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いつもご覧下さりありがとうございます。
沢山のアクセスを頂きまして、
虫関係のブログで妙に検索上位になってしまい、
単に昆虫の名前を調べたかっただけの方に
誤爆するという痛ましい事故が頻発しているようです。
とはいえ
検索したのはあなたですので、
事故とは言え停車中の当ブログに追突されても
私が謝罪する言われはないと思っております。
ともあれ、事故に遭遇したのも何かのご縁ですし
心のダメージは諦めて建設的に参りましょう。
「虫の名前を知りたかっただけ」の方が当ブログに
たどり着いた際のデメリットとして「同定ミス」が挙げられます。
私が昆虫分類に関して未熟なため、当ブログの同定ミスはおよそ3%と、
他の昆虫ブログに比べ高めで推移しております。
このブログの公開にあたって、
「多くの虫屋さんに間違いを指摘して頂く」という目的がありますので
うまく機能しているとも言えるのですが、
虫の名前を知りたい方には、
要らない味見情報をムリヤリ刷り込んだ挙句
同定が間違っていたのでは、
さすがに貰い事故とはいえ胸が痛みます。
そこで、当ブログの同定に役だっている参考文献をリンクとしてご紹介しておきます。
日本の昆虫1400
「遭遇率に応じた1400種を厳選」
基本的な昆虫の同定には文一総合出版「日本の昆虫1400」を
使っております。
この図鑑は文庫本サイズで持ち運びも簡単、二冊で2100円と
驚きの安さ
しかも標本写真の図鑑が多い中
活きのいい生きた昆虫の写真を白バックで撮影、
しかも全ページフルカラーという大変贅沢な仕様です。
当ブログも途中から白バック撮影ですが、
これも実は猿マネであります。


この図鑑だけでもかなりの使えるのですが、
昆虫食の関係上、成虫よりも幼虫を多く食べる傾向が強いので、
鱗翅目幼虫の情報を強化するため
「イモムシハンドブック」
を併用しております。
これはイモムシ=鱗翅目幼虫に特化したハンドブックです。
文一総合出版のハンドブックシリーズは、独特の切り口と、
入門者向けの平易な説明文が魅力の新書サイズのフルカラー書籍です。


他にも「樹皮」「雑草の芽生え」「冬虫夏草」「イネ科」など
独特のいい切り口のラインナップです。
ニッチな書籍なので、価格は1000円台後半とやや割高感はありますが
嬉しくてついつい何冊も買ってしまい、いつの間にか専門書を超える出費になっている、
という「ハンドブック地獄」という恐ろしい現象も頻発しているようです。
私も亡者の一人です。
「ニッチなものは割高でもつい手を出してしまう」
若干のサブカル趣味をお持ちの方、特にお気をつけ下さい。
もう一つ、何度か登場していますが
現役皮膚科医が自らの人体実験をもって臨床事例をひねり出した
超体育会系医学書
「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」

ダニがガッツリ皮膚に食い込んでいる所を切片写真にして紹介してくださったり
わりと攻撃性が低くあまり刺さないサソリに無理やり刺される、という事例の数々を
読んでいるうちに「本当に倫理観だけでこんなことを?楽しんでいるのでは?」と
新手のプレイを邪推してしまうほど、虫への愛と体を張った臨床写真に感服してしまいます。
専門書ということで、大幅に高価ですが、買って後悔していません。
虫による皮膚炎は虫を扱う上で避けては通れない道なので、
ぜひ最寄りの図書館に入れてもらいましょう。
もし昆虫食の文化について知りたかった場合は、
過去から現在までの昆虫食の歴史と分類について網羅した書籍
昆虫食の権威、三橋淳博士による
「世界昆虫食大全」

「昆虫食文化事典」


オススメします。
膨大な文献から作成した「目ごとの食用昆虫学名一覧」は必見です。
捕まえた昆虫の近縁種がどの地域、どの時代で食べられているか一目瞭然です。
昆虫の食べ方、捕り方にも学ぶ所が多いので、
昆虫食に興味がおありの方は一読をお勧めします。
まだまだ紹介したい書籍はありますが、また後々ということで。

