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鱗翅目の幼虫は形もイモムシ型で嫌悪感がすくなく、見ためにも食べやすい。
そう思っていたこともありました。
何事も例外はありますね。
そうです。 シャチホコガ Stauropus fagi です。
シャチホコガ科は以前に
モンクロシャチホコ タカサゴツマキシャチホコなど、ケムシ型の幼虫・サナギを食べてきました。
いずれも見ためがいいとはいえない虫たちでしたが、
比較的味がよく、スズメガ科、ヤママユガ科に次ぐ美味しい鱗翅目の科が
開拓できる可能性を考えると、食べないわけにはいけません。
このブログそのものが既に閲覧注意のレベルだそうですが、
今回は特に閲覧注意とさせていただきます。
何しろ異形です。昆虫学の権威、極度の虫好きの私のボスが、
「初めて見た日の夜はうなされた」とのことですから、
異質な形態をした幼虫といえるでしょう。
こちら。

あなた、フェイスハガーですよね。

キシャー

幼虫とは思えないすごい造形です。
動画はコチラ。

引き続き パシフィック・リム風になってますが。。。
すごい造形と、動きです。
これで肉食であれば、攻撃性の高いデザインにも納得なのですが、
残念ながらクヌギの葉を食べるおとなしい虫です。
見た感じ、尻尾はへびの頭に
長い腕と頭はクモに擬態しているのではないか、と思えてきます。
昆虫のデザインは
ヒトの想像をやすやすと超えてくるのがすごいですね。
魅力でもあり、恐怖を感じるヒトもいるでしょう。
さて
このブログの本分、味見と参ります。
味見
なぜか頭部に酸味がある。
外皮は見た目に反してわりと柔らかく、
内部に脂肪はほとんどついていないため、
消化管のクヌギを出すとぺちゃんこになってしまう。味はけっこう普通。
ナナフシモドキにも似た、エビと枯葉っぽさが同居したよくある虫の味。

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今回は大型のスズメガの幼虫、
トビイロスズメです。
成虫は食べたのですが
幼虫は未食でした。
かなり大型で、中国でも好まれているとのことですので、是非食べたいと思っていました。

中国山東省や江蘇省では、トビイロスズメ(中国語 豆天蛾、ドウティエンオー)の幼虫を「豆蚒」(ドウダン)、「豆虫」(ドウチョン)、「豆青虫」(ドウチンチョン)などと呼んで食用にする。食用については、古くは清の蒲松齢の『農蠶經』に記載がある。無農薬栽培の大豆畑で採集するが、江蘇省では1ヘクタール当たり300kgも採れ、市場で売ると数千人民元の売上げになる例もあるという。素揚げ、卵炒め、野菜炒め、スープなどの食べ方がある。江蘇省北部の灌雲県には、頭を切り落として肉を絞り出し、内臓を取り除いて作る肉団子がある。(wikipediaより)

灯台下暗し、とはよく言ったもので、
いつも通っている葛が繁茂した道路脇で発見。
あまりにデカイので、ぎょっとするレベル。シモフリスズメより一回りデカイっす。

肌の粒感はモモスズメによく似ていますが
頭がとんがっていないのがポイント。顔はシモフリスズメに似ています。
大きいのでこんな動画を撮ってみました。
「パシフィック・リム」のイェーガーの紹介風に。あれはイイ特撮バカ映画でしたね。

使った機材はコチラ。「大人の科学 USB特撮カメラ」

高速度撮影はできないのですが、焦点深度が深く、
下から見上げるようなアングルを作りやすいカメラです。面白いっす。
味見
クソ美味い。なんだこれ、
味に定評のあるスズメガ系ではトップに躍り出た。
豆の香りがしながらキノコのような肉質系のダシ味、
うまみが強く、茶碗蒸しのような濃厚な味。適度な弾力のある肉の歯ごたえ
粒感がありモモスズメに似た外皮の歯切れも小気味よい。
幼虫越冬のためか消化管内に内容物はなく、
みっちりと濃い味が楽しめる。
これは感動。冬までに探しておきたい。
サナギ越冬が多いスズメガですが、
この種は幼虫越冬とのことですので、まだまだ時間はありそうです。
中国のダイズ農場で、1ha300kg収穫するのも納得ですね。
なにせダイズより遥かに美味いんですから。
体が大きいぶん、草も沢山たべるので、もっと増やして
しつこいほどに繁茂する葛を美味しく処理してやりたいですね。
スズメガ系の(今のところの)トップが世代交代した感じです。
感動。

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近頃冷凍庫が手狭になってきたことから
写真撮影後に食べるタイミングを逃した昆虫も、きちんと味見していきたいと思います。
こちら
オオゾウムシ Sipalinus gigas
以前に煎餅にして食べたのですが、
振り返ってみると
このブログの共通調理法である茹でポン酢で
食べていなかったので再度挑戦。

