DiEGO表参道にて行われていた青沼優介氏の個展「Poetic Structure/息を建てる」のレポートです。
【イベント】タンポポを建築物に見立てた作品を展示する青沼優介氏の個展「Poetic Structure/息を建てる」。作家自身が採集してドライフラワーにしたタンポポを、1本ずつアクリル板に植え込んでいる。https://t.co/De7ontIatW #アート pic.twitter.com/sbuPvS9awL
— MdN公式 (@MdN_tsushin) 2018年3月15日
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「タンポポの綿毛をアクリル板に植え込んだもの」との説明に、一瞬納得しかけたものの、どこか気になるところがあって3月23日に実物を見に行きました。私は芸術鑑賞の訓練を受けたことはないので、あくまで「生物を素材に使った表現物」を観に行ったというものです。批評といえるレベルではありません。感想です。
この作品は「見立て」が秀逸で、作者はこれを「建築物だ」といいます。まったく理解できないんですが、実物を見るとあぁそのとおりだと感じられます。すでに「知って」いたことに気づくという感じでしょうか。
建築物の基本的な構造として「ラーメン構造」というのがあります。垂直な柱を2本、水平な梁を一本剛接合した強固な構造で、この基本構造のくりかえしによって大きな建築物を作ることが出来ます。
氏の作品はまさにこれを見立てていると思います。「ラーメン構造が水平方向に荷重を受けたときの変形」を「息」によって体感できるのです。
誰もが綿毛にをふうっと吹き飛ばす経験をしたことがあると思います。そのときの抵抗、曲がり、そして一番弱い根本が座屈して構造が崩壊していくまで、まさに建築における応力の基礎を体感していた、ということを改めて教えてくれます。この作品はその「綿毛」という誰もが感じたその物性を幾何学的に並べ直し、垂直水平をとり、建築模型のサイズ感で見立てることでいろんなおもしろい感覚を引き起こしてくれました。植物の配列と角度を整える、といういみで、原初的な生け花のような感じもあるなと思っていたら、生け花雑誌に特集を組まれたとのことです。
いけ花の流派の専門誌に特集を組んでいただきました。とってもニッチですが僕らしい気がして、とても嬉しいです。これだけにならないように、これからも頑張ります。書店では購入できないようですが、ご興味を持たれた方は是非!https://t.co/9X45inHmAs#青沼優介 #息を建てる #たんぽぽ
— 青沼優介 トークセッション「詩的好奇心」5/13(日)14:00~ @東京藝術大学 (@_yskanm_) 2018年5月2日
やはり比喩を含む「見立て」は生物を理解し、表現する上でとても重要なスキルで、かつセンスですので、すぐれた見立てをするヒトは様々な分野に点在していて、その分野間を跳躍するパワーを持っていると思います。こういう分野外の生物表現を体感することで、昆虫食にもなにかフィードバックが得られたらいいなと思いつつ、楽しみました。