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ナナフシモドキ Baculum elongatum いわゆる普通のナナフシ。
近縁種のエダナナフシは触角がずっと長いことで区別できます。
これは短いのでナナフシモドキ

体は軽いですが手のひら一杯に広がるサイズ感はなかなか見応えがあります。

このナナフシモドキという名前。本家「ナナフシ」という昆虫がいるわけではないそうです。
ナナフシ=枝に擬態している=モドキというのが本当のところだとか。
とても納得です。
今まで「モドキ」の用法には気に入らないところがありました
今まで食べた中でもいくつかありました。
ショウリョウバッタモドキ ショウリョウバッタ
クルマバッタモドキ クルマバッタ
サトクダマキモドキ クツワムシ(別名クダマキ)
いずれも互いに近縁種で、区別できる特徴=識別点がはっきりと定義されているにもかかわらず
和名にはそれが反映されていません。
ハチやアリなど、攻撃性や毒のある昆虫を擬態するなら
「モドキ」という擬態目標を示すことでその生物の特徴を表現できるのですが、
同種の似た生活史の昆虫の間で「モドキ」とはなにごとかと。
見ためが似ていて別種ならば何らかの区別できる特徴があるはずで、
それを名前につけるべきだ、と思います。
ともあれ 味見です。
木に擬態しているだけあって本当に枝や葉のよう。かるい消化管内容物の苦味と固く弾力のあるクチクラ、内部の味はほとんど感じられない。「細くて大きい昆虫」は外骨格への投資量が多いので、身と外皮のバランスが悪いようだ。世界最大のマダガスカルオオトビナナフシとかも固いと思う。
ナナフシモドキは味までナナフシ=枝に似せている、
正真正銘のモドキの用法といえそうです。
話は変わりますが、
今年度も私が所属する
食用昆虫科学研究会 は
サイエンスアゴラ2013に出展します。
サイエンスアゴラとは日本科学未来館で毎年開催されるブース形式の一般向け科学イベントです。
毎年昆虫食のブースを売店の隣で開いています。
ぜひお越しください。
ここで「のぼり」のような客引き用の広告があればと
いろいろ探したのですが
1,一つしか作る予算がない
2,印刷物の場合、複数作るほうが安くなる
ことから、のぼりをつくると版型の価格が高くなってしまいます。
そこで
「もう手作り一品物のほうが安いのではないか」
と思い始めました。
そして、「のぼり」で伝えたいことは何か。
1,昆虫を出すブースである
2,光る
3,食欲をそそる
ここから得られる答えは
そうですね。 提灯です
※画面は開発中のものです

これは近くの百均でみつけた提灯に
印刷したものを貼り付けた試作品ですが
現在注文中のものは
浅草の職人が一品ずつ手描きしたものになります。
サイエンスアゴラで
食欲をそそる赤ちょうちんを見かけましたら
我々のブースですのでぜひお立ち寄り下さい。
お酒の一杯は出せませんが、なにかをご用意しております。

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背中のハートマークが可愛らしいツノカメムシ。
エサキモンキツノカメムシ Sastragala esakii

以前ヘリカメムシ科(ホシハラビロカメムシ キバラヘリカメムシ)は青りんごの香りがすることを紹介しましたが、
ツノカメムシ科はまだ攻めていませんでした。
また、私はパクチーがキライなので、
青りんご系以外のカメムシ臭はキライです。
ツノカメムシもいい香りであってほしいものですが
軽く嗅いでみると残念ながら食べる前から負け確率濃厚。であります。
でも食べないことには味見ブログになりませんので。
あと可愛らしい好きな昆虫なので、ぜひ美味しくあってほしいものです。
味見
わずかにヘリカメムシ系のりんごの香りがあるが、ほとんどパクチー系の普通カメムシの臭いと味。おいしくない。食感は悪くなく、色味もいいので臭いを飛ばしてしまえば食べられそう。
可愛いアイドルがウ◯コをしていたような
ちょっと冷める感じの落胆を感じました。

