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Twitterで反響があったのと、映画を見た後に書いてみた原稿があったので。
休眠中ですがUPします。なかなか本業のほうは前途多難です。またご報告します。
マッド・マックス 怒りのデスロード

映画館で一回見て、先日iTunesで配信が開始されたので、見ました。

「イモータンジョーの食糧生産ヤバくね?」は
コチラのブログで紹介されていましたが、私も同感です。
(トマトの苗だけは確認できませんでした。)
そして
「エンディングの後の食糧生産、ヤバくね?」
というのが一番の感想。
彼らの物語を少なくともバッドエンドにしないためにも
食糧生産についてきちんとアドバイスを送る必要があるでしょう。
予め「昆虫食がフュリオサを救う」と言っておきます。
それでは参りましょう


※以下めっちゃネタバレをします。
未見の方はご注意ください。
上映劇場も減ってきましたし、そろそろディスクも出るのでご勘弁ください。


1,あの世界に昆虫食が存在するか

そもそも昆虫食文化が絶えてしまっていたのでは、
新たに食用昆虫を生産しても彼らは食べてくれないでしょう。
この映画には食事のシーンが少ない中、
幸いにも昆虫を食べるシーンがあります。
食べたのはウォーボーイのニュークス。
懇意になった赤毛の女の子、ケイパブルが寝ている間に肩に登ったコガネムシ科の昆虫を
器用に自分の手に移し、よく観察したあとパクっと食べます。
日常から昆虫を食べていたことが伺える貴重なシーンです。
今回は生食の危険性について、彼らの事情も考慮して不問とします
少なくとも昆虫を食べることはありそうです。
また、このコガネムシの同定は残念ながらできなかったので、
どのような生態をもつのか、後述して推測します。
2,どの程度昆虫が分布しているか

これも難しい問題ですが、幸いにも描写がありました。
冒頭、マックスは双頭のトカゲを踏みつけ、食べます。
歩くのが速く、口が大きいので恐らく昆虫食性でしょう。
双頭という重篤な変異を持つにもかかわらず、大きく育っているので
近くに豊富な昆虫資源があると思われます。
3,イモータンジョーの食糧生産

本作の重要な問い「生きるために他人を搾取してよいか」を際だたせるため、
イモータンジョーは徹底的にヒトを搾取するシステムを持っています。
彼の愛車がギガホース、彼のマスクの歯が馬の歯という設定から
以前は草食の家畜を生産していたと思われます。
ところが、核戦争の後、
先天的な障害を持つヒトの割合が増えてしまったことで
ヒトの利用を多様化し、家畜として利用することで
徹底的に搾取する構造を備えたと思われます。
ジョーは血縁の後継者を必要としていますので、
多くの女性を妊娠させる必要があります。
そして、フュリオサのように、
子産みという利用価値のない女性を殺すことはしないようです。
また、ドゥーフのような先天的に目の見えない男性に対しても
ギターを持たせるという適材適所な人員配置も魅力です。
これは役立たずでも殺さない慈悲があり、
能力次第で上に登れるという救世主アピールと同時に
ヒトを育てる時に生じたコストを出来る限り回収する目的があったのでしょう。
フュリオサとジョーに恋愛関係がーという考察もありましたが
私はそうは思えません。
恋愛や妊娠に価値がある世界には見えませんし
汚染されていない緑の大地出身のフュリオサは健康体で恐らく長寿命です。
また、
フュリオサがありあわせでつくった義手の精度が異常に高く、パワーもあり
ロストテクノロジーかと思われるレベルです。
ジョーやリクタスの生命維持装置もフュリオサが作っていたと考えられます。
まさに「能力主義」で上り詰めたのでしょう。
逆に
短命こそが高コストであるがゆえに、ウォーボーイズの仕事は収奪と攻撃、
そして望まれるのは敵を殺しての派手な死です。
マックスが核戦争前に警察だったことから、
おそらくジョーとマックスは設定上同年代で
マックスやフュリオサは汚染環境でも老化速度があまりに遅く、病気にもならず
健康体を保てるイレギュラーなパフォーマンスをもつ人達と思われます。
一方「凡人」だったジョーが老化とや病気と闘いながら
組織的に長寿命を獲得しようとした苦労も伺えます。
ワイヴズも、
年長者はそれぞれ別の文化背景を持つような(お祈りとか)描写もあります。
ハイポテンシャルな彼女らは子産みの仕事の後、
母乳女として家畜として徹底的に搾取されるようです。
映画に出てきた母乳女達は自らが産んだ子供を取り上げられ、代わりの人形抱きながら
母乳生産を仕事とされます。そして一様に太っています。なぜでしょうか。
ここで、ジョーがもぬけの殻だったワイヴズの住処に行く途中、
水耕栽培のシーンを見てみましょう。
そこにあるのはアブラナ科の作物。おそらく甜菜かと思われます。
穀物もおそらくあるでしょう。
砦の屋上にはヤシ科かイネ科と思われる草で覆われ、
灌漑用の風車が見えます。
これらの作物は、エネルギーがあるものの
アミノ酸スコアの低いことが問題点です。
カロリーだけ高い食物を食べさせられ、運動を禁止されると、
栄養不足と肥満になります。
そして母乳という完全栄養食品を搾取されているのでしょう。
大変に合理的で、非情な搾取といえます。
「農産物由来の母乳」がジョーの砦の貴重な栄養源といえます。
4,イモータンジョーの物質収支
イモータンジョーは界隈で最大勢力を誇り
近所のバレットファーム(弾薬畑)と
ガスタウンと同盟関係にあります。
余談ですが
ガスタウンの主は人喰い男爵(people eater)と呼ばれていることから
人肉食はあまり一般的でなかったと思われます。
(私も映画を見た後、Twitterの名前を「蟲喰い男爵」にしようかと思いましたが、あの世界では普通すぎるので断念です。)
ガスタウンには石油があり
弾薬畑ではヒトの糞便から硝酸アンモニウムが作られ
ジョーの砦には水と食糧があります。
ガスタウンと弾薬畑については、映画中に描写がないので、
こちらの資料を参考にしました。

