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以前沖縄産の成虫を食べたのですが、
今回は幼虫を頂いたので味見。

成虫は茶色っぽいのですが、幼虫はこのように綺麗な緑色をしています。
成虫も幼虫も茹でると赤くなります。バッタ科、イナゴ科の特徴です。
なぜかキリギリス科では赤くなることはありません。謎です。
味見
甘みが強く、草の香りもあり食べごたえがある。口にクチクラが残るものの、
成虫ほどでなく茹でても十分味わえる。
色がグリーンから鮮やかな赤に変化し見た目にも食欲がそそる。
栄養を溜め込んでいる幼虫によく見られるのが、
特徴的な甘みのある粒感のあるタンパク質?のような食感です。
タガメの卵やギンヤンマの胸肉にもあり、この幼虫を食べた時も舌に感じられたのですが、
小豆あんの粒のような感じ。
もしかしたら未分化の細胞塊かもしれません。要調査です。
タイワンツチイナゴはタイでよく売られているのですが、
熱帯地方でも年一化で、冬を超えて春になってから性成熟するので
一世代がとても長いのが特徴です。
トノサマバッタに比べて飼育も難しく。卵をとるのは困難だそうです。
養殖昆虫食を始めたい方にはオススメしないバッタです。

近くの溜池のようなところに多く発生。網ですくいました。

マツモムシ Notonecta triguttata
幼少の頃田んぼにたまにいたので比較的親しみのある昆虫です。
その頃読んでいた図鑑に「口吻で刺されると非常に痛い」
と書いており、
同じカメムシ目の水生昆虫の中でもマツモムシだけ妙に
素手で触ることを怖がっていました。
オールのような後肢を使い、背面で泳ぐ
ステキな姿の昆虫です。薄い水色がきれいですね。
味見
臭みが全くなく、食べやすい。カメムシにありがちなスカスカ感もなく、うまみが感じられる。タガメのような特徴的な香りはかんじられないがほのかに藻類?の良い香り。
思いの外美味しかったので
他の水生昆虫にもチャレンジしてみたいですね。
タイコウチとかミズカマキリとか。。。。

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以前「昆虫料理写真展」のご案内をしましたが
その写真展の内容に加筆修正を加え、レシピまでつけた
完全版、「昆虫食写真集」が完成致しました。
お問い合わせはむしくい.netまでお願いします。

私もこの写真集に企画から参加させて頂きました。
この企画にかける熱い思いは写真展の時に大抵書きましたが、
今回は更に補足。
各シーンのコンセプトを紹介。

むしの市 (ロケ地:都内某所のお祭り)
将来昆虫食が定着、日本の場合「復活」としたほうが良いかと思いますが、
伝統昆虫食が新しい形で文化として定着する、そんな未来を想定しています。
むしの市のお祭りの雰囲気の中、
リンゴ飴ならぬむし飴をかじりつつ
着物姿の女性が
虫のお面をかぶって
出店でイナゴをおみやげに

今回ロケ地で偶然イナゴを売ってるオバちゃんに出会えたので、
そのまま撮影させて頂きました。
小規模ですが既にだるま市は一部むしの市であったといえるでしょう。

インセクトドーナツ ロケ地:某所某ドーナツ店の付近
ドーナツはアメリカ人が大好きなデブ食品です。
アメリカ人は同時に「ヘルシー」が好きです。
ヘルシーであれば、どんな新しい、奇抜なものでもすぐに取り入れてしまいます。
そんな自己矛盾を抱えたドーナツがアメリカから逆輸入、というコンセプトです。
油たっぷりのドーナツにチョコをかけ、ヘルシーな各種昆虫をトッピング
というナンセンスドーナッツ。
今後
昆虫食のブームはこのような病的に新しいものを求める集団から
起こるのかもしれません。

