カメムシ目(半翅目)は開拓の難しい分野です。
先ほど食べたマズい虫ヨコヅナサシガメがいるかとおもえば
毎年恒例で予約殺到の「セミ会」の主役のウマイ虫 ミンミンゼミやアブラゼミもいて
同じ目にいるからといって味がよいとは限らない、同定から初めないといけない種になります。
とあるサル研究者の方が、
「サルが食べる昆虫の中でアオバハゴロモが一番美味しい」と仰っていました。
アブラゼミほど大きくなると、成虫は固くて食べにくいのですが、
小型のハゴロモのような柔らかいものだったら美味しい可能性があります。
そんな中 Bothrogonia japonicaツマグロオオヨコバイを見つけました。
通称バナナ虫と呼ばれ、ちょっと小さいですが色もよく、
美味しそうです。
まとまって数匹いるので捕まえるのも簡単でした。
味見
茹でるとオレンジ色っぽくなった。
サクサクしていてとても美味しい。粒感のある脂肪体が心地よく、さわやかな香りもGOOD小さいセミの成虫と考えれば納得の旨味。すばらしい。
色が良いので料理にいろいろ利用できそう。
ツマグロオオヨコバイ。オススメです。
ちなみに
イネ科の大害虫(病気の媒介)のツマグロヨコバイとは異なる種ですので、
食べても害虫駆除にはなりません。
日: 2013年5月25日
味見;ヨコヅナサシガメ
繰り返しになりますが。
私は幼少の頃から昆虫食をしていたわけではないので、
食べたことのない昆虫を食べるのは普通の人と同様の抵抗感があります。
本日の抵抗感のある昆虫はこちら。
ヨコヅナサシガメAgriosphodrus dohrni
桜の木に多く生息し、おいしいモンクロシャチホコの幼虫の体液をちゅーちゅー吸っています。
なので私にとっては害虫です。また、近年の移入種であるそうなので
美味しければ心置きなく食べて駆除したいところです。
サシガメの名前の通り、口吻で刺されることがあるそうです。
刺されないように慎重にとって
茹でて試食。
強い苦味と青い柑橘のような香り。とてもケミカルな感じで他のどの昆虫とも似ていないマズさをもっている。食植性のカメムシとは全く違う香り。
体は柔らかく食感だけは良い。翅も気にならない。
ヨコヅナサシガメは本当にテンションが下がるマズさでした。
オススメしません。刺されることがあるそうなので扱いには注意して下さい。
味見てしまった・絶滅危惧種オオミノガ
記念すべき100記事目ですが
今回の記事は懺悔になります。
採集昆虫食をおすすめするかどうか、というポイントには
味や・毒の有無などがありますが
絶滅危惧種であるかも
考えるべき問題だと思っています。
我々は昆虫食を普及させたいと思ってはいますが、あくまで
70億人の食糧になりうるのは養殖した生物である、というのは明白ですので
このブログは「養殖すべき生態を持ち、かつ美味しい昆虫を見つける」ことが最終目的です。
そのため、現在のままの
採集昆虫食は昆虫の生態系を破壊するリスクを持っています。
全国にいるアマチュア昆虫研究者は、
よほど信頼出来る相手でないと
貴重な昆虫のスポットを教えないそうです。。
もし業者や心ない採集者がそのスポットを荒らしてしまったら
すぐに回復不可能になってしまうからです。
昆虫は種の多様性が高い分、我々が想像するよりずっと
多様な生物の相互作用によって生息しているので、
ヒトの些細な行動によって簡単に環境が変わってしまうのです。
さて、今回の懺悔は
オオミノガEumeta japonicaを食べてしまいました。二匹も。しかも美味しかったです。
(繭の形とサイズからオオミノガと同定したのですが、大丈夫でしょうか。)
オオミノガは近年、オオミノガヤドリバエが中国から移入してきたことから激減し、
絶滅危惧種に指定されている自治体もあります。
そのため採集昆虫食にはおすすめできないのです。
ミノムシとヒトとの関わりは古く、
丈夫なミノが身を守る、身を包む、ということから災いや事故から身を守り、幸せが身から逃げないといわれ、とても縁起のよいものだそうです。
また、ミノムシの繊維はクモの糸よりも強度が高く、天然の繊維としては最高だそうです。
そのため、
カイコの影には隠れていますが、日本でも冬に空になったミノを採集し利用してきました。
これは昨年、成田山のリサイクルショップで1000円(!)で購入したものです。
1マスが一匹のミノからできています。このバッグに使われたものは一ますが大きく、
立派なオオミノガが使われたことが類推されます。
今回食べたのは5月中旬の八王子での若虫会で採集されたもの。
左は幼虫(前蛹)、右はサナギと思われます。
味見
サナギ
!うまい!木の香りと鱗翅目の脂肪が一緒になった見事な一品。ヤママユガ科の美味しさに匹敵する。ミノガは繊維もとれて味も良い。
幼虫
ほぼ前蛹のためかとても美味しい。クワガタの幼虫のような木質系の香りと鱗翅目のねっとりとした脂肪体の味。外皮は弾力があるもののかみきりやすく、コリコリ固めのキクラゲのような食感。大ヒット。これはうまい
美味しく、繊維も使える素晴らしい採集昆虫ですが
残念ながら食用にはおすすめできない種です。