村での活動中に見かけた、Callizygaena ada 最初は南国のウミウシに見えた。
このピロピロがすごい。
ラオス人は派手な虫、あるいは毛のある虫、食用とはっきりしない虫に関しては毒があると信じているようで、この虫も毒毛虫、と言われた。ベイツ型擬態という概念が導入されないと、その擬態の効果は人間にも及んでいるんだなぁ、と改めて昆虫分類学のパワーを実感。
昆虫分類学が導入され、擬態、という生態学的な概念を知って初めて「毒っぽいけど無毒な虫」というジャンルが目に見えるけれど、ラオスにはその概念がまだ入っていない。なので身をもって確かめるしかないのである。ラオス人にどう思われようとも。
Callizygaena ada ラオス人には毒ありと言われていたが、
— 蟲喰ロトワ 蟲ソムリエ しばらくラオス🇱🇦 (@Mushi_Kurotowa) 2019年5月20日
安全であることが簡単な実験でわかった。これでモフれる! pic.twitter.com/SIK8H6HNEI
腕のやらかい所に当てるだけの「簡単な実験」ではあるが、相当に心の準備が必要であった。痛いのはヤダ。ラオス人にバレたらバカだと思われるだろう。つらいけど知りたい。痛いのは嫌だけど知りたい。彼らが毒なのか知りたい。そして今回は、今回は。私の勝ちだ。
触れることがわかったら急に強気である。
Callizygaena ada モフれるとわかると強気になる。ひんやりとさらさらしてとてもいい。なかなか他にない食感、もとい触感。 pic.twitter.com/TDKAvDIBW5
— 蟲喰ロトワ 蟲ソムリエ しばらくラオス🇱🇦 (@Mushi_Kurotowa) 2019年5月20日
モフれる、とわかったら次の難関が待っている。これだけ毒々しいカラーということは食べて毒なのではないか。触って毒ではないことを確かめてしまった以上、食べて毒である可能性はむしろそれを知る前よりも高くなったのではないか。モンティ・ホール問題ではないか(違います)
マダラガ科には体の内部に毒を貯めていることがあるので、食べるのはまた躊躇する。茹でただけで結構しっかりと美味しくなさそうな草の匂い。渋い雑草を煮詰めて缶詰にしたような匂い。
これも口に含むしかない。
Callizygaena ada 茹でると渋みの強い雑草を煮詰めたような青臭い香りが広がる。おいしそうじゃない。噛むと強い苦味とくさみが広がる。モフれる毛並みは触るとやわらかにくすぐったかったが、口の中では水を含んだ桃の皮のように引っかかりいまひとつ。のみ込めなかった。 pic.twitter.com/46pD4Gw0t1
— 蟲喰ロトワ 蟲ソムリエ しばらくラオス🇱🇦 (@Mushi_Kurotowa) 2019年5月20日
はい。Callizygaena ada はモフれるくさくて苦い毛虫である。