バグパエリア ロケ地:某所工事現場付近
バグパエリアは昨年、東京虫食いフェスティバルvol.4での企画、
「昆虫レシピコンテスト」においてグランプリを獲得した作品です。
海の幸や山の幸のそのもの味をシンプルな味付けでいただくスペイン料理パエリア。
山の幸昆虫をいただくにもピッタリの料理法といえるでしょう。
モデルにレシピ作者も登場するというご褒美感。来年もこのようにしたいですね。
コンセプトは「ブルーカラーの食事=丼飯」
某牛丼店をパロディしたパッケージに
たっぷりのバグパエリア。

労働者の食欲をウシに依存するのは環境に負荷が大きいので、
チェーン店各店舗での残渣や米ぬかを利用した自給的タンパク質生産により
実現した手軽でヘルシー、ガッツリ食べられる逸品です。

バグフラペチーノ ロケ地:某所某コーヒーチェーン店
香ばしいナッツはフラペチーノのトッピングとして最高。
それでもたっぷりかけるにはカロリーが心配。
そんなあなたにピッタリのトッピング「バッタ」
高タンパク低脂肪でサクサクパリパリ、香ばしい最高の食材です。
バッタはコーヒー園で発生するイネ科雑草の下草処理のために養殖されたもの。
もちろんコーヒーもバッタも無殺虫剤です。
De-caffeinated=デカフェではなく De-pesticides 殺虫剤抜き の商品を
選ぶことがクール、と思われる時代も来ることでしょう。

Mothバーガー ロケ地;某所某ファストフード店
ファストフード店に
ヘルシーなイメージを融合させたことで有名な
Mothバーガー。
完全農産物由来の昆虫バーガーが完成しました。
サツマイモのパティと、
そのサツマイモの葉から養殖されるエビガラスズメをたっぷり使った
トマトソースバーガー。
既存の農業では、サツマイモの葉はそのまま畑に漉き込まれてしまう
廃棄物ですが、このハンバーガーでは肉質の具材に変身してしまいます。
付け合せの揚げ物も二種類の蛾類の幼虫を使用し、
ドリンクはカイコのフン茶という徹底したMothっぷり。

サメハチ弁当  ロケ地;某所某公園

食糧資源の供給は時にアンバランスになります。それは
資本主義の貧富の格差拡大から生まれることもあるでしょう。
既に問題になっているフカヒレーサメ肉問題。
嗜好性の高いフカヒレの需要と、その数百倍の重量となるサメ本体の需要が
一致せず、サメ肉がどうしても余ってしまいます。
そこで賢い家庭はそのような「余剰食糧資源」をおいしくお弁当にしてしまいましょう。
きちんと処理されたサメ肉はササミのようで全く臭くありません。
同時に、近所に発生して駆除したもらったハチノコもトッピング。
食糧資源は地産地消が原則です。タンパクでウナギに似た味のハチノコは
サメ肉との相性もバッチリ。双子のお子様をもつご家族にモデルに成って頂きました。

虫BAR ロケ地:都内飲食店(よるのひるね
虫はタンパク質を味わうものとは限りません。
含まれる微量成分による滋養強壮や、香り成分によるカクテルなど、
オトナの嗜好品として楽しむべく蒸留酒に漬け込んだものを作ってみました。
今回はタガメ酒、カメムシ酒、スズメバチ酒を作って
キャンディでコートしたコガネムシやバッタをつまみに飲んで頂きました。
タガメやカメムシはフェロモンや威嚇に使う強い匂いを蓄積しており、
数匹お酒に入れるだけでその香りが楽しめます。
このような嗜好性の高い昆虫食も、
これから豊かな食生活を楽しむ上で重要な要素になってくると思います。

