村で活動中、アゲハの幼虫がいないかと、対象家庭のお隣のコブミカンの葉をなぞってみていたら、ステキな虫を見つけました。
ムラサキイラガをちょっと凶悪にした感じのイモムシ。ラオス人は食えないと言っていた。けれど食樹がコブミカンの葉なのでおいしいイモムシの疑いが強い。茹でたらいけないか。ひとまず同定せねば。 pic.twitter.com/70I4d1sKgl
— 蟲喰ロトワ プロ蟲ソムリエ @ラオス 次回帰国11月11日〜23日 (@Mushi_Kurotowa) October 29, 2019
Thosea sp. というところまでは絞り込めたのですが、幼虫の姿形で判断するのは文献情報が足りませんでした。ひとまず撮影。
拡大してみるとトゲが痛そう。触って確認すれば有毒かどうかわかるんですが、観察の名目で腰が引けていました。もうすぐ帰国なのに余計なケガしたくないなぁとか。触らずに判断できる方法はないだろうか、とか。
痛いらしいぞ。→Ouch - that caterpillar stung me! https://t.co/O72pPJeHAM @wordpressdotcomさんから
— 蟲喰ロトワ プロ蟲ソムリエ @ラオス 次回帰国11月11日〜23日 (@Mushi_Kurotowa) October 29, 2019
痛いらしいぞ。これは、、、
そうこうしているうちに幼虫はワンダリングをはじめ、まゆを形成。ありがとう。これで触る決心がついた。よく空気の読めるイラガだ。
毒毛虫のトゲは2種類が知られていて、片方は毒を打ち込む機能をもつ毒棘(どくきょく)、イラガが代表的ですね。海の生物ではクラゲも毒棘があります。もうひとつは毒針毛(どくしんもう)。刺す筋肉はなく毒をまといつつ皮膚に刺さり、掻いたりするとポキポキと折れることで炎症を広げていくとうおそろしい仕組みです。チャドクガが有名ですね。ヒロヘリアオイラガなどは毒棘と毒針毛の両方をもち、繭を作るときに体の毒針毛を外側に向くよう植え付ける、というアクロバティックな再利用方法をします。いっぽうで毒棘しかないイラガは繭を作り前蛹になるとその機能を失い、おいしくいただけるのです。
イラガ Monema flavescens 蛹。丸くてかわいい
— 蟲喰ロトワ プロ蟲ソムリエ @ラオス 次回帰国11月11日〜23日 (@Mushi_Kurotowa) July 9, 2015
木の香ばしさが強く、さっぱりとした甘い味。イラガイツツバセイボウの肉質のコクと比べると爽やか。栄養たっぷりのやさしい味。https://t.co/ie66Kntpuv pic.twitter.com/Q9hkux9jZz
イラガは運が良ければイラガイツツバセイボウの寄生をうけていることがあり、これもまたおいしい。
27、イラガイツツバセイボウ イラガに寄生する青蜂。繭を開けるまで中身はお楽しみ。ミツバチの蛹大だがコクと旨味が強く、エグミの全くない澄んだ味。シャクシャクと食感の良い外皮も含めて完璧。おいしいイラガを食べて育ったのだからおいしくないわけがない。うっすら透ける構造色も美しい。 pic.twitter.com/xP0hhMZgf7
— 蟲喰ロトワ プロ蟲ソムリエ @ラオス 次回帰国11月11日〜23日 (@Mushi_Kurotowa) September 29, 2017
まずは繭を観察、トゲや毒針毛がないか確認し、皮膚のやわらかいところでなぞってみる。痛くないしかゆくもない。
ニッパーを使い繭を割る。ピスタチオの殻のようにパリッとわれるのがイラガの繭の特徴だ。
味見
うまい!食葉であるコブミカンの葉の柑橘系の風味は感じないが、クニュっとした歯ざわりと筋肉の弾力もあり、 トゲは全く気にならない。コク深い体液が口の中に広がり、少しの渋みが口の中をさっぱりさせる。 うーんおいしい。色も鮮やかですばらしい。はたしてこれは幼虫時代に有毒だったのか、これは次回確かめるしかない。
確かめるしかない、、、うーむ。