さて、VTRで見えていた料理、もうひとつは
「こぶみかんの葉炒め4種」です。
昨年8月に訪問した段階で、ラオス人スタッフからこんなことを言われていました。
「コオロギは消化管を抜いたほうがキレイになる。キレイにしていないものは食べたくない」
衛生観念ともいえますし、調理の美味しさ追求とも言えます。
その時使ったのはタイワンオオコオロギ。
作ってもらったタイワンオオコオロギの炒め物。カリッカリに焼いたコブミカンの葉とレモングラスがコオロギに少し残るゴキブリ臭を爽やかにし、ヌルッとした腹部の食感にクリスプを与えてくれる。すごくいい。感動する美味さ。しかしこれは大人のおつまみ。2歳児に与えるにはどうするか。 pic.twitter.com/MVnoY8WIjR
— 蟲喰ロトワ 昆虫農家 蟲ソムリエ4/2〜29ラオス (@Mushi_Kurotowa) 2017年8月1日
腹部の先端からちぎるように消化管を抜いてあり、それによってコオロギやゴキブリに特有の集合フェロモンの匂いがなくなっていたように感じました。といっても比較対象は茹でたもの。
そして私の独断でモノを言うのはよろしくないので、研究会の皆さんにも味見をしてもらいました。
「消化管をぬいた炒めものはおいしくなるか」です。
タイワンオオコオロギは手に入らなかったので、小さいヨーロッパイエコオロギと、我が家の生ゴミ処理を担当してくれているデュビアを使いました。
左半分が消化管ぬき、右半分は消化管そのままです。
イエコオロギの場合、消化管を抜く作業のせいで、噛んだときの腹部の破裂感がなくなってしまい、香りもコオロギらしさが抜けてしまったように感じました。
デュビアの場合、消化管を抜くと中に味が染み込みやすく、抜かないことで少しゴキブリ臭が残ってしまうかと思ったのですが、さほどでもないです。
参加者の反応は見事にバラバラで、消化管を抜いたからといって必ずしも美味しいわけではなく、かつ感じ方に個人差があるようでした。消化管を抜いたことでコクや風味が失われた、という人もいましたし、抜くことで味がしみて食べやすくなった、と言う方もいました。なのでこのラオスのコオロギ調理が、必ずしも「おいしくする」というわけではなく、衛生観念も含めた文化的理由の大きいものである、としか言えないようです。
ともあれ、もう一つの目的「こぶみかんの葉が昆虫炒めものにめっちゃ合う」ということは同意してもらえました。
コブミカンは普通の柑橘の葉よりも香りが強く、苦味が少ないのが特徴です。高温の油でさっと揚げて、昆虫と野菜を炒めた後に最後に混ぜ合わせて仕上げます。カリッカリのコブミカンの葉と、少し弾力の残る昆虫の食感のコントラストが絶妙で、かつ柑橘の香りがふわっとひろがり、なんとも至福のとりあわせです。コブミカンの葉は冷凍もいけるようなので、常備しておくとよさそうです。
残念ながら日本での露地栽培では越冬が難しいようです。冬場は室内での越冬が必要とのこと。
ラオスでは庭にレモングラスとコブミカンが適当に生えていて、炒めものをつくるときに適当にちぎってもってきます。
なんだかゆるくて、とても贅沢に感じました。
ごちそうさまでした。