最後に
「冊子として発行することについて」
この冊子の元データは文字も写真もすべてデジタルですので、
当初は
電子書籍で作り、売れば印刷代もかからないし、
在庫を抱えることもない、世界中の誰にでも届くし
いいことづくめだ、と思いました。
ただ、今回の写真集は
「今まで紙媒体で新しい刺激を得てきたヒト」に
届けたい
と思い、
このような形(小部数の同人誌)にしました。
手に届くまでに時間と手間がかかるし、エコでもありません。
しかし、
今求められているのは
「自腹切ってまで発信したい責任のある情報」
ではないでしょうか。
まだまだweb情報には責任の所在が曖昧な情報ばかりです。
どんなにしっかりした根拠のある理論にも
「〇〇 トンデモ」と検索すれば陰謀論やウソ論がいくらでも出てきます。
web検索で自分の好きな情報は手に入れられるのですが、
自分と相容れない情報を受け入れる手段として、
やはり、
紙媒体の方が今のところ文化的に馴染んでいると思えるのです。
これから
全ての読み物をデジタルデータで読んできた次世代が
出てきます。
彼らにとっては紙媒体とデジタルデータへの
信頼度は同じようなものかもしれません。
このブログにも家庭でプリントアウトして読んでくれている
小学生読者が居ました。身の引き締まる思いです。
(将来が心配でもあります)
これからは、
ブログのように、
ベータ版のような新しく不完全な無料データと
書籍(電子書籍)にように
改変不可能で半永久的に残る有料データ
の2つになっていくと思います。
その点で電子書籍はまだまだ心もとないですね。
だれもがリーダーを持っているわけではないですし
端末の強度にも不安が残ります。
そして会社が倒産すれば
もう読めなくなってしまうという永続性がもうちょっとかな。。。。
と 思ったりしています。
この先、売れ行きによっては
電子書籍版がでるかもしれませんが。
というわけで
われわれ昆虫料理研究会は
写真画質フルカラー32pの冊子200部の在庫
抱えております。
どういうことかお分かりですね。
買って下さい。
欲しい方はまずお問い合わせを。

近くのブドウの葉についていた
コスズメ Theretra japonica の終齢幼虫を見つけました。

昨年は同じ場所でブドウスズメを見つけたので、同じように美味しいことが期待されます。
コスズメ緑型は尾角が赤で、脚は赤と白のストライプ。
眼状紋は瞳がグリーン、という可愛らしいデザインをしています。
イモムシハンドブックの表紙にも採用されたぐらいで、
以前に新宿のブックファーストで特設コーナーが設置された際には
巨大フィギュアにもなりました。

改めて見るととても可愛いですね。
味見
美味しい。
スズメガ系の甘みのある爽やかな味。外皮も食べやすい硬さで適度な噛みごたえ。
ブドウスズメと甲乙つけがたいが、コスズメの方がかわいいのでコチラを推します。

ナミアゲハは柑橘の葉を食べるので、
みかんの葉を食べたものは蜜柑の香りが、
山椒の葉を食べたものは山椒の香りがして大変美味しく頂けます。
今回はカラスザンショウを食べていた二種の幼虫を見つけたので
食べ比べてみました。
これで食草の影響を考えること無く、種の味を比較できます。
ナミアゲハPapilio xuthus と クロアゲハ Papilio protenor
 

クロアゲハの方がメンチキレてる感じです。
起こるとニョキッと出すツノがオレンジのものがナミアゲハ、赤いものがクロアゲハだったりします。
味見
ナミアゲハ
消化管に残されたものはやや苦味があるが香りも良い。
カラスザンショウはアルカロイドを含むので消化管内容物は覗いたほうが良さそう。
味はクロアゲハの方が甘みがあって香りも良かったが、
これが種によるものか、個体間の変異なのかはまだまだ判断できない。
そうなんです。
個体変異とは
同一種の生物の中で、遺伝子や染色体に関係なく、環境の影響によって生じた個体の形質の変異。環境変異。彷徨(ほうこう)変異。(デジタル大辞泉)
トノサマバッタの群生相化も個体変異の一つです。
育った気候、食べたもの、経験、偶然に左右される様々な環境に伴って
同種の昆虫であっても異なる人生(虫生?)を歩みます。
この二匹で味の違いを見分けられたとしても
それが種によるものかまだまだ判断できないのです。
そのためには、まず数を集める必要があります。
そして統計にかけ、
「ナミアゲハグループよりクロアゲハグループの味が有意に美味しいと評価された場合」
にのみ、クロアゲハが食材として優秀であることが認められるのでしょう。
残念ながら、統計的に有意な「美味しさデータ」を出すために必要な予算がありません。
なので、このブログに書いてある表現はあくまで、
「一度限りの感想で、再現性があるかどうかわからない曖昧なデータ」
いいかえると、
体験者の感想で、商品の効能効果を保証するものではありません。
と同様の文句になります。
環境要因を揃えるためにも。養殖もひとつの手段といえるでしょう。
それでも食べるヒトによって味覚は異なります。
このブログのゴールである
「誰もが美味しいという昆虫の選定・養殖・調理」まで見つけるのは
なかなか長い道のりのようです。