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「味見に際して注意すべき昆虫」として、
マメハンミョウツチハンミョウアリガタハネカクシ
ような体内に強い毒のある昆虫がある一方、
採集にあたって注意すべき毒を持つ生物
も抑えておく必要があります。
毒のある毛虫の中でも、最も有名で、
被害件数の多いものがチャドクガではないでしょうか。
チャドクガ Euproctis pseudoconspersa
本州四国九州に分布し、幼虫はツバキ、サザンカ、チャなどのツバキ科の植物の葉を食べる
成虫は年二回発生。卵で越冬する。若齢幼虫は群生する

この長くて白い毛は毒ではなく、
胴体中央部のモリっとしたコブに
毒刺毛が30〜50万本密生しているとのこと。
恐ろしいですね、
この有毒毛は卵や繭の表面幼虫の脱皮殻にも残存していて、
皮膚に刺さると炎症をおこす。
かくと刺毛が折れて更に刺さり、悪化する。
もうれつに痛くてかゆいそうです怖いっす。
これが噂の幼虫の脱皮殻。

これが食べられるのか、
本当に食べられないのか、確認すべきでしょうか。。。。
参考

炭火に放り込んだら食べられるような気もします。
10月に羽化するそうなので、今のうちに考えておきたいです。

以前に偶然セミヤドリガに寄生されているヒグラシを発見し、その味を紹介しましたが、
虫界の風雲児、メレ山メレ子さんが セミヤドリガ蛹を手に入れたのこと。


すかさず「食べたい!」とリプライ致しました。(ダメ元で)
すると
なんとメレ子さん、送ってくださるとのこと。
即日発送はアマゾンレベル。楽天を遥かに上回る対応で手元に届いたのでした。
なんと一匹羽化! これは比べがいがありそうです。
セミヤドリガ Epipomponia nawai


繭はこんな感じ。セミヤドリガ幼虫に似た淡雪のようなホワホワで包まれていますが
繭自体はしっかりした繊維で固められています。


小さいながら緻密に成虫の構造が計画されているのがわかります。
コンパクトで機能美あふれる姿ですね。
味見
成虫:シャクっとした食感とほのかに甘い味。ほとんど味がない。小さすぎてわからず残念
蛹:やはりシャクっとした食感とプチプチとした歯ざわり。味はよりわかりやすい。木質系の甘い味。特徴はない。
幼虫のときに既に穏やかな味だったので、成虫や蛹は余計に地味な味なのでしょう。
セミヤドリガの蛹は杉の木などで見つかるそうです。
やはりオススメは幼虫期ですね。
幼虫時にヒグラシを取り、ついでにセミヤドリガが付いていたら大当たりだと思います。
さて、
話は変わりますが 今回セミヤドリガをお送り頂いた
メレ山メレ子さん
秋田のブサカワ犬、わさおを世間に紹介した強力なキュレーターとしても有名です。
食用昆虫科学研究会主催の2012年8月、つくばセミ会でお会いしたのが最初なのですが
とても面白い試みを仕掛けています。
まずは昆虫大学
我々昆虫料理研究会も学食として参加した昆虫イベント。
当ブログでも紹介しましたが、
「アカデミック・アート界の昆虫のプロ同士と全くの素人と引きあわせたイベント」
としてとても将来性のある試みだと思っています。
昆虫食の活動を通じて、
「昆虫学に全く精通していないけれど『昆虫って面白い』と思ってくれる方」
が多いことに気づいてはいたのですが、
昆虫大学のように具体的に他分野の人同士を繋げることで
更に世界が広がっていくと思います。
引き続いて
虫フェスにゲストとして来ていただき、様々な投稿昆虫創作料理
を味見・評価していただきました。
更に
幕張メッセで開かれた ニコニコ学会では座長を務めた
「むしむし生放送」では、アカデミックの研究者が日頃行っているプレゼンを
一般向けに放出してしまうとどのような事件になるか、
という未来の学会の形を提示しておりすごいことになっています。
この時「クラウドファウンディング」で学会登壇者の旅費を集めた点でも先鋭的ですね。
最近は
web媒体での連載 「ときめき昆虫学」
でヒトと昆虫と昆虫学の素敵な関係を、直感的でかつ文学的な文章で綴っていらっしゃいます。
ここで私が注目しているのがFACEBOOK上での「ダメ出しコメント」です。
「昆虫学」の分野で情報を発信する以上、
学術的に間違った用語の使い方や、情報を発信するのは避けるべきです。
そのため、印刷媒体の図鑑や専門書は、ものすごい回数・人数の校正を加えます
ですが、
著者の直感的な印象や共感する感情の動きが見えにくく
読み物として平坦な印象になりがちです。
情報のみで興奮できる(笑)専門家のみの書籍になってしまうのです。
メレ子さんは専門家でないため、
隔週の連載ではやはり用語の間違いが発生してしまいます。
それを目ざとく見つけ、指摘する虫屋の各専門家の方たち。
このやりとりが大変エキサイティングです。
このようにリアルタイムで原稿を公開し、
リアルタイムで校正され、
構成済みの文章をまとめ、書籍化するという一連の流れは
昆虫全般に関する書籍を単著で執筆するにあたって
ハードルを下げるものだと思います。
ぜひ盛り上がってほしいものです。
昆虫界の専門家を引き付ける社交性も
メレ子さんのキュレーターとしての力かもしれません。
近年盛り上がってきた「科学コミュニケーション」という分野も
ただ専門家の用語を噛み砕くだけではなくて、
専門家・専門分野の魅力を新しい形で、全く別の人に向かって発信する
「攻めの姿勢」を持ちたいところです。
「キモい オタク わけわからん」と言われながら
果敢に社会に発信する打たれ強さを、現在の社会から研究費を得ている
研究者も自覚すべきだと思います。
「研究がしたい。一般人の相手なんかしたくない」という研究者は
一般の相手をすることで分野全体を盛り上げようとするキュレーターを
応援してほしいと思います。
ということで、
メレ子さんの動き、引き続き(ストーカーのように)追っていきます。

