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今日はラオスの建国記念日でお休みです。ブログネタが溜まっていたので書いておこうかと。

いつにもまして忙しかった、、、、、ですがいい出会いや 新しいアイデアの更新もありました。 どこからブログ記事に起こしておきましょうか。


「バンコクのコオロギ農家と工場を見学してきました。」

「サイエンスアゴラ2019に出展してきました」


「未来と芸術展」

「ミイラ展」

「オープンリサーチフォーラム」

「Ai Hasegawa さんセミナー」
ぐらいの順番でいきます。

オオツバメガ Lyssa zampa、というあこがれのチョウが玄関に来ていた。うれしい。

村で活動中、アゲハの幼虫がいないかと、対象家庭のお隣のコブミカンの葉をなぞってみていたら、ステキな虫を見つけました。

Thosea sp. というところまでは絞り込めたのですが、幼虫の姿形で判断するのは文献情報が足りませんでした。ひとまず撮影。

トゲがすごそう。

拡大してみるとトゲが痛そう。触って確認すれば有毒かどうかわかるんですが、観察の名目で腰が引けていました。もうすぐ帰国なのに余計なケガしたくないなぁとか。触らずに判断できる方法はないだろうか、とか。

痛いらしいぞ。これは、、、

そうこうしているうちに幼虫はワンダリングをはじめ、まゆを形成。ありがとう。これで触る決心がついた。よく空気の読めるイラガだ。

毒毛虫のトゲは2種類が知られていて、片方は毒を打ち込む機能をもつ毒棘(どくきょく)、イラガが代表的ですね。海の生物ではクラゲも毒棘があります。もうひとつは毒針毛(どくしんもう)。刺す筋肉はなく毒をまといつつ皮膚に刺さり、掻いたりするとポキポキと折れることで炎症を広げていくとうおそろしい仕組みです。チャドクガが有名ですね。ヒロヘリアオイラガなどは毒棘と毒針毛の両方をもち、繭を作るときに体の毒針毛を外側に向くよう植え付ける、というアクロバティックな再利用方法をします。いっぽうで毒棘しかないイラガは繭を作り前蛹になるとその機能を失い、おいしくいただけるのです。

イラガは運が良ければイラガイツツバセイボウの寄生をうけていることがあり、これもまたおいしい。

まずは繭を観察、トゲや毒針毛がないか確認し、皮膚のやわらかいところでなぞってみる。痛くないしかゆくもない。

まゆ。

ニッパーを使い繭を割る。ピスタチオの殻のようにパリッとわれるのがイラガの繭の特徴だ。

中から縮んだ前蛹(サナギの脱皮をするまえの幼虫)があらわれた。
揚げパンのようだ。
さわってもいたくない!うれしい!
かくれがちな顔。かわいい。
茹でると鮮やかなイエローへ!これはおいしそうだ。

味見

うまい!食葉であるコブミカンの葉の柑橘系の風味は感じないが、クニュっとした歯ざわりと筋肉の弾力もあり、 トゲは全く気にならない。コク深い体液が口の中に広がり、少しの渋みが口の中をさっぱりさせる。 うーんおいしい。色も鮮やかですばらしい。はたしてこれは幼虫時代に有毒だったのか、これは次回確かめるしかない。

確かめるしかない、、、うーむ。

しばらくラオスにいることになったので、日本での活動はいろんな方に手渡していければいいなと思い、今回は昆虫食企業に企画を持ち込みました。

企画の持ち込み先はタガメサイダーを開発したTAKEOさん、少し前までは輸入商社として動いていた気がしたのですが、もう商品開発まで行っています。とってもスピーディー。

では、ということで、TAKEOさんのところで買ったバッタパウダーのデメリットを減らし、そしてパウダーならではの利点を活かしたこのメニューの製品化を打診しました。今回は製品開発の一環ですので、味の感想をお聞きすることになるかと思います。

みなさんにとっては私のレシピのスイーツがタダで!食える!」いう素晴らしい企画になります。そして私はラオスにいますから、ラオスからレシピだけを遠隔で飛ばして日本のみなさんに食品を提供できる。これは未来ではないでしょうか。レシピの引き継ぎは7月の帰国時に伝えました。その後大量生産に向けて改良も加わったようです。

さてその詳細はTAKEOさんところのHPで掲載されました!