オニヤンマ。Anotogaster sieboldii
幼少の頃、溜池の多い地域だったことから、
高い土手の上を悠々と回遊している姿をよく見ました。
私の差し出した虫取り網を直角に避け、飛び去る姿は力強く、
憧れの存在でした。
このブログを始めた当初、ギンヤンマが美味しいことを知った時、どうしてもオニヤンマが食べたい!
と思いましたが、昨年は会えずじまいでした。
そして今年、階段に迷い込んでいるオニヤンマを発見。
かっこよいです。

トンボに比べ、力強くグングン飛ぶ「ヤンマ」ですが、
オニヤンマは「オニヤンマ科」で、
ギンヤンマ等の「ヤンマ科」とは異なる科に属します。
そのため、ギンヤンマが美味しいからといってオニヤンマが美味しいとは限りません。
確かめてみましょう。
味見
ウマイ。外皮が体重に比べ柔らかいので茹でて食べやすい昆虫の一つ。脚が口に残るが胸部は柔らかく甘い筋肉が。ギンヤンマとよく似た味がして、香ばしい風味も良い。腹部は空洞で味が薄い。少し金属臭があった。胸部がオススメ。
食べてよかった。大変美味しい昆虫です。ヤゴも食べたいですね。
余談ですが、昆虫の目は複眼構造をしているので、
角度によって異なる像が見えます。
ヒトは両眼視をする生き物なので、虫の目を覗きこむと
そのズレが3Dで迫ってきて、刺激的です。
そんな「虫の目」は、写真では伝わらない特徴です。
伝えたいのでこんな擬似3D画像(GIFアニメ)を作りました。
角度によって目の表情が変わる様子が見えるでしょうか。
やっぱりかっこいいですね。左目がウインクしているようにも見えます。

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以前から甲虫類の成虫の「硬さ」には悩まされてきました。
カミキリムシやゾウムシなどは顕著で、幼虫がやわらかく美味しい分、成虫の食べにくさ
が一層残念に感じられていました。
魚の骨せんべいが一番近い感覚でしょうか。
高温でしっかり揚げるとパリパリとたべられるのですが、
内部の柔らかい組織もスカスカになってしまい、どれもこれも
エビの唐揚げのに似た同じような味になってしまいます。
カミキリムシはその幼虫の味から
カタイ殻の内部には美味しい味があるはずです。
取り出してもよいのですが、手間を考えると、そのまま食べたいものです。
そこで
二度揚げの効果を実験。
二度揚げとは
一度低温で揚げて寝かせ、再度高温で短時間揚げることで
中はジューシー外はパリっと仕上げるワザです。
そうです。私はこんな昆虫が食べたかった。

そこで、冷凍庫に残っていたいただきものの
ゴマダラカミキリAnoplophora malasiacaを使って、比べてみました。
これは茹でただけではとても固く、とくに首の付根、前胸背板にあるトゲが
口に残り大変たべにくいものの
味の良さもあるので外皮の攻略には大きな意味があります。

