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今回は味見はありません。写真もありません。地味記事です。
5W1H という情報の整理法をつかって
養殖食用昆虫の研究の方向性を整理したいと思います。
まず5W1Hとは コトバンクより。


「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素をまとめた、情報伝達のポイントのこと。5W1Hに沿って整理し、5W1Hにあたる内容を相手に伝えるようにすると、情報をわかりやすく、もれなく伝達することができる。もとは新聞記事を書く際の原則だが、ビジネスの場面では報告書・メールの作成時や、口頭で状況を説明する際に応用される。5W1Hに「どのくらい(How much/How many)」を加えて、5W2Hとすることもある。


これを昆虫食に対して当てはめると
Who 人類全てが
Why 食糧の効率的増産のため
When 今でしょ
What 100万種いる昆虫の中から
Where 各地域で
How much 経済規模を考慮して
How 昆虫の養殖・調理法を開発する
となります。(2Hとなりました)
昆虫を利用するにあたって最もわかりやすい優位性は「多様性」です。
ヒトと同じ生息域・陸上において昆虫は多様に種分化し、進化したことから、
その優位性を利用するには、目的・地域に応じた昆虫種を選択し、
育種して養殖法を開発することが必要です。
昆虫を人為的に天敵から「隔離」することで、
ヒト用の生物資源としての昆虫を確保することが将来の養殖昆虫の基本的な形となるでしょう。
ですが今のところ
「昆虫種の選択にあたって検討すべき項目」すらまとまっていない状態といえます。
養殖法が分かっているものは数十種類程度で、
カイコ・ハチなどの特殊な機能を利用する家畜昆虫や
ただ小規模に飼いやすく・安いエサで短期間によく増えるペット用生き餌などがほとんどです。
そのようなたった数十種類の中でのみ「養殖昆虫食」の論文が出されているのが現状です。
(アリを養殖してみようとしたら体重が増えなかったテヘ というお粗末な論文もあります)
残りは世界の採集昆虫を養殖法を確立せずに栄養だけ比較したものがみられます。
文化的に食べられている採集昆虫だけでも1900種あるので、候補としては有望ですが、
100万種とも言われる昆虫の種多様性を活かしているとは必ずしも言い切れません。
数十種の極めて狭い範囲の昆虫ををムリヤリ全世界に適応させると
今まで人類がやってきた家畜哺乳類(14種類)を全世界に輸出し、
森を切り開き在来生物を駆逐し、
低効率な食料生産と土地の劣化を招いた悲劇と同じ轍を踏むことになってしまうでしょう。
ということで
ある人が◯◯な食料生産をしたい
という課題に対して
この昆虫を(あるいは別の生物を)
この場所で
このように生産すべし、というガイドラインを設けること。
が食用昆虫の学問的なゴールになると思われます。
ですが、
今のところ膨大な昆虫学の知見をどうピックアップするのか
昆虫学者とどう連携を取っていくのか(飼育法の確立だけでは論文にならない)
食用昆虫の学会を作る事も含め
やっていかねばならないと思います。
道のりは遠いですし
若干早まったのかな(笑)という焦りもありますが
「あ〜イナゴなら食うよね」という日本の素晴らしい昆虫食文化が薄〜く残っているうちに
将来性を提示できるよう、しばらく頑張ってみようと思います。

サクラケムシを採っていたら、足元にアリジゴクがあるのを見つけました。
サクラケムシのような大型の鱗翅目ですら、アリジゴクの餌食になるようです。
掘り出してみるとあの幼虫が。
ウスバカゲロウ Baliga micans

以前に成虫を食べていました。
アリジゴクの唾液にはテトロドトキシンの130倍の毒が含まれているとのこと。
これは共生細菌エンテロバクター・アエロジーンズが唾液中に生産するタンパク性の毒。
ま 捕食用ですし微量なのでそんなに気にする程ではないと思いますが。
タンパク質の毒なので、必ず加熱して失活させておきましょう。
茹でて味見
けっこう苦味がある。テントウムシのような青臭さは全くなく、外皮も柔らかい。
うまみが全く感じられず内部は液状。おすすめの味ではない。
運動性も低く、ぷっくりとしていて美味しそうだったのですが
あまりおすすめできる味ではありませんでした。昔から好きな虫なので、
美味しくないことがわかったのでそっとしておきましょう。

