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バガボンドでバッタ登場

先週発売のモーニング収録
「バガボンド」第308話 蝗
宮本武蔵が滞在している小さな集落
武蔵と行動を共にする男子、伊織に対し、
伊織の父の友人は幼少時のイナゴの襲来をこう語る。
「たかが虫ケラが 数が集まるとなんであんな風に狂っちまうんだろうな」
「ガキの頃見たーーーアレは顔つきまで違ってた
「こう どす黒いスジが隈取みてえに浮き出て目は吊り上がり
体の方も赤黒くでかくなってやがったな」
「悪そうなツラしてた。虫のくせによ。」
回想ーーーーーー群飛するイナゴ
「いてっ」
親指に噛み付くイナゴ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
このイナゴ・バッタの名称は実は日本語の誤訳と言われています。
バッタ Grasshpper は全般的に草地をピョンピョンはねるもの。バッタ全部
バッタ Locust   は群集になると
体や行動の変化が起こる「相変異」を起こす種の総称を
いいます。
Locustの代表的な種として
サバクトビバッタ、トノサマバッタがいます。
一度相変異を起こすと大発生と移動を繰り返し、深刻な被害をもたらします。
旧約聖書の7つの災厄で登場する「イナゴ」も、Locustを指す言葉です。
一方で、
日本はイネから発生する昆虫を総称して「稲子=イナゴ」と
呼んできました。なので、イナゴの大発生は現在の我々が見ている
イナゴ(主にコバネイナゴ)と、トノサマバッタの大発生を両方を
指していると考えられます。
そのため、
「イナゴ」と言っているおっさんは決して間違っていないのです。
おっさんの証言、
1,群れで飛んで移動すること
2,赤黒く色が変化すること
3,田畑の作物を食い尽くすこと
から、
ほとんど飛ぶことのないコバネイナゴではなく、
トノサマバッタと考えられるのです。
さて、バガボンドの絵を見てみましょう。
表紙
残念ながら相変異を起こさない種、コバネイナゴです。
遠景
ハネが長く、長期間飛んで移動し、群れる性質、
シルエットから、トノサマバッタと思われます。
アップ
指を齧るシーン
残念ながらコバネイナゴです。
なんだかんだと文句を言っても仕方ないので
「パッチ」を作ってみました。
井上雄彦先生のように
クソ上手いマンガが書けるはずもないので
実写で再現します。
※パッチ
一部分を更新してバグ修正や機能変更を行なうためのデータのこと。
本来はプログラム用語のようですが、。。
11P 表紙
コバネイナゴが日本刀の柄に乗っているシーン
これを群生相化したトノサマバッタに差し替えます。

続いて
22p イナゴに幼少の伊織父友人が噛まれるシーン

群飛のシーンはトノサマバッタに見えるので、
(おそらくLocustの大発生の写真をモチーフにされたのだと思います)
そのまま御覧ください。
これでこの話における
「イナゴ=トノサマバッタ」のリアリティが
感じられるのでは、と思います。
環境の変化に応答して、「人(バッタ)が変わったようになる」
相変異を示す生物として
物語上重要な役割を果たせたのではないでしょうか。
余談ですが
大発生したLocustが「噛み付く」かは定かではありませんが、
基本的にバッタ類は噛み付く攻撃をしません。
サトウキビの固い葉などもサクサクと食べられるほど
強靭なアゴを持ちますが、
どんなに触ってもヒトに噛み付いた現場は見たことがありません。
「食べる行動」と、攻撃としての
「噛み付き行動」は別物のような気がしています。
逆の例だとクワガタは樹液食で、
食べるためには噛み付く必要はなく、
もっぱら攻撃のためだけにかみつきます。
さて、
話をバッターイナゴ問題に戻します。
Locustとイナゴの誤訳問題がなければ、
あの表紙が井上雄彦氏直筆の
トノサマバッタになったかもしれないのです。
見たい。

ぜひ見たいです。
単行本出版までに
書きなおして欲しい、と
メールをするか
大変迷っています。
この写真を作ったのも
コレを見て書きなおしてくれたら。。
などというよからぬ妄想が
暴走した結果でもあります。
またメールを出す勇気が
出ましたらご報告差し上げます。

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