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1-2 採集昆虫食のガイドライン

昆虫食にチャレンジする際の基本は採集昆虫食です。狩猟肉をフランス語でジビエということから、研究会では採集昆虫食を「プチジビエ」と呼んでいます。
売られている食用の昆虫を買って食べる方が気軽ですが、買った昆虫も元々は別の誰かが採集や養殖したものです。そのため、先に採集から食べるまでの流れを知っておきましょう。
採集をしよう
まずは昆虫を捕まえるところからです。
昆虫図鑑にも採集についての記述がありますが、
基本は同じです。動きの遅い昆虫は手で捕まえられます。しっかり植物に掴まっているイモムシは葉や枝ごと採りましょう。飼育の予定がなく、半日以内に食べる予定であればジップロックやビニール袋に、飼育用や長時間運ぶ場合は虫かごや洗濯ネットなどの通気性のいい容器に入れましょう。飛んで逃げる昆虫は捕虫網を、衝撃を感じると落ちてくる昆虫はビーティングネット、捕まえる昆虫の特徴によってはトラップを使うのもよいでしょう。灯りに集まる昆虫にはライトトラップ。特定の種を集めたい場合にはフェロモントラップを使うこともできます。トラップの場合、捕まえてから時間が経つと死んでしまうことがあるので、原則1にあるように、死んだ昆虫は取り除いて食べないようにしましょう。
捕るときに注意が必要な昆虫
針をもつハチやケムシを捕まえる時は素手でさわらないようにしましょう。特にハチは近くに巣がある場合、集団で攻撃する性質があるので1頭だけに気を取られないようにしましょう。
ケムシの場合、毒のない種類の方が多いのですが、知らない昆虫を見た目で判断することは難しいのでケムシが掴んでいる枝や葉ごと採集した後で図鑑で名前を調べましょう。繭や抜け殻にも毒針毛がついていることがあります。カミキリムシやキリギリスなど、強いアゴをもつ昆虫は、捕まえると噛んでくることがあります。柔らかい網に入れておくと噛み破って脱走することもあります。つかむ時は背中側から胸部をしっかりとつかみ、丈夫な容器に入れましょう。
何頭も同じ容器に入れると、互いに傷つけてしまうことがあるので、小さい容器に1頭ずつ入れるとより安全です。
加熱をしっかりと
昔はバラエティ番組の罰ゲームで、最近はネット動画で昆虫を生食している人もいますが、大変危険な行為ですので絶対に真似しないようにしましょう。詳しくは第三章で説明しますが、どの昆虫も加熱することで、より美味しく、安全に食べることができます。
手軽な方法は生きた昆虫をそのまま揚げたり、茹でたりすることですが、動いて加熱調理が難しい場合は、容器ごと冷蔵庫に入れておくと動きが遅くなり、誰でも簡単に扱えます。加熱ぶよる熱に弱い毒成分を無害化できる利点もあります。しかし、加熱も万能ではありません。熱に強い毒をもつ昆虫もいますので、加熱を過信せず、原則3の毒のある昆虫、原則4の毒がまざったかもしれない昆虫は加熱したとしても食べないようにしましょう。
採集用具と調理用具の切り替えをはっきりと
昆虫には、食中毒の原因となる微生物やウイルスが含まれていることがあります。その種類や特徴について詳しくは4章で説明しますが、食べる昆虫を加熱したからといって安心してはいけません。加熱前の昆虫に触れた採集用具を、加熱済みの昆虫を扱う調理用具に使いまわしたり、使いまわさなくても用具同士が触れてしまうだけでも、微生物が付着して食中毒につながることがあります。これではせっかく昆虫を加熱しても生食するのと同じ危険にさらされます。
そのため、未加熱の昆虫を扱う器具と、加熱後の昆虫を扱う器具を完全に分けておきましょう。具体的には生の昆虫を扱う器具はピンセットと紙皿、加熱後の昆虫を扱う器具はトングや箸、陶器の皿にします。野外のイベントでは、未加熱の昆虫のを扱った器具は捨てるかしまう、印をつけるなどして事前にルールを決めて参加者に周知しておきましょう。やむを得ず同じ器具を使う場合は、洗剤でよく洗い、乾燥させてから使いましょう。生の昆虫を素手で触った後も同じくよく石鹸で洗うとよいです。素手で昆虫に触らずに採集するのも1つのよい方法です。
場所選び
原則4にあるように、農薬などの毒の混入を避けることが、普通の昆虫採集と異なる点です。農地で使われるのはもちろん、非農地であっても使われていることがあるので、周囲に異変がないかよく見ておきましょう。また、昆虫採集全般に言えることですが、私有地の場合はその土地権利者の許可を、公園であれば事前に昆虫採集ができるかどうか確認しておくとよりよいです。無農薬の農地が最も食用の昆虫採集に適しており、作物に着く虫を採集すると農家の方も喜んでくれます。しかし無断で侵入すると作物泥棒と間違われかねません。いい採集場所を確保するのも採集昆虫食の大事な要素です。
今までにいくつかのガイドラインを書きました。参考にしてください。

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