コンテンツへスキップ

さて新年そうそう、ふしぎなイモムシが村の借家のマンゴーの木にいたのです。

マンゴーはウルシ科で毒性もあるらしく、なかなか食べる虫をみかけません。以前に食べたマンゴーイナズマは典型ですが、そうでないイモムシは初めて。そこそこの大きさで、とにかく背びれがかわいい。怪獣の子供のようだ。

そしてTwitterのカオヤイさんに教えてもらいました。モリノオナガシジミ。Cheritra freja 和名もかわいいなと。尾長の名前の由来は成虫とのことだったので、前蛹と蛹を味見したあと、一頭は成虫になるまで待ってみることに。

味見 前蛹 渋みがあり、旨味やコクが感じられない。苦味はないので食べられる味だが美味しくはない。 サナギ カリッとした食感は良いが、やはりうっすらと渋みがあり味も薄い。

うーん。味わいは今ひとつだったんですが、姿はやはり美しい、そして独特。

そしてついに今日、羽化したのです。ピロピロを見よ。

とにかくかわいい。なぜか茂木健一郎さんにリツイートされました。だれもが気軽に虫をRTできるようになるといいですね。

さて12月の帰国はこちらが本丸。交通費を出していただけたので、一時帰国して昆虫食の話をしてきました。第34回さんわかセミナー 

「タンパク質危機に挑む ~代替タンパク質の未来~」

とのことです。日本農芸化学会の産学官連携若手セミナー、さんわかセミナー。代替タンパク質としての昆虫の話。

代替タンパクの総論を、三井物産戦略研究所 の方がやってくれましたし、培養肉、藻類の有名な方がいらっしゃるので、昆虫食のほうは立派な「イロモノ」としてのびのびとやって来ようとおもいました。会場の反応も良好で、良いスパイスになれたかと思います。

おおまかなスライドを公開しておきます。(大事なデータは会場限定です。)

日本の昆虫食のデスバレー。多くのベンチャー企業が直面しますが、昆虫食は偏見が厳しいので状況は悪い。けれども頑張っている人がいるので徐々に変わりつつあります。

では「偏見があるかぎり昆虫食ではなにもできない」ではなくて、昆虫食文化のあるラオスで今すぐできることがしたい。せっかちなもので。

フードセキュリティはよく聞くけれども、その反対語であるフードインセキュリティって皆さん知りませんでした。ここをおさえたいのが理論編。

フードセキュリティを高めるポテンシャルは昆虫食も十分にもってます。

じゃあフードインセキュリティはどうか。「緑の革命」の成果物である農薬と高効率な種苗がまだ届いていないラオスにおいて、最新技術と効率化はいつになったら届くのか。それまで栄養不良にさらされなくてはいけないのか。

この事実を知ったときにわたしのあたまをよぎったのは以下の図。「昆虫を食べる地域ほど栄養状態が悪い」という疑似相関だったとしても寝覚めの悪い悪夢でした。

いまの活動は地域保健活動における潜在資源へのアクセス向上、という役割を担っています。潜在資源で先進国が技術を持たない昆虫について、ラオス発の技術を開発していくことが、途上国が他の国と渡り合える技術立国になる道として王道ではないでしょうか。

整ったインフラが前提となる「効率化技術」に比べると、インフラがないゆえに栄養不良にさらされている人たちにその技術が届くのは当分先になってしまいます。

じゃあ「最貧困層でも養殖できる」手軽さを持つ昆虫がソーシャルビジネスとしてスタートしたとき、2050年に昆虫を食べる人たちが、中間層になるのです。つまり大きなビジネスチャンス。

いまのところNGOの活動の枠組みですが、育てた昆虫を売る先は先進国のほうがいいです。高価格で買ってくれるので。品質を管理して、輸出して、ラオスに外貨をもたらす産業になってほしい、という意図でこちらに登壇してきました。お待ちしています!

会場で食べたもらったのは開発中のバッタ生キャラメル。おおむね好評でした。製品化は間近か!

