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以前食べたツチイナゴ
の近縁種、タイワンツチイナゴを頂いた。
ボスの許可をいただき試食する。
タイワンツチイナゴ Patanga succincta

巨大。普通のトノサマバッタから更に二回りほどデカイ。
右は比較のためのツチイナゴ。
足のトゲも強力で、蹴られたら血がにじむほど。
♀は80mmを越える日本最大クラスのバッタ。

ハネに鮮やかな赤色が入り、飛ぶと美しい。
ううむ。大きい。
実食
脚;この大きさなので、内部の脚肉だけを食べることができた。甘さとタンパク質の穏やかな味と繊維質ではない芋のような粒感のある食感。このサイズでようやく脚肉を感じられる大きさに。味はコオロギに近い。
体;大きさの割に軽い。性成熟をしないまま越冬するので、今の時期は成虫で
ありながら内部は空っぽ。カラッと揚げてサクサク食べると美味しい。味はもちろん良い。
タイ食材店では揚げたものが冷凍で販売されているのですが、
今回国産のものが手に入り食べることが出来ました。
調理済みだとわからない微妙な味の違いがわかり大変美味しかったです。

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前回養殖2種を味見しましたが、日本の秋の旬としては
はずせない、鳴く虫。
エンマコオロギの♀を頂きます。
エンマコオロギ Teleogryllus emma

丸々と太っていておいしそうです。
この中には卵が入っていると思われます。
試食
お腹いっぱいに卵が詰まっており、プチプチとした食感が楽しい。香ばしさは余り感じられず、卵のコクが特徴的。やや前2種よりも外皮が固い。産卵期でなければまた違った味わいを楽しめるだろう。
鳴く虫の飼育は歴史が古く、江戸時代にはもう
「虫屋」と呼ばれる養殖業者が存在していたそうです。
(加納康嗣 著 鳴く虫文化誌
音で聞き分けることで たくさんの種を楽しむ文化が日本にはあります。
今度は味で楽しんでみるのもいいかもしれません。

そろそろ寒くなって参りました。
鳴く虫の季節も終わり、昆虫食もシーズンオフに。
とおもいきや、
養殖昆虫を注目していきたいと思います。
昆虫食の生物はけっこう多く、その中でも生き餌でないと
嗜好性が低い、というペットとしては困った連中がいます。
例えば
以前飼っていたフトアゴヒゲトカゲ「June二郎」

昆虫食性が強く、あまり野菜を食べてくれませんでした。
そのようなペット用生き餌として
流通している2種
フタホシコオロギ Gryllus bimaculatus

ヨーロッパイエコオロギ Acheta domestica

彼らはコオロギの中でも
卵で休眠をしないので、温度さえあれば年間何度でも孵化してきます。
タイで食用に養殖されているのもこの種です。
一方で日本の普通種は一度低温を経験しないと休眠から覚めないので
年間二回ぐらいが限度です。
なので、年中暖かい環境を用意する必要がある爬虫類飼育に適した生き餌といえるでしょう。
それでは実食
ヨーロッパイエコオロギ
おいしい。うまみがあり外皮が柔らかく、揚げて食べることが普通だが茹でてもイケる。
フタホシコオロギ
香ばしい香りがあり、イエコオロギよりも特徴的な味。外皮はやや固いが食べやすいほう。「コオロギ臭さ」は殆ど感じない
コオロギをおいしそうに食べる爬虫類を見ると
その味が気になってきますが、彼らの好きな昆虫は
やはり味もなかなかのものでした。