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二回連続で美味しくない昆虫だったので
今回は美味しい虫の話。

サクラケムシ(モンクロシャチホコ幼虫)は以前にも紹介しました
見た目は悲しいぐらいに悪いのですが、味が抜群に良いので初心者の方にもオススメの昆虫です。
茹でて冷凍しておくといつでも手軽に昆虫料理を楽しむことができます。
桜の香りがして歯ごたえもよく、プリっとした食感が最高です。
揚げても香りが残るので、味が均一になりがちな昆虫のかき揚げにも
参加させたい名具材といえるでしょう。

見た目はケムシですが毒はなく、今の時期にソメイヨシノなどの桜の木を丸裸にして
土中で蛹化するためにぞろぞろと降りてくるのです。

とてもカワイイですね(棒)

今回はどうやら時間帯があるらしいとの報告です。

12時から13時にかけて、10本のソメイヨシノをローテーションして
捕まえた所、40分採集で295g捕獲出来ました。

また、ホットな木というのがある程度決まっており、
今回は池に近い二本の木から
頻繁にサクラケムシが降りてきていました。
そこから少し離れたところでは、若齢の赤い幼虫がみられ、

樹ごとに成長には若干のタイムラグがあることが伺えます。
周りにはフンが落ちていました。 サクラケムシがいるかどうかはこのフンを見ることで判断できます。慣れてくると葉が食べられている木からは桜餅の香り
(クマリン)が匂ってくるので、手軽に判断できるようになります。
昼13時ごろまでは良く降りてきたのですが、
午後3時以降から夜にかけて、 朝7時前後はほとんど降りてこないことがわかりました。
実態を知るためには定量しなくてはいけませんが、傾向としては暖かい午前中に
降りるようです。

ここから、「9月第一週はサクラケムシ会(ランチ形式)」
という 新たな野外昆虫会が開催できるでしょう。来年ぜひやってみたいですね。

あ、申し遅れました。
今回の上の動画はこの音楽に合わせてお聞き下さい。 懐かしいですね。
サクラケムシが降りてくる  詞 むしくろとわ

サクラケムシが降りてくる
お腹を空かせて降りてくる(蛹化前の消化管内容物の排出)
あいつらはグルメじゃない(単食性)
サクラをペロリ(桜の葉を食害)

サクラケムシが降りてくる
日中主に降りてくる(捕獲は日中がオススメ)
クマリンの匂いする(桜の香りの化合物)
辺りにフン!フン!フン!(フンが目印)

「ポケモン言えるかな?」ぐらい流行すれば
昆虫食の普及ももうすぐだと思います。

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テントウムシはカブトムシと並んで日本人に親しまれている虫です。
英語圏ではLadybugとも呼ばれ、子供用のデザインとしても人気ですね。
ただ、「苦い」らしいのです。
テントウムシをいじったときに脚の節から出る黄色い汁が。

ナナホシテントウ Coccinella septempunctata
言わずと知れた 超有名昆虫です。
いろんな昆虫図鑑で見ます「テントウムシは苦い」
そして具体的な毒物ではなさそうです。
ただ、今まで実際に食べたことはありませんでした。
確かめてみようか、どうしようか逡巡していたところ、
こんな話を思い出しました。
ソムリエの専門学校では、未成年の生徒が
テイスティングする際は口にふくむだけで飲まないそうです。
つまり、飲み込まなくてもテイスティングできるのです。これはおそらく昆虫も同じでしょう。
カンタリジンやペデリンのような粘膜に水疱をつくるような炎症性の高い成分ではダメですが
テントウムシだったらイケるかもしれません。挑戦してみましょう。
味見;苦いという噂だったが本当に苦い。青菜系の強い青臭い香りがあり、苦味はゴーヤ系。野菜の苦味に近いと思う。
…やはり苦かったです。小柄なのにしっかり苦味がありました。
ですが、ヨコヅナサシガメハンミョウと同じぐらいですね。危険は感じませんでした(鈍感)
やはりテイスティングしてよかったです。
食べた後 新たな疑問が湧きました。
「ナナホシテントウは肉食」なのです。
つまり
あの青菜のような強烈な香りや苦味はもしかしたら
テントウムシのエサ、アブラムシの
味を濃縮したものなのかもしれないのです。
そう考えると、アブラムシはもっと食べやすい
青菜の味があるのかもしれません。
小さくて食べていなかったのですが、もしかしたら…
集合している所があれば集めて食べてみようと思います。