向かって左から
A,150℃ 2分 24時間寝かせ 190℃ 1分 (二度揚げ)
B,150℃2分             (低温揚げ)
C,            190℃ 1分  (高温揚げ)
D, 150℃2分 24時間寝かせ      (低温寝かせ)
食べ比べてみましょう。
A,ザクザクと噛みごたえがよく、小気味よくバラバラになっていく、香りがやや飛んでいるので加熱時間をもっと短くして良いかと。甘みも残っており、一番美味しい。
B,揚げたての香りがよい。クチクラが少しもさっとし、硬さはわりと軽減されるが触角に硬さが残る。
C,香りが飛んでしまって少し焦げた味になってしまう。クチクラは思いの外残っており触角がクチに残る。
D,香ばしい。炒りダイズのようないい香りがあるがクチクラが弾力があり固く、口に残る。
ダントツで二度揚げが美味しいです。
一番のネックであったクチクラもザクザクと多孔質な感じ。
高温揚げでは香りが飛び、低温揚げでは外皮がまだ固かったので、
二度揚げの効果は抜群かと思います
ということで、
他の甲虫類もやってみましょう。
選手入場
サクラコガネ?かツヤコガネあたりのコガネムシ

コガネムシはただ揚げただけでも美味しいことが知られています。
今回はメタリックなカラフル感を演出してもらおうと二度揚げに参加。

ヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima 
超有名な日本の昆虫。金属光沢が美しく、彩りとして参加。
カミキリムシと幼虫の食性が同じなので、味も期待。

コクワガタ Dorcus rectus


日本の代表的なクワガタ。オオクワガタの小型版のような名前だが
すっと伸びたアゴ、平べったい体は小ぶりながら味わい深い。
二度揚げによりアゴまでパリパリ食べられるか。

ミヤマカミキリ Massicus raddei

大型のカミキリムシ。身が詰まっているので、
ゴマダラカミキリよりもジューシーに食べられることを期待。


ノコギリクワガタ 言わずと知れた代表的クワガタ。
自慢の大アゴを二度揚げが攻略できるか。コクワガタとともに期待。

これら山の幸を調理するにあたって、どんな料理にしようか考えていた所、
やはりパエリアではないかと。
パエリアはスペインの伝統的な料理で、
魚介類を使った海のパエリアが特に有名ですが、
バレンシア地方ではウサギ肉、鶏肉、カタツムリ、インゲンマメ、パプリカなどの
山の幸パエリアもあるそうで、
山の幸と海の幸を混ぜるのは邪道、とのことです。
それでは山の幸、昆虫をつかった王道の森のパエリアを作ってみましょう。
まずベースとなるパエリアを作ります。
オナガミズアオとエリサンが蛹化していたのでダシに使いました。
スライスしたサナギがオリーブのようですね。

次に、二度揚げした昆虫をトッピングし、チーズを掛けて
軽く焼きます。
完成。
日本の森の虫のパエリア

揚げてもそのみずみずしい金属光沢を失わないタマムシ、コガネムシが
森らしい彩りを与えてくれます。
パエリアのダシとなったサナギとの相性もよく、
二度揚げ昆虫といっしょに美味しくいただきました。
二度揚げ昆虫
味の感想
コガネムシ 二度揚げするとホワっとさくっとしてしまった。柔らかすぎて歯ごたえがないので
具材として使うには二度揚げの必要はないかもしれない
タマムシ  揚げても構造色が消えないのが美しい。香りがよく、
カミキリムシよりクチクラが比較的やわらかい。木の香りがそこそこ残っており味が良い。
コクワガタ 二度揚げするとようやく食える。ザクザクとして香ばしい。
味はやはりカミキリムシの方が上か。すこし土のようなコガネムシ臭。
ミヤマカミキリ 胸部・頭部にやや硬さは残るものの腹部はうまみがあり美味しく食べられる。
大きいほど揚げた時に独特の味が残るので好ましい。
ノコギリクワガタ 固い。ツノがとても固く、二度揚げしてもまだ足りない。
しかし固いクチクラに囲まれた内部はうまみと香りが残っており、
固い部分以外は美味しく食べられる。
二度揚げにしても、体サイズや外皮の強度によって調節する必要がありそうです。
この中ではタマムシ、ミヤマカミキリが特に美味しく頂けました。
タマムシの外皮はキチン質・タンパク質しか含まないのにメタリック、
という食用としての安全性とデザイン性を兼ね備えた素晴らしい素材です。
そのうち「メタリック食材」として一世を風靡するかもしれません。
それまでに養殖技術が確率していればいいのですが…
とはいえ、王道、森のパエリア。とても昆虫向けの料理だと思います。
梅雨も開けましたし、
夏にかけて虫があつまる時期です。ぜひ(自己責任で)試してみて下さい

