ラオスに来てしばらく見守ってきたマンゴーイナズマ。以前にイナズマチョウの仲間でありながら毒がないことを確認しましたので、
私は調子に乗っています。
お、いっちょまえに毒のある虫っぽいムーブをするやんけ、かわいのうかわいいのう。
借りている家の庭にマンゴーがたくさん生えており、大家さんからも自由にマンゴー食っていいと言われているので、確認してはいないですがマンゴーイナズマも自由に食べていいはずです。
彼らは大食漢なのですが、他のイモムシのようにひと枝まるごと丸坊主にすることはありませんでした。擬態の背景として欠けのない葉も残しておく必要があるためでしょう。頻繁に場所を移動しながら食っているようです。そしてあの擬態のうまさですから、食痕がみつかるわりには、なかなか見つからないのです。見つけた時にはもう蛹になっていることもよくあります。お見事。
ようやく2頭の成熟した幼虫を見つけ、冷凍し、料理開発に備えていました。
私は考えていたのです。マンゴーイナズマの擬態を生かす、美味しい料理をつくりたいと。
大葉の天ぷらのように、マンゴーの葉ごと天ぷらにしてしまう、ということも考えたのですが、マンゴーの葉をかじってみると苦味と渋みがあり、風味がなくあまりマンゴーイナズマを載せるものとしていい味とは言えません。
すると、ふと目についたのがまだ熟れていない青いマンゴー。
マンゴーは他の果物とは異なり、熟れていない状態でも渋みがありません。
酸っぱく、すっきりとした味わいですので、完熟マンゴーの甘さに飽きた時にオススメです。
ラオス人も青いマンゴーが好きで、皮をむき野菜スティックのように切った青マンゴーに塩や唐辛子の粉をちょいちょいとつけて食べています。
このとき、ふつう皮は食べないのですが、ふと「チップスにしてみたらどうだろう」と思い、実験してみました。
青マンゴーのフルーツチップスです。めんどくさいので皮ごとスライスしてみたところ、この皮がパリッパリになって、
身の部分はナスの揚げ物のようにしっとりしなやかになり、なんともおいしい酸味の爽やかなフルーツチップスができました。これはおもしろい。
青いマンゴーをスライスして揚げると酸っぱいパリパリチップスになることを見つけた。これはおいしい。 pic.twitter.com/HWas8cqCOd
— 蟲喰ロトワ 昆虫農家 蟲ソムリエ 6月からラオス (@Mushi_Kurotowa) 2018年12月13日
身の部分が柔らかでパリパリにならないので、長期保存はできなそうですが、食べた後酸味ですっきりするので、焼肉のお供なんかにいいと思います。
基本の青マンゴーチップスができたので、次はマンゴーイナズマ擬態チップスです。
ジュー。
マンゴーイナズマは加熱すると美しいグリーンが消えてオレンジになるのですが、それもマンゴーっぽくていいですね。
それでは実食
毛がサックサクでコクも旨味もあって、青マンゴーの皮の部分がカリッカリで酸っぱくて食べた後すっきり。マジ美味しい。売れる。これはマンゴーの新しい恵みだ。
本当に美味しいです。これは養殖するしかない。
食べてみて感想を書いて気づいたのですが、「カリカリでふわふわ」という美味しさが、今までの食品ではおそらく存在しないのではないかと思います。というのも分岐を必要とするからです。
マンゴーイナズマのしなやかな毛から揚げ調理によって水分が抜け、毛先はふわふわ、根元はカリカリになることで
同時にカリフワが達成します。ところが、分岐によるテクスチャをもつ食材は普通見当たりませんし、連続整形できないので、
加工品でも見ることはないと思います。(もしあったら教えてください)不均一な混合物ではなく、単一の食材が、異なるテクスチャを口の中で演出する、という面白みを感じました。これはもっと拡張性があるので考えたいところです。3Dプリンタ食品なんかも、分岐が得意な形成技術なので今後登場するかもしれません。