以前
アカスジキンカメムシ成虫
を味見したところ、
「味、うま味は他のカメムシよりよいものの、カメムシ臭が気になる」との
感想でした。
8月に某NPO職員のHさんがラオスに行った際
現地の人に
「カメムシのニオイって気にならない?」
と聞いた所
「カメムシは若い時に食うに限る」
との返答とのこと。
ここからわかるのは
1,カメムシのニオイはラオス人でも強すぎるとキライ
2,成長段階によってニオイは異なる。
なるほど。
確かめてみよう。
残念ながら今回ラオスはカメムシの発生時期ではなかったので、
ラオス産は手に入らず。
ストックしてあった
アカスジキンカメムシの越冬幼虫をいただくことに。
アカスジキンカメムシ Poecilocoris lewisi

ほとんどニオイがなく、わずかなほろ苦さと肉質の旨みがあり、美味しい。ラオスの方が言っていたことは本当のようだ。
確かに
キバラヘリカメムシ
幼虫の方がニオイが薄く、食べやすかったので、
「カメムシは幼虫で食べるべし」
というラオス人の言葉には説得力があります。
また更に。
「昆虫は幼虫で食べるべし」
とまで拡大出来る可能性もあります。
幼虫は、小さい卵から繁殖できるまでの栄養を貯めこむ段階といえます
一方で、成虫は拡散、交尾と繁殖を目的としているため
栄養を翅やフェロモン、メスへのアピールへ振り向けます。
ハネやフェロモンを食べても栄養的にはあまり利用できないので、
美味しく、かつ栄養たっぷりに食べるためには幼虫か、
完全変態昆虫では
栄養をタンパク質に変えつつあるサナギを選んで
食べると良いかもしれません。
事実、幼虫とサナギは大変美味しく、
かつ独特なニオイが少ないものが多いです。
休眠するサナギであれば長期間新鮮なままの保存も可能です。
サナギや幼虫を保存食として携帯する日が来るかも知れません。

1

以前紹介したジャイアントミールワームこと
ツヤケシオオゴミムシダマシ Zophobas atratus Fabricius? 
その後飼育を続け、単独飼育個体が蛹化しました。
かれらは幼虫で集団飼育すると蛹化が抑えられ、幼虫のままでいる
という性質があります。
幼虫を生き餌として使う場合は非常に優秀な昆虫ですが、
幼虫の味と食感は茹でにはあまり向かないもので、
サナギに期待をしておりました。

左サナギ 右前蛹(たぶん)
摂食しなくなった単独飼育の幼虫を前蛹とします。
前蛹
茹でてもねっとりとしたクリーム状で、茹でた落花生の香り。外皮が水をはじくので、ポン酢の味と絡まない。茹でではやや外皮と内部のバランスが悪い。いつものように揚げていただきたい。幼虫のような不快臭がないので、
コムギフスマの未消化物のニオイではないかと思う。
幼虫でも与える食べ物によって食味が改善する可能性アリ。
サナギ
写真では半透明だが、
茹でると真っ白になった。
タンパク質が含まれているようだ。クリーム状の内部が前蛹よりもやや淡白になり、香りも穏やか。
油とタンパク質のバランスが非常によく、美味しい。ポン酢も節間に絡むので相性が良い。外皮もきにならない。カミキリムシにもつながるおいしさ。
ジャイアントミールワームは蛹化させたサナギが最高だとおもいます。
昆虫食初心者の方、ジャイアントミールワームがあまり美味しくないと感じた方、
ぜひサナギをご賞味ください。
また、茹でると色が白く濁った点、味がまろやかにタンパクになった点を考えると、油が多く、栄養バランスが悪いと言われるミールワームですが、
蛹化することでもっとよい栄養バランスになると思われます。
爬虫類の生き餌にも、もしかしたらサナギがいいかもしれません。

前の記事「バッタ会のガイドライン」で
A級バッタとしておきながら
その味見の記事を書いていませんでした。
ヒゲマダライナゴ Hieroglyphus annulicornis