ブドウスカシクロバ Illiberis tenuisの幼虫が
昨年ブドウスズメがいた所に発生していたので採ってきました。
逆に今年はブドウスズメが見られません。
昆虫は地球上の半数の種を占めることから、
その種の多さが注目されていますが、
「種」の概念自体が我々哺乳類と単純比較できないような気がします。
昨年他の昆虫がいたところに、今年は別の昆虫がいる。
種は異なりますが、「昆虫群としての戦略」が成功していると言えそうです。
この時、このブドウにありつく可能性を高める進化は
どの生物も繰り返してきたことですが、それでも様々な偶然に左右されます。
どうがんばっても「毎年単一の種が同じ場所に生息し、同じ物を食べる」
ことはものすごいエネルギーが必要です。
毎年少しだけ違う条件の中で、確実に「ここのブドウを食べて成長する昆虫がいる」
というのは昆虫の多様性とゆる〜い(競争を含む)連帯のお陰ではないかと思います。
さて
採集したときはこんな黄色なのですが、

前蛹になるとこんな色に。

ラズベリーですね。
とても美味しそうです。
味見
予想を大きく裏切り、
苦味があり味が悪い。
ブドウスズメの方がだいぶおいしい。
前蛹になっても苦味がのこっており、あじわいも薄く微妙
見ためだけジューシーで酸っぱそうでも、味は簡単には似てくれないようです。
残念。ブドウスズメ戻ってきてほしい。

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美しく大きいヤママユガ科幼虫であるオナガミズアオの二回目。
前回終齢幼虫を味見したのですが、
今回は繭を作る寸前の前蛹を味見しました。

繭を作る際には体のグリーンがなくなり、茶色っぽくなります。(写真右)
ところが、
繭を作るとグリーンに戻っているのです。

繭の糸の色はこの種の場合茶色ですので
繭用の色素が体表に出てしまい、このような変色が起こったのでしょう。
繭作成前の前蛹
ジグザグの硬い構造・絹糸腺がつよく発達しており、かみ切れない。
繭を作ってから食べたほうが良さそう。味は栗とコーンの間のような味。ハンノキの香りは残っていない。茹でるとピンク色になって美味しそう。トゲは余り気にならない。アクセントとして逆に良いかもと思い始めた。
繭作成後の前蛹
小さくなってしまうものの、絹糸腺が退化し口に残らない。色もうすいグリーンからオレンジで
キレイ。
ヤママユガ科は絹糸腺がつよく発達することが知られており、
繭糸の吐出前に茹でてしまうと線維化してしまい、口に残ってしまいます。
終齢幼虫の時にも絹糸腺は見られるのですが、繊維状のタンパク質はなく、ゆでてもプリプリのままです。
ということで
ヤママユガ科の食べごろは「前蛹(繭形成後)」
といえるでしょう。
繭も利用可能になればとても有効な資源利用につながりそうです。
さて。
オナガミズアオのトゲの食感が何かに似ていると思ったんです。
むむ。なにか食べたことがあるなと。
これでした。

そうです。ウナギの小骨です。
今回はウナギ風に蒲焼にして食べてみました。
皮面は強火で一気にカリカリに(長くじっくり焼くと硬くなります。)
背開きにしてタレで頂く。大変美味しい精のつく食材といえそうです。
これからの昆虫食の可能性の一つとして、代用食が挙げられます。
パスタで有名な日清製粉・オーマイも、
米の代用品である粒状パスタの製造を始めたことからスタートしました。
オナガミズアオもハンノキという木本のバイオマスを
ヒトの食糧に適した形に変えるので、
環境負荷の高い、例えば魚粉を使った養殖肉食魚の代用になれば
それだけで多くの漁業資源が守られることでしょう。

