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9月7日 理化学研究所シンポジウムに登壇しました。

だいぶ前の話になってしまうのですが、9月7日、理化学研究所にて開催された「次世代タンパク食を考える」シンポジウムに、ラオスから一時帰国して 登壇してきました。

初めての和光、初めての理研です。おぉ。敷地が、、大きい。。。。 当日、誰からも気づかれなかったのですが、気合いをいれてこんなネクタイをしていきました。

会社員のコスプレと呼んでいます。

http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/events/symposia/20180907/20180907_p.pdf

発表した資料を、問題ない範囲で公開しておきますので、ごらんください。 これまでの蟲ソムリエの活動を紹介したり

「価値観を正す」のではなく「ゆるがす」昆虫食のデザインワーク、「昆虫食展」

今の昆虫食界隈の問題。イシューはあるのにプロダクトは弱い。サステナビリティを標榜しながらそこで出される昆虫のサステナビリティがよくわからないものを出すしかない。 軽く自己紹介をしたあとに本題。 今世代、新しく次世代にむけた問題が顕在化したときに、その問題が顕在化するまえに忘れ去られた前世代の可能性を含めて未来に向けて対策していこう、という趣旨です。 いわゆるルネッサンスですね。

よく引き合いにだされるグラフ。

そしてよく紹介するFAO報告書。みなさん読みましたか。

生物多様性条約における「利益」を見積もる時に、昆虫の利益、見積れてますか。昆虫食という大きな可能性を無視していると、あとあと不公平になりますよ。

 

生態系を模倣した循環型農業、と言っていますが、生態系に昆虫はつきものです。昆虫を加えることで、より循環の設計が自由になりませんか? そしてこれが私がラオスに来た最大の理由。 「昆虫を食べている地域は食べていない地域よりも栄養状態が良い」のではなくむしろ悪い、という現状を確かめに来ました。  そしてラオスの写真たち。こちらは雨季

うってかわって乾季。

村の市場の様子

タイワンオオコオロギのはかりうり

美味しいいいため

オオスズメバチの高いこと。日本より高い値段。

茹でたら、ラオス人スタッフから「蒸した方がうまい」とのこと。

ビエンチャンの市場。バッタとカメムシのほとんどは死んでいる。流通卸の問題もまだまだ改善したい。

ある日のビエンチャンタイムズ。収入は栄養の重要な要素だが、収入アップが必ずしも栄養にはつながらない。そこをどう設計するかが腕の見せ所。 この活動は味の素ファンデーションの助成で、ISAPHの活動として私をラオスに派遣することでやっています。なかなか安定した立場ではないです。来年度まで助成は続きます。

ビデオ内にあった「村落栄養ボランティア研修」で昆虫について説明したスライドです。   さて、ラオスの事例を元に、未来を考えてみましょう。 ラオスの自給的農家はいわゆる日本の昭和の農家に近い状態です。なので「今に残る前世代農家」といえます。   「昔の人はコメばっか食ってた」と言われますが、今のラオスにおいても、コメを大量に食べている様子が伺えます。そしてコメいがいは野生食材に依存していることから、市場で野菜や肉を買ったりすることなく、季節の旬の食材をおかずとして味わっているのです。 こう説明すると聞こえがいいですが、実際問題として野生食材は季節によって不安定になりやすく、狩猟採集に時間もかかることから、特に乳幼児の栄養に関して、リスクがあります。     そのため家庭菜園や養殖昆虫を使うことで、野生食材を取りに行くまでもなく、家庭から身近な栄養にアクセスできるように支援できれば、と考えています。 「コスパ」という概念がラオスの田舎は大きくことなります。海外から物を買うとコスパが悪いのです。そのためできるだけ「自給」できることが、彼らの経済力にもつながっていきます。   そして今、3種の昆虫を並行して実装に移そうとしています。 しかし、昆虫を食べている文化だからといって、養殖昆虫が気軽に受け入れられるわけではありませんでした。けっこう盛大にひかれましたが、なんとか5名の希望者をうけいれ、パイロットファーム がスタートしています。

「ラオスでは昆虫がたべられているからすんなり養殖昆虫も受け入れられる」というのは過度な期待であって、日本と同じように、コミュニティに受け入れられていく、そしてコミュニティそのものを支援していくような根気のいる、王道の展開がサステナビリティな社会を作っていくのではないでしょうか。

昆虫のポテンシャルを印籠のように掲げてお金を集め、そのお金で貧困国の農民を使役し、そうやって作られた昆虫は、はたしてサステナブルでしょうか。

そしてまた、日本でのコミュニティにおける合意形成をしながら、根気強くやっていくのが大事なんではないかと、いなか伝承社の田中さんを見て思うわけです。

 

さて、理論的な話から始まって、泥臭い話でおわりましたが、この活動はいくつかの新しいことを挑戦しています。

登壇者として培養肉のShojinmeatの方も来ていて、ディスカッション、意見交換会では、昆虫か培養肉か、というものではなくて 昆虫も培養肉も、具体的な現場の問題解決の選択肢として、実績を積んでいこう、という話になりました。 また、培養肉の最大の敵は実物の肉だとのことで、ではもう化石種で現存しない、メガネウラの切り身を現代に蘇らせられたら競合がいないのでは、との話もしました。 昆虫の切り身、食べてみたいですね。今後に期待します。

 

ということで、そのあとはラオスに戻り、村人にひかれてしまったゾウムシ養殖の希望者を募り、11月はじめにパイロット農家の育成をはじめたところです。まだまだ忙しいですが、養殖拠点での研究、村への普及、そしてゾウムシの後に控える昆虫たちの準備と、まだまだやることが山積みです。 何しろもともとは短期での滞在と指導によって昆虫養殖を軌道にのせようとしていたところ、私の判断で関係各所に無理してもらって、こちらに長期滞在しているものですから、活動予算が足りません。

ご支援いただけるとありがたいです。 ラオスでの母子保健活動全般についてはISAPHへ   食用昆虫に関わる食用昆虫科学研究会へのご支援はこちらへお願いします。 また、これからは 「タンパク質が増産されたらタンパク質不足は回避できるのか」「そもそも現状の食糧問題は総量の不足なのか」「どういう動機付けをしてラオスに昆虫養殖を導入していくのか」 みたいな込み入ったところもまとめていこうと思います。

そしてなぜ2ヶ月もたって、今更この記事を書いたかというと、ようやく旅費の精算が終わったからです。 精算に必要な半券を「これは大事にしないといけない」とどこかに(胸ポケットかパスポートケース)に入れたところまでは覚えているのですが、ふわりと紛失し、 エアアジアに搭乗証明書の発行を依頼し、全く音沙汰なしでそれから2ヶ月後、突然搭乗証明書が送られてきたのです。 ネット上ではエアアジアからは搭乗証明書が出ない、という話もありましたが、遅いですが出る、ということがわかりました。2ヶ月あればですが。 大事なものを、大事だからこそ失くしやすい皆様、どうにか生き延びていきましょう。

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