同盟とはいえ、彼らには上下関係があるようです。
やはり
食糧を握っていて人口も抱えているジョーが最も偉いようです。
ガスや弾薬は安いレートで食糧や糞便(そして髪の毛)と
交換させられていたのでしょう。
5,イモータンジョーの工芸と祭り
ウォーボーイズはジョーを尊敬し、短命にも関わらずQOLは高いようです。
ジョーのためにタトゥーを彫り、化粧し、工芸品を作り、音楽やコールまで多彩な文化があります。このような一見資源の無駄のように見える「祭りの構造」が多くのヒトの心の支えになり、
トータルとして人心掌握につながり、無駄にならないという高度な意思決定があると思われます。
食糧生産が自動化されているので、誰かが通りかかるまでは工芸ぐらいしか仕事がない、
ともいえます。工芸や祭りは農閑期の公共事業だったのでしょう。
ここまでは、この世界の考察です


さて、
エンディングで、ジョーは死に、
多くのウォーボーイたちと自動車がダメになりました。
そして、母乳女達が開放されます。
大きな問題です。「母乳というタンパク源が無くなった」のです。
そこで効いてくるのが「種」です。弾丸が「死の種」と呼ばれていましたから
種は生の象徴でしょう。
彼らは種ババアことメリッサから、汚染されていない『種』を持ち帰っています。
メリッサが見せたシーンでは
「木に花にフルーツ」そしてマメ科と思われる苗と、インゲン豆っぽい種も見えます。
そこで気になる一言が。「何一つ実らなかった」
メリッサは土壌の汚染と説明していますが、
大きな勘違いをしている可能性があります。
ここで、
フュリオサが砦に種を植える前に、確認しておくべきことがあります。
A,土壌細菌の有無
マメ科が実るためには、根粒菌などの土壌細菌が必須です。
水耕栽培で土が汚染されている可能性を考えると、マメ科が「実らなかった」のは
土壌細菌が不在だった可能性があります。
ヨーロッパでは土壌と根粒菌の相性が悪く、大豆の栽培が定着できなかった、
という経緯がありますので、これは重大な確認事項です。
B,訪花昆虫の有無
ここで、ニュークスが食べていた昆虫の出番です。
期待したのはハナムグリなどの訪花昆虫ですが、
高画質で、コマ送りしながらじっくり見たところ、
鞘翅の形がハナムグリっぽくない。
そして、その直前に
「カラスのいる汚染された土地(緑の土地の成れの果て)」を通過した後であることから
糞食性、腐肉食性のセンチコガネである可能性も捨て切れません。
体型はゴミムシダマシっぽい?ということでまめだぬき先生がコメントをくださいました。