今回は味見はありません。写真もありません。地味記事です。
5W1H という情報の整理法をつかって
養殖食用昆虫の研究の方向性を整理したいと思います。
まず5W1Hとは コトバンクより。


「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素をまとめた、情報伝達のポイントのこと。5W1Hに沿って整理し、5W1Hにあたる内容を相手に伝えるようにすると、情報をわかりやすく、もれなく伝達することができる。もとは新聞記事を書く際の原則だが、ビジネスの場面では報告書・メールの作成時や、口頭で状況を説明する際に応用される。5W1Hに「どのくらい(How much/How many)」を加えて、5W2Hとすることもある。


これを昆虫食に対して当てはめると
Who 人類全てが
Why 食糧の効率的増産のため
When 今でしょ
What 100万種いる昆虫の中から
Where 各地域で
How much 経済規模を考慮して
How 昆虫の養殖・調理法を開発する
となります。(2Hとなりました)
昆虫を利用するにあたって最もわかりやすい優位性は「多様性」です。
ヒトと同じ生息域・陸上において昆虫は多様に種分化し、進化したことから、
その優位性を利用するには、目的・地域に応じた昆虫種を選択し、
育種して養殖法を開発することが必要です。
昆虫を人為的に天敵から「隔離」することで、
ヒト用の生物資源としての昆虫を確保することが将来の養殖昆虫の基本的な形となるでしょう。
ですが今のところ
「昆虫種の選択にあたって検討すべき項目」すらまとまっていない状態といえます。
養殖法が分かっているものは数十種類程度で、
カイコ・ハチなどの特殊な機能を利用する家畜昆虫や
ただ小規模に飼いやすく・安いエサで短期間によく増えるペット用生き餌などがほとんどです。
そのようなたった数十種類の中でのみ「養殖昆虫食」の論文が出されているのが現状です。
(アリを養殖してみようとしたら体重が増えなかったテヘ というお粗末な論文もあります)
残りは世界の採集昆虫を養殖法を確立せずに栄養だけ比較したものがみられます。
文化的に食べられている採集昆虫だけでも1900種あるので、候補としては有望ですが、
100万種とも言われる昆虫の種多様性を活かしているとは必ずしも言い切れません。
数十種の極めて狭い範囲の昆虫ををムリヤリ全世界に適応させると
今まで人類がやってきた家畜哺乳類(14種類)を全世界に輸出し、
森を切り開き在来生物を駆逐し、
低効率な食料生産と土地の劣化を招いた悲劇と同じ轍を踏むことになってしまうでしょう。
ということで
ある人が◯◯な食料生産をしたい
という課題に対して
この昆虫を(あるいは別の生物を)
この場所で
このように生産すべし、というガイドラインを設けること。
が食用昆虫の学問的なゴールになると思われます。
ですが、
今のところ膨大な昆虫学の知見をどうピックアップするのか
昆虫学者とどう連携を取っていくのか(飼育法の確立だけでは論文にならない)
食用昆虫の学会を作る事も含め
やっていかねばならないと思います。
道のりは遠いですし
若干早まったのかな(笑)という焦りもありますが
「あ〜イナゴなら食うよね」という日本の素晴らしい昆虫食文化が薄〜く残っているうちに
将来性を提示できるよう、しばらく頑張ってみようと思います。