今回も美味しくない(かどうか確かめてはいけない)むしの話です。
味を見てはいけない虫として、
体内に強力な毒を持っている虫が挙げられます
今までに 体内にカンタリジンを含む
マメハンミョウ
ツチハンミョウ
を紹介しました。
今回はペデリンを含むアオバアリガタハネカクシ Paederus fuscipes Curtis
です。
体長 7 mm 特徴的なビビッドな配色なので
見たことある方もいるかと思います。


灯火採集で捕獲しました。
皮膚科医が実際に肌に擦りつけた時の炎症を
詳細に記載したあまりに体を張った専門書
「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」によると

以下引用
「体液に触れると半日程度で浮腫性紅斑が出現し始め、次第に後半が強くなって2〜3日後から膿疱を形成する。自覚症状としてヒリヒリとした灼熱感や疼痛を伴う。その後1~2週間で痂皮を形成し、2~4週間で色素沈着を残して治癒する。」
なかなか食べられなさそうですね。
食べてはいけない虫の情報は、食べて美味しい虫よりも
必須の情報です。ですが、残念ながら全く愛着がわかないのです。
食べる虫を撮影するために用意した照明やブース、カメラなど
こんな食えない虫のために使うのは苦痛です。
ですが、
やらないと昆虫食は決して普及しません。
やるしか無いのです。
美味しい昆虫並べてうまいうまい言ってるだけではイカンのです。
ということで今年中に
「アオカミキリモドキ」も攻めたいところですが。
見つかればいいのですが。ううむ。乗り気がしないなぁ。

1

今回は長めです。書き貯めていて放置していたのですが
これを機にまとめようと思います。
エリサン  Samia cynthia ricini

エリサンは日本にも分布する「シンジュサンSamia cynthia pryeri」を
原種として、インドで家畜化されました。野生には分布しません。
絹用のカイコ=家蚕と対比して「野蚕」の一種とされます。
大型で病気にも強く、飼いやすいだけでなく
カイコよりはるかに美味いので、是非飼育してほしい家畜動物です。
シンジュサンはコチラ。

エリサンの方が色が白く、シンジュサンのようなパステルカラーの配色や
トゲの先のこんぺいとう状の白い粉もありません。
シンジュサンは年2化し、秋に越冬蛹を作るのですが、
熱帯から亜熱帯で飼育されてきたエリサンは休眠しない、
という地理的変異を示します。
そのためエリサン飼育は冬も暖めながら継代しなくてはいけません。
また、成虫は飛べないので、
日本では野外に出してもすぐに死んでしまうでしょう。
ただ、シンジュサンとの雑種を作ることができるので、
脱走しない、シンジュサンが侵入しない屋内での飼育が望ましいです。
エリサンはシンジュ・ヒマ・キャッサバ・クスノキなどの数多くの食草を食べます。
カイコより大型になり、終齢は大量に食べるので、近所に採集可能な木があることが必須です。
今回はシンジュを使いました。
シンジュは別名ニワウルシと言われますがウルシとは無関係です
朴葉や肉ちまきの笹のように肉と相性が良い
食欲をそそる蒸れた香りがあり、エリサンにもその香りが生きています。
タンパクながら肉のようなコクとうまみが感じられる見事な食用昆虫です。
ちなみに、シンジュは成長が早いので、もしエリサンを飼いたい場合は
今のうちから庭に植えておくと数年で養殖可能になると思われます。
今回は 5月16日に卵をいただき
比較のためシンジュとクスノキでしばらく育ててみました。
クスノキは樟脳の原料として知られ、「防虫剤臭い」ことでよく知られています。
こんな化合物です(wikiより)