最後、じかんがなくて表示できなかったんですが、セミナーの内容をみて寄付したくなったらこちらにどうぞ! 助成金獲得に割かれる様々な事務手続きを楽にしてくれる寄付は、かなり活動にとってありがたい存在です。よろしくおねがいします。

培養肉も藻類も、真面目に多くの研究者が参加していて、さまざまな裏話も聞けました。また「一般に向けて」どのようにアプローチしていくか、見慣れない食材としてどうやってアクションを起こしていくか、という話も盛り上がりました。昆虫食を日本でどう位置づけるか、ラオスでどう位置づけるか。

どうしてもラオスに滞在するとラオス的価値観になっていくので、いったん日本的価値観を再インストールして、バランスをチューニングしていこうと思います。

11月16日、17日に、毎年恒例のサイエンスアゴラ2019に出展してきました。今年からはISAPHとの共同事業体としてラオス事業を進めていきますので、今後の発展を願って、日本での研究会の活動とのコラボを強めていきます。ひとまずこの動画を御覧ください。雰囲気が伝わるかと思います。

ラオスで15年以上活動する保健のNGOである、ISAPHの事業の一つに、「本邦研修」というものがあります。これはラオスの協力者である保健人材を日本に招待し、保健医療の研修をうけてもらうものです。今回はそこに追加の助成金を応募して旅費を捻出し、東京のサイエンスアゴラまでご足労を願いました。なぜ呼んだかというと

「食の未来を日本人だけで相談することのナンセンス」を明らかにしたかったからです。どうしても日本人同士で昆虫食について話すと様々ある問題点や課題をすっとばして「心理的なハードル」に集中しがちです。

日本はこれから人口が減少し、アフリカとアジアの人口が増加します。

そしていますぐ、温室効果ガスをゼロにしたとしても、今後数十年間は温暖化が進むと予想されています。つまり。

「昆虫を食べる地域(熱帯や亜熱帯)の気候帯が広がる」

「昆虫を食べる地域(熱帯や亜熱帯)の人口が増える」

ということなのです。奇しくも伝統食材として、昆虫食が残っている日本が、「なんだか昆虫食へのイメージが良くない」ということで、将来性にフタをしたり、他の食材に比べて開発が遅れていることを理由に、採用を後回しにする、といった「遅れの再生産」を起こすことは、世界全体の損失となってしまうでしょう。

つまり、「昆虫食の伸びしろを確認すること」を目的とした研究は、偏見を手放して「公平に」やるべきなのです。本当は公的研究機関がやるべきところですが。

批判はさておき、今回は、わたしたちができうる限りの「昆虫食の未来を議論するに適したメンバー」を揃えた形になります。この5角形はサイエンスアゴラの理念を示すものですが、「アゴラ」という開かれた議論の場において、

研究会は科学者と事業者としての側面、

試食提供を支援いただいた昆虫食普及ネットワーク、株式会社TAKEOは事業者、市民として。

このとき通りかかって試食をしたり、聞いてくれた方々は市民、メディアとして、

そして今回ゲストであるラオス行政の公務員と、そこで一緒に働くNGOとしてのISAPH事務局長の佐藤さんも参加いただきました。

印象的な発言をピックアップしておきます。

「一番おいしい昆虫はなんですか」(こういうのをよく聞くのですが)

に対してラオス人医師は「昆虫にはそれぞれおいしさと食べ方があるからそんなのわからないよ」との答え。「一番美味しい脊椎動物は?」と聞かれて答えにくいようなものでしょう。豚の角煮と親子丼、ビーフステーキ、どれがおいしいですか? 難しいですね。期待通りです。

また、試食提供で私がTAKEOと開発している「バッタ生キャラメル」を食べてもらったところ「バッタ本来の味が死んでいる」という美味しんぼみたいなコメントをもらいました。とてもおもしろい。

今回のシンポジウムは「前に進む実感」というよりは、立ち止まって、あるいはむしろ少し後ずさって視野が広がる、そんな感覚をもらうことができました。

シンポジウムに参加してくれた人の多くは関係者でしたが、あらためて今の活動の意義や進捗を語らう場を設ける事ができてよかったかと思います。みなさまありがとうございました。そしてこの動画を撮影・編集してくださった、なおまるさんに感謝申し上げます。

11月の内容もまとまらないままもう12月も終わりですよ。なんですかこのスピードは。

11月

「サイエンスアゴラ2019に出展してきました」


「未来と芸術展」

「ミイラ展」

「オープンリサーチフォーラム」

「Ai Hasegawa さんセミナー」
ぐらいの順番でいきます。

12月

オオツバメガ Lyssa zampa 味見

タガメナイト

さんわかセミナー

あたりまで書きます。本当に書きます。宣言まで。

もうひとつ美味しい糞虫、Onthophagus mouhoti これの味見レポートを9月に書くべきだったのを忘れていたので書きます。

Onthophagus mouhoti

11月6日から3日間、某日本企業の方々に同行してずっと気になっていたタイのコオロギスナックの状況をみてきました。その企業の方のご厚意で、「業界の発展のため、すべて情報を公開していい」と許諾をいただきましたので、深い内容については研究会で議論していきますが、ここらで軽く紹介をしたいと思います。

