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以前から甲虫類の成虫の「硬さ」には悩まされてきました。
カミキリムシやゾウムシなどは顕著で、幼虫がやわらかく美味しい分、成虫の食べにくさ
が一層残念に感じられていました。
魚の骨せんべいが一番近い感覚でしょうか。
高温でしっかり揚げるとパリパリとたべられるのですが、
内部の柔らかい組織もスカスカになってしまい、どれもこれも
エビの唐揚げのに似た同じような味になってしまいます。
カミキリムシはその幼虫の味から
カタイ殻の内部には美味しい味があるはずです。
取り出してもよいのですが、手間を考えると、そのまま食べたいものです。
そこで
二度揚げの効果を実験。
二度揚げとは
一度低温で揚げて寝かせ、再度高温で短時間揚げることで
中はジューシー外はパリっと仕上げるワザです。
そうです。私はこんな昆虫が食べたかった。

そこで、冷凍庫に残っていたいただきものの
ゴマダラカミキリAnoplophora malasiacaを使って、比べてみました。
これは茹でただけではとても固く、とくに首の付根、前胸背板にあるトゲが
口に残り大変たべにくいものの
味の良さもあるので外皮の攻略には大きな意味があります。

向かって左から
A,150℃ 2分 24時間寝かせ 190℃ 1分 (二度揚げ)
B,150℃2分             (低温揚げ)
C,            190℃ 1分  (高温揚げ)
D, 150℃2分 24時間寝かせ      (低温寝かせ)
食べ比べてみましょう。
A,ザクザクと噛みごたえがよく、小気味よくバラバラになっていく、香りがやや飛んでいるので加熱時間をもっと短くして良いかと。甘みも残っており、一番美味しい。
B,揚げたての香りがよい。クチクラが少しもさっとし、硬さはわりと軽減されるが触角に硬さが残る。
C,香りが飛んでしまって少し焦げた味になってしまう。クチクラは思いの外残っており触角がクチに残る。
D,香ばしい。炒りダイズのようないい香りがあるがクチクラが弾力があり固く、口に残る。
ダントツで二度揚げが美味しいです。
一番のネックであったクチクラもザクザクと多孔質な感じ。
高温揚げでは香りが飛び、低温揚げでは外皮がまだ固かったので、
二度揚げの効果は抜群かと思います
ということで、
他の甲虫類もやってみましょう。
選手入場
サクラコガネ?かツヤコガネあたりのコガネムシ

コガネムシはただ揚げただけでも美味しいことが知られています。
今回はメタリックなカラフル感を演出してもらおうと二度揚げに参加。
ヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima 
超有名な日本の昆虫。金属光沢が美しく、彩りとして参加。
カミキリムシと幼虫の食性が同じなので、味も期待。


コクワガタ Dorcus rectus

日本の代表的なクワガタ。オオクワガタの小型版のような名前だが
すっと伸びたアゴ、平べったい体は小ぶりながら味わい深い。
二度揚げによりアゴまでパリパリ食べられるか。
ミヤマカミキリ Massicus raddei

大型のカミキリムシ。身が詰まっているので、
ゴマダラカミキリよりもジューシーに食べられることを期待。


ノコギリクワガタ 言わずと知れた代表的クワガタ。
自慢の大アゴを二度揚げが攻略できるか。コクワガタとともに期待。
これら山の幸を調理するにあたって、どんな料理にしようか考えていた所、
やはりパエリアではないかと。
パエリアはスペインの伝統的な料理で、
魚介類を使った海のパエリアが特に有名ですが、
バレンシア地方ではウサギ肉、鶏肉、カタツムリ、インゲンマメ、パプリカなどの
山の幸パエリアもあるそうで、
山の幸と海の幸を混ぜるのは邪道、とのことです。
それでは山の幸、昆虫をつかった王道の森のパエリアを作ってみましょう。
まずベースとなるパエリアを作ります。
オナガミズアオとエリサンが蛹化していたのでダシに使いました。
スライスしたサナギがオリーブのようですね。

次に、二度揚げした昆虫をトッピングし、チーズを掛けて
軽く焼きます。
完成。
日本の森の虫のパエリア


揚げてもそのみずみずしい金属光沢を失わないタマムシ、コガネムシが
森らしい彩りを与えてくれます。
パエリアのダシとなったサナギとの相性もよく、
二度揚げ昆虫といっしょに美味しくいただきました。
二度揚げ昆虫
味の感想
コガネムシ 二度揚げするとホワっとさくっとしてしまった。柔らかすぎて歯ごたえがないので
      具材として使うには二度揚げの必要はないかもしれない
タマムシ  揚げても構造色が消えないのが美しい。香りがよく、
      カミキリムシよりクチクラが比較的やわらかい。木の香りがそこそこ残っており味が良い。
コクワガタ 二度揚げするとようやく食える。ザクザクとして香ばしい。
      味はやはりカミキリムシの方が上か。すこし土のようなコガネムシ臭。
ミヤマカミキリ 胸部・頭部にやや硬さは残るものの腹部はうまみがあり美味しく食べられる。
        大きいほど揚げた時に独特の味が残るので好ましい。
ノコギリクワガタ 固い。ツノがとても固く、二度揚げしてもまだ足りない。
         しかし固いクチクラに囲まれた内部はうまみと香りが残っており、
         固い部分以外は美味しく食べられる。
二度揚げにしても、体サイズや外皮の強度によって調節する必要がありそうです。
この中ではタマムシ、ミヤマカミキリが特に美味しく頂けました。
タマムシの外皮はキチン質・タンパク質しか含まないのにメタリック、
という食用としての安全性とデザイン性を兼ね備えた素晴らしい素材です。
そのうち「メタリック食材」として一世を風靡するかもしれません。
それまでに養殖技術が確率していればいいのですが…
とはいえ、王道、森のパエリア。とても昆虫向けの料理だと思います。
梅雨も開けましたし、
夏にかけて虫があつまる時期です。ぜひ(自己責任で)試してみて下さい