宮古島,伊良部島,石垣島,西表島に生息する大型のバッタで、
サトウキビが大好き。
味見
全くクセがなく、まさにエビ。非常に食べやすい。
茹ででもいけるが、高温の油でカラリと素揚げすると
更に美味しい。
このバッタを食べるまで、
「虫ランキング」なるものを作っていたのですが
このバッタをどこに入れるべきか、
かなり迷ったものです。
エビを食べ慣れたヒトが食べやすいので上位と言えますが、
昆虫の独自の味が感じられないのであればあまり上位にしても、と思います。
ということでウマイことは確かなのですが、
同じように美味しく、独自の香りのあるトノサマバッタと比べて
どちらが上かと言われると、わからなくなってしまいました。
なので虫ランキングは49ぐらいで止まり、
食べた虫一覧が最近100ほどになっています。
ここからランキングにするとしたら
調理法
「揚げて食べたい虫ランキング」
季節
「夏に食べたい虫ランキング」
レベル
「初心者に食べてもらいたい虫ランキング」
冒険
「昆虫食上級者に食べてもらいたい虫ランキング」
場所
「野外で食べたい虫ランキング」
ううむ多種の昆虫を一律の基準で比較するのは難しい。
二軸でマトリックスをつくろうか。
と考える次第であります。

久しぶりの更新です。
秋の虫イベントに参加し、
虫の縁で様々な人に出会いました。
秋といえば、「バッタ会」です。
バッタ会のガイドラインを書こうかと思ったのですが
日本の主なバッタをきちんと食べて記事にしたか再確認したところ、
トノサマバッタ
ショウリョウバッタ

コバネイナゴ
ツチイナゴ
クルマバッタ、クルマバッタモドキ
ヌケがありましたので、「バッタコンプリート」
と題し味見をしていきたいと思います。
まず
オンブバッタ Atractomorpha lata
身近な種。ショウリョウバッタと間違われやすいですが、ハネがはえている成虫時に4cmぐらいであればオンブバッタ。10cmを超えるような大きなものはショウリョウバッタです。

ショウリョウバッタモドキ Gonista bicolor

こちらもわかりにくい名前。形としてはオンブバッタの方がショウリョウバッタに似ていると思う。
ススキによくいる細くて柔らかいバッタ。

長さはショウリョウバッタモドキの方が長いが、
ボリューム感は同じぐらい。
味見
オンブバッタ
ショウリョウバッタと似たほろ苦さがある。外皮も固めであまりバッタ内ではおいしくない。揚げれば美味しくいただけるのでご安心を。
ショウリョウバッタモドキ
ショウリョウバッタよりもやわらかく、食べやすい、草の香りが強く残っており、味の面ではショウリョウバッタとは似ていない。
味の面でもショウリョウバッタとオンブバッタの近似性がしめされたようです。
これにて
身近でたべごたえのあるバッタはコンプリートしたと思いますので、
秋のメインイベント。
「まだ間に合うバッタ会のガイドライン」を
この後、書こうかと思います。

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9月の中頃、
3齢ぐらいのブドウスズメ Acosmeryx castaneaを食べ、
とても美味しかったので、終齢、もしくは前蛹が食べられないものかと
毎日ぶどう棚を見に行く日々が続きました。
食痕はすれど姿は見えず、
フンはあれど姿は見えず。
ようやく見つけた終齢幼虫を脱走させるという大失態もおかしました。

さて、
そんな困難もありつつ
先週、ようやくみつけ、
ぶどうのめぐみとかいうスキャナ写真を撮影し
かんぜんにうかれつつ、「前蛹」になるのを待ちます。。
時期が来ると
ぶどうの葉を食べなくなり、フンも小さく少なくなってきます。
ワンダリング、というサナギになる場所を求めて
地上をさまよう段階になります。
同時に、なぜか色が茶色くなります。

この色変化は葉の保護色である緑から地面の保護色である茶色に背景色が変わったためなのか、
それとも不要になった緑の色素を回収し、
サナギや成虫へのエネルギーにまわしているのか。
原因は不明ですが。はっきりと色が変わります。
面白い現象です。
プリンカップにティッシュを入れると、潜り、
周囲に繭のような荒い構造を作ります。