なぜ気になっていたかというと、このスナックがよく売られていているからです。

セブンイレブンにも、ファミマにもあって、ラオスの首都ビエンチャンでも買えた、というのは結構儲かってるんじゃないでしょうか。なかなかアポが取りにくいとの情報はあったので、今回同行できたのは幸運でした。

おわかりいただけただろうか。
左下、カイコのスナックがセールになっているファミマの掲示物

養殖場と加工場、それぞれ車で行きました。

まずは加工場から。スナックを作るための乾燥・オーブン・調味の工程がすべて閉鎖系の食品工場として整備されていました。中に入るときはキャップとエプロンが必要で、中の写真は禁止。

左がコオロギ、右がカイコ。
HACCP GMP、ISO22000も。

今回話を聞きたかったのが、タイ政府(National Bureau of Agricultural Commodity and Food Standards (ACFS) )が公開した「GAP(good agricultural practice)」がどれほどの意義があったものか。という点です。結論からいうととてもうまく動いている。と感じました。

タイ政府のGAP

英語版

ガイドブック

タイで最も品質管理の厳しいシステムで動かしているのが彼らで、このGAP策定のメンバーでもあるそうです。産官学が連携してルール作りを動かしていき、「高い品質のコオロギにちゃんとした値段がついて売れること」が大事であるとの共通認識ができているようです。「産学官連携」が「すぐにみんなが儲かる話」ではなくて、こういった未来のビジョンにつなげる話になるといいですね。

翌日はコオロギ養殖場へ

平屋の建物たち。コオロギがたくさん。

翌々日は家庭レベルのコオロギ養殖場へ。これはラオスでもみたことがある。

ここと同じ方法で養殖しているのをラオスでも見たことがあったので、どこかで習ったのか、それとも情報公開をしていないか、と聞いてみると「この方法ではじめたのがうちが最初で、youtubeとかfacebookで公開しているからそれをみたんじゃないか」とのこと。メッセージにも対応して養殖相談に乗っているらしい。コオロギ養殖が商売として頭打ちになったら、とかライバルが、といった意識はまったくなく、どんどん真似してどんどん儲けてほしい、とのこと。

また、個人農家にも行政の役人が、GAPに基づいたアドバイスに来ているとのことで、品質を上げるための設備の指導などをしている様子であった。単に強制的なルールを決めて足切りをするのではなくて、業界全体が盛り上がるよう、そして硬直的で個人では実現不可能なハードな運用にならないよう、うまいこと調節できているようにみえた。

今回も含めて、タイのどこでも印象的だったのは、現実をみつつ、将来に対して楽観的だということだった。日本の企業はどうしても「囲い込み」をしたがって、市場が縮んだ時でも生き残れるよう、保険をもとめる傾向が強い。確かな保険に加入できることには投資するが、その保険に加入する費用を、オープンなイノベーションのために使おうとする気概が薄い。

そう考えると以前のレストランで見たように、「ビジョンを語れる人」というのがとても魅力的だと思う。短期的な営業利益は必要ではあるが、そのために仕事があるわけではない。私もビジョンを語るヒトになりたいが、ことあるごとに

「何をしているヒトですか?」「何を目指してるんですか?」

と聞かれることのほうが多い。もっとビジョンの発信を大事にしよう。

ビジョンとは、

日本社会が昆虫の社会的価値を再議論し、判断すること。

そのための象徴的なアイコンとして昆虫食の再導入を位置づけている。普及の推進は、日本社会が昆虫の社会的価値を判断するために必要。

もちろん昆虫食の再導入とは「すべての人が昆虫を食べるようになること」ではなくて「普通の食材として自由に昆虫を選べるようになること」である。

といったあたりでしょうか。

村で活動中、アゲハの幼虫がいないかと、対象家庭のお隣のコブミカンの葉をなぞってみていたら、ステキな虫を見つけました。

Thosea sp. というところまでは絞り込めたのですが、幼虫の姿形で判断するのは文献情報が足りませんでした。ひとまず撮影。

トゲがすごそう。

拡大してみるとトゲが痛そう。触って確認すれば有毒かどうかわかるんですが、観察の名目で腰が引けていました。もうすぐ帰国なのに余計なケガしたくないなぁとか。触らずに判断できる方法はないだろうか、とか。