見るからに固そうです。
味見
食べる前から敗戦色濃厚(口に残ってかみ切れない、飲み込めない)
のかと思ったのですが。
硬すぎてカリカリして美味しく食べられる。内部の甘みはやさしく、香ばしさも相まって
ゾウムシ・カミキリムシ系の好ましい味。
食べきるのにかなり時間が掛かるが、珍味のようでずっと噛んでいると
口に残らず最後まで食べられる。外皮は硬すぎると逆に食べられることがわかった。
何事もやってみないとわからないですね。

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ヒロヘリアオイラガ Parasa lepida

イラガ科の幼虫です。
1920年代の外来種で、近年勢力を拡大しているとのこと。
「明らかに危険」と蛍光色で教えてくれるケムシです。
それでも葉の裏に隠れていることがあるので、ご注意下さい。
ヒロヘリアオイラガの臨床図(ドクターご本人が体を張った経過観察!)
もある「虫と皮膚炎」によると

毒棘に触れると先端部が皮膚に刺さり、毒液が注入される。とのこと。
棘が刺さるには、イラガ自身が生きていることが重要なので、
死んだり、脱皮直後ではこのタイプの皮膚炎は起こらないとのこと。
普通のイラガ科の棘はこのタイプだけですので、
「スズメのショウベンダコ」と呼ばれるイラガの蛹を
繭のまま炒って、ピスタチオのように殻を割って美味しく食べられます。
イラガは冬に繭で越冬しますので、
食害に悩まされている方は、冬のうちに採集し、炒って食べると良いでしょう。
ところが、
このヒロヘリアオイラガ、なんと
二段構えなのです。
尻の黒い部分に毒刺毛があり、これは生死にかかわらず
触れると皮膚炎を起こすタイプです。
この毛を繭を作るときに、周りに付着させることで、
ほかのイラガでは無防備なサナギ時代を「毒あり」で過ごすのです。
こわいですね。
ということでイラガの中でも、ヒロヘリアオイラガは
たとえサナギの時期でも食べるのに適さない、味見が困難な虫、といえるでしょう。
お気をつけ下さい。

クモ類は昆虫ではありませんが、
陸上性の節足動物で伝統食への利用も多く
「食べられる虫」の一群として注目しています。
利用しやすい点は
翅を持たないこと、
そしてその分体重が重く、
食べごたえがあることでしょうか。
利用しにくい点として、
ほとんどが肉食性なのでエサの用意に
コストが掛かってしまうことでしょう
群れを作るものが少ないので共食いの危険もあります。
カンボジアでは
採集タランチュラが日常的に食べられていますが
近年は減ってきたとのインタビュー報告があります。(FAO報告書2013)
南米チリではペット用昆虫牧場があり、養殖は可能ですので、
養殖へのシフトを促したいところです。
天然資源の減少はその価格高騰をもたらし、
リョコウバトやオオウミガラスの
ように「さらなる乱獲を助長する」危険もあります・
逆に、高騰した採集モノの価格を安くする方法として
養殖技術をすんなり導入しやすい好機でもあります。
採集タランチュラを養殖に変更すると
どの程度価格が変化し、
雇用が生まれるか算定したいものです。
特に彼らは成長が遅く、生体まで二年もかかるのでかなり高価になるかもしれません。
それを受容できる、そして密猟を許さない社会全体の法律の制定と成熟も同時に望まれます。
ちなみに
この写真は私が飼育しているタランチュラです。ブリーダーの方からベビーを頂き、
実験で余ったバッタを与えて1年半、元気に過ごしています。食べても美味しいですが
その味見については次の機会に。
このような多様な肉食食用動物の飼料としても、
バッタの養殖はもっと高度化する必要がありそうです。

「生死のフチ子さん」という題名です 笑
話が一旦逸れます。
ここで使った「コップのフチ子さん」は、奇譚クラブが漫画家、タナカカツキさんと
企画したガチャポンで、コップの縁にちょこんと、
個性的なポーズでつかまる ゆるめのOLの姿をしたフィギュアです。
日常に「フチ子さん」がいる光景をSNSで公開し、楽しむことで爆発的人気となりました。
まだマイナーかもしれませんが、
「ネイチャーテクニカラー」のシリーズで見られる
造形や彩色であったり「フチ子さん」のような企画力、「バカ度」は
海洋堂を超えてきています。
要注目です。
モノづくりを競う場ではエネルギーのある「若手バカ」が
評価される健全な競争が望まれますね。
さて、味見でした。
ジョロウグモ Nephila clavata

以前から何度か食べていたのですが、
ブログで紹介するのは初めてです。
味見
香りが良い。腹部を噛むとプチッとした食感の後に
枝豆に似た香ばしくはなやかな香りと
しっかり旨みの効いた味が口の中に広がっていく。
クモ類で抜群に美味しく、かつ採集しやすいのが
ジョロウグモといえるでしょう。
これから秋が深まるにつれ、産卵を控えた♀たちの身がしっかり詰まってきます。
ジョロウグモを使った「自家製納豆(納虫?)」もおすすめです。
作り方は
昆虫料理研究会 内山さん著
「楽しい昆虫料理」をご参照下さい。

秋のジョロウグモ。
採集も簡単で、初心者にもオススメの味です。