防虫効果のため、クスノキを食害する昆虫は多くありません
有名なものだとアオスジアゲハぐらいでしょうか。
写真の3〜4齢幼虫はこの後爆発的な食欲をみせるので、

間引きをし、食べ比べてみました。(6月12日)
エリサン幼虫(シンジュ)
シンジュの味があり、小松菜の雰囲気。シンジュサンとほぼ同じ味。
茹でるとシンジュの粒感が残るので、消化管内容物を取り出すのがおすすめ。揚げるとそっけない味で風味が飛んでしまう。

エリサン幼虫(クスノキ)
まったく楠の樟脳の匂い。美味しく食べられない。味も苦味があり、食用にしたくない。
消化管内容物を除いてもクスノキ臭さは残ってしまう。樟脳が脂溶性で体内に拡散してしまっているからかと。
4/5ほど間引いた後、シンジュで前蛹まで育てました。クスノキで育てるのはもうめげました。
美味しくない昆虫を育てるのはストレスです
味見 5齢(終齢)
エビガラスズメと同様に外皮が大変硬い。内部の未消化物も茹でただけでは味が強く、
不味くはないが美味しい段階ではない。
前蛹
さすがの美味しさ。甘みと旨味の丁度良い塩梅。外皮も弾力が減り歯切れよい。
しかしワンダリング時はタイミングが早すぎるようだ。
ヤママユガ科特有のジグザグに発達した絹糸腺がゴムのように口に残ってしまう

ので繭形成後、サナギ脱皮の前がオススメ。
重さ比較
4齢、5齢(終齢)前蛹 蛹をそれぞれ一個体ずつ体重測定しました。

一番大きく取れるのは終齢(7.6g)ですが、先ほど味見したようにあまり美味しくありません。
また、蛹よりも前蛹の方が外皮の食感や味を含め私の好みなので、
「繭形成後、蛹脱皮前」というわずか数日が収穫期として最適と思われます。
一巡目(6月21日前蛹+蛹178g 繭29g収穫)は
時期を逃して蛹を多く収穫してしまったのですが
二巡目はうまく収穫できたと思います。
今回のように
美味しい段階を選ぶと、必然的に繭もついてきます。そのため繭の利用も考えましょう。
飼育されている地域では、エリサンの利用は食用がメインではなく繊維として利用されます。蛹は副産物です。
カイコの生糸と異なり、一本の糸にばらすこと=糸繰りはできないので
綿花のように短い糸をより合わせて=紡績して糸を取り出します。
この繭、せっかく採れたのでなんか工芸品にしたいと思っています、また後日ご報告します。
フン茶
カイコのフン茶によく似ているが香りがやや良いかと。
少しクセのあるプーアル茶の香り。中国茶系で好き嫌いがありそう。
やっぱりバッタ茶が親しみやすい最高の味だなぁ。
料理開発
エリサングラタン
エリサンカレー
エリサンと秋の虫パエリア
9月8日現在、二周目の飼育が終わり、
成虫が卵を生んでいます。三周目は冬にかかってくるので
残念ながら常緑樹クスノキを与えての継代になってしまうかも。
匂いを消す方法があれば探しておきます。
エリサンの有望な点として、毒植物の解毒(分離)が挙げられます。
現地では「キャッサバ」をエサとして飼育しているようです。
キャッサバはタピオカ澱粉の原料として日本では有名なイモで、
毒を含み成長が早いことから農薬要らずで熱帯地域で多く栽培されています。
2002年の生産量は全世界の生産量は1億8000万トンと、イモ類ではじゃがいもに次いで二位と
実はすごいイモなんです。
キャッサバから澱粉を取る場合は、何度も水に晒すなどの「毒抜き処理」が必要になります。
当然エリサンも葉に含まれる毒に耐えながら育つのですが、体内へ取り込むことはなさそうです。その時、消化管には毒の葉が詰まっているので、幼虫は食べられないのですが
鱗翅目の前蛹と蛹は消化管内容物を排出して、腸内を空っぽにするので、
その際に毒性分の分離が完了しているようです。
こうして、エリサンの前蛹と蛹が
タイの養殖エリサンがトムヤムクン味の缶詰として売られていました。