痛いらしいぞ。これは、、、

そうこうしているうちに幼虫はワンダリングをはじめ、まゆを形成。ありがとう。これで触る決心がついた。よく空気の読めるイラガだ。

毒毛虫のトゲは2種類が知られていて、片方は毒を打ち込む機能をもつ毒棘(どくきょく)、イラガが代表的ですね。海の生物ではクラゲも毒棘があります。もうひとつは毒針毛(どくしんもう)。刺す筋肉はなく毒をまといつつ皮膚に刺さり、掻いたりするとポキポキと折れることで炎症を広げていくとうおそろしい仕組みです。チャドクガが有名ですね。ヒロヘリアオイラガなどは毒棘と毒針毛の両方をもち、繭を作るときに体の毒針毛を外側に向くよう植え付ける、というアクロバティックな再利用方法をします。いっぽうで毒棘しかないイラガは繭を作り前蛹になるとその機能を失い、おいしくいただけるのです。

イラガは運が良ければイラガイツツバセイボウの寄生をうけていることがあり、これもまたおいしい。

まずは繭を観察、トゲや毒針毛がないか確認し、皮膚のやわらかいところでなぞってみる。痛くないしかゆくもない。

まゆ。

ニッパーを使い繭を割る。ピスタチオの殻のようにパリッとわれるのがイラガの繭の特徴だ。

中から縮んだ前蛹(サナギの脱皮をするまえの幼虫)があらわれた。
揚げパンのようだ。
さわってもいたくない!うれしい!
かくれがちな顔。かわいい。
茹でると鮮やかなイエローへ!これはおいしそうだ。

味見

うまい!食葉であるコブミカンの葉の柑橘系の風味は感じないが、クニュっとした歯ざわりと筋肉の弾力もあり、 トゲは全く気にならない。コク深い体液が口の中に広がり、少しの渋みが口の中をさっぱりさせる。 うーんおいしい。色も鮮やかですばらしい。はたしてこれは幼虫時代に有毒だったのか、これは次回確かめるしかない。

確かめるしかない、、、うーむ。

しばらくラオスにいることになったので、日本での活動はいろんな方に手渡していければいいなと思い、今回は昆虫食企業に企画を持ち込みました。

企画の持ち込み先はタガメサイダーを開発したTAKEOさん、少し前までは輸入商社として動いていた気がしたのですが、もう商品開発まで行っています。とってもスピーディー。

では、ということで、TAKEOさんのところで買ったバッタパウダーのデメリットを減らし、そしてパウダーならではの利点を活かしたこのメニューの製品化を打診しました。今回は製品開発の一環ですので、味の感想をお聞きすることになるかと思います。

みなさんにとっては私のレシピのスイーツがタダで!食える!」いう素晴らしい企画になります。そして私はラオスにいますから、ラオスからレシピだけを遠隔で飛ばして日本のみなさんに食品を提供できる。これは未来ではないでしょうか。レシピの引き継ぎは7月の帰国時に伝えました。その後大量生産に向けて改良も加わったようです。

さてその詳細はTAKEOさんところのHPで掲載されました!

反応がよければ、そしてもっと改良が進めば、製品化も?という状況です。踏ん張りどころですのでぜひ食べて、味の感想をフィードバックしていただき、おいしいバッタ生キャラメルが提供できればと思います。31日、木曜日まで!

それではこれまでのバッタ生キャラメルに至るまで、バッタ粉末と歩んだ試行錯誤の経緯をごらんください。こんなこともつぶやいていました。

バッタとスイーツの相性は2014年に気づいていました。トレハロースも。

初期は「バッタ生チョコ」として開発していました。

味の感想、お待ちしております!