幸いなことに、ジョーの砦で育っていたのは、
虫媒花のアブラナ科、てんさいで、自家不和合性(自家受粉では実らない
が特徴です。つまり冒頭ですでに、訪花昆虫の存在を示しているのです。
つまり、
種ババアの持っていた虫媒花の花、マメ、フルーツが復活できることを暗示しています。
ですが、懸念もあります。
アブラナ科の自家不和合性は、二酸化炭素濃度を3〜5%に上げることで打破できます。
人が多く、燃料もあり、密閉されたガラス室で水を逃さないよう栽培しているてんさいですから、もしかしたら自家不和合性の打破によって自家受粉していたのかもしれません。
これも大きな疑念が残ってしまいました。


ここでは
最悪のパターンに備えましょう。
訪花昆虫もおらず、土壌とマメ科の相性も悪かった場合。
相性がよかったとしても、
持ち帰った種は少量なので、数回の収穫はすべて次世代に回すべきだと思われます。
そして、母乳女はもはや搾取されません。
今すぐ、今ある農作物からの、速急なタンパク質の生産が必要です。
昆虫の残存量がどのくらいか不明なのが残念ですが
3つの昆虫養殖を提案します
A,糞便を利用したセンチコガネ養殖
B,イネ科作物を利用したバッタ養殖
C,アブラナ科作物を利用したカブラハバチ養殖
この3種が(いたとしたら)フュリオサに、亡霊となってでもぜひ伝えたいのです
「ハイ、フュリオサ! 虫だ。虫を養殖して食うのだ」
ニュークスには早急に亡霊となって、
ケイパブルに、あの時食べた昆虫が何であったか、
今まで食べたことのある虫は何かを
伝えるべき
だとおもいます。ヴァルハラに行っている場合ではないのです。
虫はアミノ酸スコアが高く、穀物より炭水化物が少ないので、
今までの糖、穀物食にプラスするだけで肥満も抑えられ、栄養状態も良くなります。
また、虫のフンは肥料として利用すれば、
微量元素の散逸も抑えられます。
そしてワイヴスの生活していた温室
が他の作物を食害させず、温度を高めに保ちながら
昆虫を養殖できるスペースになります。

We are not things!と、ヒトとして声を上げた場所で
昆虫はThingsとして、ワイヴズの代わりにガラス室に住むことになるでしょう。


After Mad, Max-buggy road!
狂気の後に、最大限に虫だらけの道へ

はたして、
フュリオサは昆虫養殖、もしくはマメ科作物の栽培に成功し
 贖罪「Redonpsion」を達成するのでしょうか。
Buggy とは乳母車の意味もあるそうです。
虫だらけになった砦で、
望まれて生まれてくる子供が
フュリオサの作ったBuggyに乗る未来もあるかもしれません。