反応がよければ、そしてもっと改良が進めば、製品化も?という状況です。踏ん張りどころですのでぜひ食べて、味の感想をフィードバックしていただき、おいしいバッタ生キャラメルが提供できればと思います。31日、木曜日まで!

それではこれまでのバッタ生キャラメルに至るまで、バッタ粉末と歩んだ試行錯誤の経緯をごらんください。こんなこともつぶやいていました。

バッタとスイーツの相性は2014年に気づいていました。トレハロースも。

初期は「バッタ生チョコ」として開発していました。

味の感想、お待ちしております!

そういえばバイリンガルニュースに出演したときにお二人にたべてもらったのもこのスイーツでした。

2

昆虫食の推進するにあたっての大きな壁となっている、「虫が嫌い」という概念を理解して、これからの「虫」の社会的位置づけを考えようとしています。しばらく試行錯誤していたのですが、少しばかり前進がありましたのでかるくまとめておきます。

キーとなるタイミングは「虫の死」ではないかと。そして虫が死ぬ際に生じる「さびしさ」こそがこのストレスの本丸なのではないか、と思い始めました。「嫌悪や怒り」を示しているのかと思っていたのですが、どうも雰囲気が異なる気がしてきたのです。

ヒトは多様ですし、虫はもっと多様です。そしてヒトと虫の相互作用によって行動はさらに可塑的になります(あなたが手を出すことで、虫が動くのです)。

膨大なパターンの「虫とヒトの出会い」があるでしょう。そして不幸な記憶、トラウマ記憶の恐ろしいところは、フラッシュバックという現象があることです。目の前に虫がいるだけでなく「トラウマ記憶を想起させる虫に関する断片的な情報」があるだけで、虫とヒトの不幸な遭遇体験がリアルに再現され、そのストレスがまた虫に対する拒否感を再生産するという悪循環をうみます。そしてその拒否感の再生産は事実かどうかを問わない(妄想によってすら加速する)のです。これはおそろしい。

そして「多様な虫に対する体験」は、多様すぎて一般化できない、そして多様すぎて体系化できない難点があります。

「人それぞれ、虫それぞれでなんとも言えない」というのが虫嫌いを克服したいと相談されたときの私の返答なのですが、当然ですが残念そうな顔をされます。

どうにか虫と人の関係性で、特に普遍的な、多くの人にとってキーポイントとなる切り口を考えたいと思っていました。そしてそれが、「虫の死」による「さびしさ」ではないかと考え始めています。

気づかせてくれたのはバイリンガルニュースでお会いしたMamiさん。

わたしは食用も含めて虫が色んな意味で「好き」になっちゃったので、共感的に理解することはできません。そのため、いわゆる虫を苦手とする人達に共感できず、いわゆる「センスがない」状態です。なんとも仕方がないことなので、言語化と推論でその全体像に迫っていこうと思います。

家庭用殺虫剤などを「虫ケア」で商標登録した会社がありました。

あなたは虫が苦手で、生きた虫を殺さずにハンドリングする自信がない。そして分類の情報ももちあわせていない。そこに出てくる虫。分類するための記憶や情報もなく、虫から目を離して図鑑をしらべる余裕もない。生きたまま捕獲することもできない。

手にしたのは虫ケア用品、殺虫剤。

こう考えると、本当はたくさんの「虫と人の出会い(と別れ)」があったはずが、虫ケア用品によってそのほとんどを「死に別れ」という画一化した、そして決してハッピーではない結末へと誘導されてきたように見えます。

この感情は「さびしい」ではないでしょうか。怒りや嫌悪であれば、殺したことでもっとハッピーに(苦痛が取り除かれた状態に)なるのではないでしょうか。

「さびしさ」というのはなかなか不思議なストレスです。

さみしさ、疎外感、そしてノスタルジックといった様々な感情が混ざってる印象です。

<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">「必ずしも解消がゴールではない」のがさみしさストレスの複雑なところ。さみしがる、というコーピングもまたある。究極的に死別もそうだろうなぁ。さみしさ。</p>— 蟲喰ロトワ プロ蟲ソムリエ @ラオス中部 次回帰国11月11日 (@Mushi_Kurotowa) <a href="https://twitter.com/Mushi_Kurotowa/status/1184712039081467904?ref_src=twsrc%5Etfw">October 17, 2019</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

