎」

昆虫食性が強く、あまり野菜を食べてくれませんでした。
そのようなペット用生き餌として
流通している2種
フタホシコオロギ Gryllus bimaculatus

ヨーロッパイエコオロギ Acheta domestica

彼らはコオロギの中でも
卵で休眠をしないので、温度さえあれば年間何度でも孵化してきます。
タイで食用に養殖されているのもこの種です。
一方で日本の普通種は一度低温を経験しないと休眠から覚めないので
年間二回ぐらいが限度です。
なので、年中暖かい環境を用意する必要がある爬虫類飼育に適した生き餌といえるでしょう。
それでは実食
ヨーロッパイエコオロギ
おいしい。うまみがあり外皮が柔らかく、揚げて食べることが普通だが茹でてもイケる。
フタホシコオロギ
香ばしい香りがあり、イエコオロギよりも特徴的な味。外皮はやや固いが食べやすいほう。「コオロギ臭さ」は殆ど感じない
コオロギをおいしそうに食べる爬虫類を見ると
その味が気になってきますが、彼らの好きな昆虫は
やはり味もなかなかのものでした。