5

お久しぶりです。
ちょっと本業の発表があり、てんてこ舞いになっておりました。
更新を再開いたしましょう。
今回は全く昆虫食とは別の話。ゾンビに関する仮説です。
「ゾンビは野生動物や分解者に勝てない」
というネット記事がありました。
ヒトが死んで、それが動きまわるゾンビ
起源は違うらしいのですが
今回はこの記事にならって
「ゾンビ映画」のゾンビについて考えてみましょう。
1,生きたヒトがゾンビに噛まれることで感染する。
2,感染すると数時間で死ぬ
3,感染を死因とする死体のみが再び動き出す。(ゾンビ化)
4,血や内臓が失われてもそのまま動く
6,頭を破壊されると動かなくなる
こんなかんじでしょうか。
こうやって並べると、
病原体の目的が不可解です。
行動を操る寄生体は幾つか知られており、
水場に誘導するハリガネムシや
木の上にアリを誘導する菌類、
カタツムリに寄生してグルングルン動きながら行動を制御する
ロイコクロディリウムなどが有名です。
しかし、いずれも「寄主を生きたまま」動かしています。
寄生者は、寄主の生態に「タダ乗り」して
利益を得る生態をもつ生物です。
そのため、
寄主の行動を制御して利用するならば、
できるだけその寄主は「完品=生きたまま」
のほうが
好ましいはずです。
なぜ一度死んだものを利用するのでしょうか。
「死体でないと動きを乗っ取れない」
とすると
そもそも死体に感染すればいいのであり、
多大なコストと運動能力の差を乗り越えてまで、
新鮮な死体を作る必要性が感じられません。
「生きたヒトでないと感染できない」
ことがわかります。
整理しましょう。
1,新鮮なヒトにしか感染できない 寄生体と
2,死体しか動かせない 寄生体
以上二種類の寄生体が
共同していると考えてみましょう。
仮説を立てました。
「ハキリアリ-アリタケ式ゾンビ仮説」
ハキリアリは、ある種の葉を切り取り、
その葉にアリタケと呼ばれる菌類を栽培し、
アリタケのみを食べる、という恐るべき生態を持つ
社会性のアリです。
この利用方法は
ゾンビに適用出来るのではないでしょうか。
生きた人間(葉)にしか感染できないヒトタケ(アリタケ)と
ヒトタケが繁殖した死体にのみ巣を作り
それを動かすゾンビアリ(ハキリアリ)の関係です。
1,ゾンビが生きたヒトを咬むことでヒトタケが感染する。
  同時にゾンビアリの新女王が移動する。
2,ヒトタケの繁殖により、ヒトが死亡する。この時体内は繁殖した菌糸によって固定される
3,ゾンビアリ新女王がヒトタケをエサに繁殖を開始する
4,ゾンビアリの群れは死体の体内を掘り進み、「可動する蟻塚」へと改築する。
  本来の筋肉の代わりにアリ達が網のように構造を組み、筋肉様の働きを代替し動かす
 (ゾンビ蟻塚化)
5,ゾンビアリによって操られたゾンビ蟻塚は、ヒトタケのための新鮮な宿主=生きたヒト
  を求めて徘徊する。このゾンビ蟻塚は生きたヒトに接触する
  効率を上げる擬態効果がある。
6,次世代の女王はヒトの頭部で繁殖しているため、
  ゾンビ蟻塚の頭部を破壊した場合、ゾンビ化は広がらない。
いかがでしょうか。
ゾンビアリ→生きたヒトへのアクセス(擬態)の提供→ヒトタケ
ヒトタケ→菌糸を食糧として提供→ゾンビアリ
というヒトを介した共生といえるのではないでしょうか。
「筋肉様の動き」はグンタイアリが川を渡る際にアリ同士が組み合って 橋状の構造を作ることから、無理ではなさそうです。
また、ゾンビをヒトと見間違えるシーンは、
ゾンビ映画でよく見られるので、
一定の効果はある模様です。
ヒトタケの菌糸で鞣され、裏打ちされた強固な皮膚の内側は空洞となり、
筋肉役のアリ達がせっせと働いているのでしょう。
つまりゾンビは外骨格生物(?)なのです。
当然重くて役に立たない内臓や血液は放出したほうが良いでしょう。
ゾンビが内臓を垂れ流しているのは、
ゾンビアリ達が軽くて丈夫なゾンビ蟻塚を作った仕事の跡なのです。
おそらくゾンビの体重は驚くほど軽いと考えられます。
こう考えると、
新たな恐怖が見えてきます。
頭部を壊すとゾンビアリの次世代が死ぬので
ゾンビ蟻塚化は回避できるのですが、
ゾンビが動くことはゾンビアリの仕事。
感染はヒトタケの仕事なので
動かないゾンビからは感染しない、
とは言い切れないのです。
ヒトタケの性質を考えると、血液感染して数時間後に死に至る恐るべき病原体です。
そのため、頭部を破壊して動かなくなった(ゾンビアリの群れが崩壊した)ゾンビでも
そこに含まれるヒトタケの一部が傷口に侵入すると、
「急に死亡」することがあるのです。(ゾンビアリがいないため動くことはありません)
人体に侵入すると、
数時間で一気に感染が拡大する病原体。
恐ろしいですが、
潜伏期間が異常に短いので、
感染拡大は小規模で済みそうです。
するとやはり、
ヒトタケはゾンビアリとの共生関係を選ぶでしょう。
なるほど、
ヒトタケの潜伏期間が異常に短いことから、
せっかちにゾンビを動かし、新たな宿主を開拓する
ゾンビアリの存在が無くてはならないのでしょう。
すると新たな対処法がわかります。
「ゾンビの動きに殺虫剤が効く」
ぜひ
ゾンビに襲われた際には
お手持ちの殺虫剤をかけてみましょう。

3

とうとう200記事を突破しました。
長らくのご愛顧ありがとうございます。
突然ですが
パシフィック・リム見てきました。

初っ端のKAIJUが、
昭和ガメラの怪獣ギロンをオマージュした「ナイフヘッド」
灯台を尻尾で壊すという定番のゴジラ節炸裂。
余分な肉がブルルンと揺れる重量感、
煽りのアングル、周囲の構造物を利用したプロレス等、
特撮好きなら5分に一回の頻度で繰り出されるオマージュに
ニヤニヤしっぱなしだと思います。
CGを使いながら
特撮への愛があふれていて、これらのオマージュを
「パクリ」と非難するヒトはいないでしょう。
むしろ日本がこの映像を作るべきだった。と思います。
メキシコ生まれの特撮マニア、ギルレモ デル・トロ監督が
200億ドルの制作費をぶっこんでつくった壮大な二次創作、
ともいえるかもしれません。
さて。
昨年に
「特撮博物館」という催しが行われていたのをご存知でしょうか。