昆虫が苦手、という方の中には「生きている虫より死んでいる虫のほうが苦手」とか、「昆虫が自分に殺すことを選ばせるので苦手」という方もいました。

私も昆虫が死んだらさびしいです。愛着のある生物として、養殖できた収穫の喜びとして、新鮮な食材として、そして興味深い好奇心の先として。そして私の好奇心や食欲によって殺された結果、もはや生きているときには戻らない不可逆性について。

いろんなさびしさが「虫の死」によってやってきます。

「昆虫が死んでさびしい」というのは虫好きも虫嫌いも共通に持ちうる感情として、もしかしたらひろく一般に共感できるのではないでしょうか。

私は生食を推奨しませんので、「虫の死」は昆虫食の前提として、なくてはならないものです。そして「食べる」ということが「昆虫が死んでさびしい」という気持ちを和らげるような気もしています。

また「食べるなら虫を殺していい」ようなコメントをもらうこともあります。一種の慰霊(食べて供養)のような仕組みなのかとおもいましたが、今考えているのは「さびしさの緩和」です。ほとんどの宗教も、死に別れに対する対応が含まれていると思います。かなり普遍的なストレスではないかと思いました。

虫の「死」のタイミングに生じる「さびしさ」に注目して、しばらく考えてみようと思います。なにかエピソードがあったら教えて下さい。

みなさま、週末の巨大台風の影響は落ち着いてきたでしょうか。Twitterを見ているだけで、ここラオスにも台風が来るのではないかとそわそわしてしまいました。私の次回の帰国は11月です。

研究会では毎年サイエンスアゴラに出展してきたのですが、今回はラオスで協力する保健NGOであるISAPHの「本邦研修」という保健人材育成事業とコラボする形で、研修に来ているラオス人公務員に少しばかり東京まで足を伸ばしてもらい、一緒にこれからの昆虫食について語ろうというトークイベントを開催します。11月16日午後14時半ぐらいを予定しています。サイエンスアゴラで語らいましょう。おさらいしておきますが、サイエンスアゴラのコンセプトはこちら。

サイエンスアゴラとは、あらゆる人に開かれた科学と社会をつなぐ広場の総称です。サイエンスアゴラは、異なる分野・セクター・年代・国籍を超えた関係者をつなぎ、さまざまな人たちが各地で主体的に推進する活動の広場です。この広場に集まる人たちが多様な価値観を認め合いながら、対話・協働を通じて、これからの「社会とともにある科学」と「科学とともにある社会」の実現を目指します。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/about/

そして2019のテーマはこちらです。

Human   in the New Age   -どんな未来を生きていく?-

あなたは、科学技術の開発がさらに進んでいるであろう未来に、どんな暮らしをしていたいですか?
望む未来に必要な技術とは?機械や新技術に委ねたくない人間性とは?
サイエンスアゴラ 2019 では、そもそも人間とは何なのか、自分は何を選びたいのか、目の前のものをどう使いたいのかを、さまざまな視点から考える機会を提供します。

https://www.jst.go.jp/sis/scienceagora/exhibition/

ぴったりだと思いません?

しかし、一緒に語らうにあたって日本側に大きなハンデキャップがあります。



多くの日本人は昆虫を食べる自分を
イメージできない。

以前に「食の未来を考える」トークイベントに客として参加した際、日本の文化を背景とする人だけがリサーチし、これまでの年表をまとめ、歴史学風に未来を想像するという流れでしたが、どうしても抜け漏れが発生してしまっていました。自然の昆虫を食べてきたという日本の歴史がすっぽり抜け落ち、未来のコオロギがふんわり乗っかるという、とても浮世離れした未来予測になってしまっていたのです。

それではいかんだろうと、一つ対策として考えられるのが、このときのゲストの一人であった西廣先生の分野です。西廣先生は生態学をベースに植物の救荒食としての可能性を見出し、今後(温室効果ガス低減をどれだけがんばっても)不可避である温暖化に備え、さまざまな適応策を考えておこうとする立場の研究者です。もちろんそこに温室効果ガスを出しにくく、そして既存の恒温動物よりも熱中症に強い昆虫も推したいところですが、こちらの話はまた今度すすめます。

このような生態学ベースの「未来の食提案」に昆虫が含まれるのは妥当です。生態系をみても昆虫を主な食料にする哺乳類は多様にありますし、もちろん人間も食べてきました。一部の危険な虫を除いて体力のない子供でも、高齢者でも扱えることから、栄養源としてまだまだ伸びしろがあります。

