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虫cafe! 2014

先週末は記録的な大雪が降り、首都圏は交通の不具合が多発しました。
そんな中。60人の「虫屋」さんが
全国から渋谷駅のほど近い超おしゃれなアイリッシュパブに
集う恐るべきイベント「虫cafe!」
が、昨年に続き開催されました。
主催者は
栃木・宇都宮の虫屋、りゅうひさん
SNSを駆使し、参加募集開始後
わずか8時間で予約一杯になるという集客パワーを魅せつけました。
(予約70人に対し、記録的な大雪の中異常なまでに出席率が高いのは虫屋のフィールドに対する強さだと思います)
私もダウンを着、登山用の防水靴を履いて渋谷に参じました。
(渋谷にここまでアウトドアな恰好で行ったのは初めてかもしれません。)
当日朝、
いつものようにバッタのお世話。
午前中にどうにか終わり、
研究室から最寄りの駅まで、
いつもは自転車で12分なのですが
さすがに無理そう。
近くにタクシー会社があったので、雪をかき分け、ノック。
ラフな格好のおいさんが出てくる。
「今日は雪で運転手が出勤していないんです」
とのご返答。恐るべし雪
仕方なく歩くことにしました。片道40分。
雪のため余計に足が重く感じます。
渋谷駅にほど近い東京三菱UFJ銀行のすぐ裏。
カッコイイアイリッシュパブに。
全国の虫屋が集まります。

虫屋、といっても採るだけでなく作る方もいます。
こちらはガラス細工の数々。

今回はシークレットも含め10名のプレゼンター。
抽選の結果、私は無事4番手。いい位置につくことができました。
そしてプレゼン。
なんとムービーが動かない!というアクシデント。
macとwindowsの互換性に悩まされます。
ご来場者の皆様へ、
そして雪や他の都合で来られなかった方、人数制限に泣いた方へむけて
この度完全版としてここにご紹介したいと思います。


お題は
「美味しい鱗翅目の養殖を目指して 〜Bombyx moriの功罪とベイツ型擬態〜」
このブログをお読みの方ならお分かりかもしれませんが、
今までの鱗翅目の記事を5分に要約したものになります。

虫好きですから、一度ぐらい食べたことありますよね。
(実際7割ぐらいの方は手を挙げられました。すばらしい。)

でもカイコにはいい面「完全養殖OK」と悪い面「卵以外味が悪い」があります。

そもそも絹糸用ですので、
副産物はともかく、わざわざ食用に養殖する必要はありません。

なので、手当たり次第食べてみました。
162種、成長段階を変えて243パターン。
今回はその中でも鱗翅目について3トピックほどお話します。

カイコの味ですが、「遺伝」か「食草」か
区別したかったので、カイコガ科の桑を食べない種「イチヂクカサン」
を食べました。すると香ばしく・甘く。大変美味しかった
ことから「カイコ味は食草由来」であると考えられます。

続いて
とてもモフモフかわいいオナガミズアオ
そしてモサモサかわいくない、食欲わかないマイマイガ
両極端な二頭ですが
どちらものどごしが最悪。サンマの腹側の肋骨をまとめて飲んだような感じですね。
そこから、捕食者にとってはモフモフとモサモサは相同器官であると考えられます。

サクラ餅のニオイ成分「クマリン」は桜の葉の細胞が傷ついた時に発生する
生体防御物質の一つです。なのでサクラケムシ(モンクロシャチホコ)は
桜餅の香りがして、とても美味しいのですが、同じくサクラを食べるモモスズメや
カレハガはその香りがとても少なく、クマリンが感じられません。
そこから、サクラケムシはクマリンを体内に溜め込み、捕食者に食べられない
戦略をとっていると考えています

警戒色をもつ生物の多くは、有名な二種類の擬態にカテゴライズできます。
本当に危険な「モデル」のマネをするハッタリ型、ベイツ型擬態
キケンな種同士が似たような恰好をし、食べた捕食者に強く印象づける
ミュラー型擬態
このホソバセダカモクメはどちらでしょうか。
食べてみないとわかりませんので、チャレンジしたのですが
大変美味しいのです。おそらくハッタリ型のベイツ型擬態といえるでしょう。
このように、ベイツ型擬態の鱗翅目が、将来の養殖昆虫となるかもしれません。
時間がないので動画にまとめてきました。
(会場では踊る大捜査線のテーマを使ったのですが、youtube公開にあたり
音楽を差し替えました)

トップ10
シンジュサン
キバラモクメキリガ
ヒメヤママユ
ホソバセダカモクメ
モンクロシャチホコ
トビイロスズメ
キアゲハ
シモフリスズメ
セミヤドリガ
オナガミズアオ
ワーストファイブ
ツマグロヒョウモン
ブドウスカシクロバ
マイマイガ
チャバネセセリ
セスジスズメ
毒ありきけん
オオゴマダラ
ヒロヘリアオイラガ
チャドクガ
養殖しましょう
エビガラスズメ
エリサン
オナガミズアオ
最後に
美味しく食べましょう
エリサンカレー
エリサングラタン
モスバーガー
エリサン寿司
オナガミズアオ蒲焼き
最後は
お節料理に「ちょいたし」して
あけましておめでとうございます。

まとめ やはりカイコは鱗翅目の中でもあまり美味しくない。
全般的に前蛹が一番食べやすいです。
カイコは桑以外でどれだけ育てられるか、挑戦します。
未来の食料はベイツ型擬態をするカラフルな鱗翅目かもしれませんね。


ムービーが動かず、ふがいない思いをしたのですが
投票の結果第二位に!賞品を頂きました。

ご投票頂いたみなさま、ありがとうございます。
来年は互換性に気をつけ、
ちゃんとしたプレゼンを他の「目」でやろうと思います。
とても楽しい会でした。
Twitter上でやりとりしていただいた方と実際にお会いできたり、
「食べてもらえませんか」との嬉しいオファーを頂いたり。
ネットの普及でウェブ上の付き合いは簡単になりましたが、
それだけに、リアルで会うことが一層貴重で、
意味のあるものになってくる予感がします。
大事にしたいですね。

2 thoughts on “虫cafe! 2014

  1. 信州人(主に松本)

    味がいい&養殖可能だが見た目の悪いなら、プリン(もしくはかまぼこ)にしてみるのはいかがでしょうかね。つまり生きたまますりつぶ…(自主規制)

    返信
  2. ナナ○シ

    自分としてはワーストファイブ虫と毒あり危険虫を減らしたいのに卵以外はマズイなんて!ウマクイカナイデスネ。
    蚕はやっぱりマズイと思いますが、キアゲハが美味しいとは。セリ科によくついてるから食べてみるかな。
    モ、モスバーガーwww。

    返信

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