コンテンツへスキップ

ハキリアリーアリタケ式ゾンビ仮説

お久しぶりです。
ちょっと本業の発表があり、てんてこ舞いになっておりました。
更新を再開いたしましょう。
今回は全く昆虫食とは別の話。ゾンビに関する仮説です。
「ゾンビは野生動物や分解者に勝てない」
というネット記事がありました。
ヒトが死んで、それが動きまわるゾンビ
起源は違うらしいのですが
今回はこの記事にならって
「ゾンビ映画」のゾンビについて考えてみましょう。
1,生きたヒトがゾンビに噛まれることで感染する。
2,感染すると数時間で死ぬ
3,感染を死因とする死体のみが再び動き出す。(ゾンビ化)
4,血や内臓が失われてもそのまま動く
6,頭を破壊されると動かなくなる
こんなかんじでしょうか。
こうやって並べると、
病原体の目的が不可解です。
行動を操る寄生体は幾つか知られており、
水場に誘導するハリガネムシや
木の上にアリを誘導する菌類、
カタツムリに寄生してグルングルン動きながら行動を制御する
ロイコクロディリウムなどが有名です。
しかし、いずれも「寄主を生きたまま」動かしています。
寄生者は、寄主の生態に「タダ乗り」して
利益を得る生態をもつ生物です。
そのため、
寄主の行動を制御して利用するならば、
できるだけその寄主は「完品=生きたまま」
のほうが
好ましいはずです。
なぜ一度死んだものを利用するのでしょうか。
「死体でないと動きを乗っ取れない」
とすると
そもそも死体に感染すればいいのであり、
多大なコストと運動能力の差を乗り越えてまで、
新鮮な死体を作る必要性が感じられません。
「生きたヒトでないと感染できない」
ことがわかります。
整理しましょう。
1,新鮮なヒトにしか感染できない 寄生体と
2,死体しか動かせない 寄生体
以上二種類の寄生体が
共同していると考えてみましょう。
仮説を立てました。
「ハキリアリ-アリタケ式ゾンビ仮説」
ハキリアリは、ある種の葉を切り取り、
その葉にアリタケと呼ばれる菌類を栽培し、
アリタケのみを食べる、という恐るべき生態を持つ
社会性のアリです。
この利用方法は
ゾンビに適用出来るのではないでしょうか。
生きた人間(葉)にしか感染できないヒトタケ(アリタケ)と
ヒトタケが繁殖した死体にのみ巣を作り
それを動かすゾンビアリ(ハキリアリ)の関係です。
1,ゾンビが生きたヒトを咬むことでヒトタケが感染する。
  同時にゾンビアリの新女王が移動する。
2,ヒトタケの繁殖により、ヒトが死亡する。この時体内は繁殖した菌糸によって固定される
3,ゾンビアリ新女王がヒトタケをエサに繁殖を開始する
4,ゾンビアリの群れは死体の体内を掘り進み、「可動する蟻塚」へと改築する。
  本来の筋肉の代わりにアリ達が網のように構造を組み、筋肉様の働きを代替し動かす
 (ゾンビ蟻塚化)
5,ゾンビアリによって操られたゾンビ蟻塚は、ヒトタケのための新鮮な宿主=生きたヒト
  を求めて徘徊する。このゾンビ蟻塚は生きたヒトに接触する
  効率を上げる擬態効果がある。
6,次世代の女王はヒトの頭部で繁殖しているため、
  ゾンビ蟻塚の頭部を破壊した場合、ゾンビ化は広がらない。
いかがでしょうか。
ゾンビアリ→生きたヒトへのアクセス(擬態)の提供→ヒトタケ
ヒトタケ→菌糸を食糧として提供→ゾンビアリ
というヒトを介した共生といえるのではないでしょうか。
「筋肉様の動き」はグンタイアリが川を渡る際にアリ同士が組み合って 橋状の構造を作ることから、無理ではなさそうです。
また、ゾンビをヒトと見間違えるシーンは、
ゾンビ映画でよく見られるので、
一定の効果はある模様です。
ヒトタケの菌糸で鞣され、裏打ちされた強固な皮膚の内側は空洞となり、
筋肉役のアリ達がせっせと働いているのでしょう。
つまりゾンビは外骨格生物(?)なのです。
当然重くて役に立たない内臓や血液は放出したほうが良いでしょう。
ゾンビが内臓を垂れ流しているのは、
ゾンビアリ達が軽くて丈夫なゾンビ蟻塚を作った仕事の跡なのです。
おそらくゾンビの体重は驚くほど軽いと考えられます。
こう考えると、
新たな恐怖が見えてきます。
頭部を壊すとゾンビアリの次世代が死ぬので
ゾンビ蟻塚化は回避できるのですが、
ゾンビが動くことはゾンビアリの仕事。
感染はヒトタケの仕事なので
動かないゾンビからは感染しない、
とは言い切れないのです。
ヒトタケの性質を考えると、血液感染して数時間後に死に至る恐るべき病原体です。
そのため、頭部を破壊して動かなくなった(ゾンビアリの群れが崩壊した)ゾンビでも
そこに含まれるヒトタケの一部が傷口に侵入すると、
「急に死亡」することがあるのです。(ゾンビアリがいないため動くことはありません)
人体に侵入すると、
数時間で一気に感染が拡大する病原体。
恐ろしいですが、
潜伏期間が異常に短いので、
感染拡大は小規模で済みそうです。
するとやはり、
ヒトタケはゾンビアリとの共生関係を選ぶでしょう。
なるほど、
ヒトタケの潜伏期間が異常に短いことから、
せっかちにゾンビを動かし、新たな宿主を開拓する
ゾンビアリの存在が無くてはならないのでしょう。
すると新たな対処法がわかります。
「ゾンビの動きに殺虫剤が効く」
ぜひ
ゾンビに襲われた際には
お手持ちの殺虫剤をかけてみましょう。

5 thoughts on “ハキリアリーアリタケ式ゾンビ仮説

  1. 信州人(主に松本市)

    結論(笑)
    でも、最近のゾンビのトレンドって、理性を狂わせる狂犬病タイプじゃないですかね?(英映画『28日後』みたいな)そうなるとまた面倒な...(・・;)

    返信
  2. K.Hayashi

    ツイッターのリンクで見つけた記事ですが、最高です。
    この話でシナリオ作れますね。
    っていうか、このネタでサイエンス脱出ゲーム作ったらめちゃくちゃ楽しいと思います。

    返信

K.Hayashi へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。