玉置標本さんにお誘いいただき、この虫を取りに行けることに。
タケオオツクツク Platylomia pieli
実は昨年、玉置さんからおすそ分けをいただいていて、ラオス行きのバタバタですっかり味見を忘れてしまい、一年が経ってしまいました。私のズボラの不徳の致すところですが、あれからちょうど一年、ということはですよ、「セミを冷凍保存するとまずくなる」という検証を、外来種タケオオツクツクでできる絶好のチャンスなのです。ぜひ行かねば。手すりの虫のイベントでもとある方から「今年は梅雨明けが遅いのでタケオオツクツク、いい子出てますよ」とおしえていただいたりと、今年の梅雨明けを最も喜んでいた一人ではないでしょうか。
低い位置で羽化直後の成虫も見ることができ、満足です。腹側に長く伸びた鼓膜がカレイゼミの仲間の特徴のようですね。クマゼミと同じ透明の翅をもつセミですが、角度によってエッジがブルーに光る現象がみられて大変満足です。
味見 比較対象は一年前のタケオオツクツク幼虫と、今年同じ場所でとれたアブラゼミです。
幼虫 腹部の一部に苦味があり 少し残るものの歯ごたえがよく、外皮もやわらかい。胴が長いためかボリューム満点でおいしい。
アブラゼミ 木質系の香りがかなり強く、苦味は逆に少ない。旨味がやや強めでアブラゼミはおいしいセミであることがわかる。
一年前のタケオオツクツク 少しかたくなり、香りが全くダメになっている。変な臭みが発生し、苦味も引き続き残っている。美味しくない。
脱皮直後固まりかけのタケオオツクツク成虫 そっけない味で少しの苦味があり、うーんアブラゼミの旨味がやっぱり恋しい。
メス成虫 やわらかいかたまりかけ クリーミー! やはり少しの苦味があるもののクリーミーさにマスクされてきにならない。 ボリュームが有るぶん食べやすく、料理方法も工夫したいものだ。
もしかしたら、かなり美味しい種類のセミが日本の公園に大発生しているのではないか、と思います。そしてセミは冷凍しても味が落ちていく。つまり旬のセミを食べるしかない。これはセミが美味しいと知っている、昆虫食文化のある国の人からみるとたまらない状況でしょう。引き続き味見を続けましょう。
さて、この場所は私有地で、私有地のフェンスの外の遊歩道に、のそのそと歩いて出てくるセミを捕まえています。そしてこの私有地には看板。
さて。タケオオツクツクが外来種であることも含めて、
昨年はセミ禁止令なんて看板もありました。
この「昆虫食と土地倫理の問題」どう考えていきましょうかね、とってもおもしろいです。