円谷英二監督らが一時代を築いた「特殊撮影」=特撮は
ミニチュアや逆回しなどの
人物描写では使わない特殊な撮影技術を駆使し
実物ではありえない情景を映し出す撮影のことです。
特に爆発やミニチュア撮影を駆使したSF作品は
大画面の映画との相性もよく、瞬く間にテレビにも進出
昭和の特撮技術は愛され、磨かれてきました。
ところが、CG技術が導入され
今回のパシフィック・リムのように
「予算さえあれば」特撮以上の特撮らしい映像が撮れる
となると、
残念ながら特殊撮影は
一線を退かなくてはなりません。
数多くの一線を退いた技術は
その経済的価値は減じたものの
洗練度は眼を見張るものがあります。
特撮、その技術を使って
何か面白いことが出来ないか。
CGでなく、小さい実物を
巨大に見せることでしか見せられない映像とは何か
一特撮ファンとして常々思ってきました。
と考えている時に、
こんなワークショップに当選してしまいました。


この度は、株式会社マーブリング・ファインアーツで募集した
特撮博物館特別イベント
「ミニチュア特撮課外講座 -ミニチュア特撮からミニチュアエフェクトへ-」へ
ご応募いただきありがとうございます。
厳正なる抽選の結果、ご当選されました。当日のご案内をお送りします。


この中で「ミニチュア撮影」の
カメラ側に必要な要素は
「広角・パンフォーカス」視野を広く、近くから遠くまでピントが合っていること。
カメラの受光量を絞るので、ライトがめちゃめちゃ必要。
「高速撮影・低速再生」 視野内の自然落下は角速度でいうと
小さいものは速く、大きい物は遅く見える。
「アオリ」       目線が1.5mとすると、1/10ミニチュアでは15cm,1/100ミニチュアで
は1.5cmの位置にカメラを置かなくてはいけない。そのため
「アオリ」という低いカメラ位置から全体を見上げる構図をとる
小さいレンズを使うか、地面より低い位置にカメラ本体を置く必要
がある。
とのこと。
見てみましょう。

ここで使われたのは
虫の目レンズ、という
写真家・栗林慧さんが内視鏡を元に開発した
広角パン・フォーカスアオリ・マイクロレンズです。
これをつかうとミニチュア撮影が
アマチュアの技術で十分にできるとのこと。
更に、
フィルムでパン・フォーカスを得るためには
はセットが溶けるほどの光量に
絞りをかけまくることが必要だったのですが
カメラがデジタル化して
iso感度が向上したことから
自然光程度の光でも
パン・フォーカスでの撮影ができるようになったとのこと。
「いつ特撮やるの。今でしょ」
ということでした。
では、
「ミニチュア撮影に虫の目レンズを使うことが出来る」
のであれば逆に、
虫の眼レンズで撮影した虫の映像は特撮である
ともいえそうです。
いかがでしょう。
「蟲特撮」
こんな感じ


この「特撮」には
円谷式のあるテクニックを使ってみています。
「カメラと被写体を90度曲げる」
というものです。
本来は
模型飛行機を吊るす透明の糸、テグスが見えにくくなるよう
飛行機の「鼻」をつるすことで
画面上では飛行機の上部にテグスが見えない、
という裏ワザでしたが
今回は昆虫が正の走光性、負の走地性をもつことを利用して
カメラに平行に留まってもらう目的で傾けました。
実は
これを地面でやると、虫はあらぬ方向に向いてしまい。
ピントボケボケの映像しかとれず、
麻酔をかけると、ダラっとした生気のない印象になってしまいます。
ということで
昆虫の生態利用し、更に特撮技術をつかった
「蟲特撮」ってやってみたいですね。
簡単なものですと虫パニック映画とかで
使われていたのですが、
もっと虫を巨大に演出するような。。。。。
何か考えたいですね。

プロジェクションマッピングで
巨大な虫を出現させるとか。。。。
やれることは多そうです。
もちろんエンディングは
「撮影に使用した食材は全てスタッフが美味しくいただきました」

と書きたいですね。


今回使ったのは
そんな特撮を気軽に楽しめる
学研 大人の科学
「特撮USBカメラ」
パソコンと繋ぐ必要はありますが
けっこう楽しい映像がとれます。

メレ山メレ子さんも
つかってるあの!特撮カメラです。