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2013年にゲジを味見してからもう3年にもなるんですね。
きっとオオゲジはおいしい、と思いながらのようやくの出会いです。

今回は他の昆虫を目当てで夜間採集に行ったのですが、
目的のものはとれず、でもオオゲジは二頭とれました。
ゲジは偽複眼、という単眼の集合体を一対もつことから
かわいらしいつぶらな目をしています。

長い多くの脚に隠れて見えませんが
竹林の隙間から見えるような可愛らしい顔。すばらしいですね。

味見のまとめでも気づいたのですが
「食べる前の見た目の印象」と

「食べておいしいとわかってからの見た目の印象」
は大きく変わってしまいます。
ゲジというとムカデの仲間で牙があって、動きが早くて足が多いし
すぐとれるから触るのが怖い。触って殺してしまうのも怖い、
という感じで、
どうにも猫の背みたいな「掴んでいい部分」が見当たらないんですね。
どう触っていいかわからない、というのはなんだかお近づきになりにくいです。
ところが、一度おいしいことが分かってしまうと、
そんなのは
大した問題ではなくなってしまいます。
食べて克服すること、というマウンティングによる自分の優位性が
確かめられたことで、
相手を過大評価しなくてすむようになるのかもしれません。
「苦手な虫を食べて克服」という昔の辞書の暗記のようなことが
将来起こるかもしれません。
そして、ゲジというネーミングも悪いと思います。
ゲジという濁音二音だけ、バカが考えたような短い名前。
食感も悪そうで、ジャリジャリしそうな名前ですよね。
オオゲジといういかにも大きすぎるような印象をあたえるのも良くありません。
私たちが食べる動物性食品のうち、オオゲジは小さい方です。
そこで、
コガタリクアノマロカリス
というかっこいい名前をつけました。
学名で奇妙なエビ、という意味を持つアノマロカリス、
彼らはただデカくて海にいるだけですから
イセエビと比べてもあんまり奇妙でもありません。
陸上で捕食者として走り回る彼らこそ、「奇妙なエビ」でしょう。
食欲をそそらない和名、というのもこれ以外にも改訂していいかもしれません。
ということで、味見をしてみましょう。
茹でるとあっという間に自切し、胴体だけになってしまいました。

足先はゼンマイのように丸まります。
色は不透明になり、青みがかりました。
味見
ゼンマイのように丸まった足先の食感はゲジよりだいぶ固い。
イモムシのようになった胴体はシコシコとした食感と芋のような甘い香りとやさしい甘み、
そしてエビに負けない強い旨味があって最高。あぁうまい
奇妙なエビ、コガタリクアノマロカリス、
特に苦手な方は、その克服にいかがでしょうか。