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村での活動中に見かけた、Callizygaena ada 最初は南国のウミウシに見えた。

このピロピロがすごい。

ラオス人は派手な虫、あるいは毛のある虫、食用とはっきりしない虫に関しては毒があると信じているようで、この虫も毒毛虫、と言われた。ベイツ型擬態という概念が導入されないと、その擬態の効果は人間にも及んでいるんだなぁ、と改めて昆虫分類学のパワーを実感。

昆虫分類学が導入され、擬態、という生態学的な概念を知って初めて「毒っぽいけど無毒な虫」というジャンルが目に見えるけれど、ラオスにはその概念がまだ入っていない。なので身をもって確かめるしかないのである。ラオス人にどう思われようとも。

腕のやらかい所に当てるだけの「簡単な実験」ではあるが、相当に心の準備が必要であった。痛いのはヤダ。ラオス人にバレたらバカだと思われるだろう。つらいけど知りたい。痛いのは嫌だけど知りたい。彼らが毒なのか知りたい。そして今回は、今回は。私の勝ちだ。

触れることがわかったら急に強気である。

モフれる、とわかったら次の難関が待っている。これだけ毒々しいカラーということは食べて毒なのではないか。触って毒ではないことを確かめてしまった以上、食べて毒である可能性はむしろそれを知る前よりも高くなったのではないか。モンティ・ホール問題ではないか(違います)

マダラガ科には体の内部に毒を貯めていることがあるので、食べるのはまた躊躇する。茹でただけで結構しっかりと美味しくなさそうな草の匂い。渋い雑草を煮詰めて缶詰にしたような匂い。

これも口に含むしかない。

はい。Callizygaena ada はモフれるくさくて苦い毛虫である。

今回の村の滞在目的は農地の新規開墾でした。ゾウムシの餌になるキャッサバがどうにも村の中で手に入れることができず、その一方で水稲に向かない傾斜地や高台は放置され、藪になっている現状もありました。キャッサバは乾燥に強い作物です。ではそういった土地で自給してみよう、と持ちかけ、開墾に至ったということです。この話は近々まとめます。

その帰り、他の活動をしているラオス人スタッフと合流するためにその家に寄ったところ、こんな鍋が。

こちらはパグガエル、と教えていただきました。ラオス人に聞いた通り、夏眠の性質があるそうです。これ以外のカエルについては以下にまとめ直しておきます。

美味しそうですね。

こうした旬のカエルを含む野生食材というのは彼らの栄養をしっかり支えていることがわかってきました。日本で言うところの「野食」というものとは随分と異なります。

日本の野食は都会で現金収入を得られる人たちだからこそできる(というか現金収入がない状態で、手作業メインでの自給自足生活をすることは日本ではほとんど困難です。)趣味であって、栄養をそれで賄っているわけではありません。

ラオスの栄養の問題、と言うと「足りないタンパク質を昆虫で解決」のような簡単なストーリーが思いつきがちのようで、ここらへんの栄養調査の結果に基づく、あるいは国連などの国際機関の調査、判断に基づく戦略についても、理解を広めていきたいところです。