パッケージデザインがモダンです。
こう考えると
「有毒植物と解毒」は将来の農業を考える上で
実は重要なキーワードではないかと思われます。
ナス科の作物は植物体に毒を持つことが知られています。
特にじゃがいもは近年の育種によって毒のない種がつくられましたが
原産地南米ではイモにも毒のある種を未だに利用しています。
寒暖の差を利用して凍結解凍を繰り返し、水溶性の毒性分を追い出すことで
乾燥芋「チューニョ」を得るのです。
「どこに毒があり、どうすれば消せるのか」
という情報は、虫の食害や病気を防ぐ上で重要でしょう。
虫と作物が共存する上でも毒成分による「住み分け 食べ分け」をすることで
コントロールできるのでは、と考えられます。
生物由来の毒の良い点は、
必ず分解者がセットで存在する点です。
肝臓で分解するヒトも優秀な分解者といえるでしょう。
ヒトが使う毒として殺虫剤や抗生物質が挙げられますが、
これらの自然界に殆ど分布しない物質の大量使用はその分解者もマレなため、残留が問題になっています。太陽の紫外線は強力な分解者ですが土中に残留したものは微生物などの生物的分解者に頼る必要があるでしょう。
そう考えるとbt毒素は生分解性、という意味では有用な毒といえます。
遺伝子組み換えの是非とは別に「生物毒の有効利用」という観点でも、未来の農業を考える必要が有ると思われます。

その中で、昆虫の有効な使い方も更に見えてくることでしょう。

ミツカドコオロギ Loxoblemmus doenitzi
♀は普通のコオロギ型なのですが、オスだけ
すごくわかりにくい頭部をしています。オス同士の喧嘩のためといわれているそうです。

三面撮影してようやく形が見えてきました。
地面に接する部分が顔の正面で、柔道着の上を広げたような形です。
歩くときにその面を下にすると、触角と目が前を向きます。
頭突きなどのケンカに有効なのでしょう。むむむ。
とはいえ、こんなオスがモテてきたことをかんがえると
ミツカドコオロギの♀は面食いではなく実力主義なのでしょう。
生殖と進化の関係はまた難解ですね。
さて
味見
柔らかく、爽やかな草の香り。コオロギよりもキリギリス系に近い味わい。オスのためか脂質系のコクはなく、なめらかなタンパク系の味。やはりコオロギ系は食べやすい。

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東京オリンピックが決定したとのこと。
いろいろ思うことはありますが
「高度経済成長期とは事情が違うよね?事情が違うのにそのままゴリ推したから国債まみれなんじゃないの?」
という疑問と議論の場が、ようやく形成されてきたのに
オリンピックの浮かれ気分で吹き飛ばされそうな気配が。
ヒトは誰しもお祭りが好きですが、憂き世の憂さを晴らす方法が具体的な改革ではなく
気分的な祭りでしかできないとなると2020年までにすべき現実的な問題への対応が
有耶無耶になる気がします。
まぁともかく、
今できることをやりましょう 味見ですね。
コフキコガネ Melolontha japonica

日本のコガネムシの中では大型で、くし形の触角も見栄えがよく、渋い昆虫。
やっぱり幼少期にはわからない渋さですね。当時は見向きもしませんでした。
成虫は樹液ではなくクヌギの葉を食べるとのこと。灯火によく来る虫です。
起きてきました。

上翅の半透明な感じが好きです。
味見
大きいのに意外と柔らかい。味は甘めだが土臭さが残っておりやはり揚げのほうが合いそう。粉吹きだけれど粉っぽさは殆ど感じられなかった。

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エゾゼミ Lyristes japonicus
茨城平野部では見かけないので、青森に先輩が帰省した際に採ってきていただきました。

