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別れた恋人の名前をゴキブリにつけてミーアキャットに食わせるバレンタインイベント

動物倫理がここまで来たかと、感心してしまうイベントが開催される模様です。引き続きウォッチしていきます。

名付けられたゴキブリ

こちらの記事によると、アメリカテキサス州のエルパソ動物園で、別れた恋人の名前をゴキブリにつけて、昆虫食性のミーアキャットに与える様子をライブストリーミングするというもの。Quit bugging me! イベントなので「五月蝿い黙れ!」といったニュアンスでしょうか。嫌な思い出として葬り去りたい過去の名前を、ミーアキャットに食べてもらおうという企画です。

金銭のやり取りはないですが、SNS拡散を狙ったネーミングライツのようなもの、と言えそうです。ミーアキャットは相変わらずいつもと同じ養殖昆虫を食べるだけですので悪影響はないですし、育てられた生き餌用のゴキブリも名前をつけられたからといって食べられる運命に変わりはありません。なので先にはっきりさせておきますが、動物福祉、アニマルライツ、どこから見ても全く問題のないイベントです。問題ない、ということはここからいろんな派生を想像して教材として利用することができます。それでは参りましょう。

ゴキブリをヒヨコかハムスターにするとどうか。

めっちゃ触れる動物園、という色々と飼養に問題が指摘されている個人経営動物園があったのですが、そちらではめっちゃ触られたヒヨコとハムスターが他の肉食動物の餌として使われていました。

PIECEという動物愛護団体がこちらに挙げた質問書では、それそのものへの嫌悪感が書いているわけではなくて、それにより感染症などの悪影響を増大する可能性はないか、質問としてあげています。なので今回の場合、名付けイベントによって衛生状態が悪化することはないでしょうから、ゴキブリをヒヨコにしても衛生上の問題はないでしょう。少なくともバレンタインイベントとしての楽しみ方は少し減るような気もします。

金魚ならどうか。

多くの子赤(縁日の金魚すくいでよくいるシュッとした赤いフナ)が肉食魚の餌として使われています。赤い色合いもバレンタインらしくいいでしょう。魚に関する「苦痛」の研究は盛んですが、現在の効率的な漁業のあり方がだいぶ魚に肉体的な負担をかけるものなので、研究が魚全般の扱いを変えるまでの政治運動になるのはちょっと時間がかかるような気もします。イベント参加者が金魚がかわいそう、となるのか。ここら辺が分水嶺として気になるところです。ライブストリーミングをした映像とその食べ方(丸呑みタイプの方がいいかもしれないです)にも影響される気もします。

藁人形ならどうか。

ここからトリッキーになってきます。

「クソがきども」などと脅し文句を書いたわら人形を小学校の通学路につるしたとして、東京都江戸川区の男性(41)が9月27日、脅迫の疑いで警視庁小松川署に逮捕された。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1403/n_6816/

なるほど。イネ科の植物の死体を束ねて人型にしたものを吊るし、不特定多数の不幸を願う文言を書いて吊るすと脅迫罪。

さてこうするとゴキブリをミーアキャットに食わせるという「呪術」が公知の事実として知られている、恐怖感を感じるかどうかが争点になりそうです。逆にいうと、ゴキブリを食わせるという露悪的なイベントが「もともと一般市民がゴキブリへ感じている恐怖感を殺して減らす」という効果があるならば、そこに批判(嫌悪)は生じないような気もします。

スーパーでやると威力業務妨害

スーパーマーケットの店内にゴキブリ10数匹をまき散らして業務を妨害したとして、兵庫県警垂水署は5日、威力業務妨害容疑で、神戸市西区学園西町、市立小学校事務員の女(56)を逮捕した。「ゴキブリを生かしておきたくて、逃すなら餌がたくさんあるスーパーだと思ったが、業務妨害をしようとは思っていない」と容疑を否認しているという。

https://www.sankei.com/west/news/160705/wst1607050024-n1.html

証言だけ見ると心優しいゴキブリ飼育者に聞こえるんですが、どうやら言い逃れのようです。私も日本でゴキブリ飼育をしていましたが、絶対に逃さないよう、皆様気を付けましょう。

すると「ゴキブリに元恋人の名前をつけてミーアキャットに食わすという呪術」が一般的でないからこそ脅迫罪に問われず、動物園で隔離された状態でライブストリーミングするので衛生的に問題がないため威力業務妨害にならず、ミーアキャットは名付けられたゴキブリといってもいつもの食事をするだけで、それでいてSNSで拡散するので宣伝にもなる、というなかなか多方面に配慮の行き届いた、そして攻めた企画であることがわかりました。

ゴキブリがおもちゃにされて殺されるイベントに不快感を覚える人や、本来生き餌用に衛生的に養殖されたゴキブリと、全く別種の、別の場所の衛生害虫としてのゴキブリ嫌悪を混同したような、分類学を無視したイベントの悪趣味さ、それを学問を司るという建前の公立動物園で開催するという点に辟易する人も、私を含めているかもしれません。

もしやめさせたい場合は、狙い目は脅迫罪です。人型に整形した稲ワラでいけるわけですから「ゴキブリに元恋人の名前をつけてミーアキャットに食わすという呪術がある」という都市伝説(今時はフェイクニュースといいますか?)を広めることで、悪趣味に嫌悪を煽られて消費されるゴキブリが救えるかもしれません。戦略的に参りましょう。

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