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サクラの葉を食べている所を見つけました。
キバラモクメキリガXylena formosa終齢幼虫

今年のヒットアヤモクメキリガ幼虫に近縁なので味の良さが期待されます。
この幼虫に期待するのはもう一点。
「サクラの葉を食草とする点」にも注目。
昆虫食界隈では定番のサクラケムシことモンクロシャチホコ幼虫

体内にサクラの香り成分クマリンを貯めることで
旨味と桜餅のような香りをもつ大変美味しい昆虫でした。
ただ見ためが著しく悪い。これが唯一の欠点でした。
キバラモクメキリガは見た目も比較的良好(?)ですので
期待です。
味見
外皮にサクラの香りがあり噛みごたえもよいが、内部に若干の苦味があり気になってしまう。アヤモクメキリガは美味しかっただけに残念。サクラを食草とするからといってすべてが美味しいとは限らないと実感。
やはり天は二物を与えず。サクラ食草の美味しい昆虫の座はしばらくモンクロシャチホコのようです。

先輩から教えてもらいこんなものを発見。
なんと塩で昆虫を撃つショットガン!
名前は「BUG-A-SALT」(アサルト=強襲=ASSALTとかけている)
これを昆虫料理に応用すれば
下味と捕獲を同時に出来る!
と興奮致しました。
早速購入。二週間使ってみてのレビューです。

何事も思うようには行かないようです。

今日は6月4日
虫の日ということで、Twitterでは虫屋のみなさまが盛んに虫写真を投稿しており、
大変賑やかでした。
そんな虫の日の朝に羽化したナミアゲハ

なにか縁を感じますが。。
これにて
幼虫・サナギ・成虫と揃い踏み、
いずれも山椒の葉を食べているので、
「食草の香りは成長段階に応じてどのように変化するのか」という
食材として重要な情報が得られるかと思い、食べ比べてみました。
幼虫は昨日食べましたので
今日はサナギ

山椒の香りがやや残り、強めの木の香りが出てきた。一番美味しい。
外皮がちょっと口に残るが歯ごたえとして許容できそうな範囲。
続いて成虫
山椒の香りはほとんど残っていない。
サナギで感じられた木の香りがほとんどで、うまみがありかなり美味しい。
成虫はそのほとんどが翅なので、歩留まりが悪く
もったいないので、できればサナギで頂きたい所。
外皮が口に残る感じが嫌な場合は幼虫がベストでしょう。
柑橘の香り=幼虫>サナギ>成虫
木の香りと脂肪のうまみサナギ>成虫>幼虫
歩留まり=幼虫>サナギ>成虫
といったところ。
このあたりは微妙なので好みが分かれそうな所です。

昨日羽化しそうだったので
5分のインターバル撮影をセットしておいたところ
うまくいきました。
1minぐらいのほうが自然だったと思いますが
羽化開始が4時半ぐらいなので撮影枚数的に仕方なかったかと。
上の方が切れてしまったのも残念です。

1

アゲハチョウの幼虫は蜜柑の香りがして爽やか、
というのは以前食べた時に感じました。そのため
アゲハチョウはフン抜きをせずに消化管内容物を含んだままいただきます。
では 山椒の葉を食べたものはどうか。
ちょうど先輩の鉢植えの山椒にとりついたナミアゲハPapilio xuthus
成長に伴う食欲の増進に山椒はついていけず
幼虫たちが葉を食い尽くしてしまったので私に払い下げられたのでした。

若干小ぶりですが、おいしそうです。茹でて頂きます。
山椒のピリリとした香りが広がり大変美味しい。ミカンの葉を食べたものとは明らかに違う。
食草が味に影響する良い典型例。爽やかな香りが口に広がり、エグみもなく楽しめる。
ミカンの香りを楽しみたいときはミカンの葉を。
山椒の風味を活かしたい時は山椒の葉を。
アゲハの幼虫は調理法を見越した飼育ができそうです。

昨年、ホソヘリカメムシがアリに擬態していることから
擬態昆虫は「味」も擬態しているのか?
との疑問から比較してみました

結果は「擬態は味を反映しない」
アリはアリ、カメムシはカメムシの味でした。

では、昆虫以外のクモ類が擬態した場合はどうか。
ということでアリグモの一種を捕まえました。

アゴが大きく、腰がくびれてアリによく似ていますが
よく見るとハエトリグモの一種であることがわかります。

味見
やはり肉食の香り。魚に近い鰹だしのような香りがある。アリのようなクチクラの硬さもなく、ギ酸の好みの分かれそうな酸味もなく、カニにちかいクモであることを味からも教えてくれる。もうちょっとおおきいほうが食べごたえがあるが、クモ類のしっかりした味を感じた。

当然といえば当然ですが、
アリに似せた姿のアリグモは、味は似せられなかったようです。
比較のためアリを再び食べたのですが、やっぱり酸っぱいですね。

 

カメムシ目(半翅目)は開拓の難しい分野です。
先ほど食べたマズい虫ヨコヅナサシガメがいるかとおもえば
毎年恒例で予約殺到の「セミ会」の主役のウマイ虫 ミンミンゼミやアブラゼミもいて
同じ目にいるからといって味がよいとは限らない、同定から初めないといけない種になります。
とあるサル研究者の方が、
「サルが食べる昆虫の中でアオバハゴロモが一番美味しい」と仰っていました。
アブラゼミほど大きくなると、成虫は固くて食べにくいのですが、
小型のハゴロモのような柔らかいものだったら美味しい可能性があります。
そんな中 Bothrogonia japonicaツマグロオオヨコバイを見つけました。