そういえばバイリンガルニュースに出演したときにお二人にたべてもらったのもこのスイーツでした。

みなさま、週末の巨大台風の影響は落ち着いてきたでしょうか。Twitterを見ているだけで、ここラオスにも台風が来るのではないかとそわそわしてしまいました。私の次回の帰国は11月です。

研究会では毎年サイエンスアゴラに出展してきたのですが、今回はラオスで協力する保健NGOであるISAPHの「本邦研修」という保健人材育成事業とコラボする形で、研修に来ているラオス人公務員に少しばかり東京まで足を伸ばしてもらい、一緒にこれからの昆虫食について語ろうというトークイベントを開催します。11月16日午後14時半ぐらいを予定しています。サイエンスアゴラで語らいましょう。おさらいしておきますが、サイエンスアゴラのコンセプトはこちら。

サイエンスアゴラとは、あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場の総称です。サイエンスアゴラは、異なる分野・セクター・年代・国籍を超えた関係者をつなぎ、さまざまな人たちが各地で主体的に推進する活動の広場です。この広場に集まる人たちが多様な価値観を認め合いながら、対話・協働を通じて、これからの「社会とともにある科学」と「科学とともにある社会」の実現を目指します。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/about/

そして2019のテーマはこちらです。

Human   in the New Age   -どんな未来を生きていく?-

あなたは、科学技術の開発がさらに進んでいるであろう未来に、どんな暮らしをしていたいですか?
望む未来に必要な技術とは?機械や新技術に委ねたくない人間性とは?
サイエンスアゴラ 2019 では、そもそも人間とは何なのか、自分は何を選びたいのか、目の前のものをどう使いたいのかを、さまざまな視点から考える機会を提供します。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/exhibition/

ぴったりだと思いません?

しかし、一緒に語らうにあたって日本側に大きなハンデキャップがあります。



多くの日本人は昆虫を食べる自分を
イメージできない。

以前に「食の未来を考える」トークイベントに客として参加した際、日本の文化を背景とする人だけがリサーチし、これまでの年表をまとめ、歴史学風に未来を想像するという流れでしたが、どうしても抜け漏れが発生してしまっていました。自然の昆虫を食べてきたという日本の歴史がすっぽり抜け落ち、未来のコオロギがふんわり乗っかるという、とても浮世離れした未来予測になってしまっていたのです。

それではいかんだろうと、一つ対策として考えられるのが、このときのゲストの一人であった西廣先生の分野です。西廣先生は生態学をベースに植物の救荒食としての可能性を見出し、今後(温室効果ガス低減をどれだけがんばっても)不可避である温暖化に備え、さまざまな適応策を考えておこうとする立場の研究者です。もちろんそこに温室効果ガスを出しにくく、そして既存の恒温動物よりも熱中症に強い昆虫も推したいところですが、こちらの話はまた今度すすめます。

このような生態学ベースの「未来の食提案」に昆虫が含まれるのは妥当です。生態系をみても昆虫を主な食料にする哺乳類は多様にありますし、もちろん人間も食べてきました。一部の危険な虫を除いて体力のない子供でも、高齢者でも扱えることから、栄養源としてまだまだ伸びしろがあります。

そして今回のアゴラでのチャレンジは「昆虫食文化が濃くある地域」からの提案をうけとめきることです。ラオスでは昆虫を食べる文化が普通にあり、私が提案してきた「昆虫養殖で地域貢献」というアイデアはほかの食材と同じように至って普通のものとして、ラオス側に受け入れられてきました。

というのもラオスは「飢えない最貧国」とも呼ばれ、NGOを始めとした外国からの開発援助を常に受け入れてきた国です。その中でも地元の農作物や畜産物に対して高度な技術支援をするというのは当たり前の、ごく普通のプロジェクトとして行われてきました。しかし、たしかに昆虫を使ったものは明らかに少ないのです。

その原因は「先進国に昆虫食文化を持つ国が少なかったこと」といえるでしょう。先進国は食の技術をレベルアップすることで安定に、そして安全に食生活が営める社会をめざしてきました。

そして残念ながら、その中から昆虫食はこぼれ落ちてしまい、昆虫は「殺虫剤で殺して除外するもの」という位置づけになってしまいました。そのため昆虫を食利用するという技術を、先進国すらも持っていないのです。その中で「支援」をしつつ「技術開発」をするというホットな研究活動現場を作ろうとしているのですが、この話もまた別でまとめます。

そこで今回のテーマです。

日本側参加者の課題は「昆虫を食べる自分をイメージできるようになること」です。当日は試食も用意しますが、本当に無理して食べる必要はないですし、「食べる必要があるから食べる」では食のイメージがあまりに貧困です。おいしいから、食べ物だから食べるイメージを、ロールプレイのつもりでラオス人ゲストとともに高めてください。

その上で、ラオスの抱える栄養問題を知り、その支援をしたいときに、日本から何が提案できそうなのか。また今後(というかもう来ているんですが)、ラオスの昆虫食文化をもつ若者が日本にやってきたときに、日本からどんな食材で、料理でオ・モ・テ・ナ・シができるのか。一緒に考えていきましょう。

さて、今回は日ラオの通訳の関係で、事前に質問事項を整えておきたいです。

ラオスの昆虫について、ラオスの栄養の問題について、その他いろいろ、聞いてみたいことがありましたら、お知らせください。多様な視点からの質問をお待ちしております!

