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おせつりょうり vol.7 モパ煮しめ

お節料理は基本的に
「保存食」をベースに作られます。
煮しめは根菜類と干ししいたけ、
こんにゃくを強めの味付けで煮て
お節料理としたものです。
この
干ししいたけ。
通常とても傷みやすいキノコを、常温で保存しやすくするために、干したものです。
干してからまた水で戻すことで旨味や風味が増し、独特のいい味を出します。
同様に、
傷みやすいナマコやアワビも
中国では干しナマコ、干しアワビとして流通し
それらの製造や調理には技術がいるので、生より高価なのだそうです。
さて、
昆虫食界の干ししいたけといえば。
モパニワームですね。
アフリカ原産のヤママユガ科の大型のイモムシで
「モパニ」という樹の葉を食べることで有名です。
市場流通しているのがよく見られ、
けっこう高値で取引されているとのこと。
アフリカに行った複数の方からおみやげで多く頂きました。
アフリカは冷蔵冷凍流通が整備されていないので、
モパニワームは内臓を絞り出した後、天日に干され、干しシイタケ状態で
流通します。こんな感じ。

乾眠するクマムシのようですね。
これを水に戻すと生き返る、と嬉しいのですが、残念ながら
乾眠する昆虫はネムリユスリカしか見つかっていません。
ですが、生き返らないにしろ
段々と元のイモムシの形に戻ってきます。
現地ではトマトなどと一緒に煮物にされているそうです。
何回か乾燥したまま食べたのですが、
魚介類の乾物のような旨味とボソボソとした食感
スナックというよりやはり
「乾物:食品原料」という印象がつよいですね。
今回は干ししいたけにならって、
水で戻し、あごだしをベースにした魚介ダシを使って
モパニワームを煮しめにしてみました
「モパ煮しめ」
御覧ください。

まんまイモムシですね。(笑)
おせつ料理を作っていて気づいたのですが
「和食は食材そのままの姿が残っていることが多い」ですね。
洋食に比べ、食材の姿を見る、食の楽しみがあるのかもしれません。
味見
かなり美味い。魚介系のダシとの相性もよく、
外皮のクチクラ部分がプチプチとアクセントになり面白い。
食感は干しプルーンのようなしっかりした噛みごたえ。木の香りがして味はやさしく、
高野豆腐のように噛むとジュワッとダシ汁が口に広がる。
もしかしたら干して戻す過程で旨味が増えているのではないか。
そのうち 生モパニワームとくらべて食べてみたい。
見た目はアレですが。
モパニワームに保存昆虫食の未来を見たような気がします。
また、モパニワームに関しては「産地」によるブランド化が
起きているとのことです。
ルワンダの貴重な輸出品なんだとか。
そもそもが
傷みやすいものですから
人力で採集し、ゴミを取り除き、内臓を抜いて乾燥させ、市場に卸した時に
「戻した時に美味しくなるよう」ノウハウがあるに違いありません。
日差しの強い乾燥帯ならではの加工だと思います。
(日本ではヘタすると腐ってしまうでしょう。)
かなり美味しく、そして保存も容易なので、アフリカに行かれた方、
おみやげにぜひ買ってきてください。
次はラスト、「トビイロスズメの休眠雑煮」
です。

1 thought on “おせつりょうり vol.7 モパ煮しめ

  1. ナナ○シ

    モパニワームは食べた事ないです。
    昆虫の乾物といえば、私が子供の頃に食べた事がある絹の華(蚕)ですかね。
    あれは独特の臭みが有り、正直まずかったです。
    良いブログですね。これからも度々来ると思いますので宜しくお願い致します。

    返信

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