通称バナナ虫と呼ばれ、ちょっと小さいですが色もよく、
美味しそうです。
まとまって数匹いるので捕まえるのも簡単でした。
味見
茹でるとオレンジ色っぽくなった。
サクサクしていてとても美味しい。粒感のある脂肪体が心地よく、さわやかな香りもGOOD小さいセミの成虫と考えれば納得の旨味。すばらしい。
色が良いので料理にいろいろ利用できそう。
ツマグロオオヨコバイ。オススメです。
ちなみに
イネ科の大害虫(病気の媒介)のツマグロヨコバイとは異なる種ですので、
食べても害虫駆除にはなりません。

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繰り返しになりますが。
私は幼少の頃から昆虫食をしていたわけではないので、
食べたことのない昆虫を食べるのは普通の人と同様の抵抗感があります。
本日の抵抗感のある昆虫はこちら。
ヨコヅナサシガメAgriosphodrus dohrni

桜の木に多く生息し、おいしいモンクロシャチホコの幼虫の体液をちゅーちゅー吸っています。
なので私にとっては害虫です。また、近年の移入種であるそうなので
美味しければ心置きなく食べて駆除したいところです。
サシガメの名前の通り、口吻で刺されることがあるそうです。
刺されないように慎重にとって
茹でて試食。
強い苦味と青い柑橘のような香り。とてもケミカルな感じで他のどの昆虫とも似ていないマズさをもっている。食植性のカメムシとは全く違う香り。
体は柔らかく食感だけは良い。翅も気にならない。
ヨコヅナサシガメは本当にテンションが下がるマズさでした。
オススメしません。刺されることがあるそうなので扱いには注意して下さい。

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記念すべき100記事目ですが
今回の記事は懺悔になります。

採集昆虫食をおすすめするかどうか、というポイントには
味や・毒の有無などがありますが
絶滅危惧種であるか
考えるべき問題だと思っています。

我々は昆虫食を普及させたいと思ってはいますが、あくまで
70億人の食糧になりうるのは養殖した生物である、というのは明白ですので
このブログは「養殖すべき生態を持ち、かつ美味しい昆虫を見つける」ことが最終目的です。

そのため、現在のままの
採集昆虫食は昆虫の生態系を破壊するリスクを持っています。

全国にいるアマチュア昆虫研究者は、
よほど信頼出来る相手でないと
貴重な昆虫のスポットを教えないそうです。。
もし業者や心ない採集者がそのスポットを荒らしてしまったら
すぐに回復不可能になってしまうからです。

昆虫は種の多様性が高い分、我々が想像するよりずっと
多様な生物の相互作用によって生息しているので、
ヒトの些細な行動によって簡単に環境が変わってしまうのです。

さて、今回の懺悔は
オオミノガEumeta japonicaを食べてしまいました。二匹も。しかも美味しかったです。
(繭の形とサイズからオオミノガと同定したのですが、大丈夫でしょうか。)

オオミノガは近年、オオミノガヤドリバエが中国から移入してきたことから激減し、
絶滅危惧種に指定されている自治体もあります。
そのため採集昆虫食にはおすすめできないのです。

ミノムシとヒトとの関わりは古く、
丈夫なミノが身を守る、身を包む、ということから災いや事故から身を守り、幸せが身から逃げないといわれ、とても縁起のよいものだそうです。
また、ミノムシの繊維はクモの糸よりも強度が高く、天然の繊維としては最高だそうです。

そのため、
カイコの影には隠れていますが、日本でも冬に空になったミノを採集し利用してきました。

これは昨年、成田山のリサイクルショップで1000円(!)で購入したものです。
1マスが一匹のミノからできています。このバッグに使われたものは一ますが大きく、
立派なオオミノガが使われたことが類推されます。

今回食べたのは5月中旬の八王子での若虫会で採集されたもの。

左は幼虫(前蛹)、右はサナギと思われます。

味見
サナギ
!うまい!木の香りと鱗翅目の脂肪が一緒になった見事な一品。ヤママユガ科の美味しさに匹敵する。ミノガは繊維もとれて味も良い。

幼虫
ほぼ前蛹のためかとても美味しい。クワガタの幼虫のような木質系の香りと鱗翅目のねっとりとした脂肪体の味。外皮は弾力があるもののかみきりやすく、コリコリ固めのキクラゲのような食感。大ヒット。これはうまい

美味しく、繊維も使える素晴らしい採集昆虫ですが
残念ながら食用にはおすすめできない種です。

 

昆虫食に挑戦するにあたって重大な情報
毒のある昆虫について
以前に赤ら顔の縦縞ストライプ。マメハンミョウ

メタリックケンプファーことツチハンミョウを紹介しました。
これらについては古くから毒薬として使われた文献があり、色々調べるうちに
「毒虫として誤解されたハンミョウ」
との記事が。つまり本家ハンミョウCicindela chinensisに毒がないことが証明されているっ!

これは食べなくてはいけないと思い、いつものように茹でてポン酢で食べてみた。
感想
さすがオサムシ亜目。美味しくない。
外皮はそこそこ硬く、内部からじわじわと苦味が出てくる。噛めば噛むほどうまみのない苦味が
口に広がるほど強くない様子でずっと続く。
ううむ まとめましょう
マメハンミョウ 食べられません
ツチハンミョウ 食べられません
ハンミョウ 食べてもマズい
結論
ハンミョウと名のつくものはオススメしない。