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味見 イラガ科 Thosea sp. の前蛹はさわれておいしい揚げパンのような姿。

村で活動中、アゲハの幼虫がいないかと、対象家庭のお隣のコブミカンの葉をなぞってみていたら、ステキな虫を見つけました。

Thosea sp. というところまでは絞り込めたのですが、幼虫の姿形で判断するのは文献情報が足りませんでした。ひとまず撮影。

トゲがすごそう。

拡大してみるとトゲが痛そう。触って確認すれば有毒かどうかわかるんですが、観察の名目で腰が引けていました。もうすぐ帰国なのに余計なケガしたくないなぁとか。触らずに判断できる方法はないだろうか、とか。

痛いらしいぞ。これは、、、

そうこうしているうちに幼虫はワンダリングをはじめ、まゆを形成。ありがとう。これで触る決心がついた。よく空気の読めるイラガだ。

毒毛虫のトゲは2種類が知られていて、片方は毒を打ち込む機能をもつ毒棘(どくきょく)、イラガが代表的ですね。海の生物ではクラゲも毒棘があります。もうひとつは毒針毛(どくしんもう)。刺す筋肉はなく毒をまといつつ皮膚に刺さり、掻いたりするとポキポキと折れることで炎症を広げていくとうおそろしい仕組みです。チャドクガが有名ですね。ヒロヘリアオイラガなどは毒棘と毒針毛の両方をもち、繭を作るときに体の毒針毛を外側に向くよう植え付ける、というアクロバティックな再利用方法をします。いっぽうで毒棘しかないイラガは繭を作り前蛹になるとその機能を失い、おいしくいただけるのです。

イラガは運が良ければイラガイツツバセイボウの寄生をうけていることがあり、これもまたおいしい。

まずは繭を観察、トゲや毒針毛がないか確認し、皮膚のやわらかいところでなぞってみる。痛くないしかゆくもない。

まゆ。

ニッパーを使い繭を割る。ピスタチオの殻のようにパリッとわれるのがイラガの繭の特徴だ。

中から縮んだ前蛹(サナギの脱皮をするまえの幼虫)があらわれた。
揚げパンのようだ。
さわってもいたくない!うれしい!
かくれがちな顔。かわいい。
茹でると鮮やかなイエローへ!これはおいしそうだ。

味見

うまい!食葉であるコブミカンの葉の柑橘系の風味は感じないが、クニュっとした歯ざわりと筋肉の弾力もあり、 トゲは全く気にならない。コク深い体液が口の中に広がり、少しの渋みが口の中をさっぱりさせる。 うーんおいしい。色も鮮やかですばらしい。はたしてこれは幼虫時代に有毒だったのか、これは次回確かめるしかない。

確かめるしかない、、、うーむ。

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