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トノサマバッタ Locusta migratoria
は私が今最も注目している養殖食用昆虫です。
以前加齢に伴う味の変化を報告しましたが、今回は系統による差を比較してみました。
某巨大系統。日本最大のトノサマバッタ系統です。(写真はどちらもメス)

向かって右は飼いやすい沖縄系統。
体重にして3倍強、写真の個体は5.4gもあります(最大で8g以上になることもあり)
これはもはや立派なエビですね。


箸と比較してもこの大きさ。

翅のサクサクとした歯ざわり、胸のカリッと堅揚げの外皮の内部にほっこりと甘い筋肉の味。腹部の脂肪体は濃厚なうま味とコク。全体としてトウモロコシ系の香りと加熱したキチンの香ばしさ・うま味が心地良い。やはりでかいと部位別に味わえるので楽しい。
昆虫の家畜化はその系統の作成も
ビジネス上の大きな一手となります。コレが簡単に増やせたらなぁ。。。。
と思う次第です。

私が所属している「昆虫料理研究会」では、
毎年4月に昆虫料理写真展を開催しています。
昨年、今年と
私も企画・ディレクター(モデル)として参加しました。
こんなチラシもエイプリル・フールにあわせて作ってみました。

一昨年2011年は昆虫料理そのものの写真。
昨年2012年は昆虫料理を食べるヒトの写真 「昆虫菓子を食べる女子会」
そして
今年は昆虫料理が普及した未来社会の写真 「虫食い散歩2033 ~未来の街角から~」

年々マクロ化していっています。
さて、
この写真展の企画意図なのですが
「飢餓にならない限り昆虫なんて喰わない」
という声が多く聞いたことがきっかけです。
未来に人口爆発が起こり、
既存の食糧は底をつき
じゃぁ虫でも食うか
そんなディストピアで昆虫を生のままバリバリと食う。なんて。
そんな未来は嫌だ。
そもそも
既存の食料=生物が底をついた時、
昆虫も生きてはいられませんし。
また、
単純に昆虫を食えば飢えがしのげるというのも
昆虫食への過大評価といえるでしょう。
今まで
利用してこなかった昆虫を
食料資源への利用することは考えるべき課題だと思うのですが
昆虫さえ食えば食糧問題解決・みんなハッピー
というわけにはいかない
ようです。
さて このへんは本業とかかわってくるので
話を戻します。
「ディストピアな世界で昆虫ボリボリという未来」

そんな糞尿地獄みたいな未来はイヤなんです。
もっと
多様でステキな楽しい昆虫食が普及した未来
見られないか
そのような提案を
昆虫料理写真展というアート企画

表現できないかと考えました。
養殖された昆虫が食卓に気軽に並び
休憩や団欒に楽しむ
そんなパラレルワールドを表現するにはどうすべきか
「そうだ パロディにしよう」
今の
「食」が定着したのも歴史の結果偶然起こったこと。
ならば同様に
昆虫が今のファストフードに採用されたパラレルワールド
あっても不思議ではありません。
そのような世界を小道具で表現するため
「ロゴのパロディ」を考えました。
白羽の矢を立てたのは研究所の先輩の横山拓彦さん
学位を取得後、イラストレーターになった異色の経歴の持ち主です。
横山さんも昆虫好きで昆虫食を嗜むお仲間ですので
きっとステキなデザインを作ってくれると思い依頼しました
期待以上の出来栄え

こうして作られたロゴを使い
パロディ元のチェーン店でロケ撮影をする
という極めてロックな方法で
しかも
プロのポートレートカメラマン
お願いすることにより
今回の写真展が実現したのです。
もちろんモデルさんは昆虫料理を嗜む方。
自信があります。
見に来て下さい。

昆虫食は研究として、
未来の食として多く紹介されることが多いのですが
まだまだ克服すべき課題も多くあります。
しかし、
私は昆虫食が普及する明るい未来がくると信じています。
そんな根拠なき妄想といえる研究の理想像
論理的に詰められていない段階で
コンセプトアートとして発信
してもいいのではないか。
そんな
ささやかな個人的願いが込められています。
そんな昆虫料理写真展も
今日明日明後日まで。
28日には虫屋台もでます。
是非お越しください。

パッと見 巨峰のタネのようですが。

れっきとした昆虫です。
おそらくヒラタアブ系のサナギではないかと。
草に付いていました。
実食
びっくりするぐらい無味。サクッとした外皮と液状の内部。わずかに草の香り。
双翅目の幼虫は抵抗がない代わりに特徴がないことが多い。
大量生産と栄養としての消費には向いている気がする。
うーむ。期待した美味しさは感じられなかった。残念。

アメンボは飴のような香りがするので
「飴ん棒」が転じた名前である。
これほど心躍る文句はあるでしょうか。
半翅目の良い香りのなかでもこれは期待大です。
今回はヒメアメンボを捕まえました。
ヒメアメンボ Gerris lacustris latiabdominis

わずかにキバラヘリカメムシににた甘めの香り。
茹でたためか「飴のよう」と形容される甘い匂いは殆ど感じられなかった
食感はホソヘリカメムシと同様の外皮シャキシャキ・中スッカスカタイプ。強い味はない。
半翅目独特の食感はありましたが、期待した甘い匂いは感じられませんでした。
やはり生食にチャレンジしなくてはいけないのでしょうか。
まだナミアメンボなどの他の種が残っているので、
めげずに半翅目の探索を今年も行いたいと思います。

久しぶりの更新です。
春になると一斉に虫達が起きてきて
それにともない本業の実験もカツカツになってきて
味見をサボってしまいました。
今日は現在開拓中の半翅目より。
ウズラカメムシ Aelia fieberi
うずらの卵に模様が似ていて、触角が赤、顔が三角で大変あいらしいカメムシです。
触っても臭いを発すること無く、ちょこちょことあるき、丸っこい形も相まってかわいいカメムシといえるでしょう。

さて、とうぜんですが、
本ブログで重要なのは味です。
いつものように茹でて頂きます。
触ってもまったく臭いを発しなかったので油断していたが、
噛むと内部に強いカメムシ臭。苦味も感じられ、おすすめできない。
カメムシのメントールのようなスッと感はなんなのだろう。ちょっと気になる。
典型的なカメムシ臭のなかに若干の柑橘系の香りがある。やはり半翅目は難しい。
おすすめできません。触って愛でるほうがよさそうなカメムシです。