サクラケムシを採っていたら、足元にアリジゴクがあるのを見つけました。
サクラケムシのような大型の鱗翅目ですら、アリジゴクの餌食になるようです。
掘り出してみるとあの幼虫が。
ウスバカゲロウ Baliga micans

以前に成虫を食べていました。
アリジゴクの唾液にはテトロドトキシンの130倍の毒が含まれているとのこと。
これは共生細菌エンテロバクター・アエロジーンズが唾液中に生産するタンパク性の毒。
ま 捕食用ですし微量なのでそんなに気にする程ではないと思いますが。
タンパク質の毒なので、必ず加熱して失活させておきましょう。
茹でて味見
けっこう苦味がある。テントウムシのような青臭さは全くなく、外皮も柔らかい。
うまみが全く感じられず内部は液状。おすすめの味ではない。
運動性も低く、ぷっくりとしていて美味しそうだったのですが
あまりおすすめできる味ではありませんでした。昔から好きな虫なので、
美味しくないことがわかったのでそっとしておきましょう。

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二回連続で美味しくない昆虫だったので
今回は美味しい虫の話。

サクラケムシ(モンクロシャチホコ幼虫)は以前にも紹介しました
見た目は悲しいぐらいに悪いのですが、味が抜群に良いので初心者の方にもオススメの昆虫です。
茹でて冷凍しておくといつでも手軽に昆虫料理を楽しむことができます。
桜の香りがして歯ごたえもよく、プリっとした食感が最高です。
揚げても香りが残るので、味が均一になりがちな昆虫のかき揚げにも
参加させたい名具材といえるでしょう。

見た目はケムシですが毒はなく、今の時期にソメイヨシノなどの桜の木を丸裸にして
土中で蛹化するためにぞろぞろと降りてくるのです。

とてもカワイイですね(棒)

今回はどうやら時間帯があるらしいとの報告です。

12時から13時にかけて、10本のソメイヨシノをローテーションして
捕まえた所、40分採集で295g捕獲出来ました。

また、ホットな木というのがある程度決まっており、
今回は池に近い二本の木から
頻繁にサクラケムシが降りてきていました。
そこから少し離れたところでは、若齢の赤い幼虫がみられ、

樹ごとに成長には若干のタイムラグがあることが伺えます。
周りにはフンが落ちていました。 サクラケムシがいるかどうかはこのフンを見ることで判断できます。慣れてくると葉が食べられている木からは桜餅の香り
(クマリン)が匂ってくるので、手軽に判断できるようになります。
昼13時ごろまでは良く降りてきたのですが、
午後3時以降から夜にかけて、 朝7時前後はほとんど降りてこないことがわかりました。
実態を知るためには定量しなくてはいけませんが、傾向としては暖かい午前中に
降りるようです。