この時、幼虫は液状のフンを出して消化管内を空にし、
前後に縮んで外皮の弾力がなくなってきます。前蛹です。

この前蛹でしばらくすると、
脱皮し、サナギとなります。
ですが、この前蛹が大変美味しいのでこの段階で頂きます。
スズメガの大型の終齢幼虫は外皮がゴムのように弾力があり、
かみきれません。また、内部も液状で、水風船のような感じです。
味わいも薄く、食べにくいことから、
より美味しく食べるためには、
サナギか前蛹をオススメします。
逆に若い幼虫は柔らかく、そのまま茹でるだけで美味しく頂けます。
さて、
待望の前蛹いただきました。いつものように茹でポン酢。
サクッと歯切れよく、内部はほどよくまとまった絹ごし豆腐状態。葉の香りもの残っていて非常に美味しい。待ったかいがあった。
歯切れ、味、香り全てが完璧ではないかと。エビガラスズメ並の美味しさ。
ブドウは育てるだけでグリーンカーテン、実の収穫、更にはブドウスズメと、
恵みの多い作物だといえそうです。

完全変態昆虫は前蛹が美味い。
とおもいます。
今までにいろいろ前蛹を食べてきましたが、
エビガラスズメ
シャクガ、シンジュサン
コガタスズメバチ
クロホウジャク
おいしさのひみつとして以下の要素があります。
1,前蛹になると腸内の内容物を出しきる
2,外皮に弾力がなくなり、縮まって味が濃厚になる
3,サナギほどクチクラが固くなく、サクっとした食感になる。
今回は前蛹が3種同時に食べ比べることで、
種ごとの違いを見ようと思います。

まず何度も食べているエビガラスズメ Agrius convolvuli

爽やかなイモ葉の香り、コク、うまみがよく調和していて美味しい。大型幼虫のため、前蛹の外皮が固く、多少舌に残る。幼虫やサナギでも美味しくいただける。
セスジスズメ Theretra oldenlandiae

やはり食草であるヤブカラシの青臭さが強く残る。内部は前蛹でもかなり液状で、クリーム状のエビガラスズメとは大きく異る。外皮がサクサクと噛み切れるため、幼虫よりは食べやすい。
シロイチモンジヨトウ Spodoptera exigua

ヨトウガは今まで食べたことがなかったのですが、
イネ科の葉を食べているので味見することに。
イネワラ系の香ばしい香り。クセが全くなく、プチッと弾け肉質の味がひろがる。外皮もやわらかく食べやすい。
やはりセスジスズメは前蛹でも
美味しくないことがわかりました。
かなりたくさんいるのに残念。
一方ヨトウは意外とくせもなく、美味しく頂けました。
ヨトウはかなり広食性なので、養殖もラクにできそうです。

アカスジキンカメムシPoecilocoris lewisi
大型の美しい種。

石目状のグリーンのメタリックに、つや消しの赤が隈取のように配置され、とても美しい。しかもあまり臭くない。死ぬとくすんだ黒っぽい色になってしまうのが残念。
以前に採集していた幼虫が室内飼育により越冬幼虫で止まらず、成虫になったので
味見することに。昆虫料理研究会では「美味しい」との評判だったので期待大。
味見
触っただけではあまり臭いは出さないのに、食べてみるとしっかりカメムシ味。パクチーとそっくり。他のカメムシ(ホソヘリカメムシ キバラヘリカメムシ)と違い、香り以外にうまみが感じられ、食材としてイケるかも。ただ私が、パクチーを含めカメムシ味が苦手なので、個人的には好きではない。
パクチー好きの方、タイ料理ができたのに肝心のパクチーが無い、とお困りの方、
アカスジキンカメムシで代用し、メタリックで豪華に仕上げてはいかがでしょうか。