そして今回のアゴラでのチャレンジは「昆虫食文化が濃くある地域」からの提案をうけとめきることです。ラオスでは昆虫を食べる文化が普通にあり、私が提案してきた「昆虫養殖で地域貢献」というアイデアはほかの食材と同じように至って普通のものとして、ラオス側に受け入れられてきました。

というのもラオスは「飢えない最貧国」とも呼ばれ、NGOを始めとした外国からの開発援助を常に受け入れてきた国です。その中でも地元の農作物や畜産物に対して高度な技術支援をするというのは当たり前の、ごく普通のプロジェクトとして行われてきました。しかし、たしかに昆虫を使ったものは明らかに少ないのです。

その原因は「先進国に昆虫食文化を持つ国が少なかったこと」といえるでしょう。先進国は食の技術をレベルアップすることで安定に、そして安全に食生活が営める社会をめざしてきました。

そして残念ながら、その中から昆虫食はこぼれ落ちてしまい、昆虫は「殺虫剤で殺して除外するもの」という位置づけになってしまいました。そのため昆虫を食利用するという技術を、先進国すらも持っていないのです。その中で「支援」をしつつ「技術開発」をするというホットな研究活動現場を作ろうとしているのですが、この話もまた別でまとめます。

そこで今回のテーマです。

日本側参加者の課題は「昆虫を食べる自分をイメージできるようになること」です。当日は試食も用意しますが、本当に無理して食べる必要はないですし、「食べる必要があるから食べる」では食のイメージがあまりに貧困です。おいしいから、食べ物だから食べるイメージを、ロールプレイのつもりでラオス人ゲストとともに高めてください。

その上で、ラオスの抱える栄養問題を知り、その支援をしたいときに、日本から何が提案できそうなのか。また今後(というかもう来ているんですが)、ラオスの昆虫食文化をもつ若者が日本にやってきたときに、日本からどんな食材で、料理でオ・モ・テ・ナ・シができるのか。一緒に考えていきましょう。

さて、今回は日ラオの通訳の関係で、事前に質問事項を整えておきたいです。

ラオスの昆虫について、ラオスの栄養の問題について、その他いろいろ、聞いてみたいことがありましたら、お知らせください。多様な視点からの質問をお待ちしております!

さて、先月は「あえて昆虫をオススメしない」という活動をしていました。ナンバンカラスウリという栽培が容易なウリ科の多年草をオススメし、そこからビタミンAを摂ってもらおうというものです。しかし村にとって新しいものとはいってもそれを食べる虫はやってきてしまうものです。広食性昆虫おそるべし。こんな虫が来ていました。

うごきがひょうきんでかわいい。

以前に見たマンゴーミバエによくにています。

しかし、その後私の顔はこわばります。

たまごうんでる!

そうなのです。ウリといえばウリミバエ。詳しい方にセグロウリミバエではないか、と教えていただきました。ウリミバエは刺したり噛んだりせず、その地味な生態に比べて、育った幼虫が実を腐らせてしまうことから、経済的なダメージの大きい虫として知られています。

沖縄では不妊虫放飼法という、放射線処理をしたオスを大量に野外に放つことによって、近縁のウリミバエの根絶に成功したという事例があります。

セグロウリミバエも植物検疫で水際で見つかったりと、要注意な虫なのですが、ここはラオス、自然分布域です。遠慮なく観察しましょう。

カボチャミバエと同様に、ウリミバエの幼虫はジャンプできます。みてみましょう。まずは180fps

よくわかりませんね。次が480fps

ぐいぐいと、筋肉パワーが無明逆流れのように溜まっていくのがわかります。すごい。そしてこのスローでも詳細がつかめないほどのスピード。肉眼では本当に消えたように見えます。それでは食べてみましょう。

しっかりした筋肉の弾力があり、薄皮で食べやすく、パチンと弾ける皮の食感もよい。 味は淡白で特徴が薄いが、それだけ拡張性があると考えられる。蛹化に失敗した個体がいくつかあるので蛹化用の足場を考えよう。