さて、先月は「あえて昆虫をオススメしない」という活動をしていました。ナンバンカラスウリという栽培が容易なウリ科の多年草をオススメし、そこからビタミンAを摂ってもらおうというものです。しかし村にとって新しいものとはいってもそれを食べる虫はやってきてしまうものです。広食性昆虫おそるべし。こんな虫が来ていました。

うごきがひょうきんでかわいい。

以前に見たマンゴーミバエによくにています。

しかし、その後私の顔はこわばります。

たまごうんでる!

そうなのです。ウリといえばウリミバエ。詳しい方にセグロウリミバエではないか、と教えていただきました。ウリミバエは刺したり噛んだりせず、その地味な生態に比べて、育った幼虫が実を腐らせてしまうことから、経済的なダメージの大きい虫として知られています。

沖縄では不妊虫放飼法という、放射線処理をしたオスを大量に野外に放つことによって、近縁のウリミバエの根絶に成功したという事例があります。

セグロウリミバエも植物検疫で水際で見つかったりと、要注意な虫なのですが、ここはラオス、自然分布域です。遠慮なく観察しましょう。

カボチャミバエと同様に、ウリミバエの幼虫はジャンプできます。みてみましょう。まずは180fps

よくわかりませんね。次が480fps

ぐいぐいと、筋肉パワーが無明逆流れのように溜まっていくのがわかります。すごい。そしてこのスローでも詳細がつかめないほどのスピード。肉眼では本当に消えたように見えます。それでは食べてみましょう。

しっかりした筋肉の弾力があり、薄皮で食べやすく、パチンと弾ける皮の食感もよい。 味は淡白で特徴が薄いが、それだけ拡張性があると考えられる。蛹化に失敗した個体がいくつかあるので蛹化用の足場を考えよう。

跳ぶ寸前。

とても美味しかったです。マイクロポークビッツみたいな。

チチュウカイミバエを使ったイスラエルの昆虫養殖スタートアップもありますし、ミバエも管理次第では化けていくかもしれませんね。

私はゾウムシの養殖指導、もう一つのチームは看護師が村へ訪問するアウトリーチ活動の途中でした。その行った先の村人から「バナナの葉に包まれたイモムシがいる」とのことで見せてもらいました。くるくるっとルマンドのように巻かれたバナナの葉の中には草大福のように粉まみれのやわらかそうな幼虫が。本当においしそう。調べてみるとバナナセセリErionota torusという虫で、日本では沖縄だけに住みおそらく外来種。日本最大のセセリチョウとのことです。確かに小さい印象のあるセセリチョウにしてはデカい。

ラオス人お墨付きの美味しい昆虫とのことで3頭もらい、活動を終えて街に帰るころには1頭が黄色みがかって前蛹になっていたので、幼虫状態と比較して食べてみました。

前蛹 粉は茹でると消えてしまった。 蒸した芋のようなそそる香り。口に入れて弾けるボディ。タケノコのような少しの渋みがあり爽やかで、コクとうまみのバランスも良く、ウマッと声が出るおいしさ。
幼虫 消化管内容物のため茹でても青い。 バナナの葉の香り!バナナの葉で包んで蒸した料理の香りがする。葉の粒感が気になってしまい自分は前蛹派だけれどどちらも美味い。

バナナの葉は色んな所に使われ、市場で昆虫を売るときの敷物や、蒸すときの包みなど、土に還る万能の梱包材です。そして蒸すとバナナの葉の独特のムレ臭がうつり、朴葉の包み焼きみたいな美味しい感じに仕上がります。それがバナナセセリの幼虫にはあった!これがなかなかおいしいです。

追記します!そして9月25日に蛹になり

クリーム色の美しい形。バナナの葉にくるまれている

そして10月4日、成虫へ。味見しましょう。これはオスですね。

香ばしい!鱗粉が口に残るものの、バナナの香りはなくなり茹でただけで焼き芋のような強い香ばしさ。 甘み、コク、旨味のバランスも良く、体重もしっかりあるので食べ応えもそこそこある。