最も守るべき食糧資源としてウナギが注目されています。
稚魚を漁獲せねばならず、養殖に1年以上かかり
魚粉も大量に使用し、廃棄物も多く出す。
稚魚(シラスウナギ)の漁獲を見れば一目瞭然。
1960年台には200トンあったのに今年は5トン。
もはや食べている場合ではありません。
味だけでいうと、ハチノコが最も近いでしょう。
味香り戦略研究所
の協力のもと、味覚センサーでハチノコのボイルとウナギの白焼きを
比較した所、見事に一致したのです(内山昭一 著 昆虫食入門より)
ところが、ハチノコはウナギと同様に
巣や女王蜂をとってきて半養殖するしかありません。
最高級とされるクロスズメバチは近年数が減っており
ウナギの代用品として使ってしまうと同様の悲劇が起こる可能性があります。
そこで、
養殖技術が確立していて成長が速く、植食性のオナガミズアオに
代用ができないか、と思い作ってみました。
食べてみると非常に美味しく、脂質の旨味がウナギを彷彿とさせます。
ウナギ保護の第一歩として、養殖昆虫による代用メニューを考えるのはいかがでしょうか。
幸いなことに、
ウナギの消費量がピークを迎える土用の丑の日は夏です。
加温しなくてもすくすくと昆虫が育つ絶好の昆虫食シーズン。
ぜひ(コマユバチに注意して)チャレンジしてみて下さい。

オナガミズアオを飼育しておよそ一ヶ月、

オナガミズアオとよく似た種、オオミズアオとを食べ比べてみたい、
と思うようになりました。
両者の成虫はよく似ており、いくつかの同定ポイントを比べても
個体差が大きく、確定的なことはいいにくいとのことです。
一方幼虫はトゲの基部に黒い部分があるのがオナガミズアオ、

黄色しかないのがオオミズアオと、比較的見分けは簡単です。
そんな中、栗の木についたオオミズアオ幼虫を見つけました。
「コレでオナガミズアオとオオミズアオを食べ比べることが出来る!」
喜んだ私は栗の枝とともにオオミズアオを持ち帰りました。
ところが、
栗の葉が気に入らないのか、
殆ど食べません。

すると数日後
何やら白いモヤモヤが出てきたのです。
コマユバチでした。
コマユバチは寄生蜂の一種で、鱗翅目の幼虫に卵を産み付け
産み付けられた幼虫は生きたまま無数のハチノコに食べられ、ハチノコが十分に育つまで絶命しない

というなんともホラーなハチなのです。
プツプツとハチが脱出した跡が残り、
大変痛々しい姿のオオミズアオ。
モサモサとこれでもか!という勢いで脱出して繭をつくるコマユバチ。
虫嫌いの方にはショッキングすぎる光景です。
虫好きの方にもかわいい幼虫の痛々しい姿は胸が痛みます。
養殖しているオナガミズアオへの寄生するのを防ぐため、
速やかに全てのコマユバチを駆除する必要がありました。
さて
私はどうするべきか
そうですね。
茹でて味見ですね。
オオミズアオ幼虫
しっかりとした木の香りがする。オナガミズアオと異なる香り。やはり食草によって昆虫の香りは影響され、木本の方がその影響が大きそう。何も食べていなかったので消化管内にはほとんど食草はなく、肉薄な印象。内部にもまだまだコマユバチが残っており、とてもかわいそう。
コマユバチ幼虫
茹でるとカタめ。味はほとんどわからず、固めのインディカ米のような印象。
鱗翅目の終齢幼虫はとても強度の高い外皮を持ち、髪切るのが困難なほど。
その中から脱出するので、けっこう固いのでは。固いことで寄主の体液を漏らさずに
脱出することができるのでは。。。養殖昆虫の敵ながらあっぱれ。
コマユバチ繭
繭になってしまったものは口に入れても繭の強度が高すぎて
全く噛みきれず、あじわうことができなかった。
大変ショッキングですが、この後にオオミズアオの写真を掲載します。
見たい方のみ「驚愕のオオミズアオ」をクリックして下さい。