跳ぶ寸前。

とても美味しかったです。マイクロポークビッツみたいな。

チチュウカイミバエを使ったイスラエルの昆虫養殖スタートアップもありますし、ミバエも管理次第では化けていくかもしれませんね。

さて、ビネガロンを捕まえてはしゃいでいたあと、村の村長さんから大きなセミをいただきました。虫の人として覚えてもらってるようです。ありがたい。

このときは、なんだか大きいなぁと思っていたのと、うっすら「テイオウゼミ」の模様が頭をよぎったのです。ん?クマゼミと同じくらいのボリュームだけどテイオウゼミっぽくないか。

翅の付け根の赤が差し色で美しい。

村から街に帰り、調べてみると世界最大のセミの属、Megapomponia (メガポンポニアって声に出して読みたくなりますね)であると教えていただきました。ラオスには小型のM.intermedia. 更にマレー半島の南には最大種、M.imperatoria テイオウゼミが住んでいるとのことです。

インドネシアからメガポンポニアの新種が記載された論文がありまして、そこから胸部の斑紋の写真を見比べ、Twitterのセミに詳しい方に教えていただきながら個体差なのか、種の特徴なのか、モヤモヤしながらこれではないかと。

さて、和名「ヒメテイオウゼミ」で気になってしまうのは「職位はなんなのか。」ですね。帝王なのか姫なのか。

「姫帝王」というツンデレのような新しいジャンルなのか。

小さいセミはチャクチャン、大きいこのセミはメンオーッというそうです。クマゼミが60mmから70mm これが体長59mmなので、さほど日本のセミより大きいわけでもないです。

ともかく茹でてたべてみましょう。

茹でると茶色い汁がでて木の香りがつよいが、味はとってもタンパク。ほとんど胸にしか肉がなく、腹部はスカスカで軽い。外皮も大きい割りに硬いわけでもない。 茹でると香ばしい木の香りがするが、茹で水に溶け出してしまって筋肉の味わいは普通だった。

チャクチャンのほうが身が小さい分詰まっていて、おいしいと思いました。もう一つやはり食べたいのがテイオウゼミの幼虫。どこかで食べられるでしょうか。マレー半島行きますか。

世界三大奇虫、と呼ばれる陸上節足動物がいます。サソリモドキ、ウデムシ、ヒヨケムシですが、まぁなにをもって「奇」か、と言われると、、うーん。楳図かずおが書きそう、といった感じでしょうか。クモ、サソリ、ゲジ、シャコとともに昆虫とエビカニの間に見えるので、さほど食べにくそうにも感じないです。

そしてこちらがビネガロンことサソリモドキ。サソリにシルエットが似ていますが、しっぽに針がなく、代わりに細い管から酢が出てくる。そしてハサミに見えるのは噛み込みのギアのようになっていて、コオロギを与えると左右からグリグリと巻き込んで口に運んでいく、一方通行の地獄のギアなのです。食べっぷりのかっこよさはすばらしい。SFっぽさではトップクラスではないでしょうか。

サソリモドキ ビネガロンの一種。

いきなり話は飛びますが、昆虫のレシピをラオス人スタッフと作っていたときに、「特に女性はラオス人でも昆虫がうねうねしているのを嫌がる人が多いので、すりつぶした料理はどうか」と提案され、「自分は昆虫が大好きなので、姿が美しいと思うし、かじったときの食感が失われてしまうのもあまりいい気がしない」と言ったところ「それはあなたの感覚でしょ?」と言われました。そうなのです。まさにそのとおりで、私のセンスは日本からも、そしてラオスからもまた遠く、好奇心というエンジンに駆動され、文化から乖離した明後日の方向にむかっているのです。おもしろいとは言われるけれども参考になるとは言われない。

話を戻しましょう。実はこのサソリモドキ、一度食べるチャンスがありました。

2015年4月、私は飼っていたのです。買ったのか頂いたのか、わすれてしまったので、もしいただいていたら大変申し訳無いんですが、しばらく飼い続けて結局死なせてしまったので、大変深い後悔の思い出があるのです。

さて今回は、絶対に死なす前に食べようと、写真撮影もそうそうに食べます。捕まえた時に酢の強い匂いがあり、わくわくです。

一緒に村に来ていたラオス人スタッフと匂いをかいで酸っぱ!とこれを見つけた集会所の裏ではしゃいでおりました。この容器はラオカオと言われるラオス焼酎の空き容器です。

かっこいい。
立体構造が複雑なのでなかなか写真にとりにくい。

立体的な複雑さと、ダンシが考える「かっこよさ」がなんだか相関しそうな気がするんですが、なかなか見ていて飽きない虫です。果たして酸っぱいのか。

実は以前に、「ビネガロンで酢飯をつくる」という企画案をいただいたのですが、量的に難しそうだ、と計算してお断りしたことがありました。実際にどれほど酸っぱいのか、茹でて食べてみましょう。

サソリよりだいぶうまい!ビネガロンの名前の通り茹でると酢の匂いがしたが、茹でたあとは少しの爽やかさをプラスする程度でバランスが良くまとまっている。捕まえる時に酢酸を放出させたのも効いたかも。酢飯に甘エビのようにうまみと甘みの強い体液が口に広がり、タランチュラのような毛もなく、食べやすい!