模様がとりわけ美しいです。前胸背板のフチドリがアイヌの文様デザインを思い起こさせます。
北海道以外にも生息するセミですが、「蝦夷」の雰囲気が出ていますね。
味見 苦味が強い。香ばしさがあるがうまみがあまり感じられない。
クマゼミと近縁とのことだが、味はヒグラシのほうがより近い。「セミの苦味」と調理は
今後の対策事項になりうると思う。
セミといえば、
高村光太郎が「蝉の美と造形」という随筆を残しています。
引用
彫刻家はセミのようなものを作っているのでなくて、セミに因る造型美を彫刻しているのだからである。それ故にこそ彫刻家はセミの形態について厳格な科学的研究を遂げ、その形成の原理を十分にのみこんでいなければならないのである。
うむ
どんなアウトプットをするにも科学的研究・昆虫学は基本中の基本。
しっかり探求したいです。
そして、ただ知識や経験を貯めこむマニアになるだけではなく、
必ずアウトプットする、という最終目的をきちんと忘れないようにしたいものです。
アウトプットの手法は論文・書籍・このようなブログや芸術など
多岐にわたりますが、手法が違えば見方も変わります。
同じ昆虫を違う分野の人達が見比べ、楽しく、有意義な情報交換をしたいですね。

以前鳴く虫を4種食べ比べましたが
今回も引き続き鳴く虫を食べ比べましょう。
キリギリス Gampsocleis buergeri もしくは Gampsocleis mikado

兵庫で捕まえたので、「ニシキリギリスか!」と思ったのですが
分布では岡山以西だそうで。。。また
その分類についても個体変異が大きそうで昨年、識別点検討の報告が出されています。(pdf
直翅目の分類は難解そうです。。。
今まで「キリギリス科は茹でても赤くならず バッタ科は赤くなる」
と思っていました。
残念。

見事に真っ赤です。
生細胞茶色の色素にタンパク質・カロテノイド系色素の複合体が含まれているのでは、
と思っているのですが。直翅目の色素にもまだまだわからないことは多そうです。
味見 肉質の濃い味。少し苦味があるが煮干しのようにうまみにつながる良い苦味。ぎっちりと身が詰まっていて美味しい。
大型のキリギリスはとても食べごたえがありました。
大型の直翅目 キリギリス科としてもう一種
クツワムシ Mecopoda nipponensis


ガッチャガッチャとびっくりするぐらい大きな音をたてて求愛しています。
味見
クツワムシ茶
美味い。エビ系の香りと穀物のコクがあり、甘みが広がる。茹でてから塩を振りしばらく放置すると
エビのいい香りがする。自家融解と関係があるかも。
クツワムシ緑
茶色よりエビ系の香りが穏やかな気がする…?再現性がとれないので要検討。
エビの香りが酸化したカロテノイド系色素由来だったりすると尚うれしい
また、今回のキリギリスやクツワムシは夜行性で
草丈の高い草むらに潜んでいます。
大きな音を立てるので近づくことは出来るのですが
ヒトに気づいてしまうと草むらの中にポロっと落ち込んでしまうので、
捕獲は結構大変です。
そんな中、昆虫は一般的に「赤い光が見えにくい」ことが知られています。
行動と光の関係を見ても、視細胞の電気的応答を見ても、視物質の反応性を見ても
他の色に比べ、赤い光への応答が小さいのです。
(コレが本当に赤い光が見えていない、という直接的な証拠ではないですが。)
ということで、今回の捕獲にはこのヘッドライトを使いました。

明るいホワイトのヘッドライトの他に、
青・赤・緑の小さいLEDが付いています。
小LEDは周囲を照らすほど明るさは強くありませんが、
1m以内に近づく際には白LEDから赤LEDに変えると、
全く見えていないようで捕獲が簡単になりました。
他の虫にも試してみたのですが、
アブラゼミは背中を指でギュッと押すまで気づかないようでした。
この先赤色LEDのもっと明るいヘッドライトが出れば、
走光性のない夜行性昆虫の採集に使えると思います。
星空観察にも使えそうですね。どこかで商品化しないでしょうか。