ここから、「9月第一週はサクラケムシ会(ランチ形式)」
という 新たな野外昆虫会が開催できるでしょう。来年ぜひやってみたいですね。

あ、申し遅れました。
今回の上の動画はこの音楽に合わせてお聞き下さい。 懐かしいですね。
サクラケムシが降りてくる  詞 むしくろとわ

サクラケムシが降りてくる
お腹を空かせて降りてくる(蛹化前の消化管内容物の排出)
あいつらはグルメじゃない(単食性)
サクラをペロリ(桜の葉を食害)

サクラケムシが降りてくる
日中主に降りてくる(捕獲は日中がオススメ)
クマリンの匂いする(桜の香りの化合物)
辺りにフン!フン!フン!(フンが目印)

「ポケモン言えるかな?」ぐらい流行すれば
昆虫食の普及ももうすぐだと思います。

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テントウムシはカブトムシと並んで日本人に親しまれている虫です。
英語圏ではLadybugとも呼ばれ、子供用のデザインとしても人気ですね。
ただ、「苦い」らしいのです。
テントウムシをいじったときに脚の節から出る黄色い汁が。

ナナホシテントウ Coccinella septempunctata
言わずと知れた 超有名昆虫です。
いろんな昆虫図鑑で見ます「テントウムシは苦い」
そして具体的な毒物ではなさそうです。
ただ、今まで実際に食べたことはありませんでした。
確かめてみようか、どうしようか逡巡していたところ、
こんな話を思い出しました。
ソムリエの専門学校では、未成年の生徒が
テイスティングする際は口にふくむだけで飲まないそうです。
つまり、飲み込まなくてもテイスティングできるのです。これはおそらく昆虫も同じでしょう。
カンタリジンやペデリンのような粘膜に水疱をつくるような炎症性の高い成分ではダメですが
テントウムシだったらイケるかもしれません。挑戦してみましょう。
味見;苦いという噂だったが本当に苦い。青菜系の強い青臭い香りがあり、苦味はゴーヤ系。野菜の苦味に近いと思う。
…やはり苦かったです。小柄なのにしっかり苦味がありました。
ですが、ヨコヅナサシガメハンミョウと同じぐらいですね。危険は感じませんでした(鈍感)
やはりテイスティングしてよかったです。
食べた後 新たな疑問が湧きました。
「ナナホシテントウは肉食」なのです。
つまり
あの青菜のような強烈な香りや苦味はもしかしたら
テントウムシのエサ、アブラムシの
味を濃縮したものなのかもしれないのです。
そう考えると、アブラムシはもっと食べやすい
青菜の味があるのかもしれません。
小さくて食べていなかったのですが、もしかしたら…
集合している所があれば集めて食べてみようと思います。

今回も美味しくない(かどうか確かめてはいけない)むしの話です。
味を見てはいけない虫として、
体内に強力な毒を持っている虫が挙げられます
今までに 体内にカンタリジンを含む
マメハンミョウ
ツチハンミョウ
を紹介しました。
今回はペデリンを含むアオバアリガタハネカクシ Paederus fuscipes Curtis
です。
体長 7 mm 特徴的なビビッドな配色なので
見たことある方もいるかと思います。


灯火採集で捕獲しました。
皮膚科医が実際に肌に擦りつけた時の炎症を
詳細に記載したあまりに体を張った専門書
「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」によると

以下引用
「体液に触れると半日程度で浮腫性紅斑が出現し始め、次第に後半が強くなって2〜3日後から膿疱を形成する。自覚症状としてヒリヒリとした灼熱感や疼痛を伴う。その後1~2週間で痂皮を形成し、2~4週間で色素沈着を残して治癒する。」
なかなか食べられなさそうですね。
食べてはいけない虫の情報は、食べて美味しい虫よりも
必須の情報です。ですが、残念ながら全く愛着がわかないのです。
食べる虫を撮影するために用意した照明やブース、カメラなど
こんな食えない虫のために使うのは苦痛です。
ですが、
やらないと昆虫食は決して普及しません。
やるしか無いのです。
美味しい昆虫並べてうまいうまい言ってるだけではイカンのです。
ということで今年中に
「アオカミキリモドキ」も攻めたいところですが。
見つかればいいのですが。ううむ。乗り気がしないなぁ。