世界三大奇虫、食べ比べてみたいですね。

私はゾウムシの養殖指導、もう一つのチームは看護師が村へ訪問するアウトリーチ活動の途中でした。その行った先の村人から「バナナの葉に包まれたイモムシがいる」とのことで見せてもらいました。くるくるっとルマンドのように巻かれたバナナの葉の中には草大福のように粉まみれのやわらかそうな幼虫が。本当においしそう。調べてみるとバナナセセリErionota torusという虫で、日本では沖縄だけに住みおそらく外来種。日本最大のセセリチョウとのことです。確かに小さい印象のあるセセリチョウにしてはデカい。

ラオス人お墨付きの美味しい昆虫とのことで3頭もらい、活動を終えて街に帰るころには1頭が黄色みがかって前蛹になっていたので、幼虫状態と比較して食べてみました。

前蛹 粉は茹でると消えてしまった。 蒸した芋のようなそそる香り。口に入れて弾けるボディ。タケノコのような少しの渋みがあり爽やかで、コクとうまみのバランスも良く、ウマッと声が出るおいしさ。
幼虫 消化管内容物のため茹でても青い。 バナナの葉の香り!バナナの葉で包んで蒸した料理の香りがする。葉の粒感が気になってしまい自分は前蛹派だけれどどちらも美味い。

バナナの葉は色んな所に使われ、市場で昆虫を売るときの敷物や、蒸すときの包みなど、土に還る万能の梱包材です。そして蒸すとバナナの葉の独特のムレ臭がうつり、朴葉の包み焼きみたいな美味しい感じに仕上がります。それがバナナセセリの幼虫にはあった!これがなかなかおいしいです。

追記します!そして9月25日に蛹になり

クリーム色の美しい形。バナナの葉にくるまれている

そして10月4日、成虫へ。味見しましょう。これはオスですね。

香ばしい!鱗粉が口に残るものの、バナナの香りはなくなり茹でただけで焼き芋のような強い香ばしさ。 甘み、コク、旨味のバランスも良く、体重もしっかりあるので食べ応えもそこそこある。

以前に日本のツチハンミョウについて、毒が強すぎて食べるのに適さない虫として紹介しました。英語名Blister beetleと呼ばれるように、水疱ができるほど粘膜に刺激性があり、致死量もなかなか少ないようです。漢方では「斑猫」と呼ばれ、キオビゲンセイの一種はカンタリジンを虫体の25%も含み、水疱をあえて作って毒を吸い出すような手荒い治療目的で使われた、との記述があるそうです。

引用します。

本来の「斑猫の粉」の正体はその成虫の乾燥粉末です。中国産のそれはキオビゲンセイという種類で、 乾燥した成虫体に25%ものカンタリジンを含有しています。カンタリジンの用途は毒薬ばかりでなく、 おできのウミ出しの刺激発砲剤に多用されているほか、少量を内服(大変危険ですが)すれば催淫や利尿、 躁鬱病、性病、知覚麻痺などに効果があるとされています。

https://www.jataff.jp/konchu/hanasi/h14.htm

さて、「変な虫を見た」との通報(最近ラオスで虫ネットワークができつつあります。)で急行するとこちら。

ツチハンミョウの一種

キオビ、というよりもピンク帯ゲンセイなので、これが本当に漢方に使われてきた「斑猫」なのかはっきりしないですが、これは味見できないです。ラオス人も食べちゃダメ、触っちゃダメ昆虫と教えてくれました。薬用に使うという話は今のところ聞いていませんが、そのぐらい一般的で、そのぐらい毒であることが有名なようです。気をつけましょう。

その他にも、ツチハンミョウ科の昆虫がいたので合わせて紹介しておきます。いずれも味見ダメです。ラオス人も知っていました。